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「現代社会を深く考えるための必読書」――養老孟司
「ダイアモンド文明論の決定版的集大成」――福岡伸一
■600万年におよぶ人類の進化の歴史のなかで、国家が成立し、文字が出現したのはわずか5400年前のことであり、狩猟採集社会が農耕社会に移行したのもわずか1万1000年前のことである。長大な人類史から考えればこの時間はほんの一瞬にすぎない。では、それ以前の社会、つまり「昨日までの世界」の人類は何をしてきたのだろうか?
■領土問題、戦争、子育て、高齢者介護、宗教、多言語教育……人類が数万年にわたり実践してきた問題解決法とは何か? ピュリツァー賞受賞の世界的研究者が、身近なテーマから人類史の壮大な謎を解き明かす、全米大ベストセラーの超話題作!
「本書はひとりひとりの人生や生活、日々の選択といった個人の興味関心に直接関係するテーマを扱っており、私の著作のなかではもっとも生活に身近な内容になっている」(「日本語版への序文」より)
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Posted by ブクログ
自分が持っているあらゆる価値観が絶対的ではないと知る。とはいえ、その価値観はその文化を育んできた背景の中で、より平和で幸福な方向へと向かってかなり合理的に決定されてきているのだと考える。わたしはいまの世界の価値観を受け入れつつ、変えるべきことを変えていきたい。
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・伝統的社会 社会的ネットワークが強調される。同じコミュニティでは勝ちも負けもない。
・現代国家社会。特にアメリカ 個人の重要性が強調される。自己利益最大化、自分本位の個人主義、個人間の優劣
▲子供に優劣、競争させ、のべつまくなしに指示を与える→子供の発達を阻害
○人と会話して過ごす。受け身ではなく能動的に遊ぶ。社会性を身につける。
【現代国家と違う】
・放任主義の子育て。幼くても自分の行動に責任を持つべき。火のすぐそばで子どもが遊ぶ、火傷をすることも、ナイフを握ったり口に入れたり振り回すことも許容
・介添なしの出産=人間は強くあるべきで、自力で困難に向かうべき
★アロペアレンティング=アカビグミー族では1時間に平均8回いろいろな人に手渡される
【背景となる合理性】
・国家社会 VS 非国家社会
・国家社会は子供に利害をもっている。有能で従順な市民、労働者、兵士にする必要。
・中央集権的に決められ、道徳の範囲が決められる。
・狩猟民族では、食糧確保における女性の貢献度が高いと、父親の子育てへの貢献度が高い
・ニューギニア高地では男性は戦うもの、家族を守るもの、と考える
・狩猟民族は所有物が少ない=体罰が少ない
・農耕民族や牧畜民は所有物や財産が多い。=家族や集団全体に被害を与えるようなことを子供がしないように体罰。
・狩猟採取民族は徹底した平等主義。
・子供の発達が親の責任とは考えない
・狩猟採取民族は高齢者や病人を帯同できない。よって遺棄、殺害する。
・現代国家高齢者は社会的に孤立する傾向。利用価値が昔より低い。
★子ども夫婦の子育てを助ける
★加齢とともに向上する心身の属性を生かす=専門分野にかかわる知見や経験、人間や人間関係についての理解力、自分のエゴを抑えて他人を助ける力、多面的知識データベースが関与する複雑な問題の学際的思考の組み合わせ力
★管理、監督、教育、助言、戦略立案、取りまとめ
★高齢者が得意とし、かつ、やりたいことを任せる
Posted by ブクログ
600万年の人類史。1万1000年前に農耕民族になり、5400年前に国家が成立し文字が生まれた。
大きく4つの社会形態
1. バンド (小規模血族集団) - 数十人だけ。平等で1万1000年前まで存在。
2. トライブ (部族社会) - 数百人規模。みな知り合い。政治的指導者の存在が希薄で専門家は進んでない。1万3000年前から存在?
3. チーフダム (首長制社会) - 人口が増加して経済活動が専門化しはじめる。見知らぬ人と会っても同領内いることによる安心感で紛争が減る。首長の神権的地位から派生した共通の政治的宗教的アイデンティティあり。また経済的な再分配。貢物と分配。政治的経済的イノベーションが生まれたが、制度的な不平等が生まれた。7000年前までには存在?
