あらすじ
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ大絶賛!
「国家がいかに危機を乗り越えたか? 明快な筆致に引き込まれる。本書は、地球規模の危機に直面する全人類を救うかもしれない」
遠くない過去の人類史から
何を学び、どう将来の危機に備えるか?
ペリー来航で開国を迫られた日本、ソ連に侵攻されたフィンランド、軍事クーデターとピノチェトの独裁政権に苦しんだチリ、クーデター失敗と大量虐殺を経験したインドネシア、東西分断とナチスの負の遺産に向き合ったドイツ、白豪主義の放棄とナショナル・アイデンティティの危機に直面したオーストラリア、そして現在進行中の危機に直面するアメリカと日本・・・。
国家的危機に直面した各国国民は、いかにして変革を選び取り、繁栄への道を進むことができたのか『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『昨日までの世界』で知られるジャレド・ダイアモンド博士が、世界7カ国の事例から、次の劇的変化を乗り越えるための叡智を解き明かす!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
国家的な危機には、それが外部からであれ内部からで荒れ混乱を引き起こすが、逆にチャンスになるうるのだなと思った。
日本が明治時代の危機を脱した理由に、決断を先延ばしにして国力を高めたというのは、なるほどと思った。しかしながら、その成功体験が今の日本ではデメリットになっているのかもしれない(コロナ禍での決断の遅さなど)。
Posted by ブクログ
フィンランドの対ソ戦争、明治日本、チリのクーデターとその後、インドネシアのクーデター未遂後を襲った危機。その時、「国」はどういう選択をしたのか。
重要だったのは、必要だったのは「選択的変化」。
「危機に直面した個人と国家にとって難しいのは、機能良好で変えなくていい部分と、機能不全で変えなければならない部分との分別だ。そのためには、自身の能力と価値観を公正に評価する必要がある。」
明治日本は選択的変化によって国家的危機を解決した。それは「他に類を見ないほど公正な自国評価」、つまり欧米は日本よりも強いという真実と、日本が強くなるためには欧米から学ぶ以外に方法はないという真実を受け入れたということだ。一方、1937年以降の日本は「現実的かつ慎重で公正な自国評価を行うのに必要な知識と経験が欠けていた」。それが壊滅的状況をもたらした。
今の日本も1937年から何も変わっていないような・・・・
Posted by ブクログ
国家と危機と個人の危機の共通している部分とそうでない部分を見ていく。上巻はフィンランド、日本、チリ、インドネシア。12の分類により地理的な条件や指導者、ナショナル・アイデンティティの深さなどについて細かく比較していく。
『銃・病原菌・鉄」も読んだが、ジャレド・ダイアモンド氏はカテゴライズするのが好きなんだなぁと感じた。
Posted by ブクログ
フィンランド、日本、ドイツ、インドネシア、チリ、オーストラリア、アメリカの7カ国の近代史における変化と対応を述べて、今直面しているグローバルな危機にどう対処できるかを問う。
危機の認識、責任を受け入れる、現実的判断、他者から学ぶ、選択的変化の推進、強固なナショナルアイデンティティ、公正な自己評価、失敗の許容、地政学的条件が危機への変化には重要である。
フィンランドは、ソビエトとの対応。圧倒的大国に隣接していることに対して、他国からの援助も期待できず、何が重要なことでそのためには妥協的態度も取りうることを多数の神て犠牲を出して学んだ。
日本は、ペリー来航から他国に学び、ナショナルアイデンティティに沿った形で変化していった。
チリは、恵まれた国土で民主主義国家だったが、短期間で軍事独裁に転化してしまい、未だにその時代の処理をしきれないでいる。インドネシアも同様。両国ともナショナルアイデンティティには欠けていた。
Posted by ブクログ
ベストセラー「銃・病原菌・鉄」の作家として知られるジャレド・ダイアモンドが、「個人的危機」と「国家的危機」の共通点と相違点を示しながら、危機全般とその危機に対する対応策について考察を行っているのが本書。
本書の構成が、①個人的危機、②国家的危機、③世界全体の危機、というように徐々にスケールアップしつつ議論を展開してくれているので、自然と自分の視座を高くしていくことができ、大いに知的好奇心を刺激してくれる。
もちろん、他著書と同じくジャレド・ダイアモンド氏の圧倒的な教養・知識は満載だ。
