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日本、アメリカ、世界を襲う
現代の危機と
解決への道筋を提案する!
国家的危機に直面した国々は、選択的変化によって生き残る――では、現代日本が選ぶべき変化とは何か?
現代日本は数多くの国家的問題を抱えているが、なかには日本人が無視しているように見えるものもある。女性の役割、少子化、人口減少、高齢化、膨大な国債発行残高には関心が寄せられている一方で、天然資源の保護、移民の受け入れ、隣国との非友好的関係、第二次世界大戦の清算といった問題には、関心が低いようだ。現代日本は、基本的価値観を再評価し、意味が薄れたものと残すべきものを峻別し、新しい価値観をさらに加えることで、現実に適応できるだろうか?
博覧強記の博士が、世界を襲う危機と、解決への道筋を提案する。
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Posted by ブクログ
やっぱり読ませるな~というのが感想です。これまでの著書にあった人類史というより、近現代の歴史を中心に、個人の危機と国家の危機を比較し、後者については、さらに7つの国の危機対応を対比するという内容。特に、日本と米国には2つの章を割いており、関心の高さが伺えます。
7つの国は、ダイヤモンド博士が住んだか関係の深い国とのことですが、読んだ中ではドイツの記述が興味深かったです。
日本については、1つの章で明治日本をうまく危機を乗り越えた事例としてあげつつも、もう1章では現代の課題を列挙。人口減少については資源保全の観点から寧ろ喜ばしいこととする一方で、移民の受け入れやドイツとの対比での中国・韓国との関わり方については、日本では議論を呼びそうと個人的には思える内容でした(ただ、「外国人からはこう見えるのか」と、これはこれで参考になりました)。
Posted by ブクログ
アメリカ大統領選挙が行われましたが、ジャレド・ダイヤモンドはアメリカが抱える大きな危機としてまず最初に「政治の二極化」をあげています。
今回の大統領選挙の投票率は低くなかったようですが、「投票率の低下」も大きな問題だと…、というのも年収15万ドル以上あるアメリカ人の投票率は80%を超えているのに、年収2万ドル未満のアメリカ人の投票率は半分に満たないそうです。選挙活動資金の高騰は、ますます政治権力を富裕層側に向かせ、富裕層の税負担率と再配分のための公共投資を低下させています。
このような事態の進展を招いている原因として「顔を合わせないコミュニケーションの台頭と直接的コミュニケーションの減少」をあげています。顔を合わせないコミュニケーションは、自分と似ている意見の情報ばかりを収集して異なる意見を排除する。政治的な妥協は後退し、自国ファースト、自分ファースト、の風潮が世界中で拡大しています。ジャレド・ダイヤモンドは「政治的2極化こそが、アメリカ社会が今日直面している最も危険な問題」だと言っています。
トランプとバイデンの選挙は、アメリカを分断しました。バイデンはこれから国民に一体感を持たせようとするでしょうが、トランプのプロパガンダは強烈なのでそう簡単には元に戻りません。
アメリカも日本も、現在多くの危機的な問題を抱えているのですが、それを正視しようとはしません。ジャレド・ダイヤモンドの目から見れば日本の財政赤字や少子高齢化や中国や韓国との関係は、とても大きな問題なのですが、最近はますます「日本は素晴らしい国」「世界が尊敬する日本」なんて言う人が増えています。
何か大きな危機が実際に起こらないと、人々は「将来大きな悪いことが起こりそうだ」としても、行動は起こさないのです。そして行動を起こさないことを合理化するため「危機であることを認めない」ということなのだろうなと思いました。
Posted by ブクログ
ジャレドダイアモンド様にどハマりしました。
上下で危機に直面し、変えることのできない制約と選択できる変化とを分別して危機を乗り越えた国家の事例を解説してくれる。
国家が紡いだ歴史から、どう組織は危機を乗り越えるのか。何が危機を生み出したのか、などを世界史を知らない人でも1から学べる。
その上でその国の課題やあるべき姿を提言する。
それは説得力に富んでおり、国が取るべき対応策まで歴史から学べる気がする。
なによりも適切な自己評価、それに伴って最善の行いを行うことの大事さを感じる。
危機に迫られると、人や国家は変わる。それは、ピンチはチャンスということにもつながるのかな。
逆に自己評価を謝ると、破滅的な結果を招くことも歴史から学べた。
問題や課題から目を逸らさずに忍耐強く取り組むこと。
そして、組織を団結させるために神話的なストーリーを繰り返して組織のアイデンティティを増強するなどの方策もまなべた。
いろーんな矜恃に満ち溢れた良書の典型だった。
Posted by ブクログ
ドイツは地政学的に弱く、そこでヴィルヘルム2世とヒトラーという独裁者が誤った方向に国を導いてしまった。大戦後はブラント首相が自国の非を認め新たな国づくりに乗り出し、EUの基礎を築いた。
オーストラリアは、歴史的形から白豪主義を取っていたが、地政学的条件から必然的にアジア移民の受け入れを行い政治体制も徐々に変化していくことになり、50年前とは全然違う時ものとなった。
アメリカは、今格差の拡大に直面している。経済と政治的分断が進行しているが、これを認めて立ち向かえるかどうか、日本はアジアとの関係および人口減、財政赤字拡大、自然資源の浪費といった問題に適切に対処できているのか。
世界的には、環境問題特に新興国が先進国の1/32しか資源を消費しておらず、これがキャッチアップすることで人口は数百億人のレベルと同様の資源消費となりうる。これに対しては、問題の認識、正当な自己評価、妥協の受け入れが世界的レベルでできるのか過去に事例はなく、各国の認識をパリ協定のようなもので確保して、さらに個別の判断を地味に積み上げていくことで対処できるかもしれない。
