ジャレド・ダイアモンドのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
下巻は、過去のドイツとオーストラリア、現在の日本、米国、世界について書かれている。
ドイツと日本の第二次世界大戦の反省の仕方について比較されているが、なぜドイツが反省できたかについて書かれていない。第一次世界大戦ではドイツは反省できなかったので、そこが重要だと思うのに。
第二次世界大戦ではユダヤ人虐殺という明らかに悪者にできる対象がいたこと(悪いのは国としてはドイツだが、ナチスが悪で自分はそうではない、ナチスのやったことを明示して後世に活かす、と考えることができる)、フリッツ・バウアー(ドイツ系ユダヤ人の法律家)「ドイツ人はみずからを裁くべし」で「ごくふつうのドイツ人も追求の対象」にし、国民にふつうのドイツ人も自分の信条で犯罪を犯したことを白日のもとに晒したことが大きかったと思う。
一方の日本は、宣戦布告をしなかったのは非常によろしくないが、ほかは他国もやっていることをやったという認識であったろうと思う。一般国民からしたら、戦争に負けたから裁かれた、もしくは軍部に従っただけというところに落ち着いてしまう。
また、軍部から差別・虐殺された大集団はなく、戦後にバウアーのように軍部や末端まで裁こうとするものがなかった。
中国、韓国への謝罪として、田中角栄や昭和天皇、村山富市、橋本龍太郎など繰り返し行ってきたが、「反省していない」といわれると、なにをしたらいいのかと思う。著者がいうように、ひざまづいて許しを請えば納得してもらえるのか。草の根での対話をしていかないとわからないと感じた。
教育・展示については、被害者側としての教育・展示だけでなく、加害者としての教育・展示をしていく必要はあると思った。
オーストラリアについては、想像以上の白人至上主義から、思わぬ理由で路線変更されていったことをしり、とても興味深かった。
米国については、トランプ政権や2020年の大統領選挙で感じたことが書かれていた。
教師の待遇と教育水準については、他国ながら危機感を覚えた。
世界をまちうけるものとしては、背筋が凍るようなシナリオが提示されていて、見た目の穏やかさを真に受けてはいけないと感じた。だからといって、なにかできるかというと難しいが。
歴史書を書くことについて、「今日ほど字の読める人が多い時代はない」というのは確かにそう。「歴史から学びやすい時代である」ことを活かさなくていはいけない。 -
Posted by ブクログ
「ライフシフト」や「銃・病原菌・鉄」など世界的ベストセラーとなった本の著書たちが、コロナをどう捉えているのかを理解することができた。
コロナはネガティブな要素もあるけれど、必ずしもそれだけではなく、全員が口を揃えていたのが、「深く考えるきっかけになった」と。
たしかに、世の中ずっと安定しているわけがないし、いつ不安定になってもおかしくない変化し続ける社会。とはいえ、人は簡単には変われない生き物だから、こうしたきっかけがなければ、今までの常識や当たり前に思っていたことを見直す機会をなかなか取れないのだろう。
そういう意味でも識者たちの深い思考に触れる良い本だった。
-
Posted by ブクログ
コロナ禍の今、自分にできること、すべきこと。
第一歩は、考えること。ふかく考えること。
この書籍で面白いと思ったところは、世界に名だたる知識人6人の中でも、日本の経済に対する評価やその捉え方に差異があることだ。もちろん、立場もまるっきり違う人達だから、当然といえば当然だけれども、何より大切なのは自分達の知識と経験から答えを出していることだと思う。
誰かの受け売りじゃなく、自身の持てるあらゆるデータを吟味して、私はこう思う、という意見を表明することの大事さ。
スティーブン•ピンカーさんのインタビューが中でも唸らされた。
非常事態の今、強力なリーダーシップを発揮する言葉、現行を破壊せよという言葉、つよい言葉に惹かれて、ついつい頼りにしてしまう。そして流言飛語に踊らされる。Twitterの害はやばいね‥
そうではなくて、最終的な結論は、自分の意思で出していきたい。 -
Posted by ブクログ
「国家的危機の帰結にかかわる要因」の12項目を、第1次世界大戦や第2次世界大戦当時のフィンランド、明治維新の日本などに当てはめて、どう対処していったかを検証している。