様々な読み方ができる本書だが、私はまず自己啓発書として読んだ。
その場合、単純に自己だけに焦点を当てた啓発書に比べ、視点が広い。
Posted by ブクログ
『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』、『昨日までの世界』など、広範な知識を元に人類の歴史をグローバルな観点で分析をしてきたジャレド・ダイヤモンドの最新作は、近現代史における国家的危機を分析したものであった。
原題は、”UPHEAVAL: Turning Points for Nations in Chrisis”
UPHEAVALという耳慣れない単語は、激動・動乱といった訳語が当てられる。激動や動乱は、一般的には非常に個別の事象で、その場そのときに固有のものである。本書では、国家的危機の事例がいくつか並べられているが、そういった意味で「危機と人類」と大ぐくりにされるのはいかがなものか感がある。地政学的な違いや歴史の違いから危機に対しての行動や結果も違っていたというのがこの本の主旨であるので、どこか人類一般に適用されるような一般論を語っているわけではない。
本書で取り上げられるのは、まずはいくつかの過去の国家的危機 - 第二次世界大戦までのフィンランドの対ソ戦、日本のペリー来航から明治維新、1970年代から始まるチリの軍事独裁政権、1965年のインドネシアの軍事クーデーター、ドイツの第二次大戦後から東西統一に至る変遷、1972年のオーストラリアの白豪主義廃止を含む急激な変化、が取り上げられる。そして、現在すでに進みつつある将来の危機として、日本の女性の役割/少子化/人口減少/高齢化という社会的問題、アメリカの政治的妥協の衰退、気候問題などグローバルな危機、である。
著者も断っている通りなのだが、この本で個別に取り上げられた国のリストは、著者自身が何らかの関係があり、自身の経験としてもよくしており、友人知人の話も直接聞くことができるという理由で取り上げたものであり、決して網羅的なリストでもない。少し考えればわかる通り、優先的に取り上げられるべき上位の国ですらないかもしれない。
世界には興味深く取り上げられるべき「危機」と「変化」を経験した国には枚挙にいとまがない。
例えば、隣国の韓国が二十世紀に経験したこと、そして今も分断された国としてあることは、どの国にも負けず国家が向き合う危機として記録され、分析され、記憶されるべきものだろう。地政学的な要因をこれほど強く受けて翻弄された国もそう多くない。チリで取り上げられた独裁者による悲劇では、その悲惨と与えた影響を鑑みるとカンボジアを外すわけにはいかない。フィンランドと同じように大国に翻弄された国でそこからの復活した事例としてはベトナムが外れることはないだろう。悲惨な結果を招いた民族対立とそこからの復興についてルワンダを始め、アフリカ諸国にも無視すべきではない多くの事例が存在する。国家としてのアイデンティティの観点からも南アフリカは、オーストラリア以上に興味深い事例である。そして、もちろん、かつてソビエト連邦として知られたロシアの歴史と連邦としての崩壊についても分析すべき価値がある。
もちろん著者はこの本で取り上げた国が網羅的でないことは百も承知である。著者はこの研究をさらに進めて、現代的な計量的手法を取り入れたいと考えていたが、そこには至らず、「本書は、叙述的な探索的研究」であり、「本書がきっかけとなり、今後計量的な検証がおこなわれることを希望する」としている。ここで取り上げた7つの国の事例だけでは、統計的に有意な結論を導き出すには少なすぎるのである。
一方、危機に際してどのように対処するのかを分析するための下地として、心理療法において使われる個人的危機の解決の帰結を左右する12の要因を国家的危機にも当てはめる。その12の要因とは、①自国が危機にあるという世論の合意、②行動を起こすことへの国家としての責任の受容、③囲いをつくり、解決が必要な国家的問題を明確にすること、④他の国々からの物質的支援と経済的支援、⑤他の国々を問題解決の手本にすること、⑥ナショナルアイデンティティ、⑦公正な自国評価、⑧国家的危機を経験した歴史、⑨国家的失敗への対処、⑩状況に応じた国としての柔軟性、⑪国家の基本的価値観、⑫地政学的制約がないこと、である。これらの要因によって国家が危機に対応する行動とその帰結を理解できるのではというのが、本書で取り組んでいることのひとつである。確かに個人と国家において共通するところもあるが、そこから新しい定性的な結論を導くには至っていないという印象だ。
