桜庭一樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ野兎走りの次に覚えてた話。
トリックとか動機とかミステリとしては緩いけど、ヴィクトリカが可愛いしサクッと読む分には丁度良い^^
いつもは開いてるけどシオドアの気分次第で時々閉まる程度の鍵なら到底密室とは呼べないのに、視野が狭い上に頭が固くて前時代的なセルジウスが結論を出すのが性急過ぎたせいでコルデリアが無実の罪で追放されたなんて遣る瀬無いな。
同じ我が儘でもヴィクトリカのは可愛いと思えるのにアブリルのは何か無理…
それに人の郵便物勝手に開けたり生垣の枝鉈でへし折ったり色々有り得なくて嫌い…そういうキャラも必要なのはわかるけど(ー ー;) -
Posted by ブクログ
美しく生まれてしまった少女『七竈』
同様な容姿の幼馴染みの友『雪風』
孤高の2人の青春を可愛そうな大人達が惑星の如く干渉してくる。
雪の街旭川を舞台に繰り広げられる痛切でやさしい愛の物語
17歳から18歳のあいだになにが起こる?
本文中に出てくるこの言葉にその時期にタイムスリップした様な気がした。
夢があってもなくても、美しくてもそうでなくても、非凡でも平凡でも・・・
「とくべつな自分と。とくべつすぎる自分と。みんな、そういう自分とむきあって~怒涛のように変化していく季節なのだ」本文中
自分もそんな季節を過ごしたのだと、遠い昔の事の様な、昨日の事の様な、思いになりました。
主人公の少女『七竈』の語り(話し言葉)が古風で変わった少女と思わせるところが「昭和」という時代も感じさせてくれた様な気がします。
七竈という植物にも興味をそそられました。 -
Posted by ブクログ
「東京ディストピア日記」を読んでからの「私小説」。時系列がつながっているので、切り替えがうまくできなくて、「少女〜」も日記のように読んでしまい、さらに「キメラ」で戸惑いをおぼえた。立つ場所によって見え方は違う、ということを考える。
お父さまが亡くなられるまでとその後やお母さまとの関係を物語った「少女〜」は、親と子の関係や、地方の閉鎖性、残り続ける家父長制の枷を、桜庭さんはこう感じているのだな、と他人の視線を借りる興味深さ。桜庭さんの危機感とのズレがある、文芸時評を書かれた鴻巣友季子さんや掲載紙である朝日新聞とのやり取りも、同じように。
「記憶というものは、どこをどう覚えているか、人によってひどくバラバラなのだな。事実が無数に連なるうちのどこを覚え、どの点と点を結んで線を引くか、何をどう関連づけて解釈するかによって、まったく異なる過去が出来上がるのだ。そこにはフィクション性があり、だから、世界の歴史も、国家の歴史も、家の歴史も、そして個人の歴史も、記憶して記録したその人が紡いだある種の物語なのだろう。」
お母さまとの過去のことも、桜庭さんはこんなふうに憶えていて、こういう物語として語ることで、何かを超えようとしたのだろうか。お母さまの視点からはきっと別の物語が見えていて。私たちはそれぞれ、そうやって並行世界を生きているのかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ語り手がどんどん変わっていく形式。
自分が美しいがゆえに物心がついた時から
周囲の人から視線を集めている。
高校生ながら、自分を見て消費するな
って台詞がでるのはずーっと見られてきた
からこそでる台詞なのかなと思った。
高校生で考える言葉ではないよなあ。
唯一、心を開いている雪風も、
成長するにつれて自分と顔が似ている…
つまり、血がつながっているということ。
自分の母親と雪風の父親と何があったのか
想像するのは簡単ということになる。
そんな雪風のことを好きだったのか
そういう直接的なことは書かれていなかったけど
お互い見つめあって、名前を呼び合っていたのを
見て、そういう気持ちがあったのかなあとも
思わずにはいられなかった。
そんな人と血が繋がっていると分かれば…
自分の母が、自分の住む地域の人と
誰かのお父さんやおじさんだったりする人と
寝ていたと分かったらどうするだろう。
七竈も雪風も後半になるにつれて
