ジャレド・ダイアモンドのレビュー一覧
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自分が持っているあらゆる価値観が絶対的ではないと知る。とはいえ、その価値観はその文化を育んできた背景の中で、より平和で幸福な方向へと向かってかなり合理的に決定されてきているのだと考える。わたしはいまの世界の価値観を受け入れつつ、変えるべきことを変えていきたい。
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・伝統的社会 社会的ネットワークが強調される。同じコミュニティでは勝ちも負けもない。
・現代国家社会。特にアメリカ 個人の重要性が強調される。自己利益最大化、自分本位の個人主義、個人間の優劣
▲子供に優劣、競争させ、のべつまくなしに指示を与える→子供の発達を阻害
○人と会話して過ごす。受け身ではなく能動的に遊ぶ。社会性を身につける。
【現代国家と違う】
・放任主義の子育て。幼くても自分の行動に責任を持つべき。火のすぐそばで子どもが遊ぶ、火傷をすることも、ナイフを握ったり口に入れたり振り回すことも許容
・介添なしの出産=人間は強くあるべきで、自力で困難に向かうべき
★アロペアレンティング=アカビグミー族では1時間に平均8回いろいろな人に手渡される
【背景となる合理性】
・国家社会 VS 非国家社会
・国家社会は子供に利害をもっている。有能で従順な市民、労働者、兵士にする必要。
・中央集権的に決められ、道徳の範囲が決められる。
・狩猟民族では、食糧確保における女性の貢献度が高いと、父親の子育てへの貢献度が高い
・ニューギニア高地では男性は戦うもの、家族を守るもの、と考える
・狩猟民族は所有物が少ない=体罰が少ない
・農耕民族や牧畜民は所有物や財産が多い。=家族や集団全体に被害を与えるようなことを子供がしないように体罰。
・狩猟採取民族は徹底した平等主義。
・子供の発達が親の責任とは考えない
・狩猟採取民族は高齢者や病人を帯同できない。よって遺棄、殺害する。
・現代国家高齢者は社会的に孤立する傾向。利用価値が昔より低い。
★子ども夫婦の子育てを助ける
★加齢とともに向上する心身の属性を生かす=専門分野にかかわる知見や経験、人間や人間関係についての理解力、自分のエゴを抑えて他人を助ける力、多面的知識データベースが関与する複雑な問題の学際的思考の組み合わせ力
★管理、監督、教育、助言、戦略立案、取りまとめ
★高齢者が得意とし、かつ、やりたいことを任せる -
Posted by ブクログ
ネタバレジャレド・ダイアモンド氏、ユヴァル・ノア・ハラリ氏、リンダ・グラットン、ニック・ボストロム氏、ダニエル・コーン氏、ウィリアム・J・ペリー氏、ジョーン・C・ウィリアムズ氏、ネル・アーヴィン・ペインター氏の世界の識者8名の方への大野和基さんのインタビュー編です。
8名の方々のインタビューからはとても思うことや共感することがありました。
本書を制作されたPHP新書を始めとする方々、インタビューアーの大野和基さんは、観点がとても素晴らしいです。
本書のテーマに共感せざるをえない日本人が大勢いるはずの内容です。
ただしとても残念なことですが、日本人の問題点は、本書の内容を受け止めていくべき存在の多くの日本人たちは、この本を手にとることがなさそうなことですが。
◆受け止めなくてはいけない、覚悟をしなくてはいけない一貫しているテーマとメッセージは、「“世界中で明らかに格差が進んできて、未来を生きていくためには格差が明らかに存在していることを自覚して、覚悟して、現在や未来に向けて行動して生きていくしかないのだ”」ということです。
世界中で評判の高いイスラエルの、ユヴァル・ノア・ハラリさん
“近い将来「役立たず階級」が大量発生する“と断言されています。
目の前にあるものが現実なのか虚構なのかを区別し、その上で虚構の奴隷になるな、虚構を利用して利益を上げよ、虚構が我々のために機能するようにしなければならないと、述べられています。
両者を区別するベストな方法は、「対象とするものが、苦痛を味わうだろうか」と考えることです。
