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Posted by ブクログ
蜜蜂が忽然と消えた というニュースを聞いてから
20年以上経っている。
ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象
蜂群崩壊症候群=CCD(Colony Collapse Disorder)
は世界で発生し 多くの養蜂家が廃業した。
その原因はいまだ特定できていない。
私達は この事実をほぼ無視した国に生きている。
蜂蜜も普通に売られているから
CCDについて知らない人も多いことだろう。
ゾッとしたのは
CCDの原因の一つとされ
欧米諸国が禁止した
ネオニコチノイド系農薬を
日本政府は禁止どころか規制緩和していることだ。
国連環境計画(UNEP)によれば
「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち
7割はハチが受粉を媒介している」そうだ。
蜜蜂の訪花活動がなくなれば
世界的な食糧難は避けることができないだろう。
前置きが長くなったが…
この本は
3つの時代と場所で
蜜蜂に関わった3つの家族の物語だ。
19世紀末のイギリス
21世紀初頭のアメリカ
そして21世紀末の中国。
時と空間を超えて集結する3つの流れは
やがて…。
蜜蜂を育ててきた過去があり
蜜蜂が消えつつある今がある。
そして
もし蜜蜂が消えたら
人間の未来はどうなるのか。
ノルウェーの作家 マヤ・ルンデは
蜜蜂が鍵を握る未来社会を描いた。
蜜蜂のいない世界がどれほど
殺伐としたものか。
想像したこともなかったから
この春 庭の花々を求めて飛びまわる
熊蜂たちがなんとも愛おしく見えた。
いまコロナ禍にあって
私達が見ているようで
見ていないもの
見えていなかったものが
どれだけたくさんあるか 気づいた人も多いと思う。
天変地異だけでなく
生物の激増・激減や
新たなウイルスの発生と変異。
そうした自然界の警告に真摯に耳を傾けないと
人間社会に未来はないと
改めて確信した。
Posted by ブクログ
ちょうど星4つな面白さ。
異なる時代の異なる場所での3つの物語が交互に進展していくというスタイル。3つの物語は徐々にその共通点を明らかにしていき、それなりの収斂を見せる。
まず第一に、3つの時代の話が交互に描かれるそのサイクルが速すぎると感じた。
それぞれの時代での場面の描写がいちいち短く、物語として軽薄な印象を残した。
そしてSFファン的にはどうしてもスパイスが足りない。
ディストピア成分というか、ミステリー成分というか、読者を惹き付ける軸が弱い。
面白かったのは未来の中国編で、それ以外の2つはやや退屈。2つの時代の登場人物の区別がつきづらかったほどだ。
中国編でのあの緊迫した雰囲気の描写は非常に良かった。
最終的にはそれっぽくネタバラシが行われるけれども、それは非常に解説的で、読んでいる方としても義務感で読破まで漕ぎ着けた感があった。
海外でのベストセラーとのことで、期待値を高く持ちすぎたかもしれない。
Posted by ブクログ
21世紀に入り、世界に大きな謎を投げかけた「蜂群崩壊症候群・CCD」。世界中で同時多発的に、蜂の群れが死骸も残さず、空の巣箱だけを残して忽然と姿を消した現象。いまもって解明されていないこの怪異は、ニュースに触れた者に、終わりの始まりを予感させたところがあったように記憶している。
本作は2098年の中国を舞台にして始まる。蜜蜂が絶滅した世界では、農業に致命的な危機が訪れ、もはや数十億の人口を養う食物が確保できない。欧米をはじめとする先進国は衰退し、受粉を人海戦術で行う恐怖体制を組織できた中国だけが唯一、国家の体を成していたという設定。面白い。
物語は3つの軸から成り、1852年の英国では、養蜂用の巣箱を開発した男とその家族について語られる。2007年アメリカでは、CCDにみまわれた養蜂家の失意が描かれる。そして2098年の、世界半崩壊後の中国。
3つの物語をつなぐのは蜜蜂。蜜蜂という小さな存在が、世界のバランスを際どく絶妙につなぎとめているという設定は、不気味な手触りがする。
しかしながら突飛なSFではなく、現に世界がその入り口にあるのかもしれない、という悪い予感も感じさせるところが、新手の終末小説のようで斬新。単なる ifものに堕していない。
優れた小説の例に漏れず、本作も3つのストーリーの絡み合い方は練られており、フィナーレに向けて一本の糸に縒り合されてゆく技術は鮮やか。読んで損なし。
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小説・文芸
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