他のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
魔都ロンドンを舞台とした怪談集。
…なのだが、なんだか似通った印象を受ける作品が多いのがややマイナス。
あとがきにも書かれているが、いろんな意味で下心ある男性と、犠牲になる女性、彼らを含む三角関係…という話が多く、男性が医者という設定が共通しているものも。
一応、ストーリーや結末は異なっているのだけれど、なんか似た感じの話を繰り返し読んだ感じが短編集&ほぼ初邦訳のお得感を削ぐ。
とはいえ、面白い!は勿論ある。
「物理で倒す」系の「ウェラム·スクエア十一番地」、ロンドンを象徴する「犯罪」と「降霊会」の組み合わせ「降霊会の部屋にて」、
なんとなく美少女(ツンデレ?風味)ラノベな雰囲気のある「令嬢キティー」。
特に「降霊会の部屋にて」は、犯罪蠢き、心霊大国であるイギリスロンドンらしい作品だと思った。
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Posted by ブクログ
知識人の責任
著:ノーム・チョムスキー
訳:清水 知子
訳:浅見 克彦
合衆国が、既得権益保護のために世界規模の反革命運動の指導者になったことを本書は嘆いている。
ベトナム戦争のみならず、南米においても、第2のベトナム戦争を展開しようとしていることもだ
気になったのは以下です。
■知識人と学校についての考察
権力と権力を合理的に行使しようとするために忠義を尽くそうとしている、アメリカの知識人について、率先して、その政策の実行を支援していることについて恐ろしいと語っている。
アメリアのそれら知識人を批判するとともに、啓蒙と自らを導いていくための指針をもとめてさまようことになるだろうとしている。
■知識人の責任
・戦争への加担、擁護の責任
・真実を語り、嘘を暴く責任
・事態を歴史的観点からとらえず、偽善的道徳の文脈のなかに位置づけない場合
・懐疑の欠如
・苦しみや悲惨を完全に無視する態度
・責任ある批判
・専門家に対する崇拝は、自己利益になるとともに、同時に詐欺的なものである
・知識人の責任は、基本的な関心にむけられなければならない
・民主主義の制度を築き上げることによって新しい社会に成長しうるのかどうか
・まとまった軍隊の使用はそれ自体としては非合法なものである
■抵抗について
・徴兵拒否、税金の不払い
・反対から、抵抗へ
・アメリカ人であることを恥じる
・直接行動 デモへの参加、演説
・反対運動と、抵抗運動は二者択一ではなく、相互に補強し合っていくべき運動だ
・効果的な政治運動 破壊行為は、中産階級を動かし得ない
・批判活動への代償の過小評価、政府を過小評価している
■普遍的知識人
・真実の暴露による倫理的批判が、しばしば人々によって受け流されて空回りに終わる
・知っている者の言説が、知らない者を動かすという関係が機能不全に陥っている
・過度に道徳を追求する、ひとりよがりのエリート主義
・エリートは同じ穴のむじな
・おのおの知識人が引き受けるべき専門的領域ではなく、市民共同体をめぐる言動にむけられるかが問題である
・サルトルのいう、権力者の知識人観
・虚偽をふりまく政府の宣伝と、それを後押しするマスコミによって、誤った事実認識と判断が人々に浸透してしまう
・知らされていない大衆、わかっていない大衆
・情報操作によって現実認識を誘導され、政府の政策に受容するように仕向けられる
・真実をしらされても、それだけでは、批判の意識と行動への傾かない受け手という理解を対置する
・問題なのは、さまざまな個別分野にたずさわる知識階層が、相互に他の分野との関係と統一を考慮し、知的営為全体の総合的な一体性を確保することができなくなっていることだ
・知識のエリートですら、互いの専門的の知のシステムの統一的な理解を持ちえない現状で、大衆に理解を求めることが可能であるのあるのか。
・大衆からは、専門的な知識と判断は、素人の良心や倫理によって足蹴にできるようなものではないはずだ。
■知識人の十字路
・政治論や、イデオロギー批判のような専門的知識や技術はかならずしも必要ない
・バーチャル知識人 正義と数理がかみ合っているシステム論的な思想として持ち上げらえれることの特異さ
・伝統的知識人から、有機的知識人へ
・すべての人が、知識人、情報労働者であるようなメディア社会やポスト産業社会では、有名性によって言説を行使する知識人とは別のモデルが登場してくる