なお興味深いのは、取り上げられた数少ないリストの中で日本に関するテーマが二度語られていることだ。一つ目は明治維新、そして二つ目は近年の少子高齢化社会の危機だ。著者の妻の親族に日本人と結婚した人がいるということもあって、日本に多くのページを割かれることになったのだが、それ以上に近現代史において日本という国が強く興味を惹く素材でもあるということだろう。日本と欧米社会の相違点として、著者は「日本人の親戚や学生、友人、同僚たりは口をそろえて」と言いながら次のように列挙する -「謝罪する(あるいはしない)こと、日本語の読み書きが難しいこと、黙って苦難を耐え忍ぶこと、得意先を丁重に接待すること、徹底した礼儀正しさ、外国人に対する感情、あからさまな女性蔑視的ふるまい、患者と医師のコミュニケーションのしかた、字の美しさが自慢になること、希薄な個人主義、義理の両親との関係、人と違うと周囲から浮いてしまうこと、女性の地位、感情について率直に話すこと、私心のなさ、異議の唱え方」。同意するところ、そうでないところはあるにせよ、著者のような知識人の間においても、日本人に対してこういった視点(ステレオタイプとも言えるかもしれない)がグローバルに共有されているということについては、日本人として十分に意識的である必要があるかもしれない。
巷間言われるように、明治維新については、隣国の中国がいいように列強に扱われているのと対比して、その指導者層の対応について著者も非常に高く評価している。その要因として、明治政府が海外派遣などを通して自国を公正に評価して、冷静に判断を行っていたことを挙げている。それに対して、第二次大戦前の指導部、特に陸軍における慎重で公正な評価に必要な知識と経験の欠如が、彼らをして誤った行動に駆り立てた原因だとしている。
また、明治国家の特徴として、国家神道という伝統に接ぎ木をしたような仕組みを浸透させることで強固なアイデンティティを形作っていたことを挙げている。それがどれほど強力であったかは、第二次大戦の降伏条件に国体の護持をあの時点でさえも必須の要件としたことや、「神風」や「回天」などの特攻兵器に多くの若い兵士が志願したことからもわかる。
チリやインドネシアの近現代史は、この本がなければもしかしたら一生触れることはなかったかもしれない。多数の島々からなるインドネシアがひとつの国としてアイデンティティを保っていることはよく考えると不思議なことかもしれないが、そのためには国語が大きな役割を果たしたということや、植民地からの独立やクーデーターなどについては知ることがあまりに少ない。
また、ドイツについては、冷戦終了後間もない1993年に個人旅行先でベルリンを訪れ、壁を挟んで東西の落差を見て、その後アウシュビッツ収容所後にも足を運んだが、そこに至る歴史を知っていたかと言われるとまったく心許ない。本書を読むと何よりもナチスとの向き合いが国家レベルとしても、とても重要であったことがわかる。著者はドイツと近隣諸国の関係と日本と中国・韓国との関係を何度か引き合いに出す。もちろん、ドイツの戦後のリーダーのふるまい含めて、ドイツが良い結果をもたらしている一方で日本はその事実に向き合うことに失敗しているという枠組みで語るのである。それに対して反対の意見を持っているわけではないが、軽々に語るべきことでもないようにも思う。ただし、ジャレド・ダイヤモンドのような人が冷静な観点でそのように語っていることに対しては謙虚に認識をするべきだと思われる。
そして、現代の日本社会の課題について滔々と語る第八章は、耳が痛いところが多いのだが、著者に言われなくてもという思いも強い。日本は外圧により動くことが多い(これもまた課題のひとつかもしれない)ので、こういうことを言ってもらった方がよい方向に動くのかもしれないとも思う。女性の役割、少子化、人口減少、高齢化の他にも国債発行残高や移民の少なさも問題として挙げられる。一方で、人口減少は必要となる資源が少なくなることを意味することから大いなる強みになると考えていると続く。本当か、と思うとその次に高齢化はもっと大きな問題と続くので、それはそうだ。女性の地位については、自分が生きている時代の中でもそれでも大きく変わったと思うのだが、まだまだ全く不足だと説く。さらには韓国や中国との間でいまだに第二次大戦のしこりが残っているのは結果として失政としか言いようがない。
著者は彼にとって身近なアメリカの格差問題、トランプの問題に触れ、さらに核問題、気候変動、資源問題、格差拡大、イスラム原理主義、などを挙げる。ちょっと風呂敷を広げすぎた感があり、結論が出ない問題をこねくっているような印象も受けた。
