ジャレド・ダイアモンドのレビュー一覧
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原題は「Turning Points for Nations in Crisis」。大きな転換点としての「危機」(危ないことによるきっかけ、機会)に対して、近代国家がどのような決断をし対処してきたか、著者が長期に渡って住んだり現地語による直接的な体験を通ずるなりして理解の深い世界の七か国(フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ)での事例をあげて比較論的に叙述している。
上巻は個人的な危機を叙述した第1章から始まり、国家的危機としては第2章から順にフィンランド、明治日本、チリ、インドネシアの例を挙げる。危機の要因としてもいくつかあり、他国からの圧力(フィンランド -
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◎フィンランドは小国であり、ソ連との国境線も長く、ソ連の勝利をできるだけ遅らせたかった。
◎オランダも小国であり、植民地化したインドネシアに大金注ぎ込む余裕がなかった。なので、学校や灌漑システムをつくるような倫理政策はあまりできず、搾取政策にとどまった。その中で、それまで「オランダ領東インド」と呼ばれる小国の集まりだったインドネシア人に、国会意識が芽生えてきた。また、特徴的なグループが形成されてきた。ジャワ人は文化的に優れていると考えたりなど。しかしジャワ語には問題点があり、身分の高い人に話しかけるときと低い人に話しかけるときでは言葉遣いが変わってしまうのだ。だからマレー語を変化させたのが現在 -
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個人の人生には、自己分析を行い、自分の課題を認識して、それの改善に取り組むことが当然ある。
それを国家に当てはめ、過去に国が直面した課題、それに対してどう対応し、どんな現場が生まれているのかを体系的に説明いた本。
個人に当てはめると、自分の課題が、国家の危機に当たる。
どこまでも現実路線を貫いた国の決断や、逆に国の失政についても学べる。
上はフィンランド、日本、チリ、インドネシアについて書かれている。
世界史を専攻していなかったので、全然知らない世界の歴史についても自然と学ぶことができた。
ジャレドダイヤモンドさんの博学にはビビった。
というか取材と下調べが深い。
的確に自己を捉え、 -
購入済み
危機と人類
名著「銃、病原菌、鉄」ほどの衝撃はなかった。文章が他のダイヤモンド氏の著作に比べて叙述的だった。ただ、日本に関する記述が多く、身近に感じられる部分が多かった。アメリカと日本の危機についてわかりやすく書かれていた。
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大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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ー たとえば、お金というものには客観的価値は何もありません。お金の価値は、多くの人がドルや円について同じストーリーを信じているという事実から出てくるのです。ほとんどの経済学者はそのことをわかっています。
私は決して「これらは虚構だ。信じるのをやめようではないか」と言っているのではありません。もし信じることをやめれば、経済システム全体が崩壊します。そして他人同士はお互いに協力できなくなります。しかし、注意しなければならないのは、われわれは虚構の奴隷になるのではなく、虚構がわれわれのために機能するようにしなければならない、ということです。
人間は長い時間の中で、目の前にあるものが現実なのか、そ -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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下巻は、ドイツとオーストラリアにおける過去の危機、そして、現在進行形の日本と米国の危機などが取り上げられ、最後には世界的な問題と、これらの実例から一般化された法則の有無が検討される。
オーストラリアの歴史が中々面白かった。アジア・太平洋に位置しながら英国との一体性というアイデンティティを次第にアジアの国という位置付けに変えていった国民意識の変容がどのようなものであったか、当事者でないと分からない部分はあると思うが、様々な出来事や要素が挙げられていて興味深い。
日本の現在の危機については、概ね理解できるが、資源に乏しい日本が海外の資源を濫費しているという指摘は、少々理解に苦しむ。そういうイメージ -
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2020年15冊目
下巻では、ドイツ、オーストラリア、現代の日本、アメリカを扱う。
上巻にも登場した戦前から戦後の日本に続いて、現代の日本について扱う。少子高齢化や資源の獲得について著書は人口が減ることで、日本は必要以上の資源獲得に走ることなく、改善していくと考える。但し、戦争への認識については改める必要があるとか。
歴史は何が正しくて何が間違っているかはその時点ではわからないけれど、ひとつ言えることは強者が歴史を作ってきたことは事実の様な気がしました。
オーストラリアはイギリスとの関係から、アジアやアメリカとの関係に重点を置く。
ドイツは戦後は隣国との関係改善に力を注ぎ、ドイツ統一 -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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今まで読んだダイアモンドの作品とは一線を画している様な気がする。
この作者がずっと研究してきた伝統的社会との比較を通じて、現代社会への問題提起をしている。
どれが正しいとか間違っているとかの判断を下そうというものではなく、哲学的な色が強いかな。
恐らく晩年に達している作者は、自分の研究から得た考えを集大成的する意味合いで作ったと思う。それだけに作者の強い思いが伝わってくる。
自分と他者とを区別する境界線から始まって、「平和と戦争」・「子育てと高齢者」についての考察が上巻の内容。
作者のいうところの工業化社会に属している自分にとって、全く別の価値観(伝統的社会の価値観)を提示する -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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<目次>
プロローグ
1ジャレド・ダイアモンド(銃・病原菌・鉄)
資源を巡り、文明の崩壊が起きる
2ユヴァル・ノア・ハリ(サピエンス全史)
近い将来、役立たず階級が大量発生する
3リンダ・グラットン(ライフシフト)
人生100年時代、生き方は3つのステージからマルチステージへ
4ニック・ボストロム(スーパーインテリジェンス、AI学者)
AI万能時代が訪れ、働き方は根本的に変革する
5ダニエル・コーエン(フランスの経済学者)
テクノロジーは中流階級を豊かにしない
6ウイリアム・J・ペリー(クリントン時代国防長官)
北朝鮮は核開発をあきらめない
7ジョーン・C -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
Posted by ブクログ
最初の2人、ジャレド・ダイアモンド氏とユヴァル・ノア・ハラリ氏のインタビューが最も印象的だった。特にハラリ氏の論は、ほぼ同年代の自分にとって斬新な切り口ながらながら納得できる内容と感じられた。
・われわれはこの世にリアルに起きていることと、想像の中で作り出したストーリーを区別する能力を失いつつあります。
・われわれはパワーを獲得することには長けていますが、パワーを幸福に転換する方法はわかっていません。
・今は、三十年後の社会がまるっきりわからないのです。
・歴史から学べることは、油断してはならない、ということ。愚かさへの油断を防ぎつつ、叡智を信じる態度が戻られる。
・人生を生き抜く上では、絶 -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)