池田真紀子のレビュー一覧
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3人の女性の話が時系列に沿ってAさん→Bさん→Cさん→Aさん→…といった感じに何章か分かれて紹介されていく、というよりは完全に小説物語として話が進んでいく。
重い…けど、人間のリアル。登場人物誰ひとり、誰のことも責めない。自分が自分の人生を生きて、選んでると思っている。でも裏にあるのは根強い男尊女卑思考やロマンチックラブイデオロギー。古い慣習の下で育ったり、虐げられた数々の記憶に縛られ、がんじがらめにされている女性たち。それらが欲望となって現れている。かなりリアル。自分の中にも、あるな。この感覚。と、知らずに引き込まれて行く。性描写は多いのだけれど、官能小説としては読めない。ノンフィクションの、あなたの中にもきっとある欲望の話です。 -
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20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ、コンゲーム、ラブロマンスと幅広いジャンルの作品が揃う。
翻訳陣もニクイ。スティーブン・キングには白石朗、マイケル・コナリーには古沢嘉道と、過去に夫々の作家の翻訳を手掛けた人を起用している。
贅沢な一冊。
個人的にはロス市警を退職し私立探偵となったハリー・ボッシュが登場するマイケル・コナリーの『夜鷹 ナイトホークス』が一押し。 -
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スケールの大きなタイトルだ。何せオーストラリア発のベストセラー作品、満を持して、華やかに登場! ページを開くと、すぐさま感じられるのは、高密度な文章による作風。物語力の高度さ。少し取っつきにくいくらいの言葉の奔流。それに何と言ってもイメージの横溢。これこそ少年の感性そのものかもしれない。それを大人になって完成された文章力が過去への旅程を辿り掬い上げたものなのかも。
物語の牽引力は半端じゃない。少年イーライの育つオーストラリアはブリスベン郊外の田舎町。少年と親しい老人は、殺人の罪で獄中で生涯を過ごした脱獄王スリム。60歳も歳の差がある老人が少年に教えるのは人生の知恵と夢。
少年の兄オーガストは5歳の頃から口をきかなくなり、空中に指で文字を描く。描かれた唐突な文字の予言に満ちた不可思議さは、小説後半への伏線となるので要チェック! 伏線は他にいくつも。隠された赤い電話。獄中の囚人にイーライが書き送る手紙。記者になる夢。麻薬密売に手を染める義父と母。彼らを取り巻く麻薬組織の悪のあまりの暗黒さ。
最初のイメージは夢多き少年の冒険小説。ファンタジー・ランドみたいに見える作品世界は、大人たちの経済の論理で崩れてゆく。暴力と血と奸計とが、少年の周囲にある平和をこれ以上ないほどに搔き乱す。イーライにも試練が訪れる。いろいろなものを一気に失ってしまう衝撃的な時間。
その後の第二幕は、失われた平和の跡みたいな、アル中で壊れた父との暮らし。そんな中でもさらに成長を続ける兄弟の物語。新たな未来に向けた少年のあくなき想像力と、たくましさを見よ。
世界の美しさ。そして残酷さ。消えていった謎。さらに深まる伏線の数々。独特な語りと描写に引きずり込まれる。物語力ということの凄みさえ感じられるのが本書の中盤だろう。
そして終盤。十代最後に近づき、夢であったジャーナリストの道を踏み出したイーライが、世界と本格的に格闘する物語。ばら撒かれてきた伏線と仕掛けが一気に花火のように爆発する時。こういう物語か? と俄かに信じがたいほどに、懸崖を墜落するが如く様相を急変させるこの不思議な小説。プリズムのように絶え間なく色を変える正体のわからない物語と少年の未来。
ずっと家族の物語。ずっと夢の物語。ずっと冒険の物語。作者は自分自身、実際にジャーナリストを夢見た少年のモデルであったそうである。脱獄王スリムも、麻薬密売で連れ去られた義理の父親の運命も、本当の父親の本の虫ぶりも、物語の半分は少なくとも作者自身の体験からの物語ということである。
現在の作者を作り出したすべてのエネルギーは、本書の少年イーライに込められているだろう。この作品に注がれた作家の情念は半端ではない。
ちなみに本書のタイトル、各章の小タイトル、共にすべて、三語だけで成り立っている。それにはわけがある。他のあらゆる精緻な伏線もあちこちに仕掛けられている。鳥肌が立つほどの準備の多さに恐れ入ってしまう。まるでおもちゃ箱。仕掛け屋敷。
ちなみにいくつかのシーンでイーライは窮地に陥る。そういう時、過去から差し伸べられる救いの手には、感動のあまり胸が詰まることがある。あれはこの時のため? 仕掛けの多さに驚きを禁じ得ないし、そこには人間の深い魂同士が繋がっている様が感じられる。心から情感を揺さぶられる物語。