自らが住む日本のことにも数多く言及されていたこともあり、眼から鱗が落ちた、といった部分は少なかったが、なかなか楽しめた。著者は、ここで採用したような国家危機の分析を広くまた定量的にも行ってほしいと考えているとのこと。この内容であれば、誰かと共著で『危機と人類 II』というものが出せそうである。御年82歳、誰か後継となるものをそこで指名してもよいのではなかろうか。
Posted by ブクログ
つぎの一〇年において、これらの問題は日本にどのような結果をもたらすだろうか? 現実的にみて、日本が現在直面している問題は、一八五三年の唐突な鎖国政策の廃止や、一九四五年八月の敗戦による打撃に比べれば大したものではない。これらのトラウマから日本がみごとに回復したことを思えば、今日、もう一度日本が時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しい時代状況に合わせて新しい価値観を取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価することは可能だという希望を私は持っている。
――本書の出版が2019年。さて10年後、本書で取り上げられた、日本、アメリカ、世界の問題はどうなっているのか。答え合わせが楽しみなような、怖いような。
Posted by ブクログ
フィンランドのマリン首相の訪日、5/12NATO加盟の意向表明、本書を改めて読み直しました。
=ソ連が安全でないと感じている限り、フィンランドの安全はありえない。
=マリン首相の発言にある、ウクライナ侵攻で、ロシアとフィンランドの関係は根本的に変わった。
今後、このままでは何が起こってしまうのか。日本の(これからの予防的外交)の内容を1市民として考えさせられる週末です。
Posted by ブクログ
観光でしか訪れたことのないフィンランド、チリ。ナショナルアイデンティティという視点から国の在り方や国民性が分析されるとは。銃・病原菌・鉄にも劣らず日本の明治の動きも記されており、興味深く読み進められた。
Posted by ブクログ
第2章
なぜフィンランドが豊かで、世界トップクラスの科学・教育リテラシーがあり、社会民主主義国家なのか
そこには大国ソ連と長い国境を接する地政学的理由があり、類稀な愛国心があり、人口600万という小国ならではの綱渡り外交があった
真田三代みたい!
第3章
鎖国日本に対する西洋からもたらされた危機に江戸明治の日本がどう対応したのか
海外の知の巨人が書く明治維新は新鮮だが、概ね「まあそうだよね」って感じ
明治維新と、太平洋戦争時の日本の指導者の対比は興味深く読んだ。正確な自己評価の違い。
Posted by ブクログ
ジャレドさん、銃病原菌鉄に続いて2冊目。
この本では、いつくかの国に訪れた危機と、その危機にどのようにして対応したのかが描かれている。
まず、はじめに思ったのは、知らないってことは恐ろしいな、と。この本に書いてあることが、真実なのかどうか、私には確認する術がないけど、それでも、歴史について知ることは自分の考え方に幅をもたらしてくれるような気がする。
例えば、フィンランドの話し。ソ連との関係性について、その内情を知らない人から見たら、なんでそこまでソ連の機嫌を伺うような振る舞いをするのか、理解ができないことだろう。でも、それまでのソ連との関係からフィンランドの人々がどのように考えるに至ったのかを知れば、理解できるようになる。
日本についても、明治維新後の日本については、危機への対応が良かったことが書かれているが、第二次世界大戦や昨今の日本には対応の不味い点が指摘されている。特に戦後のドイツとの比較で、戦争時の過ちに対して正確な自己評価が不足している、と指摘する。ドイツは過ちを詫び、自国内でその過ちについて、きちんと教育しているが、日本ではいまだに戦時の教育ではそうした負の部分が正確に伝えられていない。わたし自身、どちらかというとこの作者の指摘通り、日本がそこまでひどいことをしていないのではないか、という幻想を抱くことがあったように思う。
歴史に学ぶことの重要性を考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
現代世界史の特異点に注目し、フラットで詳細な解説を試みる。
日本の章を読むと、学校で習う日本史ではなく、世界史の中で明治以降の日本はこのように見られているという視点があり、実に面白い。
この人の視点、評価軸、叙述は良いね。
Posted by ブクログ
たぶん、NewsPicksでビル・ゲイツの愛読書と紹介されていたのが気になって読んだ本。
個人的な危機と国家的な危機の類似点と相違点を比較した上で、7つの国に起こった危機を紹介・分析している。
