アメリカ大統領選挙が行われましたが、ジャレド・ダイヤモンドはアメリカが抱える大きな危機としてまず最初に「政治の二極化」をあげています。
今回の大統領選挙の投票率は低くなかったようですが、「投票率の低下」も大きな問題だと…、というのも年収15万ドル以上あるアメリカ人の投票率は80%を超えているのに、年
...続きを読む収2万ドル未満のアメリカ人の投票率は半分に満たないそうです。選挙活動資金の高騰は、ますます政治権力を富裕層側に向かせ、富裕層の税負担率と再配分のための公共投資を低下させています。
このような事態の進展を招いている原因として「顔を合わせないコミュニケーションの台頭と直接的コミュニケーションの減少」をあげています。顔を合わせないコミュニケーションは、自分と似ている意見の情報ばかりを収集して異なる意見を排除する。政治的な妥協は後退し、自国ファースト、自分ファースト、の風潮が世界中で拡大しています。ジャレド・ダイヤモンドは「政治的2極化こそが、アメリカ社会が今日直面している最も危険な問題」だと言っています。
トランプとバイデンの選挙は、アメリカを分断しました。バイデンはこれから国民に一体感を持たせようとするでしょうが、トランプのプロパガンダは強烈なのでそう簡単には元に戻りません。
アメリカも日本も、現在多くの危機的な問題を抱えているのですが、それを正視しようとはしません。ジャレド・ダイヤモンドの目から見れば日本の財政赤字や少子高齢化や中国や韓国との関係は、とても大きな問題なのですが、最近はますます「日本は素晴らしい国」「世界が尊敬する日本」なんて言う人が増えています。
何か大きな危機が実際に起こらないと、人々は「将来大きな悪いことが起こりそうだ」としても、行動は起こさないのです。そして行動を起こさないことを合理化するため「危機であることを認めない」ということなのだろうなと思いました。