桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレ私の男以来の桜庭さんでした。
描く世界観と、男と女の関係、性描写、どれをとっても一級品です。しかし、好みは分かれるかなと。私はとても好きです。このどうしようもない人間感が。
消費者金融を題材にはしてますが、根幹にあるのは人間の底知れぬ哀愁。人はこんなにも落ちぶれるし、生きるのはこんなにも大変なのだということ。砂漠の人生は哀しすぎますね…。
解の殺人の動機が語られないのがまた我々読者の想像を駆り立て、人の心の闇を感じさせますね。狂っているのに、狂ってる描写はない。あくまで裕福な妻をもらい、その箱庭に閉じ込められている解の心情だけ。人を殺すということに対して強く焦点を当てないのが、個人的には -
Posted by ブクログ
ネタバレ金原瑞人いわく、ニール・ゲイマン「墓場の少年」、キプリング「ジャングル・ブック」。
人ならざる者に成長を助けられた少年が、社会に戻るという話型。
萩尾望都「ポーの一族」あるいはアン・ライス「夜明けのヴァンパイア」すなわち「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」。
出だしだけはリュック・ベッソン「レオン」。
バディのイメージとしては吉田秋生「バナナフィッシュ」くらいの青年。
(ちなみに後日談「ほんとうの花を見せにきた」は映画「ロリータ」を連想するところあり。)
そもそも「パンパイア」→「パンブー」という、語感の連想の発想の勝利。
バンブーは冷たい。生者は熱い、火を持っている。
バンブーは掟によ -
Posted by ブクログ
ネタバレこれを読んで、アラサー主婦はきんぴらごぼうを作るためにしぶしぶ千切りを始めるのであった。
家出少女の奇想天外で不思議な体験を描いたハイスピードでポップでちょぴりダークな雰囲気が漂った小説。今の生き方に失望している少年少女たちの逃亡劇。ファンタジー展開に振り回されながら着地するエンディングは3種類。
思春期の溢れんばかりのキモチが表現されていて、懐かしく思う反面、もっとやりようがあったと思うのは完全に大人側の視点によるものですね。
エンディング2,3のような現実的な収まりはハッピーエンドであることは間違いないのだけど、エンディング1のように少女たちが子どものままでいるエンドが小説として美しく心に