上巻では、フィンランド、日本、チリ、インドネシアに起こった危機が紹介されているが、フィンランド、チリ、インドネシアの歴史をほぼ全く知らなかったこともあり、すごく興味深かった。
まだ、下巻は読めてませんが、オススメの一冊です。
Posted by ブクログ
「国家的危機の帰結にかかわる要因」の12項目を、第1次世界大戦や第2次世界大戦当時のフィンランド、明治維新の日本などに当てはめて、どう対処していったかを検証している。
フィンランドの例を読んでいてとても辛かった。他国の支援がない中で、多大な犠牲を発生させながらも、よく生き残ったと思う。
危機を世論が認識して合意するということが大事であるが、とても難しい。
現在の日本が、まだ直面はしていない国家存亡の危機に際したとき、あるいはその気配を感じたときに、どうなるかは心配でいっぱい。
世論が自分ごととして考え、行動できるか、政府や首長が世論をまとめられるか。少なくともそのとき、対立を煽って人気だけ得ようとしているリーダーがいないようにしておかないといけない。
Posted by ブクログ
危機に対してどう対処したのか?を上巻では個人、国としてはフィンランド、日本、チリ、インドネシアを挙げて物語としている。
気になったのは、やはり「日本」で、鎖国からペリー来航による危機に当時の日本人たちがどう対処したのか。そして、そこから領土拡大に向けてとった舵取り…
脅威に対して、各国に優秀な人材を送り込まれて学んだリーダーたちだったか、そう言う経験をしなかったリーダーたちだったか。
「公正な自国評価を行うための知識や能力に違い」とな。
外圧に対しての対処は良かったが、たかだか20年くらいで領土拡大の流れになって、第二次世界大戦の敗戦まで…
歴史物は、書いた人の主観が強く出るから読後感は色々有りそうだけど、近代日本史に興味がなかった自分としてはなかなか面白く読めた。
Posted by ブクログ
原題は「Turning Points for Nations in Crisis」。大きな転換点としての「危機」(危ないことによるきっかけ、機会)に対して、近代国家がどのような決断をし対処してきたか、著者が長期に渡って住んだり現地語による直接的な体験を通ずるなりして理解の深い世界の七か国(フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ)での事例をあげて比較論的に叙述している。
上巻は個人的な危機を叙述した第1章から始まり、国家的危機としては第2章から順にフィンランド、明治日本、チリ、インドネシアの例を挙げる。危機の要因としてもいくつかあり、他国からの圧力(フィンランド、明治日本)、国内政治の激変(チリ、インドネシア)、ゆっくり進行した変化による危機(ドイツ、オーストラリア)などのタイプがある。
Posted by ブクログ
◎フィンランドは小国であり、ソ連との国境線も長く、ソ連の勝利をできるだけ遅らせたかった。
◎オランダも小国であり、植民地化したインドネシアに大金注ぎ込む余裕がなかった。なので、学校や灌漑システムをつくるような倫理政策はあまりできず、搾取政策にとどまった。その中で、それまで「オランダ領東インド」と呼ばれる小国の集まりだったインドネシア人に、国会意識が芽生えてきた。また、特徴的なグループが形成されてきた。ジャワ人は文化的に優れていると考えたりなど。しかしジャワ語には問題点があり、身分の高い人に話しかけるときと低い人に話しかけるときでは言葉遣いが変わってしまうのだ。だからマレー語を変化させたのが現在のインドネシアである
◎インドネシア軍は大量虐殺をおこなった上で東ティモールを無理やり併合した。しかしハビビ大統領政権で独立可否の住民投票を行い、独立できた。
Posted by ブクログ
フィンランド、チリ、インドネシア、それぞれの国のターニングポイント。世界の近現代史を学ぶと、今が見えてくる、勉強不足だなあとじっくりゆっくり読みました
Posted by ブクログ
ペリー来航の日本、ソ連に侵攻されたフィンランド…。国家的危機に直面した各国国民は、いかにして変革を選び取り、繁栄への道を進んだのか。世界7か国の事例から、次の劇的変化を乗り越えるための叡智を説き明かす。
フィンランド,日本,チリ,インドネシア。
より具体的で読みやすかった。
Posted by ブクログ
ものすごくおもしろい。まず「囲いをつくる」というのがとても参考になる。心理学か何かの基礎だとか書かれてた記憶だけど,もっと人生の早いうちから知っておきたかった(けど,あまり人生経験がない中だと,その知識の重要さを認識できず素通りしていたかも)。
