桜庭一樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めてすぐ「おや?」と気づく。これはマイケル・ジャクソンの物語だ。舞台を日本に置き換えてはいるけれど、その圧倒的な音楽性や奇行、スキャンダルなど丹念にマイケル・ジャクソンの人生をなぞっている。
印象的なのは子ども時代にきちんと子どもとして過ごせなかった者は大人になっても子どもの心のまま取り残されてしまう、というところ。
「キング・オブ・ポップ」の子どもとして取り残された傷痕が、きちんと、普通の子どもとして新たな人生に漕ぎだせることを祈る。
(現実のパリスちゃんはやっぱりそうはならないようだけれど……)
終盤の「新しい世界を生きるのだ」という一文がいい。
大きなものを喪失したあとで、でも -
Posted by ブクログ
彼をモデルにしたんだろうなぁ…でも何故? 桜庭さんって彼のファンなんだろうか? とぼんやりと感じつつ、私自身に彼への思い入れがそんなになかった分、最後までするすると読めた。
彼の事を詳しく知ってたり、彼の熱狂的なファンだったりすると(この小説自体はフィクションだと頭ではわかっていても)読みづらかっただろうな、と、なんとなく思う。
とりあえず、傷痕、とか、孔雀、って名付けがやっぱり桜庭さんだと思った。普通にいたら変なのに、桜庭ワールドでは普通というかピッタリというか。
復讐ちゃん編は、読んでてなんだか切なかった。誰が悪かった、とかじゃないけど…誰が正しかった、とも言い切れず。
やっぱりほんの -
Posted by ブクログ
世界と繋がる、もしくは人と繋がる感覚って、現代では機械を通してじゃないとなかなか得られないのだ!と思った。
機械のない時代はきっともっと直接的に人と人が関わっていたはずだし、そこには軋轢と暴力と、そして何より徒党を組んでの組織性があったのだろうと思うけど、今よりは他者と繋がっている感覚があった気がする。
この時間、ここに行ったらあいつと会える、とか。
そんなふうに約束してなくても会えるのってどこかで(思考なり、日常生活なりが)繋がっているからこそだ。
昔はそれが多かったんだろうと推測する。
もし仮に現代にケータイやPCなどの機械がなかったら僕たちは他者と繋がっている感覚を得られるだろう