近代になって科学技術が発展したのは、「わからないものはわからない。だから研究を続けるのだ」ということ。
ストーリーを正当化し、守るために、戦争が生まれる
現代は新しい技術が発展したことで、現実と虚構の区別をつけることが、さらに難しくなった。
人類は今、石器時代の何千倍のパワーを手に入れました。しかし何千倍も幸福になっているわけではありません。人類はパワーを獲得することにはたけていますが、パワーを幸福に転換する方法はわかっていません。
『サピエンス全史』でわたしが最も指摘したかったのは、まさにこの問題なのです。
経済や社会が変化するスピードが加速し、あまりに多くのことが、あまりに早く、あまりに同時に起きているのか正確に把握できなくなる。20年先、30年先がどうなっているのか、状況を誰も予測できていない。
実はこれは、人類の歴史上、初めてのことです。
有権者は、世界を支配するルールは自分たちを無視していると感じている。実際、そのとおりなのです。
将来の人類の説得あるビジョンを示せている人は皆無。政治家も有権者も置き去りにしたまま、テクノロジーだけが劇的に変化を遂げ、人々の生活や国政をも変えているのが現状です。
いまの変化はテクノロジーの結果であり、これまで何度もテクノロジーは歴史を動かしてきた。
21世紀の問題は常にグローバル。今後数十年の間に、人類は3つの大きな脅威に直面します。核戦争のリスク、地球温暖化(気候変動)、テクノロジーによる破壊
戦争に直結する2つの大きな要素は宗教とテクノロジー。
普及した大きな背景は『武力』。植民地支配の時代にはそれがエスカレートしました。
実際に歴史の流れを変えルノは、誰もが考えもしない何百万人もの人々の努力。
ジャガイモや小麦のような新しい食料、農産物の普及の方が大戦よりも歴史を変えたのです。
われわれはいかなる時代と比べても、暴力によって命を落とす確率の低下している平和な時代を生きている。戦争や犯罪による1年間の死者数は60万人~70万人、ところが交通事故の死者数は130万人、肥満とそれに関連する疾患による死者数は300万人。
人間の愚かさを警戒していく。
人間の愚かさは常に内面に潜み、いつそれが燃え上がって愚かな行為をするかわかりません。
平均的なアメリカ人は、テロによって死ぬよりも、マクドナルドのハンバーガーを食べすぎて死ぬ確率の方が高いのです。テロとの戦いにコストをかけるより、バランスが取れた食事に投資したほうが自分のためです。
AIは過去のテクノロジーと違い、新たな仕事が出現することが本当に起こるかわかりません。 『役立たず階級』が大量発生する。
AIが代替できない『第三の能力』がまだわかっていない。存在するのかどうかすら不明。
人間には基本的に肉体的能力と認知能力の2つの能力があります。
新たな仕事ができても、何十億人という人の仕事がなくなり、経済的価値がなくなり、それにより政治力もなくなる。
大学でも、将来の労働市場のために、今なにを教えるべきスキルかわからない。
子どもたちに教えているほとんどのことは、彼らが40才になる頃には役に立たないでしょう。
ベーシックインカムでは、仕事がなくなったとき、彼らに何らかの人生の意味を提供し、与えなくてはいけません。
人類がまもなく経験する『次の革命』―消えない専門職はごく一部。
21世紀の人類は、『狩猟民族』に学べ
『人間には生涯を通じて、どんどん自分を変えていく能力が必要』、しかし必要なことはわかっていても、具体的な方策は現時点では見えにくい。
狩猟民族から2つの重要なことを学べる。
一つは、自分たちの願望に会うように環境を変えるのではなく、自分自身を環境に適合させること。
狩猟民族は自分たちは絶えず環境を変えられない世界で生きてきた。現代人よりもはるかに柔軟性や適応力がある。これこそがわれわれが学びたいスキル。
もう一つは、自分の身体や五感に対して、鋭敏であること。狩猟民族は生き延びるために、目で見て、耳で聞いて、鼻で嗅ぐこと、すべてに関して研ぎ澄ました感覚が必要。
現代人は、生き抜く力が低下している。自分の五感に注意を払う能力を失っている。
われわれができる唯一のことは、異なる可能性を描いてどの可能性が実際に実現するかを予測すること。危険な可能性を含めて、なにか好ましくない可能性が考えられれば、それについて対処することもできます。