4. ステート (国家) - 人口規模の増加、政治の組織化、食糧生産の集約化。
世界中に多様な社会が存在しているのか。
x - 知能の差、生物学的な差、労働倫理の差、
o - 環境による違い。政治の集権化が進み、社会清掃が増えたのは、人口の稠密になったためであり、それは農耕と牧畜により食糧生産の増加と集約化のである。栽培化や家畜化ができる野生の動植物の種類は地域によって異なる。
第二章
国家社会における司法の欠点は、制度の趣旨が、民事の場合は損害を賠償する責任の所在を判断すること、刑事の場合は加害者に賠償させることとされ、感情的な対立の終息や和解をはかるという事が二の次にされ、ほとんど目的にもされないということ。 - 実験的に修復的司法が取り入れられている。
非国家社会では、人間関係を含むさまざまな関係を紛争前の状態にまで回復し、感情面での対立を終結させる
国会社会の紛争解決システムの利点は、1) 報復抑止の効果、2) 紛争解決の判断が当事者間の力関係の外側でなされ、3) 刑事民事上の罪を明確にすることで再犯や一般の人の犯罪抑制効果。
第4章
人間が生得的に暴力的かあるいは協調的かの議論は無益。どちらでもありうる。どの形質が特徴として際立つかは外部環境の影響に左右される
Posted by ブクログ
201701/
グドールが観察したのは、子供たちにバナナを与える遊びである。その遊びでは、まず、子供たちの前に、一房のバナナがおかれる。その房には、ひとり一本のバナナがいきわたるように、十分な数のバナナがついている。この遊びでは、子供たちが一番大きなバナナを取り合うということはしない。それぞれの子供が自分のバナナをふたつに切って、一切れを自分で食べ、残りの一切れを別の子供に差出し、その子供から一切れをもらう、ということをするのである。そして、最初の半分の一切れを食べ終わると、残りの半分をまた二つに切って、その一切れを自分で食べ、残りの一切れを別の子供に差出し、その子供から一切れをもらう。子供たちはこのやりとりを五回繰り返すので、バナナの大きさは八分の一、十六分の一とだんだん小さくなっていき、最後の最後には、三十二分の一という小さな切れ端になる。そして、最後にそうなったとき、子供は三十二分の一切れを自分で食べ、残りの一切れを別の子供に差出し、その子供がその三十二分の一切れを受け取って食べるのである。つまり、この、儀式ごっこの遊びは全て子供の教育と訓練の一環だった。ニューギニアの子供たちは、この儀式ごっこの遊びから、自分が得することではなく、みなで分け合うことを学ぶのである。/
Posted by ブクログ
おもしろい!
部族間で争っていた時代には敵を殺すことは称賛に値していたんだ。なんで殺してはいけないかといえば、めぐって自分も殺されたらいやだから。殺してはいけない。命を長らえることはよいこと。食糧の確保、危険の回避、医療の進歩。人類は命を長らえるすべを手に入れてきた。ちっぽけなようでやっぱり凄いな。そうして地球上にひしめき合っている命。今のテーマは欲望をどのようにコントロールするか。人間が頭でっかちになると結局自分を滅ぼしてしまう。70億の人口は多いようにも思うけど、実際のところ母なる地球にとってはどうなのだろう。自分と、隣の人と、母なる地球を大事にしたくなる。
Posted by ブクログ
UCLA医学部生理学教授を経て、主に生物学畑を修めるも、その後鳥類学、人類生態学へと研究領域が多岐に渡った著者による一冊。
タイトルの通り昨日までの世界すなわち、著者が主なフィールドとして再三渡っているニューギニアの文化をはじめ、オーストラリア周辺からはクナイ族、ヨルング族、ユーラシア大陸からはアイヌ民族、キルギス族、アフリカ大陸からはクン族、ピグミー族、北アメリカからチュマシュ族、カルーサ族、南アメリカ大陸からはヤマノミ族、シリオノ族などを「伝統的社会」として主にアメリカ文明との違いについて展開されている。
特に、印象深かったのが、ニューギニアの紛争解決と、所謂アメリカ等の国家が提供する民事司法の差異についてだった。
子供を轢き殺してしまったという痛ましい事件において、ニューギニアでは被害者家族の葬儀に加害者が参加し、葬儀に食物を提供し、弔辞を述べる。こうした儀式が目指すところは「許す」というプロセスを社会的に支援しているというところだとして紹介されている。一方、民事司法の目指すところは、私的な暴力をやめさせる国家の権威とされている。
こうした紛争解決プロセスの他に高齢者社会との付き合い方、組織知の形勢プロセス等のテーマが展開されている。 どちらがいい悪いではないのだろうが「昨日までの世界」には、今日我々がぶかっているテーマに対する解答例が存分に詰まっている、と感じさせる一冊。
Posted by ブクログ
今まで読んだダイアモンドの作品とは一線を画している様な気がする。
この作者がずっと研究してきた伝統的社会との比較を通じて、現代社会への問題提起をしている。
どれが正しいとか間違っているとかの判断を下そうというものではなく、哲学的な色が強いかな。
恐らく晩年に達している作者は、自分の研究から得た考えを集大成的する意味合いで作ったと思う。それだけに作者の強い思いが伝わってくる。
自分と他者とを区別する境界線から始まって、「平和と戦争」・「子育てと高齢者」についての考察が上巻の内容。
作者のいうところの工業化社会に属している自分にとって、全く別の価値観(伝統的社会の価値観)を提示することで、自分たちの考えを俯瞰して冷静に見ることができる。
こういう風に自分の価値観をひっくり返す作業は、頭を柔らかくするには一番な気がする。
個人的に面白かったのは終盤の高齢者の位置づけと価値の話。
特に高齢化社会が今後も進んでいく日本としては、作者が提示する高齢者の価値(子育て・経験の共有・高齢だからこそできる仕事)は暗い問題に対する希望になり得るんじゃないだろうか。
下巻への期待も込めて星四つで。
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ビジネス・実用
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