桜庭一樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小説家として、読まれる覚悟、読者と、ファンダムと、批評家と、小説を巡る色んな立場の関係性を考える本。
いくつか、心に残った箇所をピックアップ。
・よもやまばなし①
綺麗事でも、机上の空論でも、理想論だとしても、
実現不可能な正しさについて、真正面から叫び続けることが、作家としての義務。
この主張を読んで、桜庭一樹さんという作家さんを好きになりました。
・誤読、ということの定義
これも面白かった。なるほど。
・共話の件からの差別やハラスメントへの考察
共話、初めて知った言葉。
日本特有のコミュニケーション術。
一つの文を、二人でつくるような、会話の仕方。
作家さんを推しと思ったことない -
Posted by ブクログ
ネタバレモコ&猫
触れたい、近づきたいとは思わず、ただ見つめていたい男の話。これを恋や愛と言っていいのかは分からないけれど、感情ってそんな単純なものじゃなくて矛盾を含んだものだよな〜と。
このたびはとんだことで
死後に妻と愛人の争いを見守る男の視点で進む。女の愛とは重いものです、と言わんばかり。
青年のための推理クラブ
誰が現実ではどんな人で、誰になりきっているのか掴むのに若干苦戦。違う人格として過ごす空間が少女たちには必要だったんだなと。
冬の牡丹
今回はこれが一番刺さった。
かつては父に一番に認められている自分を軸に生きてきた、現代的で慎重で"残念な"美しい女性。 -
Posted by ブクログ
孤児となった少女と引き取って育てた親戚の男の物語
以下、公式のあらすじ
----------------------
落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く。
----------------------
冒頭、二人の関係性と結婚のエピソードから入るので
「そして、バトンは渡された」みたいなものかな?と少しでも思った自分を殴ってやりたい
お前が読んでいるのは桜庭一 -
Posted by ブクログ
貧しさの中で育った吉野ずっと裕福に生きてきた由乃の対比が最後で際立ったと思う、
前者→由乃と結婚して好きな仕事を選べて、好きに趣味に打ち込ることがてきるけど、ストーリー内での行為そのものだったり、その後の老いた人生だったりして、結局貧しさから逃げられない
後者→吉野とは対照的にずっと若々しく描写されている。ペットが亡くなった時に人間にするように葬式をするなど
また、裕福に育った沙漠も貧乏の中で育った由乃も共通して借金という日常のどこにでも潜んでいる落とし穴にかかってしまう恐ろしさを感じた。
しかし、他の作品にも言えることではあるが少し読みにくい文章なので3にした。 -
Posted by ブクログ
“先日あるアイドルのファンの方が、アイドルの発信するものを〝供給〟ということに抵抗が生まれてきたとお話されていました。
わたしも誰かのファンであるので、どきっとしました。
生きている人間のパフォーマンスなのに、楽しむあまり、相手を物のように扱ってしまうときがあると気づきました。”(p.151-152)
“そしてこの数年、さまざまな価値観が一新されつつあることをひしひしと感じています。
きっと大勢の人がいま体感しているであろう、小説を読むことと読まれることをめぐるあるおおきな変化について、なんとか言語化しようとして書いたのがこの本です。
わかってはいるけれど、まだ名前がついていないものに名付 -
Posted by ブクログ
あぁ、人が死ななくてよかった。
まずそれが私の一言目で。他の作品と比べるとちょっとだけ読みにくいかもしれない。長旅の電車の中1/2ほど読んだせいだろうか、話の内容はあやふやで。
見た目というのがこの本のどちらかと言うとメインの話で、「大変遺憾ながら、美しく生まれてしまった」そして鉄道好きである七竃、同様の容姿と鉄道好きである共通点持つ雪風。その他七人の可哀想な大人たちの話。本当にタイトル通り。
雪風と七竃が名前を呼び合う文章。そして
「母をゆるさないことだけが、わたしの純情です。雪風」→「それなら僕は父をゆるさないことにする。」
このセリフが私の中で印象に残った。
優奈に関しては話の内容的にだ