桜庭一樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
亡くなったキング・オブ・ポップのことを複数の視点より、描いた作品。
どこか、掴み所がないキングを緻密に描いている。
感想は難しいが、人には人それぞれの幸福があり、苦悩があるということを思い知らされた気がした。
いくつか良い言葉が出てきた。
その中でもP294と295の言葉が特に印象的。この言葉に物語が凝縮されているかと思うほど。
(巻末の解説で尾崎世界観さんも同じ文章に触れている)
以下、P294~295の文章を引用
「人というのは、自分を基準にして物事を判断する。善良な人はあの子の優しさや善意をまっすぐ信じる。そして、不幸に同情してくれる。一方、心の奥に悲しみや怒りを多く溜め込めている -
Posted by ブクログ
ポップス界のスーパースターとして君臨してきた、一人の男性が急逝する。彼の家族やスタッフ、ファン、ルポライターなどの回想により、孤独なキング・オブ・ポップの姿を炙り出していく。
設定こそ日本ではあるけれど、類いまれな歌とダンスで世界の人々を魅了するカリスマである一方で、繊細すぎる心が引き起こす奇行や裁判沙汰など数々のスキャンダルを抱えるスターのモデルは、もちろんマイケル・ジャクソンだ。
才能を武器に有り余るほどの富と名声を手に入れた代償として、一挙手一投足をつねに監視される苦痛はどれほど大きかったことか。成功を重ねるほどに、心は内向きになり孤独になっていく。
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