予測する意味とは、起こる可能性があるけれど、ある危険性を感じるなら、今すぐ何とかしてください、ということです。
危険な可能性が現実になることを避けるために、恐怖を感じるなら、行動を起こすのは一人一人の役割、準備をするのは今、ということ。
これからの長寿社会人生100年時代生き方は教育仕事引退という三ステージの人生だけではなくマルチステージの人生が到来する。複数のステージが存在する人生。年齢を重ねてからの学び直しが重要になる。
個人レベルだけではなく企業や国家も考え方を変えなくては大きな壁にぶつかるだろう。
真に人生を豊かに生きるためにはどうすればいいか、という点を私は伝えたかったのです。
引退ステージのためにお金を蓄積することも大事です。
お金や物などの有形資産と、それ以上に健康や仲間変化への対応力といった無形資産が重要です。
寿命が伸びるとお金を蓄積するより、より長く働くための資産を蓄積する必要があります。それこそが生産性資産、活力資産、変身資産からなる無形資産です。
重要なのが余暇の時間を意味するレクリエーションではなく、リクリエーション(再創造)に時間を使うことです。 余暇の時間は引退後だけではなく.人生のあらゆるステージに細切りにやってきます。その時間を学ぶ時間として使うべきです。
学習法について5分で学べることを、週末に学べること、2~3ヶ月のサバティカル(研究休暇)で学べることを整理し、それぞれについて計画を組み立てるべきだと考えています。
重要なのは人生の最期ではなく、人生の途中にそうした時間を入れることです。
人間関係は無形資産の中で最も重要な要素です。社会学では社会関係資本と呼ばれています。社会関係資本を持つものは人脈が人脈を生み、スキルがスキルを生む、そして人生の新たなステージを切り開くことができる。この流れは昔から変わりません。
社会関係資本の多寡が健康状況を作用する事も以前から分かっていました。活力資産(肉体的、精神的な健康や幸福状態を保つこと)にも該当する話ですが、良い人間関係を持ってる人は健康に過ごせます。
年齢差別は日本の悪い一面です。ただでさえ日本には高齢者が多いのですから、35歳以上は転職できないなどの、年齢差別をしている場合ではありません。現在の高齢者は昔の高齢者に比べてずっと健康的で活力があります。少なくとも72歳までは問題なく働けると思います。
よく言われることですが、今の六十歳は、昔の四十歳と同じぐらいの健康状態を保っています。
ライフシフトの内容は人生の目的と、人生の意味の組み合わせでもあります。同時に積極的な選択の組み合わせでもあります。
人生100年時代で、避けてはいけないテーマとして、過去と比べてすべてが変わった世界で、ひとつだけ変わっていないことは、女性が子供を産める年齢である、ということです。
これは人生100年時代を考える上で興味深くいささか心配なことです。子供を産める年齢という問題は、多くの緊張や不安を生み出しています。
日本のような歴史上かって前例のなかった超少子高齢化国家では、60代以上の人達に生産的な活動をするよう奨励しなければなりません。そして企業も国もそれをサポートする必要があります。人々が六十歳で働くのやめ、なおかつ出生率が下がれば、待っているのは明白なカタストロフィ(破局)です。
脱出する方法は60代以上の人が働けるようにする、そして女性が働けるようにすることしかありません。この二つは日本で十分に活用されていない資産です。
日本では女性という類まれな資産が十分に活用されていません。多くの聡明な日本人女性達が。これは日本にとって明らかな損失です。
過去を懐かしんでいる場合ではありません。過去を見るより、現実を見なければなりません。
しかしマスメディアや政治家は、人々の目を現実から背けさせ、論点をずらしたりしています。このやり方はひどいです。
真実をありのままに伝えることは、大人と大人の関係を構築する、一番の道だと考えています。
自分が労働市場で通用する人材でなければなりません。そこで自分のキャリアを常に考え、新しい知識やスキルを獲得することが求められるのです。
