ジャレド・ダイアモンドのレビュー一覧
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ドイツは地政学的に弱く、そこでヴィルヘルム2世とヒトラーという独裁者が誤った方向に国を導いてしまった。大戦後はブラント首相が自国の非を認め新たな国づくりに乗り出し、EUの基礎を築いた。
オーストラリアは、歴史的形から白豪主義を取っていたが、地政学的条件から必然的にアジア移民の受け入れを行い政治体制も徐々に変化していくことになり、50年前とは全然違う時ものとなった。
アメリカは、今格差の拡大に直面している。経済と政治的分断が進行しているが、これを認めて立ち向かえるかどうか、日本はアジアとの関係および人口減、財政赤字拡大、自然資源の浪費といった問題に適切に対処できているのか。
世界的には、環境問題 -
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フィンランド、日本、ドイツ、インドネシア、チリ、オーストラリア、アメリカの7カ国の近代史における変化と対応を述べて、今直面しているグローバルな危機にどう対処できるかを問う。
危機の認識、責任を受け入れる、現実的判断、他者から学ぶ、選択的変化の推進、強固なナショナルアイデンティティ、公正な自己評価、失敗の許容、地政学的条件が危機への変化には重要である。
フィンランドは、ソビエトとの対応。圧倒的大国に隣接していることに対して、他国からの援助も期待できず、何が重要なことでそのためには妥協的態度も取りうることを多数の神て犠牲を出して学んだ。
日本は、ペリー来航から他国に学び、ナショナルアイデンティティ -
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ベストセラー「銃・病原菌・鉄」の作家として知られるジャレド・ダイアモンドが、「個人的危機」と「国家的危機」の共通点と相違点を示しながら、危機全般とその危機に対する対応策について考察を行っているのが本書。
本書の構成が、①個人的危機、②国家的危機、③世界全体の危機、というように徐々にスケールアップしつつ議論を展開してくれているので、自然と自分の視座を高くしていくことができ、大いに知的好奇心を刺激してくれる。
もちろん、他著書と同じくジャレド・ダイアモンド氏の圧倒的な教養・知識は満載だ。
様々な読み方ができる本書だが、私はまず自己啓発書として読んだ。
その場合、単純に自己だけに焦点を当てた啓発 -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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私が考える理想の研究者とは、人類がこれまで歩んできた歴史とともに、現在の社会を見つめ、少し先の未来までをも見ようとする「優しい研究者」です。
「持続可能な開発(SDGs)」という概念が近年注目されていますが、「持続可能な開発」とは、おそらく「次世代を見ようとする努力そのもの」なのではないかと考えています。持続可能な開発とは、言い換えれば、次世代まで継続して豊かな社会を築くことです。そのため、これまでの歴史を振り返りながら、今起こる現象を読み解き、次世代まで豊かな社会を築くには何が必要かを問う姿勢が重要なのです。
しかし、これから起こりうる未来を想像することはそう簡単なことではありません。 -
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『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』、『昨日までの世界』など、広範な知識を元に人類の歴史をグローバルな観点で分析をしてきたジャレド・ダイヤモンドの最新作は、近現代史における国家的危機を分析したものであった。
原題は、”UPHEAVAL: Turning Points for Nations in Chrisis”
UPHEAVALという耳慣れない単語は、激動・動乱といった訳語が当てられる。激動や動乱は、一般的には非常に個別の事象で、その場そのときに固有のものである。本書では、国家的危機の事例がいくつか並べられているが、そういった意味で「危機と人類」と大ぐくりにされるのはいかがなものか感がある。地 -
大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)
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201703/
小作農たちの戦略は「全部の卵をひとつのかごに入れてはならない」という、リスク回避の教訓に沿った戦略ともいえる/
時間平均の投資収益が低くなろうとも、年間収益が生活維持に必要なレベルをつねに上回るような投資をしなければならない/