・特定領域の知識人とは、もはや真理や正義の所有者ではない
・正義の知識人
■不服従
・現場の映画撮影
・時間と空間を共有する作品、記述
・爆撃を模した音声
・ネット配信へ
・市民的不服従
・ハト派知識人への厳しい批判
目次
第1部 知識人の責任 ノーム・チョムスキー
第1章 知識人と学校についての考察 清水知子 訳
第2章 知識人の責任 浅見克彦 訳
第3章 抵抗について 野々村文宏 訳
第4章 「抵抗について」の補遺 野々村文宏 訳
第2部 「知識人」という文体
第1章 普遍的知識人の現在 浅見克彦
第2章 チョムスキー、知識人の十字路 上野俊哉
第3章 音の不服従、映像の不服従 野々村文宏
訳者あとがき 浅見克彦
ISBN:9784787210371
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2600円(本体)
2006年01月21日 -
Posted by ブクログ
ネタバレブラム・ストーカーが吸血鬼モノの嚆矢だと思っていたのだが、先行する作品が存在することを知ったのは、数年前、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』を読んだときのことだ。同作品は著者であるメアリー・シェリーが、バイロンらとともにレマン湖畔に滞在し遊戯的創作が提案されたときに着想を得たという。本書のタイトルになっている吸血鬼ラスヴァンは、バイロンの専属医であり、その場にも居合わせたポリドリの手になるもので、これをもって吸血鬼モノというジャンルが誕生したとされる。
紹介されている作品群には19世紀のものとは思えない瑞々しさがあり、現代の作品に見たあれやこれやが散りばめられていて驚かされる。
ゴシック小説というものに勘所がないため、読み進めるに連れ、本書にはフォークロアがホラーと成る階梯を踏みしめているような印象を得た。そのような浅学の身にとっては、本書解説はありがたい。そこで示された多数のタイトルは、次の読書のよき導き手となってくれよう。
以下余談。
『魔王の館』について雑感。魔王とはレジナルド・クラークなる登場人物のこと。
この人物の在り様に、AwTという、今でいう同人TRPGで創造したキャラクターのことを思い出す。人ならぬなにかであり、「芸術家」を名乗った。奇妙な一致もあったものだ。 -
Posted by ブクログ
全部は読んでいない。GENESISが雑誌になって、ノリの良さが前面に出た感じ。これもまた良いな。
ゲラゲラ笑った青崎有吾さんのメカくらりは別枠として、高山羽根子さん、笹原千波さん、の作品が特に好きだった。
■笹原千波『手のなかに花なんて』
肉体を捨てて情報人格として生きることを選べる世界。花と料理と。
■柞刈湯葉『記憶人シィーの最後の記憶』
あれ、なんかいまいちだった。
■宮西建礼『冬にあらがう』
いつもの宮西さんの、高校生が静かに世界を救うモノなのだが、AIが絡んできた。私いまいちまだ人工知能なるもののすごさがわかってなくて。やっぱ人間その程度のことも考えるのやめちゃだめじゃない?検索エンジンと電卓だけでじゅうぶんだよと、思う今日。
■熊倉献『空中楼閣』(まんが)
ラストかっけー。
■高山羽根子『その場所の名前を』
ラスト直前シーン起こったことの解釈がまだできていないが、気になる要素たくさん(場所当てゲーム、これまたAIなど)。
■宮澤伊織『ときときチャンネル#6【登録者数完全破壊してみた】』
数学?理論?
■アイ・ジアン『英語をください』
言語を単語単位で取引できるようになった近未来。初めて見たアイデア。
■青崎有吾『くらり vs メカくらり』
遊び過ぎ!東京創元社IZAMファン多過ぎ!(面白かった)
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Posted by ブクログ
「吸血鬼ドラキュラ」以前の傑作集ですから、もちろんドラキュラを超えるような小説があるはずありせん。更に吸血鬼に出てこない話もあったりするのですが、一番面白かったのは表題作、ポリドリの名作「吸血鬼ラスヴァン」。若き紳士オーブリーが旅の友に選んだラスヴァン卿。旅の途中でラスヴァンの正体を知るも山賊に襲われラスヴァンは「自分のことは誰にも話すな」と言い残して命を落とす。しかし死体は消えてしまった。その後ちらつくラスヴァンの影そして彼との約束。怯えるオーブリーにとって最悪の結末が待っていた!