人生100年時代に企業や国家のリーダーに求めるものはないしに国民の生活の現実を認めることです。そして彼らをサポートする施策を実行しなければ何ません。 定年退職制度の廃止は急務です。これほど時代にそぐわない仕組みがありません。
その上で生涯学習に重点をおくべきです。教育は何も子供たちのためだけに使われるべきものではありません。大人向けの教育プログラムを国を挙げて構築すべきです。
人生100年時代への対応は遠い道のりです。だからこそ私は本を書き、インタビューを受け、様々な形で声を届けようとしているんです。企業や国家を人生100年時代に向けて作り変える志あるリーダーが出現することを期待しています。
ニックボストロム氏
宇宙資源の賦存量とは、宇宙にに膨大な資源の貯蔵があることです。 もし将来成熟したテクノロジーを開発すれば、莫大な量の物質やエネルギーを人類が利用できるかもしれない。基本的なテクノロジー上の能力は物理の法則と合致しています。その膨大な量に比べれば、今われわれが持つ資源はパンくずのようなものです。
もし我々が時期尚早に地球を破壊した場合現在持っている資源のみならず宇宙資源の賦存量という無限の可能性も失うことになります。人類の存在論的リスク、滅亡リスクと関係している問題なのです。
テクノロジーが早く開発されるか、遅れて開発されるかという重要な問いもあります。
例えば破壊的なテクノロジー X とそれに対して保護的なてくれる Y があるとします。 XとY どちらが先に開発されるかで、テクノロジーを制御できるかが変わってきます。
AI が一つの特定の会社や国に対してではなく、人類すべての恩恵になるように使われるように、重要なアクターがより協力的な環境を作るためには先立って何ができるのか、こうしたことを考えていくのです。
ダニエルコーン氏
テクノロジーこそ格差を生み出す根源になっているのです。人口の半分が新しいテクノロジーをもたらす恩恵にあずかれないの場合を考えてみてください。それだけで経済成長率は半分になります。
現代社会に成長が必要なのは、社会的出世の道が開けていると、すべての人に感じさせることが重要だからです。出世街道を歩む能力をすべての人に提供しているという感覚を与えなければならないからです。
20世紀においてこれほど早く頑張って経済大国になったのは日本だけです。他に例がありません。
ジョ-ンCウィリアムズ氏
多くのブルーカラーのアメリカ人はプロフェッショナルになりたいとは思っていません。彼らはありのままの自分で生きていたい。既に独自のカルチャーの中で心地よく暮らしており、それを名誉にすら感じている。わざわざ知らないカルチャー飛び込みたいとは思わないのです。
ワーキングクラスとプロフェッショナルの生活は文化的にかなり異なっています。プロフェッショナルの生活は個人の業績、功績、自己開発に、かなり重点をおいており、すべての分野で先端にいきたいと思っている。一方、中間層も安定と自己鍛錬にかなりの精神的な重点を置いています。 この安定というのがとくに大事に考えれていて、彼らの生活を精神的に支えているのです。
彼らが強い憤りを感じているのは、少し成功するための地歩する失い貧困に向かって滑り落ちているからです。
最初から夢が単に夢2にすぎないことを知ったら、残るのは絶望、そして怒りだっかもしれません。
心の奥底で自分達が現在の地位を手に入れたのはワーキングクラスより頭がいいからと思ってることです。こうしたプロフェッショナルの思い込みこそがワーキングクラスから尊厳を奪う理由になっています。尊厳も奪われた男性ほど危険なものはありません。女性は尊厳を奪われることに慣れているのでもう少し柔軟性があります。
社会的階級が民主主義を変えるー今や世界が気づき始めた。
私が「ホワイトワーキングクラスという人々」という本を出すまで、社会的不平等を研究してる人達も、誰も関心を示さなかった。
ネルアービンペインター氏
2016年から白人の間に「自分たちが犠牲者である」という意識が広まっています。 特に共和党の支持者では大半の人が「自分達は差別されている」と思っている。
自分たちが当然受けるべき尊敬を受けておらず、不当に扱われているーという感覚を持っている。アメリカ社会の大きくて深い分断の溝がここに存在する。 -
