あらすじ
二十年前に死んだ美少女を偲び、孤島「和音(かずね)島」に集う男女を襲う惨劇。
今も彼女の影が支配する島で、雪が降りつもった夏の朝に、首なし死体が発見される。
雪密室を皮切りに島の均衡は崩れ、暴走が始まる。
ラストの大破局(カタストロフ)、メルカトル鮎(あゆ)のとどめの一言。
発表当時から話題騒然の超問題作が新装改訂版で登場!
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Posted by ブクログ
幻想小説かと見紛うほどの大胆な展開。しかしあくまでも推理小説の体系で提示される謎。終幕の烏有の選択。最後に真相の一片を告げて去る銘探偵。圧巻でした。
迎えにきた船から眺める、事件の終焉を示す和音島の崩壊。和音という概念から端を発した凄惨な数日間は、信奉者の彼らの死体、絵画、黙示録、フィルム、展望台全てを海に沈めて幕を閉じる。和音は世界から消える。烏有は真相の追求をやめる。この、ある程度のしこりと寂しさだけを残して全てが消失する締め括り、最高でした。
最後に全て崩壊する孤島ものは堪らないですね!
Posted by ブクログ
いやぁもうすっごい...!
トリックかどうかも怪しい超絶雪密室もそうだけど、それが霞むぐらいラストの怒涛の展開に圧倒された...
二人の桐璃が出てきたあたりから訳分からんようになって、ラストのメルカトルの一言で完全に放り投げられたw
読後、色々と考察サイト巡回したけど、意見がそれぞれ分かれていて、なんとなくの概要は理解出来たけど、細部まではふんわりしてる感じです。
モヤモヤする結末の話はそんなに好きじゃないんだけど、ここまで突き詰められると、逆に清々しくて良いですね(錯乱)
ラストで烏有が無傷の方の桐璃を選んだの見て「お前っ...!!!」ってなったわ...
Posted by ブクログ
うーーーむ。
僕にとってはですよ。前置きとして。
小賢しい。
難解ではなく。
あまりしたくは無いけど、ネットを見回ってきます。
。。。ネットから戻ってきました。
ある方が書いたことにある程度感銘。
読み終わってからが本題。
なんで⭐︎1つ追加。
Posted by ブクログ
この読後感は、なんとも言い表し難い。
読中の思弁的なキュビズムの話は、人文書読んでるみたいで知的好奇心が唆られる。物語がゆっくり流れていくので、登場人物たちの心理の変化が克明に突き刺さる。没入感が非常に高い。
とはいえ、最後のオチはいったい。回収しない謎が残されて余韻に浸るとかいったものでもなく、もっと真相を解明してくれ!という嘆願である。問題作なのは良くわかるが、もやっとする。その気持ちが作品の魅力足り得るのだと自己解決。
Posted by ブクログ
これはとんでもないな…。自分にとっては面白かったが、賛否両論分かれるのは当然な気がする。
本作のテーマはキュビズムであるが、本作自体が恐らくキュビズム的な志向であり、コラージュのように一見チグハグになっている。
桐璃が「うゆーさん」と呼ぶ場合と「うゆうさん」と呼ぶ場合があることは気付いていたが、他に何箇所か誤字脱字があったのでここも単なるミスと思って見過ごしてしまったのは何とも言えない。
結局のところ本作は本格ミステリに限りなく近いものの、村上春樹のような観念的で比喩に溢れたシュールレアリスムなファンタジー小説だと思う。
Posted by ブクログ
途中でキュビズムの説明がされたことで「なら世界が丸ごとキュビズムになってるってこと!?それなら雪の密室も館の構造も異常気象も桐璃が和音に似てることも説明できるし!」と思い至り、バラバラだった出来事に1本の線が通ったかのように思え久しぶりにミステリ小説を読みながら光明が見えた思いはしたものの、「でもこれミステリ小説だし流石にそういうオチにはならないよね(それだともうSFじゃん)、なにかのミスディレクションなのかな」と一度推理を捨てた。しかし、その後も一向にそれ以外の可能性を示唆する情報が出てこず、えーと思っていたらマジでそのまま突っ走っていき、え、謎解きパートは???
確かに名探偵による解説はないものの物語のテンションが変わって物語世界に一応の決着がつくという点ではこれ以上なくミステリだよねと納得しかけたもののやはり厳しいのでは?
