他のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
数多の西洋怪奇小説の紹介と翻訳で、本邦における怪奇翻訳の礎を築いた、翻訳業界そして編集業界の巨匠、平井呈一。彼の偉業である怪談翻訳集成第2弾、前半は平井をして「近世怪奇小説四天王」と言わしめた4人のうち、M.R.ジェイムズとA.ブラックウッドの傑作選、後半は平井の翻訳者の原点である初期翻訳作品2点の他、彼が翻訳したラフカディオ・ハーンの文学講義や平井氏の翻訳に対する姿勢が見えるエッセー等を収録。
以下、なるべくネタバレなしの収録作品各話感想。
---------------------------------------------------------
★ジェイムズ「消えた心臓」(1 -
Posted by ブクログ
・またである。何匹目の泥鰌になるのか。夏来健次編 「ロンドン幽霊譚傑作集」(創元推理文庫)、この手の物語の愛好家が多いのであらう。私もそれに当たるのか、何匹目かにもかかはらず私は買つた。この古風な物語にはこのまま捨て おき難いものがある。しかし、最後は忘れてしまふ。そんな物語ばかりである。本書には13編収録、 巻頭のウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊」のみ既訳あり、他の12編は初訳である。コリンズ 以外で知つてゐる人はイーディス・ネズビットぐらゐであらうか。「砂の妖精」の作者である。これ以 外の人は知らないのだが、ネズビットを含めて9人が女流作家である。意識して選んだのかどうか。たぶん意識
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレタイトル通りヴィクトリア朝期英国、それもクリスマス限定でなくちょうどこの時季を舞台にした幽霊譚13編。内12編が本邦初訳だそうだが、全体を通しての味わいは期待通りだった。
好みの作品いくつかについて。
・クリスマスの日の情景を描いたエッセー的なC.ディケンズ「クリスマス・ツリー」。ツリーや種々の飾りに纏わる思い出話は次第に昏い色を帯びていき……。ツリーが造り出すクリスマス、そして冬の夜の光と影。
・「海岸屋敷のクリスマス・イブ」E.L.リントン
イングランドの西端コーンウォールの家を購入し移り住んだ若い夫婦。妻は家の管理人ベンリースという男に言い知れぬ嫌悪感を抱く。その後悪夢を繰り返し見る -
Posted by ブクログ
鈴木智彦、望月衣塑子、西崎伸彦、鳥集徹、ほか『日本の黒い聖域』宝島SUGOI文庫。
2022年1月に刊行した宝島社新書『日本のタブー3.0』を改訂し、再編集、文庫化。忖度報道に終始する大手メディアが報道しない『聖域』をテーマにした15本の記事コラムを収録。
新型コロナワクチン。新型コロナウイルス感染症が5類になってからは感染状況が詳しく伝えられず、どう対処すべきか全く解らない。未だに会社では何人か感染者が出ているが、マスク着用が個人の自由とされたので始末に負えない。製薬会社や政府の広告収入が目当てでワクチンの副作用や接種後の死亡例を伝えないマスコミ。ワクチンを接種しようが、感染するし、感 -
-
Posted by ブクログ
秋永真琴『ファインダー越しの、』:創刊号に載ってた『フォトジェニック」の森島さんが再登場で嬉しい。まだ続きがありそうで楽しみ。ただ、私は、完全に森島さんの興味対象外の「素朴な(婉曲表現)男性たち」たる「みやっちさん」側の人間なんで、ちょっとへこむ。
「自分は写真写りが悪い」という認識に「いやいや、だいたい実物通りに写ってますが?」、「そういうネガティブなのか自分に自信があるのかよくわからない人より、あたしのほうが前向きで幸せじゃないかな。」とばっさり切り捨てられて、かなり、ぐさっと来たけど、おっしゃるとおり。素敵です。みらいさん。
真門浩平『ルナティック・レトリバー』:単純に面白く読んで、こ -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティーの個性あふれる短編をご賞味あれ。
表題作はマン島の観光客誘致のために書かれた懸賞小説とのこと。当時は新しい手法だったかもしれないが現代では割とポピュラーなイベントとも取れるだろう。しかしクリスティーが参戦するとは豪華だ。ほかにもバラエティに富んだ短編が収められている。ポアロもあればクィン氏も。
「崖っぷち」や「壁の中」にはメアリ・ウェストマコット名義の作品群に通じる静かな狂気を感じる。「愛犬の死」は愛犬家なら共感するのだろうか。「クリスマスの冒険」は若者たちとポアロの交流も微笑ましい活劇風。「名演技」は劇作家の面が強く出た作品で、ちょっと誰かに演じてもらいたくなる。 -
Posted by ブクログ
聖書について、10人の研究者や作家たちの解説やインタヴュー記事をまとめた本です。
本書の中心になっているのは、新約聖書学者である田川建三へのインタヴューで、やく三分の一のページ数を占めています。インタヴュアーを務めるのは湯川豊で、主に田川の来歴について尋ねながら、彼がどのような経緯で聖書の研究にたずさわり、どのような同時代的な問題関心のもとで聖書を研究する新たな視角を見いだしてきたのかといった話を引き出しています。
田川のインタヴューにくらべると短いものですが、吉本隆明も本書のなかで聖書とのかかわりを語っています。こちらでは、軍国主義少年だった吉本が、敗戦に直面した日本人のすがたと、聖書に