フィンランドの例を読んでいてとても辛かった。他国の支援がない中で、多大な犠牲を発生させながらも、よく生き残ったと思う。
危機を世論が認識して合意するということが大事であるが、とても難しい。
現在の日本が、まだ直面はしていない国家存亡の危機に際したとき、あるいはその気配を感じたときに、どうなるかは心配でいっぱい。
世論が自分ごととして考え、行動できるか、政府や首長が世論をまとめられるか。少なくともそのとき、対立を煽って人気だけ得ようとしているリーダーがいないようにしておかないといけない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各学術界の著名人と著者である大野氏とのオムニバス形式の対談記事を1冊にまとめた当著。
歴史学者であるハラリ氏が述べた「役立たず階級」というワードが大変印象的で、他の登壇者が述べたようにAIの台頭によって私達の仕事・生活・生き方が大きく様変わりするだろうという警鐘が伝わってきました。
ダニエルコーエン氏が述べているように「ただ一生懸命に働けばよい」というのは単なる幻想で、リンダ・グラットン氏が提唱する「人生の目的」と「人生の意味」を組み合わせた、「積極的な選択」を自らしていくことが、これからの混迷を極める時代において重要となってくるのだと思いました。
これは即ち、「生きたいように生きることが許される時代」でもあり、「積極的な選択」を好む人にとっては大変なメリットであり、一方で「消極的な生き方」、例えば誰かに依存して自らの意志決定を放棄する生き方を望む人には厳しい時代が待っていることを示唆している風に読み取れました。
これからの10年・20年(もしかしたらすぐ目の前?)を思考するのにおすすめの一冊です。 -
Posted by ブクログ
危機に対してどう対処したのか?を上巻では個人、国としてはフィンランド、日本、チリ、インドネシアを挙げて物語としている。
気になったのは、やはり「日本」で、鎖国からペリー来航による危機に当時の日本人たちがどう対処したのか。そして、そこから領土拡大に向けてとった舵取り…
脅威に対して、各国に優秀な人材を送り込まれて学んだリーダーたちだったか、そう言う経験をしなかったリーダーたちだったか。
「公正な自国評価を行うための知識や能力に違い」とな。
外圧に対しての対処は良かったが、たかだか20年くらいで領土拡大の流れになって、第二次世界大戦の敗戦まで…
歴史物は、書いた人の主観が強く出るから読後感は色々有りそうだけど、近代日本史に興味がなかった自分としてはなかなか面白く読めた。
-
Posted by ブクログ
原題は「Turning Points for Nations in Crisis」。大きな転換点としての「危機」(危ないことによるきっかけ、機会)に対して、近代国家がどのような決断をし対処してきたか、著者が長期に渡って住んだり現地語による直接的な体験を通ずるなりして理解の深い世界の七か国(フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ)での事例をあげて比較論的に叙述している。
上巻は個人的な危機を叙述した第1章から始まり、国家的危機としては第2章から順にフィンランド、明治日本、チリ、インドネシアの例を挙げる。危機の要因としてもいくつかあり、他国からの圧力(フィンランド、明治日本)、国内政治の激変(チリ、インドネシア)、ゆっくり進行した変化による危機(ドイツ、オーストラリア)などのタイプがある。 -
Posted by ブクログ
◎フィンランドは小国であり、ソ連との国境線も長く、ソ連の勝利をできるだけ遅らせたかった。
◎オランダも小国であり、植民地化したインドネシアに大金注ぎ込む余裕がなかった。なので、学校や灌漑システムをつくるような倫理政策はあまりできず、搾取政策にとどまった。その中で、それまで「オランダ領東インド」と呼ばれる小国の集まりだったインドネシア人に、国会意識が芽生えてきた。また、特徴的なグループが形成されてきた。ジャワ人は文化的に優れていると考えたりなど。しかしジャワ語には問題点があり、身分の高い人に話しかけるときと低い人に話しかけるときでは言葉遣いが変わってしまうのだ。だからマレー語を変化させたのが現在のインドネシアである
◎インドネシア軍は大量虐殺をおこなった上で東ティモールを無理やり併合した。しかしハビビ大統領政権で独立可否の住民投票を行い、独立できた。