Posted by ブクログ
ジャレドダイヤモンドの一般向けのデビュー作の本らしい。先に「銃・病原菌・鉄」と「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」を読んでいたのでデ・ジャブ感満載であったが、これらの本が本作の各章を切り出し一つのテーマに焦点を当てて書いた本であるので当たり前ではある。本作は、あくまで人間というもの全体にフォーカスを当てて、なぜ人間がチンパンジーと98%くらいの遺伝子を共有しているにも関わらずこのように特別な存在となっているのかを洞察している。博士の結論としては人間はある意味で特殊ではあるが、人間の特徴である言語、性生活、同種殺し(戦争)、薬物中毒、芸術などをテーマに実はこれらの特徴も類人猿はもとより他の生物にもみられるということを考察している。ただし、人間ほどにそれらの特徴を進化させたものは存在しないのでその意味ではやはり人間は特別ということ。最近のユヴァルノアハラリの人間考察の基底となるような本。こんな思想が30年も前に存在していたとは教学である。
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Posted by ブクログ
第5章 - 子育て
授乳中は妊娠しない理由
1. 授乳性無月経。母乳を作る作用のあるホルモンの分泌が卵巣からの排卵を抑制する。しかし、頻回授乳を継続する必要があり、1日数回では意味なし。
2. 限界脂肪説。排卵が起きるには、女性の体脂肪率が一定の臨界地を越える必要あり。
祖母や年長の兄弟と一緒に暮らす拡大家族の一員として同居できる環境が存在すると赤ん坊の発育が早まり、認知機能の発達も見られる。
狩猟採取民の子育てから学ぶこと。
知育玩具で子供の独創性を奪うのはやめにして、子供に自分で遊びを工夫させる。
同年齢遊戯形態で遊ばせる。
赤ん坊とのスキンシップをもっと濃密に。
赤ん坊がないたらすぐに対応。
アロペアレンティングをもっと盛んに。
ベビーカーは親と同じ目線に。
第6章 - 高齢者への対応
定年退職はなぜおきたか
人の寿命が延びた、経済の生産性が向上し総人口の一部が働けば良くなった、社会保障が様々な形で提供されるようになった
現代の高齢者は、利用価値という面で昔より低く見られ、結果孤立する傾向にある。
1. 識字能力の高さ。高齢者の知識記憶に頼る社会から文字情報が知識を蓄積してくれている
2. 正規教育の普及。高齢者の記憶は社会の記憶装置ではなくなり、教師という立場も取って代わられた
3. 技術革新。数十年前に得たスキルは現代にはいらない。例えばマニュアル車。
現代社会は、人類史上かつてないほどに人が長生きするようになり、高齢者の健康状態が向上し、高齢者を養うだけのゆとりを社会が持っている。
しかし、高齢者が社会に提供可能だった伝統的価値の大半が失われ、健康なのに哀れな老後を過ごす高齢者が増加した社会。
第9章 - 宗教
5つの要素
1. 超越的存在についての信念の存在
2. 信者が形成する社会的集団の存在
3. 信仰に基づく活動の証の存在。信者が痛みを伴う多大な犠牲を払う。
4. 個人の行動の規範となる実践的な教義の存在。
5. 超越的存在の力が働き、世俗生活の影響を及ぼし得るという信念の存在。
宗教の便益
機能主義的アプローチ - ある種の役割をにない、社会秩序を維持し、人々の不安を慰め、政治的服従を教えるというような課題を解決するために考案
進化心理学的アプラーチ - 始祖である動物が持っていたある種の能力の副産物として登場し、そうした能力が予期せぬ形で変化し、新たな機能を獲得するに至った。ex デンキウナギ
人間の脳は、事象の間に因果関係を認知する能力が次第に進化して、そこから因果関係もとに予測する能力にも磨きがかかった。(科学では説明できない因果?- 善良な生活を送っているのになぜ病気になるか)。
ある種の問いは説明を求める問いではなく、意味を求める問いである。科学は説明を提供するものであって、意味を提供するものではない。意味を求めたければ宗教に求めるべきである。