Posted by ブクログ
ドイツは第二次大戦後、東西に分かれて別々の社会となり、西ドイツは当座は旧ナチス政権の者を追放せずに活用するしかなかったが、次第に自らナチスの罪を糾弾する自浄作用を発揮し、ブラント政権でポーランドで跪いての謝罪などをしたことで近隣国からの信頼を回復し、東ドイツとの交流も復活し、生活格差に気づいた東での願望の高まりによってドイツ統一が実現した。
オーストラリアはかつては白豪主義をとりイギリス連邦の一員であることに強烈な自負を持っていたが、第二次大戦でシンガポールが陥落し日本からの攻撃からイギリスが守ってくれなかったことを恨めしく引きずり、イギリスがヨーロッパ共同体に組み込まれていくことにイラつきつつ、ついには受け入れて、アジアの移民を大量に受け入れ始めた。
現代の日本については手厳しく、女性の社会進出、国債残高、少子高齢化、移民への抵抗、過去の歴史の贖罪の不足による近隣諸国とのトラブル等の危機に対して有効な自覚と対策が取れていないとする。
現代のアメリカもまた、分断による政治的危機と政治的妥協が許されない風土になってきていることによる民主主義の強靭性の欠如が進んでいる。そして、自らの参考になるべき他の国の成功例に習う意志がなく、自分達は特別だと思い続けている。
最後に世界。核兵器、気候変動、化石燃料の枯渇、人口増による資源の逼迫などの危機に対して、世界のアイデンティティのようなものの醸成がなく、参考にできる前例もないままに、これまでの部分的成功(天然痘、オゾンホール)を参考に進んでいくしかない。
全編にわたり面白く(現代日本の否定には、やや短絡的な決めつけも多く、少しフラストレーションを感じたが)、各国の危機の歴史も面白くしれたことと、選択的変化という戦略的な要素がフューチャーされていたことが非常に腹落ちしたため、星4つ。
Posted by ブクログ
日本を含む7つの国家について、そのターニングポイントとなる歴史と特徴を、個人の危機とそれへの対応に照らし合わせて理解する。
読み始めは、なぜ個人と照らし合わせる必要があるのかやや理解不能だった。
だけど、読み進む内に理解できる。個人に生い立ち・経験等に裏打ちされた人格があるように、国家にも性格があるのだ。
それはブラックジョークやヘイトスピーチに見られるような国籍ステレオタイプ、みたいな単純なことではなくて、その国の立脚する環境(例えばどこと国境が隣接しているか)や、その国が誇らしく・或いは苦々しく思い出し、しかも広く国民が共有する歴史(特に、危機についての)によって、否応なしに刻み込まれてきたもの。
そして、これこそが本書の存在意義だと思うが、渦中にいると置かれた危機環境には気付きにくい!
日々わたしたちは、あまりに頻繁に危機感を煽られ続けている。
常に日本は変革が急務だし、深刻な問題に囲まれてて、でも他の国家も同様にいくつもの大きな問題を抱え変革を迫られているように見える。コロナ前は全人類共通の危機への実感が希薄だったし、それじゃわたしたち日本人の状況はどの程度ヤバいのかなんて認識する機会もなかったと思う。
本書の客観的事実や比較によって、日本がまさに危機、ヤバい状況らしいことが認識できる。対応すべき方向性も示唆される。
良薬口に苦い、グローバル版『シン・ニホン』といった印象。
Posted by ブクログ
下巻は、過去のドイツとオーストラリア、現在の日本、米国、世界について書かれている。
ドイツと日本の第二次世界大戦の反省の仕方について比較されているが、なぜドイツが反省できたかについて書かれていない。第一次世界大戦ではドイツは反省できなかったので、そこが重要だと思うのに。
第二次世界大戦ではユダヤ人虐殺という明らかに悪者にできる対象がいたこと(悪いのは国としてはドイツだが、ナチスが悪で自分はそうではない、ナチスのやったことを明示して後世に活かす、と考えることができる)、フリッツ・バウアー(ドイツ系ユダヤ人の法律家)「ドイツ人はみずからを裁くべし」で「ごくふつうのドイツ人も追求の対象」にし、国民にふつうのドイツ人も自分の信条で犯罪を犯したことを白日のもとに晒したことが大きかったと思う。
一方の日本は、宣戦布告をしなかったのは非常によろしくないが、ほかは他国もやっていることをやったという認識であったろうと思う。一般国民からしたら、戦争に負けたから裁かれた、もしくは軍部に従っただけというところに落ち着いてしまう。
また、軍部から差別・虐殺された大集団はなく、戦後にバウアーのように軍部や末端まで裁こうとするものがなかった。
中国、韓国への謝罪として、田中角栄や昭和天皇、村山富市、橋本龍太郎など繰り返し行ってきたが、「反省していない」といわれると、なにをしたらいいのかと思う。著者がいうように、ひざまづいて許しを請えば納得してもらえるのか。草の根での対話をしていかないとわからないと感じた。
教育・展示については、被害者側としての教育・展示だけでなく、加害者としての教育・展示をしていく必要はあると思った。
オーストラリアについては、想像以上の白人至上主義から、思わぬ理由で路線変更されていったことをしり、とても興味深かった。
米国については、トランプ政権や2020年の大統領選挙で感じたことが書かれていた。
教師の待遇と教育水準については、他国ながら危機感を覚えた。
世界をまちうけるものとしては、背筋が凍るようなシナリオが提示されていて、見た目の穏やかさを真に受けてはいけないと感じた。だからといって、なにかできるかというと難しいが。
歴史書を書くことについて、「今日ほど字の読める人が多い時代はない」というのは確かにそう。「歴史から学びやすい時代である」ことを活かさなくていはいけない。
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