1993年という時代を考えても、ミステリという舞台でこの話をやろうと思いつき書き上げてしまうって並々ならんことですよね。
Posted by ブクログ
数十年ぶりに再読。当時は???しかなかったけれど、もう一度読んでもやっぱり分からない…
当時と違うのは、考察がたくさんあること。(昔もあったのかもだけど…)
とはいえ、いくつか考察を読んでも、謎は深まるばかり。
「和音」の復讐、という説がいちばんありそうかなーと思う。でも、烏有の過去が映画とシンクロしていたこととか、ふたりの桐璃とかは、ちょっと色々無理がある…
もう全部烏有の記憶が改竄されてたってことなのでは、と思う。
キュビズムとか奏鳴曲の形式と、物語の関わりについてはなんとなーく前よりは理解できた、気がするし、そこがこの作品をわからん…と思いつつ何度も読む理由というか要素?になっていると思う。
あとは烏有=ヌル=何もない、という主人公は大好物。ただし、これは麻耶作品なので、語り手に感情移入してはいけないのだな…
Posted by ブクログ
すごいものを読んだ。ずっと読んでみたかったので、読めてよかった。
『翼ある闇』に比べると衒学趣味が抑えられ、新装改訂版でかなり手を加えられているであろうことを差し引いてもかなり読みやすくなっている。
それでもやはりキュビスム、キリスト教、音楽、と目眩く知識量に圧倒されるけれど、衒学趣味が邪魔しない。これらの要素が暴走して物語の根幹を成しているわけで、排除できないし読めば理解できる。
烏有の最後の選択があまりに衝撃的で、ああまた作者に突き放された、と思った。
麻耶雄嵩は当人物も読者も等しく突き放す。
放り出される快感。
謎が解ける快感。
わからないままでいる快感。
Posted by ブクログ
ものすごく読みづらかった。
結局、和音ってなんなの?とか何で神聖視されてるのとか作内では明確な答えなし。
キュビズムとかもよくわからないし。
終盤になると実はとうりが二人いるという衝撃の事実が明らかになるが、私は全然気づかなかった。
メルカトル鮎の二作目と聞いていたが、全然登場せず、ラスト数ページでやっと出てきたのはあんぐりだ。
Posted by ブクログ
難解すぎる笑
春と秋の奏鳴曲の内容が烏有のこれまでと酷似しているのは何故なのか?
なぜこんな作品を作ったのか?
2人目の桐璃は誰なの?双子?
編集長の名前が「和音」だったとしたらなんなのか?武藤の絵の「和音」のモチーフが編集長?
ただミステリーとしてだけ見ればスッキリ終わりますよ笑
キュビズムむずすぎ。
Posted by ブクログ
フーダニット・ハウダニット・ホワイダニットは解決してるけど、色々なことがよく分からない。解決したけど、してない感じが凄くて!面白かったし好きなんだけど、よく分からなすぎる。烏有も桐璃も和音も結局のところ何だったんだ…
そして、黙示録=この「夏と冬の奏鳴曲」そのものってこと??
続編「痾」も読もう。このあらゆる疑問が解消するとは思えないけど…
Posted by ブクログ
新装改訂版の帯には「10万人の読者が唖然」と書かれているが、果たしてこれを読んだ人が10万人もいるのだろうか?
文庫版で本文700p超、価格は税別1270円。麻耶雄嵩作品の中でもダントツの問題作とされている本作に、とうとう手を出した。デビュー作『翼ある闇』はそれなりに楽しめたが…。結論から言ってしまうと、何だか拍子抜けした。
覚悟していたほど読みにくくはないし、『翼ある闇』より文章はこなれている。キュビスム云々は読み流したけれど、難解というわけでもない。読み終えてまず最初に思ったのは、この長さが必要不可欠だったのかということだった。
舞台は離島の邸宅、そして訳ありな人物たちと、典型的な本格ミステリの設定だが、最初の事件が発生するまでが長い。しかも、元々離島という隔離された舞台なのに、さらに「雪の山荘」にしてしまうとは。なぜ夏でなければならないのか?
死者が1人出たことでゴングが鳴ったのか、色々と動き出す。かつてこの島で共同生活を送っていた面々による愛憎劇には苦笑する。一応探偵役?の烏有と同様に、彼らの論理は理解不能だろう。とはいえ、一応説明はされている。
終盤に新たに提示された謎の一部は、説明されないまま終わってしまう。ネット検索してみると、熱心な読者は本作の解釈を試みているが、自分にはその気力もなかった。それほど魅力的な謎とは思わなかったのが正直なところであるが。
最後の最後に「銘」探偵メルカトル鮎が登場するのだが、問題の一言を読んでも特に衝撃は受けず。はあ…くらいにしか思わなかった。自分の読み方が悪かったのか、修業が足りなかったのか。この一言、メルカトル鮎に言わせる必要があるのか?
問題作という先入観を持ちすぎていたのが、裏目に出たか。予想ほどぶっ飛んではいなかったし、予想よりまとも。受け付けないという点では、清涼院流水氏の初期作品の方が上だった。『コズミック』『ジョーカー』は感想が書けなかったんだもの。
解説によると、麻耶さんの第3作である『痾』を読めば、もう少し手掛かりを得られるのだろうか。現在入手可能なんだっけ。血眼で探すわけではないけども。