本論の方もとても面白い。死ぬまでに世界史を勉強せなあかんなと改めて思う。
Posted by ブクログ
個人の人生には、自己分析を行い、自分の課題を認識して、それの改善に取り組むことが当然ある。
それを国家に当てはめ、過去に国が直面した課題、それに対してどう対応し、どんな現場が生まれているのかを体系的に説明いた本。
個人に当てはめると、自分の課題が、国家の危機に当たる。
どこまでも現実路線を貫いた国の決断や、逆に国の失政についても学べる。
上はフィンランド、日本、チリ、インドネシアについて書かれている。
世界史を専攻していなかったので、全然知らない世界の歴史についても自然と学ぶことができた。
ジャレドダイヤモンドさんの博学にはビビった。
というか取材と下調べが深い。
的確に自己を捉え、現実路線で冷静にどう進むべきかをアレンジメントするか。個人、組織双方を動かす際に勉強になる話を国家レベルの事例から学べる。
Posted by ブクログ
銃のやつの前にこちらを読んでしまった
維新のくだりしっくりきた。日本の知人に教えてもらった旨の記述がありますが、その人が素晴らしいのだろうな
サピエンス全史のような一本の筋は見えにくく、単に史実を羅列しただけに見えたので1点減点
Posted by ブクログ
国家の危機に際し、その国あるいは国民はどう対処したのかというテーマで事例を検討する。それは国家的危機の歴史であると同時に、ここで取り上げられた個々の国の重要な歴史を垣間見ることにもなる。
上巻では、20世紀前半のフィンランド、明治維新前後の日本、ピノチェト時代のチリ、スカルノとスハルトが統治するインドネシアが取り上げられている。日本人として、明治維新の歴史が一番よく分かるのはもちろんだが、その他の事例も大変興味深い。それは、ピノチェトやスカルノといった身近な歴史であるからと同時に、やはり、国家的危機への対応というその国の歴史のある種のハイライトだからでもあろう。
下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
「遠くない過去の人類史から何を学び、どう将来の危機に備えるか?」
表紙の折り返しに書かれているように、国家的危機に直面した国民がどのようにそれを乗り越えていったかについて、分かりやすく書かれている。
賛否両論あるようですが、私にはとても面白く、興味深く読めた一冊でした。特にフィリピンと日本(明治維新の頃)は面白かった。
Posted by ブクログ
日本の歴史が、外国人の視点からどのように書かれているのか気になって、本書を取る。
が、他国の歴史の方が面白く、フィンランドやチリなど、新たな知識を得て興味深かった。
Posted by ブクログ
他国の危機や危機への対応について、これまであまり関心を持ったことがなかったので新鮮だった。
これを教訓として、今後発生する新たな危機への対応や、危機の予防にどのように活かせるのか、下巻に期待する。
Posted by ブクログ
銃・病原菌・鉄の大陸間の緯度経度で、民族の発展が大きく異なるって考察がとても参考になったので。
上巻はフィンランド、日本、チリ、インドネシアの国家的危機について。
国家的危機を個人的危機に当てはめて考察する本書のテーマは新しいと思う。
上の書籍もそうだけど、この人は個別の問題を一つのフレームワークに落とし込むので、誰でもわかりやすいし比較もしやすい。
まだ下巻を読んでいないので結論は言えないけど、少なくとも日本以外の危機はあまり日本人に知られていない知識で、知れただけでも大きいかな。
Posted by ブクログ
日本について多く言及されているので、興味深い。
特に前半上巻での、明治時代の日本の「選択的変化」についての言及は納得感が高い。
つまり、ペリー来航を機に変えるもの(封建制度)と買えないもの(マインドセットや天皇制)をうまく選び取った稀有な例であると。
あとはフィンランドの対ロシアの弱腰外交を評価しているのも興味深い。
つまり感情的なネトウヨは、なんでアメリカの言いなりになっているのか!弱腰外交クソだ!
みたいなことを言うが、感情的にならず国力を考えて、現実的な判断をとるのが大事だと言うこと。
Posted by ブクログ
トランプ元大統領が引き起こしたアメリカ分断の危機。この本を読めばわかるかも。
国内分断が、国家的な危機を招く。
個人的危機から国家の危機を簡単づけてわかりやすい。
統計的な判断ではないが、著者の関係の深い国フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリアの事例と危機後の国民の向き合い方の違いがわかる