桜庭一樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『中世ドイツ、近未来のシンガポール、そして現代日本。3つの世界を行き来する少女の正体とは?』みたいな惹句に惹かれて買ってみた。
第1部、中世のドイツ。小さな街の人々とそこに起こった魔女狩りを、作者独特の雰囲気で克明に描いて読ます。そして、その街並みに現れる異物、現代の日本の女子高生。このパートは、何が何だか分からねど、良く出来た映画の一部分を見ているようで、ばら撒かれた伏線めいたものを回収してしまう長編で読みたいような余韻あり。
第2部、舞台変わって近未来のシンガポール。既に男と女の役割が変化している時代に、それを背景に小難しい性や世代に関する考察が入る。ちょいと小難しく思わせ振りな割に、今ひとつ、ノペッとした話。
第3部、2007年の日本。どういう風に落ちるのかと思っていたらこういうことだったとは分かるけど、これまで蒔かれた謎は謎のまま、その意味は語られること無く、読む人に委ねられて閉じる。
ドイツもシンガポールも、それぞれの意味で「少女」が存在しなかった時代に、時空を飛ばされてしまった2007年の少女が現れたことで詳らかになった〈存在〉と〈繋がり〉、みたいな話と思うけど、お話全体としては設定が深すぎて未消化に終わった印象。