本書の今後の評価が実に楽しみな傑作である。どなたにも心よりお薦めしたい掛け値なしの傑作である。 -
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面白い。どの話も、最後にどんでん返しが用意されていることが多く、話としてもしっかりまとまっていて面白い。
ジョナサンがいない 叙述トリックというべきか、男の正体と女の目的がわかった時のスッキリ感
ウィークエンダー
サービス料として
ビューティフル 美しさ、というものが時に人生を狂わせることも…面白い
身代わり
見解
三角関係 これぞ叙述トリック
被包含犯罪 シリーズ化して欲しい。すっきり
宛名のないカード 嫌ミス系かな。
クリスマス・プレゼント どんでん返しからのどんでん返し、からのどんでん返し。すっきりします。
超越した愛 この小説をここまで読んだ人は、割と序盤にオチに気づくかな。
パイんクリークの未亡人 強い女。これもどんでん返し系だけど、最後のところはやはりもうここまで読んだ人は気づくかな。
ひざまずく兵士 ブラックジョークが聞いたオチで秀逸。 -
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リンカーン・ライムシリーズ十二作目
毎回、レベルが高いので
「面白いから後で読もう」と、いつも買ってから読むまでかなり間が開く。
個人情報、電気、刺青など毎回ワンテーマで一作仕上げてくるのが定番化しています。
今回の敵は、家電や自動車、エスカレーターなどをリモート制御(スマートコントローラー)する未詳40号
プロの殺し屋というわけでもない、ちょっとだけ目立つ風貌の若者?なので派手なアクションを期待してなかったものの見せ場アリ、下巻に入ると上巻で仕込んだアレやこれやが炸裂してきます。
サックスと一作目で別れたニック(犯罪に手を染めたが無実を証明するために奮闘)との復縁?や…ライムにも同じく車椅子で生活する弟子が出てきたり…
ちょっとライムとサックスの関係にひびを入れるために、設定をひっくり返そうとしてないか?と思いきや
このニックが、ムショにいた間の技術の進歩とスマートコントローラーの話題が少しリンクして違和感なく技術について触れるので見事としか言いようがない。
毎度のことながら気づいたら一捻り、ふた捻りと展開が動く。
以前は登場人物一覧の常連だった
懐かしい面々(この人が出てくると先の展開が少しわかるみたいな事も…)も
登場して、久しぶりに昼休みも返上して読みました。 -
ネタバレ 購入済み
精神障害の真贋
一部ご紹介します。
・精神障害とみなされることが、ある人の有利に働くことがある。責任能力を問われずに済むということで。
例えば戦うことを厭う兵士。保険金詐欺犯。罪を犯した者。もしくは罪を犯そうとする者。
・幽霊というのは、正気の人間が他人に対し、狂気を偽ろうというときに使用する古典的な幻覚だ。
幽霊や霊魂とはいかにも妄想の産物だ。しかし、正気を失った者には理解できるものではない。
本当の精神病患者というのは、実在する人間が自分に話しかけていると思い込む。
幽霊の声が聞こえるのではない。実在する人間の声がじかに聞こえるのである。
本物の精神病患者は、頭の中で声がする、などとは決して言わない。自分は絶対に正気だと言い張るのだ。
・真正の精神障害の場合、化粧がまず最初におかしくなる。患者はただ塗りたくるのだ。
これは自分の正体を隠そうとする行動と関係してくる。
・精神医学において、ユーモアは日常体験に基づく概念の皮肉な並置と定義される。
精神障害のある者の思考プロセスとは真逆だ。頭のおかしい人間は冗談を言わないのである。
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ネタバレ 購入済み
ロカールの交換原理
一部ご紹介します。
・動機は犯罪捜査を支える最も弱い部分。
とはいえ、動機が明らかになれば、それが指針となって、有罪を立証できるしっかりした証拠にたどりつける場合もある。
・目撃証人の証言は本当に信頼できるのか。
どんなに正直な証人であっても、勘違いはする。
何かを見逃したりもする。見たものの解釈を誤りもする。
・ロカールの交換原理:犯人と犯行現場、または犯人と被害者の間で必ず塵のような微細証拠が好感される。
どれほどはなかいものであれ、そのつながりを証明できれば、犯人は見つかり、犯罪は解決して、
これから起きるかもしれない悲劇を防ぐことができるかもしれない。
しかし、その結びつきを確立する前提として、捜査官が微細証拠を発見し、同定し、