話がよくできてますね。現実なのか神経症なのか。恐怖が募っていきます。
そしてドラキュラ以前のもう一人のスター「吸血鬼ヴァーニーあるいは血の晩餐(抄訳)」。この話は英語でも全2巻で900ページくらいあるらしく抄訳は他のアンソロジーにも翻訳されてて読んだことあるけど、まあ、部分的に読んでもよくわからない。抄訳なんで仕方ないですね。
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ヴィクトリア朝英国の魔都、ロンドンを舞台とした、
幽霊譚のアンソロジー。本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
・ロンドンの地図
ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ
・・・父娘が出会った未亡人の不可解な行動と、
邪な者への不可視な者の怒り。
C―ストリートの旅籠 ダイナ・マリア・クレイク
・・・旅籠の窓を叩いた音。それは鳥か?それとも?
そして不幸が。
ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・メイジー
・・・代々の当主たちが去らざるをえなかった邸に、蠢く者。
シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット
・・・生前も死してからも繰り返される愛人の訪問の恐怖。
ハートフォード・オドンネルの凶兆 シャーロット・リデル
・・・アイルランド出身の外科医が聞いた<あれ>は死の予告。
ファージング館の出来事 トマス・ウイルキンソン・スペイド
・・・毎月同じ日に現れる不可視の者。明らかになる過去の悲劇。
降霊会の部屋にて レティス・ガルブレイス
・・・霊媒師への質問に対する回答は、暴かれる男の罪。
黒檀の額縁 イーディス・ネズビット
・・・肖像画の中から出てきた女性に魅了された、
わたしの、人生こそが夢。この現実が夢。
事実を、事実のすべてを、なによりも事実を ローダ・ブロートン
・・・往復書簡に綴られる忌まわしき邸での狂気と死。
女優の最後の舞台 メアリ・エリザベス・ブラッドン
・・・ 現実と芝居の愛憎劇が交錯する。その吐息は今生の別れ。
揺らめく裳裾 メアリ・ルイーザ・モールズワース
・・・かつて好意を抱いた女性の霊は横顔しか見せなかった。
隣牀の患者 ルイーザ・ボールドウィン
・・・病室の隣の患者の告白は数奇な人生。そして、
彼の今わの際に訪れたのは、亡き恋人の姿だった。
令嬢キテイー ウォルター・ベサント、ジェイムズ・ライス
・・・新居に住まうのは元気な娘の霊。なんて陽気な幽霊譚。
・編者あとがき―魔の都、霊の市/夏来健次
ヴィクトリア朝の魔都ロンドンが舞台の、幽霊譚13篇。
語られるのはジェントル・ゴースト・ストーリー主体。
シチュエーション重視でストレートに怖い話は少ないし、
真相はよく分からぬ話多し。そんな、この時代の幽霊怪談と、
当時のロンドンの雰囲気を味わうのも、また良いかも。
「ウェラム・スクエア十一番地」は結構怖い。
オブライエンの「あれは何だったのか?」と近しい内容。
「令嬢キテイー」は楽しくて、なかなかの佳作でした。
「事実を~」の舞台はロンドンで最も有名な幽霊屋敷で、
ブルワー・リットンの「幽霊屋敷」のモデルでもあります。
双方を読み比べると、書き手によっての違いが判るのも
面白かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ聖書をどう読むか、作家や批評家が語る。
作家の池澤夏樹は文学によく引用される箇所を中心に紹介する。クリスチャンでない者には「イエス・キリストというのはたいへん優れたスピーチライターであり、コピーライター」(p.33)と見ることもできるという。
旧約聖書研究者の秋吉輝雄は、「清く正しい」新約聖書に対して旧約聖書は矛盾の塊であると指摘する。それは、旧約聖書が時制のないヘブライ語で書かれているからであり、過去に起きたことを記述したというよりも「いままさに眼前で行われている」(p.56)ことを文書に重ねているからだという。「まだ結末が確定していない現在の話」(p.56)である以上、矛盾が内包されていても気にしない。これは、時制を区別するギリシャ語で書かれた新約聖書との大きな違いであるという。
哲学研究者の内田樹は、レヴィナス研究から聖書を読むようになったと語る。ホロコーストを生きのびたレヴィナスは、神の不在を説くようになる。これは単にユダヤ教を否定し無神論に走ったというわけではなく、彼はユダヤ教とはそのようなものだと解釈したのであった。つまり、「人が困っている時には助け、善行すれば報奨を与え、邪な行いをすれば罰を与える」というような神が存在するのだとすれば、それはもはや人が神をコントロールしていることになる。そうではなく、「神は地上の出来事には介入してこない」(p.76)のだと説いた。
