桜庭一樹のレビュー一覧
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ネタバレ私の男以来の桜庭さんでした。
描く世界観と、男と女の関係、性描写、どれをとっても一級品です。しかし、好みは分かれるかなと。私はとても好きです。このどうしようもない人間感が。
消費者金融を題材にはしてますが、根幹にあるのは人間の底知れぬ哀愁。人はこんなにも落ちぶれるし、生きるのはこんなにも大変なのだということ。砂漠の人生は哀しすぎますね…。
解の殺人の動機が語られないのがまた我々読者の想像を駆り立て、人の心の闇を感じさせますね。狂っているのに、狂ってる描写はない。あくまで裕福な妻をもらい、その箱庭に閉じ込められている解の心情だけ。人を殺すということに対して強く焦点を当てないのが、個人的には好きです。それでも最後のepilogueはしっかり落とす。齢にそぐわぬ容姿になってしまった解。その理由を知ってるのは…
nostalgia。個人的に、パワーワードでした。これから先忘れることはないかなと。自分にとってのnostalgiaを思い出しました。辛い記憶ではありますが、それを否定することはできない。この小説に、思い出さしてもらいました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ金原瑞人いわく、ニール・ゲイマン「墓場の少年」、キプリング「ジャングル・ブック」。
人ならざる者に成長を助けられた少年が、社会に戻るという話型。
萩尾望都「ポーの一族」あるいはアン・ライス「夜明けのヴァンパイア」すなわち「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」。
出だしだけはリュック・ベッソン「レオン」。
バディのイメージとしては吉田秋生「バナナフィッシュ」くらいの青年。
(ちなみに後日談「ほんとうの花を見せにきた」は映画「ロリータ」を連想するところあり。)
そもそも「パンパイア」→「パンブー」という、語感の連想の発想の勝利。
バンブーは冷たい。生者は熱い、火を持っている。
バンブーは掟により、生者ではなく死者の血しか飲めない。
ムスタァと洋治は夜勤の看護師として働きパックの血を購入している。
東日本のこの町は国籍が入り乱れているのでバンブーも住みやすい。200人くらいいる。
バンブーにはバンブーの法律がある。生者の血を吸ったら60年の樽詰め土埋めの刑、とか。他、集会の場所を教えること、人間と一緒に暮らすこと、が罪。
バンブーは空を飛ぶ。傷は治るが腕を切り落とされるとそのまま。
バンブーは鏡に映らないので、単独でいると薄汚くなっていく。だから身だしなみを整えるためにも相棒が必要なのだ。デジタルではなく8ミリになら映る。
法律に従わず満月の夜の集会にも出ない、はぐれバンブーという存在。
不死ではない。年を取らないが、120年の寿命を迎えると花になって散る。
日の光に当たると溶けてしまう。
半島における、金持ちの町=上の町→貧民街の端っこの海辺の小屋。トポス移動による見え方の違い。
上の町の高校に進学し、スクーターで通う。かつての学校仲間は娼婦などになる。
列車で町の外へ。大人になり老成し、小屋に帰ってくる。
ひどく甘ったれた台詞回し、ひどく感傷的な地の文、を使って描き出される、ハードで陰惨な状況、
といった作者の持つギャップの妙味が、いいほうに働くこともあれば十分に効果的でないこともある。
今回はやや後者かなー……。
現代のちょっとだけ先にファンタジーも狙って設定されているのだろうけれど、そのぶん入り込みづらいところも。
そんな状況でどれだけ呑気にお喋りしてるの、とこちらがやきもきしてしまう。
「ちいさな焦げた顔」がメインで、「ほんとうの花を見せにきた」が後日談、「あなたが未来の国に行く」が前日談。
カバー絵はハードカバーのほうが断然素敵。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれを読んで、アラサー主婦はきんぴらごぼうを作るためにしぶしぶ千切りを始めるのであった。
家出少女の奇想天外で不思議な体験を描いたハイスピードでポップでちょぴりダークな雰囲気が漂った小説。今の生き方に失望している少年少女たちの逃亡劇。ファンタジー展開に振り回されながら着地するエンディングは3種類。
思春期の溢れんばかりのキモチが表現されていて、懐かしく思う反面、もっとやりようがあったと思うのは完全に大人側の視点によるものですね。
エンディング2,3のような現実的な収まりはハッピーエンドであることは間違いないのだけど、エンディング1のように少女たちが子どものままでいるエンドが小説として美しく心に留めていたいと思った。