なぜ超自然的で宗教的な信念を信じるのか - 人間の脳は脳自体を騙すことができ、認知に思い込みを起こさせ、何でも信じるようにさせることができる。
宗教の役割
1. 事情について説明を提供すること。科学の発展に伴い、必要性は低減。
2. 不安の軽減。どうしようもない時、自分は何かしらの手を打っており、まだ望みがないわけではなく、諦めていないと自らを信じ込ませることによってら少なくとも事態を掌握してると感じられ不安を軽減するために虚構を信じる。
3. 癒しや希望を与える。死の現実を否定し魂という概念を持ち出し死後の世界には極楽が。また地獄という概念により悪人への報復が可能かつ現世の自分の行動規範を形作る。これが不幸になればなるほど、信心深くなる傾向の理由であり、富める階層より貧しい階層の方が宗教が盛んな理由。EX) GDPが一万ドル以下の国では80%以上の人が信じており、三万ドル以上だと18-47%。一部では、不幸な事故など起きることは起きる、にも関わらず、人は”たとえそれが真実であってもそれが求める答えではない。科学が意味を与えないのであれば、宗教に答えを求める。”となる。
4. 制度化された組織
5. 政治的服従の誇示。大規模な国家をまとめあげるため。
6. 見知らぬ他人との関係における行動の道徳的規範の提示とその維持。今では社会的規範となっているが、昔は宗教が人々の行動規範を形作った(例えば、殺人)
7. 戦争の正当化。異教徒、異文化の人たちを侵略又は殺戮するための理由づけ。
第10章 - 言語
世界には7000を超える言語がある。未だに個別言語が世界に存在し、一つにならないかつ、同言語での方言の地理的な連続性のバリエーションが形成されないのは二つの理由?
1. 話者コミュニティが異なる地域に分かれ、広がりと隔たりが起こると数世紀にかけて異なる変容が起こる。(死語と新語 -googling)
2. 自分がその言語の話者の集団に属する人間であると証明できる。対スパイ、対戦争。
言語の偏在には、環境的要因、社会経済的要因、歴史的要因がある。例えば、温暖で地形が豊かで生産性のある動植物が多様な地域ではより多くの言語(部族)が現存しえる。
また、共同体の規模が小さく、外部との結婚が頻繁に見られ、多言語話者との出会いや会話の機会が頻繁にあると他言語主義の社会になる傾向がある。
二言語主義の利点 - 実行機能という認知機能が優れる。選択的に注意を振り向けたり、注意力散漫になることを避けたり、問題解決に集中したり、取り組む課題を変えたり、言葉や情報を必要な瞬間に脳の記憶中枢から引き出す能力。
言語の多様性の利点
1. 言語の構造は話者の思考のあり方を形成し、言語が異なれば話者の世界観も思考も自ずと異なり、表現の選択肢が広まる
2. 言語の損失イコール文学や文化、多識の多くの損失
第11章 - 食べ物、怠惰
塩分過剰摂取による高血圧、糖分過剰摂取による糖尿病(インスリンが糖分の脂肪変換すふ機能が疲弊するか体に抗インスリンが出来上がってしまう)のは、進化の結果。餓えと過食の混在という生活様式に有益だった倹約遺伝子の自然選択の結果、現代の飽食の時代において逆に働いてしまい、非感染性疾患が蔓延。
エピローグ
アメリカの多くの人は物的には非常に豊かです。しかし、他の世界に関する知識と理解に関しては貧困なままです。用意周到に組み立てた狭い壁の中に安住し、自分から進んで無知であり続けることに満足している様に見える。 -
Posted by ブクログ
600万年の人類史。1万1000年前に農耕民族になり、5400年前に国家が成立し文字が生まれた。
大きく4つの社会形態
1. バンド (小規模血族集団) - 数十人だけ。平等で1万1000年前まで存在。
2. トライブ (部族社会) - 数百人規模。みな知り合い。政治的指導者の存在が希薄で専門家は進んでない。1万3000年前から存在?
3. チーフダム (首長制社会) - 人口が増加して経済活動が専門化しはじめる。見知らぬ人と会っても同領内いることによる安心感で紛争が減る。首長の神権的地位から派生した共通の政治的宗教的アイデンティティあり。また経済的な再分配。貢物と分配。政治的経済的イノベーションが生まれたが、制度的な不平等が生まれた。7000年前までには存在?
