池田真紀子のレビュー一覧
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1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。
アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー -
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「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」「星を継ぐもの」に引き続き、SFの古典的名作を読んでいる。本書の初版発行は1953年、第1部に改稿が施された新版が出たのが1989年。1953年の初版発行からは、70年近くが経過しており、まさにクラシックだ。
文庫本の裏表紙に書かれているあらすじは下記の通り。
【引用】
地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とは何か?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始めた人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。
【引用終わり】
本書は3部構成とな -
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読んでよかったと思いました。
長いお休みの期間、なかなか外に出歩くこともできず、何かしてやろうという去年とは打って変わって今年はだらだら過ごしてしまいました。
ついついスマホ、パソコン、テレビと3つを行き来する生活の中でふと「あれ、今日何したっけ?」となっていた矢先予約したこの本が届きすぐ読み始めました。
現在30日間の休止中です。毎日むしろとても忙しく感じています。余暇活動も目標を決めたところです。
スマホをしていたときは、スマホを触っていたいと言うよりはやりたくないことを後回しにするための時間稼ぎといった一番よくない使用の仕方だったと思います。
スマホ、パソコンをこちらが扱 -
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ディテールと色彩が、破滅的な世界を照らす珠玉の小説。愚かで勇敢な少年の冒険譚。どこかファンタジックな雰囲気も醸し出しつつ、ドキュメンタリー的に細部にこだわった作品で、とてもワクワクさせられた。
子ども思いだけど麻薬の密売人をやっている母、その母の恋人で同じく密売人をやっている男性的な魅力ある男、話すのを拒み文字を空中に書いて意思表示する兄と、普通ではない環境に置かれたイーライ。
親友は、脱獄犯のベビーシッターであるスリムで、年齢的にはイーライと60の差がある。
こんな環境でも、擦れることのない少年イーライの視点から物語は語られる。
スリムの哲学を忠実に再現しようとする純粋さや、見たままだけを -
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言わずと知れたクラークの超名作。の、2007年に出た光文社古典新訳文庫版。ずいぶん以前に読んだ時はオーバーロードのオチになるほどと感心し、ラストが気持ち悪い?くらいの印象だったのだが、再読して「すげぇぇぇ!」と今頃になって興奮している(汗)。科学力や知能など、物理的な部分においてすべてを超越する宇宙人と、心や精神の力において潜在的な可能性を持つ地球人類。宇宙に広がる幾多の高次元の存在と、「人類のアセンション(進化)」を描いたものとして捉えると、クラークの生命存在というものについての洞察と予見には感服するしかない。これはSF史上最高傑作のひとつだ。自分はもう40をすぎてあと何年生きるかわからない
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3人の女性の話が時系列に沿ってAさん→Bさん→Cさん→Aさん→…といった感じに何章か分かれて紹介されていく、というよりは完全に小説物語として話が進んでいく。
重い…けど、人間のリアル。登場人物誰ひとり、誰のことも責めない。自分が自分の人生を生きて、選んでると思っている。でも裏にあるのは根強い男尊女卑思考やロマンチックラブイデオロギー。古い慣習の下で育ったり、虐げられた数々の記憶に縛られ、がんじがらめにされている女性たち。それらが欲望となって現れている。かなりリアル。自分の中にも、あるな。この感覚。と、知らずに引き込まれて行く。性描写は多いのだけれど、官能小説としては読めない。ノンフィクションの -
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20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ -
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スケールの大きなタイトルだ。何せオーストラリア発のベストセラー作品、満を持して、華やかに登場! ページを開くと、すぐさま感じられるのは、高密度な文章による作風。物語力の高度さ。少し取っつきにくいくらいの言葉の奔流。それに何と言ってもイメージの横溢。これこそ少年の感性そのものかもしれない。それを大人になって完成された文章力が過去への旅程を辿り掬い上げたものなのかも。
物語の牽引力は半端じゃない。少年イーライの育つオーストラリアはブリスベン郊外の田舎町。少年と親しい老人は、殺人の罪で獄中で生涯を過ごした脱獄王スリム。60歳も歳の差がある老人が少年に教えるのは人生の知恵と夢。
少年の兄オー -
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面白い。どの話も、最後にどんでん返しが用意されていることが多く、話としてもしっかりまとまっていて面白い。
ジョナサンがいない 叙述トリックというべきか、男の正体と女の目的がわかった時のスッキリ感
ウィークエンダー
サービス料として
ビューティフル 美しさ、というものが時に人生を狂わせることも…面白い
身代わり
見解
三角関係 これぞ叙述トリック
被包含犯罪 シリーズ化して欲しい。すっきり
宛名のないカード 嫌ミス系かな。
クリスマス・プレゼント どんでん返しからのどんでん返し、からのどんでん返し。すっきりします。
超越した愛 この小説をここまで読んだ人は、割と序盤にオチに気づくかな。
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リンカーン・ライムシリーズ十二作目
毎回、レベルが高いので
「面白いから後で読もう」と、いつも買ってから読むまでかなり間が開く。
個人情報、電気、刺青など毎回ワンテーマで一作仕上げてくるのが定番化しています。
今回の敵は、家電や自動車、エスカレーターなどをリモート制御(スマートコントローラー)する未詳40号
プロの殺し屋というわけでもない、ちょっとだけ目立つ風貌の若者?なので派手なアクションを期待してなかったものの見せ場アリ、下巻に入ると上巻で仕込んだアレやこれやが炸裂してきます。
サックスと一作目で別れたニック(犯罪に手を染めたが無実を証明するために奮闘)との復縁?や…ライムにも同じく -
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なんの予備知識もなく読み始めてSFなんだと気がついたところから、このタイトルの意味するところ、3部のそれぞれのタイトルが気になり読み進める。これは壮大すぎるストーリーですね。オーブァーロードと呼ばれる宇宙人は、人類の歴史に介入することで滅亡を回避させるが、その目的が中盤までの最高の謎であり、終盤でとても納得出来る理由を提示してくれスッキリするも、人類にとってのバッドエンド?につながるスケールの大きさ。
オーブァーロードが人類に提示される程よいテクノロジーの提供で黄金期を迎えた人類の生活がとても羨ましい。確かに争い事は無くなるでしょうけど、向上心もなくなりますね。
人類の現在の形態は幼年期である