お互い、どんな気持ちで会っていたのだろう。
それでも母のことを少しでも
母親と呼びたくて、母親らしいことをしてほしいと
思う七竈がかわいそうで仕方なかった。
七人の可愛そうな大人というタイトルだけど
私は、てっきり優奈と寝た
男たちのことかと思ったけれど、
多分、優奈、多岐、梅木、田中先生、
田中先生の妻、多岐の夫、祖父
になるんじゃないかなあと思った。
でも被害にあたのは優奈意外だけど
優奈も優奈で心が枯れていたんだよなあ。
すこし大人びたような不思議な口調の
七竈は一人で生きていくがゆえに
そういう口調になってしまったのかな。
誰の視点をとっても
救われた人がいないようなお話だったきがする。 -
Posted by ブクログ
出ていかないし、従わない
「少女を埋める」も「キメラ」も、わかりあえないものと無理に分かりあう必要はないということ、誰にも何にも従う必要はなく、自分で自分のいる場所を決めることの大事さを伝えてくれた わたしたちはいつのまにか少女を埋める側かもしれないし埋められる側かもしれない
「少女を埋める」論争について読み進めるうちうっすら記憶が蘇ってきた 「自伝的随想のような、不思議な中編」だからこそこの話が作者の体験を描いたものだと思われてしまう確率は高いはず
読書において、誰にでも「読みはひらかれている」し、「その解釈は読者による」が、あくまでその解釈は自身の範囲にとどめておくべきだと思う きちんとそこを分けることが批評家としての基本姿勢なのでは -
Posted by ブクログ
かわいくておばかな由美子ちゃんセンセ。かわいそうでかわいい皆の愛玩動物。そんな由美子ちゃんと、わたしは退屈な放課後から逃げ出した。二人きりの駆け落ち。向かう先はじごくゆきっ。(表題作)
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の後日談を含む7編を収録した短編集。……との事ですが、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んだのがかなり前でしたので、どの話がどう繋がっていたのか申し訳ないですがよく分かりませんでした。とりあえず、そちらを読んでいなくても物語的には問題ないと思います。
桜庭一樹さんは、思春期の潔癖さ、頑なさを書くのがとてもお上手だと思っていて、この本でもそれが表れています。若いキラキラした感性、ばかな大人を嘲笑う優越感、”特別”でありたい気持ち、いざ大人になってみると、ガワだけで内面は幼い頃から何も成長していないと気付いてしまった絶望、でもそれを隠して大人ぶる虚栄。
グロテスクで後ろめたくて情けなくて、目を背けてしまいたいものを可愛らしくデコレーションして差し出されたようなやるせなさを感じ、辛いけどそこが魅力でもある。
特に心に残った作品を2つ紹介。
『A』
2050年代、かつて一世を風靡した伝説のアイドルを復活させるため、ある女性を訪ねる広告代理店の職員の話。「アイコンの神」として祭り上げられる象徴としてのアイドルの姿に、”消費”される”商品”としての悲哀を感じます。私も推し活している身なのであまり突っ込んだことは言いづらいですが。
『ゴッドレス』
同性愛者の父にコントロールされて生きてきた女性の話。本当に読むのが辛い。
父は暴君だが、うつくしい庇護者でもある。憎いけれど、憎しみだけでは言い表せない渇望のような感情がもどかしくて苦しい。 -
Posted by ブクログ
齢を重ねるに連れ、他人を理解できたと思うことがどんどん減ってきた。
人と同じ物を見ても感じることは
こんなにも違うのか
同じ言葉を受け取っても全く別の意味にとらえることもあるのかと
経験を積めば積むほどその違いの大きさに呆然としてしまうのだ。
だから自ずと、口に出して言わないことも増えている気がする。
言わなかったことの方に、本当に大切だと思うことがあったとしても。
私の周りにもパラレルワールドがあるといいな。
そこの世界ではもう会えなくなってしまった人も
元気で生きていて
一緒に旅行に行ったりお散歩したりしてるのかな。
そう思ったら嬉しくて泣けてきたわ。。。