その意味するものを正しく解釈する必要がある。
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結構前に読んだので曖昧だが「ベグビーはサイコ野郎だけど友達だからしょうがない」的なフレーズ。
これはこのシリーズを象徴するフレーズであると思う。
この小説に出てくる人物は友達は全員クソ野郎でやってる事もめちゃくちゃだ。不満が無いわけは無い。
現実の私の友達も毎週でナンパしてるし、約束もすっぽかすし、勝手に帰るし、電話も途中で切る。しかし、なぜか奴ら遊んでて楽しい時がある、ここで語られる「友達だからしょうがない」は常識的な誠実さとは違った誠実さだと思った。
友達や家族とは犯罪犯してようが人生の骨格を作る要素であり消えないもの。人間関係とは本来そう言うものだと思ってる。連絡先をブロックすればすぐ辞められる。距離感がドライになっていく時代でこれ程勇気を貰った言葉は無い。
なにかと合わなければ距離感もって人と接するクソみてぇなライフハックがネット上に横行してる現代だからこそ個人的に響いた -
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蜜蜂が忽然と消えた というニュースを聞いてから
20年以上経っている。
ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象
蜂群崩壊症候群=CCD(Colony Collapse Disorder)
は世界で発生し 多くの養蜂家が廃業した。
その原因はいまだ特定できていない。
私達は この事実をほぼ無視した国に生きている。
蜂蜜も普通に売られているから
CCDについて知らない人も多いことだろう。
ゾッとしたのは
CCDの原因の一つとされ
欧米諸国が禁止した
ネオニコチノイド系農薬を
日本政府は禁止どころか規制緩和していることだ。
国連環境計画(UNEP)によれば
「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち
7割はハチが受粉を媒介している」そうだ。
蜜蜂の訪花活動がなくなれば
世界的な食糧難は避けることができないだろう。
前置きが長くなったが…
この本は
3つの時代と場所で
蜜蜂に関わった3つの家族の物語だ。
19世紀末のイギリス
21世紀初頭のアメリカ
そして21世紀末の中国。
時と空間を超えて集結する3つの流れは
やがて…。
蜜蜂を育ててきた過去があり
蜜蜂が消えつつある今がある。
そして
もし蜜蜂が消えたら
人間の未来はどうなるのか。
ノルウェーの作家 マヤ・ルンデは
蜜蜂が鍵を握る未来社会を描いた。
蜜蜂のいない世界がどれほど
殺伐としたものか。
想像したこともなかったから
この春 庭の花々を求めて飛びまわる
熊蜂たちがなんとも愛おしく見えた。
いまコロナ禍にあって
私達が見ているようで
見ていないもの
見えていなかったものが
どれだけたくさんあるか 気づいた人も多いと思う。
天変地異だけでなく
生物の激増・激減や
新たなウイルスの発生と変異。
そうした自然界の警告に真摯に耳を傾けないと
人間社会に未来はないと
改めて確信した。 -
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継父の回復で喜ぶ中、またまた2人を脅かす試練。思いがけないアナの妊娠に慄き怒りをぶちまけるクリスチャン。埋まらない溝、クリスチャンの裏切り、そしてジャックの卑劣な攻撃と、ストーリーが目まぐるしく展開していく。勇敢な行為でクリスチャンとミアを救ったが大怪我を負ったアナ。でも、その事でようやくクリスチャンと本当の絆が生まれた。長年にわたる深い闇から解放されたクリスチャン。まさしく命がけでアナは幸せを掴み取った!あの「メンドクサイ」クリスチャンも良かったけど、幸せに溢れたエピローグでのクリスチャンもとても素敵でした。皆がハマるのも納得のおもしろさ!
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ゴタゴタの連続だった豪華ハネムーンも終わり帰国した途端、何者かに狙われた2人。ハネムーン中に起きたクリスチャンの本社のサーバーの火災の犯人を突き止め、行方を追う。(どこまでセキュリティがユルいのだ!)アナは編集長として職場復帰するが、職場では旧姓を使ったことでクリスチャンの怒りを買う。でも、彼は実は深く傷ついていた。ホントにメンドクサイやつ!と思いながらもアナへの想いの深さが良く分かる。アナの為に全てを与えようとするクリスチャンと、想像を絶する程の何でも手に入る生活に戸惑うアナ。この先2人が、どんな夫婦関係を築いていくのか楽しみ♪そしてジャックとの決着も!