4. ステート (国家) - 人口規模の増加、政治の組織化、食糧生産の集約化。
世界中に多様な社会が存在しているのか。
x - 知能の差、生物学的な差、労働倫理の差、
o - 環境による違い。政治の集権化が進み、社会清掃が増えたのは、人口の稠密になったためであり、それは農耕と牧畜により食糧生産の増加と集約化のである。栽培化や家畜化ができる野生の動植物の種類は地域によって異なる。
第二章
国家社会における司法の欠点は、制度の趣旨が、民事の場合は損害を賠償する責任の所在を判断すること、刑事の場合は加害者に賠償させることとされ、感情的な対立の終息や和解をはかるという事が二の次にされ、ほとんど目的にもされないということ。 - 実験的に修復的司法が取り入れられている。
非国家社会では、人間関係を含むさまざまな関係を紛争前の状態にまで回復し、感情面での対立を終結させる
国会社会の紛争解決システムの利点は、1) 報復抑止の効果、2) 紛争解決の判断が当事者間の力関係の外側でなされ、3) 刑事民事上の罪を明確にすることで再犯や一般の人の犯罪抑制効果。
第4章
人間が生得的に暴力的かあるいは協調的かの議論は無益。どちらでもありうる。どの形質が特徴として際立つかは外部環境の影響に左右される -
Posted by ブクログ
やっぱり読ませるな~というのが感想です。これまでの著書にあった人類史というより、近現代の歴史を中心に、個人の危機と国家の危機を比較し、後者については、さらに7つの国の危機対応を対比するという内容。特に、日本と米国には2つの章を割いており、関心の高さが伺えます。
7つの国は、ダイヤモンド博士が住んだか関係の深い国とのことですが、読んだ中ではドイツの記述が興味深かったです。
日本については、1つの章で明治日本をうまく危機を乗り越えた事例としてあげつつも、もう1章では現代の課題を列挙。人口減少については資源保全の観点から寧ろ喜ばしいこととする一方で、移民の受け入れやドイツとの対比での中国・韓国との関わり方については、日本では議論を呼びそうと個人的には思える内容でした(ただ、「外国人からはこう見えるのか」と、これはこれで参考になりました)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナ禍で「オンラインファースト」が強制的に進められました。
10年は進んだともいわれます。
僕は仮想空間と現実が輻輳する社会にギリギリ親和性のある世代です。
これからは必ずしも人口が経済力にならないと思います。
仮想空間にシフトすることで現実の消費が下がるのは自明です。
ただ人口が基本となるのは否定できないとも思います。
「大阪市の人口増加を考える」
もちろん魅力的な都市にすべきやと思います。
ただそれよりも直接住むことにメリットを感じてもらえないかと考えています
住民票を置いてもらえると税収も上がるし役所にもメリットある話なんですよね
例えばあいりん地域
アドレスホッパーの拠点にできると思います。
ライフハックの中心として発信することもできると思います。
コロナ後は早く現場に戻りたいですね。
おそらくやりたいことがたくさんあると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各国に起こった危機を分析している本書は、各章それぞれとても面白いだけでなく、12の要因を分析し、他の国と比較することで、よりその国についての理解が深まる。
第8章で現代の日本を分析しているが、人口現象そのものは憂慮するような問題ではないこと、少子高齢化の対応策として移民の受け入れを提案していたのは新鮮だった。
この様にして歴史から危機とその対応策を学び、将来に生かすことで闇雲な対処をしなくていい。歴史を学ぶことは将来の自国の利益につながるのだと思った。
危機を学び、先人の知恵を得ることで、我々の社会をより良いものに変えていく。 -
Posted by ブクログ
アメリカ大統領選挙が行われましたが、ジャレド・ダイヤモンドはアメリカが抱える大きな危機としてまず最初に「政治の二極化」をあげています。
今回の大統領選挙の投票率は低くなかったようですが、「投票率の低下」も大きな問題だと…、というのも年収15万ドル以上あるアメリカ人の投票率は80%を超えているのに、年収2万ドル未満のアメリカ人の投票率は半分に満たないそうです。選挙活動資金の高騰は、ますます政治権力を富裕層側に向かせ、富裕層の税負担率と再配分のための公共投資を低下させています。