そのほか、橋本治や吉本隆明も論考を載せているが、最も面白いのはやはり田川建三のインタヴューであろう。
新約聖書を研究していく上で彼はさまざまな読み方の可能性を提示する。それは、今現在の聖書の文面を絶対視する教会の考えとは相容れないものだ。田川によれば、当時の地中海世界ではギリシャ語が国際語として用いられており、したがって新約聖書もギリシャ語で書かれたが、しかし書いた本人にとってギリシャ語は母語ではなく第二言語であったりするため、ギリシャ語の文法や語法の誤ちが含まれているのだという。また後に西方教会がラテン語訳した際にも誤訳が発生した。こうした文法や語法の誤ちを指摘できるのは、彼がギリシャ語をはじめ様々な言語に長けているからだ。聖書の内容を唯一絶対とせず、古文書として批判的に読み込む彼の姿勢には共感を覚える。
インタビューの中では彼の人生もつづられている。彼の学生時代に始まりフランスやドイツでの研究生活、国際基督教大学(ICU)での学生運動、そしてザイール国立大学での生活など、すべてが興味深い。ザイール(現コンゴ民主共和国)では、白人の宣教師が語ろうとしなかった貧困についてあえて取り組んだという。学生に対して「幸いなるかな、貧しい者」と説いても、実際に貧困に苦しむ黒人の学生にとっては貧しさが幸いであるわけがなく、到底受け入れられるものではない。田川はこうした学生との対話を通じて、この言葉をどう理解して読んでいくべきかを語る。
「神を信じないクリスチャン」と書かれているが、彼は無神論者ではなく不可知論者であるため、正しくは「神を信じるとはいえないクリスチャン」というほうが正確かもしれない。神の存在を積極的に認めることはしない彼の考えが、このインタヴューから明らかになる。そして、それでは「クリスチャンになる」「クリスチャンである」ということはどういうことなのか、についても考えさせられる。 -
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ヴィクトリア朝英国、クリスマス幽霊譚のアンソロジー。
本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ
・・・クリスマス・ツリーから拡がる空想と幽霊譚の散文。
死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル
・・・悪魔によって甦った男が会いにいった恋しい女の正体。
わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ
・・・深夜、微風に乗って聴こえてきたのは、あの旋律。
鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン
・・・鋼の鏡に現れたのは我が妻。友との約束を違え、
急遽帰宅した男の元に届いた知らせとは。
海岸屋敷のクリスマス・イブ イライザ・リン・リントン
・・・その屋敷に越したのは必然か?過去の悲劇が暴かれた。
胡桃邸の幽霊 J・H・リデル夫人
・・・現れる幽霊の少年の悲惨な過去。だが、救いが訪れる。
メルローズ・スクエア二番地 セオ・ギフト
・・・この家には誰かいる。だが家政婦は頑なに否定する。
謎の肖像画 マーク・ラザフォード
・・・人生の節目に現れた美女は、変わらぬ美貌を向けた。
幽霊廃船のクリスマス・イブ フランク・クーパー
・・・鴨撃ちで乗り込んだ廃船で過ごした、恐怖の一夜。
残酷な冗談 エリザベス・バーゴイン・コーベット
・・・叔母を怖がらせる怪談が起こした悲しい顛末。
真鍮の十字架 H・B・マリオット・ワトスン
・・・邪悪な場所の幽鬼に憑りつかれた、彼女の運命。
本物と偽物 ルイーザ・ボールドウィン
・・・悪意の無い悪戯であれど、幽霊を侮ってはいけない。
青い部屋 レティス・ガルブレイス
・・・暴かれる真実。部屋の憑き霊は幽霊ではない。あれは・・・。
編者あとがき―聖き夜、怖き宵
ヴィクトリア朝の雰囲気で彩られる幽霊譚13篇。
主にクリスマス、或いはその時期の物語で、怖い話有り、
真相はよく分からぬ話有り、ともあれ登場する幽霊は様々。
この時代の幽霊怪談はこういう感じなんだなぁと、
味わうのも、また良し。ディケンズの散文は、
当時読まれていた本についてが分かり、参考になりました。
物語としては、終盤に救いが訪れる「胡桃邸の幽霊」と
リアル感抜群の「幽霊廃船のクリスマス・イブ」、
家政婦が語る謎の解明「青い部屋」が良かったです。