人間の脳は、自然選択による進化の結果、些細な手がかりから最大限の情報を引き出せるように進化し、推論の誤謬が頻繁に起こりうることが不可避だとしても、その情報を言語を介して正確に伝えることができるようになっているのである。/
詩篇を唱えるという行為は、自分が無力であるという不安に心を奪われて何かばかげたことをしでかし、自分をさらなる危険にさらすという -
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201701/
グドールが観察したのは、子供たちにバナナを与える遊びである。その遊びでは、まず、子供たちの前に、一房のバナナがおかれる。その房には、ひとり一本のバナナがいきわたるように、十分な数のバナナがついている。この遊びでは、子供たちが一番大きなバナナを取り合うということはしない。それぞれの子供が自分のバナナをふたつに切って、一切れを自分で食べ、残りの一切れを別の子供に差出し、その子供から一切れをもらう、ということをするのである。そして、最初の半分の一切れを食べ終わると、残りの半分をまた二つに切って、その一切れを自分で食べ、残りの一切れを別の子供に差出し、その子供から一切れをもらう。子供 -
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伝統的社会と現代社会を、戦争と平和、子どもと高齢者、危険に対する対応、宗教、言語、健康それぞれについて比較している。
昔の伝統的社会の戻ったほうがいいとか、現代社会がすべてにおいて優れていると断定するのではなく、現代社会においても伝統的社会のいいところを少しでも学んで、取り入れられるところは取り入れたらいいのではないかと述べている。
例えば、塩分摂取量については、塩分摂取が少なければ血圧が低いというエビデンスはすでに証明されているので、無駄に多く摂取いないようにする。事故に会う確率が高い、自動車、アルコール、脚立、お風呂での転倒はできるだけ避けるか、注意を払って接する。二言語を話す人はアル -
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おもしろい!
部族間で争っていた時代には敵を殺すことは称賛に値していたんだ。なんで殺してはいけないかといえば、めぐって自分も殺されたらいやだから。殺してはいけない。命を長らえることはよいこと。食糧の確保、危険の回避、医療の進歩。人類は命を長らえるすべを手に入れてきた。ちっぽけなようでやっぱり凄いな。そうして地球上にひしめき合っている命。今のテーマは欲望をどのようにコントロールするか。人間が頭でっかちになると結局自分を滅ぼしてしまう。70億の人口は多いようにも思うけど、実際のところ母なる地球にとってはどうなのだろう。自分と、隣の人と、母なる地球を大事にしたくなる。 -
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Posted by ブクログ
「銃・病原菌・鉄」でピューリツアー賞を受賞した人類生態学者である著者による一冊。上巻のテーマが、昨日までの世界と国家を持つ社会のマクロ比較であったのに対し、下巻である本書はミクロ アプローチ。
印象深かったのは死因の比較。パラグアイ アチェ族・一位 毒蛇、アフリカ南部 クン族・一位 毒矢、中央アフリカ ピグミー族・一位 樹上からの落下。生活違いすぎる。
その他、マクロがプラットフォームを同一性にした記述であるところミクロは異質をプラットフォームとしている。それだけに後半に語られる言語の多様性に対する賛美は秀逸。上下巻を通じて、大変有意義な旅に連れ出してくれたと感じます。
因みに、もっとも -
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UCLA医学部生理学教授を経て、主に生物学畑を修めるも、その後鳥類学、人類生態学へと研究領域が多岐に渡った著者による一冊。
タイトルの通り昨日までの世界すなわち、著者が主なフィールドとして再三渡っているニューギニアの文化をはじめ、オーストラリア周辺からはクナイ族、ヨルング族、ユーラシア大陸からはアイヌ民族、キルギス族、アフリカ大陸からはクン族、ピグミー族、北アメリカからチュマシュ族、カルーサ族、南アメリカ大陸からはヤマノミ族、シリオノ族などを「伝統的社会」として主にアメリカ文明との違いについて展開されている。
特に、印象深かったのが、ニューギニアの紛争解決と、所謂アメリカ等の国家が提供する -
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大野和基 / ジャレド・ダイアモンド / ユヴァル・ノア・ハラリ / リンダ・グラットン / ニック・ボストロム / ダニエル・コーエン / ウィリアム・J・ペリー / ジョーン・C・ウィリアムズ / ネル・アーヴィン・ペインター3.9 (30)