このような事態の進展を招いている原因として「顔を合わせないコミュニケーションの台頭と直接的コミュニケーションの減少」をあげています。顔を合わせないコミュニケーションは、自分と似ている意見の情報ばかりを収集して異なる意見を排除する。政治的な妥協は後退し、自国ファースト、自分ファースト、の風潮が世界中で拡大しています。ジャレド・ダイヤモンドは「政治的2極化こそが、アメリカ社会が今日直面している最も危険な問題」だと言っています。
トランプとバイデンの選挙は、アメリカを分断しました。バイデンはこれから国民に一体感を持たせようとするでしょうが、トランプのプロパガンダは強烈なのでそう簡単には元に戻りません。
アメリカも日本も、現在多くの危機的な問題を抱えているのですが、それを正視しようとはしません。ジャレド・ダイヤモンドの目から見れば日本の財政赤字や少子高齢化や中国や韓国との関係は、とても大きな問題なのですが、最近はますます「日本は素晴らしい国」「世界が尊敬する日本」なんて言う人が増えています。
何か大きな危機が実際に起こらないと、人々は「将来大きな悪いことが起こりそうだ」としても、行動は起こさないのです。そして行動を起こさないことを合理化するため「危機であることを認めない」ということなのだろうなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻では明治日本の選択的変化を評価した著者は、下巻では現代日本の国家的問題への対応について「希望を持っている」という。そのことは、突然の鎖国政策の廃止や第2次世界対戦での敗戦の時と同様に、「もう一度時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しいしせたせいに合わせて新しい価値観を取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価すること」である。
女性、高齢者、移民、中国と韓国、自然資源管理について、「公正で現実的な自国認識」が必要だと述べる。自国認識を誤っているという指摘である。
下巻では、戦後ドイツ、オーストラリアの経験を学び、現代日本とアメリカ、そして世界共通の危機(核兵器、気候変動、化石燃料、格差・・・)を明確にし、その危機の枠組みについて明らかにする。あとは、我々の問題である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレフィンランドの対ソ戦争、明治日本、チリのクーデターとその後、インドネシアのクーデター未遂後を襲った危機。その時、「国」はどういう選択をしたのか。
重要だったのは、必要だったのは「選択的変化」。
「危機に直面した個人と国家にとって難しいのは、機能良好で変えなくていい部分と、機能不全で変えなければならない部分との分別だ。そのためには、自身の能力と価値観を公正に評価する必要がある。」
明治日本は選択的変化によって国家的危機を解決した。それは「他に類を見ないほど公正な自国評価」、つまり欧米は日本よりも強いという真実と、日本が強くなるためには欧米から学ぶ以外に方法はないという真実を受け入れたということだ。一方、1937年以降の日本は「現実的かつ慎重で公正な自国評価を行うのに必要な知識と経験が欠けていた」。それが壊滅的状況をもたらした。
今の日本も1937年から何も変わっていないような・・・・ -
Posted by ブクログ
ジャレドダイアモンド様にどハマりしました。
上下で危機に直面し、変えることのできない制約と選択できる変化とを分別して危機を乗り越えた国家の事例を解説してくれる。
国家が紡いだ歴史から、どう組織は危機を乗り越えるのか。何が危機を生み出したのか、などを世界史を知らない人でも1から学べる。
その上でその国の課題やあるべき姿を提言する。
それは説得力に富んでおり、国が取るべき対応策まで歴史から学べる気がする。
なによりも適切な自己評価、それに伴って最善の行いを行うことの大事さを感じる。
危機に迫られると、人や国家は変わる。それは、ピンチはチャンスということにもつながるのかな。
逆に自己評価を謝ると、破滅的な結果を招くことも歴史から学べた。
問題や課題から目を逸らさずに忍耐強く取り組むこと。
そして、組織を団結させるために神話的なストーリーを繰り返して組織のアイデンティティを増強するなどの方策もまなべた。
いろーんな矜恃に満ち溢れた良書の典型だった。