作品一覧 2020/12/24更新 「家族」はどこへいく 試し読み フォロー 性からよむ江戸時代 生活の現場から 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 沢山美果子の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 性からよむ江戸時代 生活の現場から 沢山美果子 性にまつわる話しは敬遠されがちだが、江戸時代からの性の営みを通して現代の性を見つめ直すのも良い機会ではないか。江戸後期は、性の営みやいのちの問題を考えるときに、大きな画期をなす時代。家を守り子孫に引き継ぐために子どもと子どもを産む女いのちを守ろうとする意識が高まり、医者や産婆が各地域に誕生する。一方...続きを読むで、家を維持するために、飢饉等の食糧難により、子どもの数を減らしたり、出生間隔をあけたり、時には堕胎、間引き(出生後赤子を殺す)、捨て子をする、など少子化への志向がみられる。幕府や藩は、人々の出生への意識を取り締まり、人口を増やすために、妊娠出産を把握し。堕胎・間引きを監視する仕組みを作った。 おわりに(引用) 1995年に北京で開かれた第四回世界女性会議では、「強制や差別を受けることなく、性について自由にコントロールする女性の権利」が「性の権利(sexual rights)として提起される。女性たちは、性の権利を守れているか、自由に行使できているかといえば、性の問題は現在も大きな課題であり続けている。 生きることと切実に結びついていた江戸時代の女と男の性の営みは、私たちに、生きることの原点から性の問題を考えることに、歴史に学ぶことを求めているのではないだろうか。 本書がそのささやかな手がかりになればと願っている。 Posted by ブクログ 性からよむ江戸時代 生活の現場から 沢山美果子 フェミニスト風味が強いが、とてもおもしろい。偉い歴史家の仕事、っていう感じ。できれば「なぜそうなったのか」っていうのについては、いかにもフェミニスト風味政治的要因みたいなのに加えて経済的側面みたいなのをもうすこし知りたい気がするが、情報もりだくさんなのでそこまで望むことはできないだろうと思う。 Posted by ブクログ 性からよむ江戸時代 生活の現場から 沢山美果子 性の言葉の語源、心をまっすぐにして生きることにある。 江戸時代前期は、交合について、割と奔放。後期は、打って変わって、家計の存続ということで、性交渉と家族が一体化して、前期ほど頻繁な交渉は避けるようにと養生訓で言われるようになる。いわゆる武士道というやつになる 今まで江戸時代全体で、筆者も語る...続きを読む「性についておおらかな江戸時代」という印象が強かったが、後期になると、全く反対とはビックリ。 現代武士道は売れていて、今に伝わる本であるが、見方が変わったかも。至上な生き方的な感じで見るのもどうかと思った。遊女と妻の差別化、セックスレスとか、恋人とセフレのいざこざとか、 性についてわだかまりがたくさん語られる現代だけど、ここにもしかして真髄ある?のかな Posted by ブクログ 性からよむ江戸時代 生活の現場から 沢山美果子 史料をもとに論じる歷史研究において、「からだ」と「こころ」がテーマになったのは1990年代、「性」がテーマになったのはそれよりさらに遅く、2000年以降のことである、と著者はいう(iiiページ)。そんなに遅かったかしらんという感じがしなくもないが、比較的最近であることには間違いなかろう。ことに江戸時...続きを読む代となると史料的制約もあってそうした側面が強いことはわかる。 本書はそんな研究状況のなかにあっても見いだされてきたレアな史料に基づいた「性からよむ江戸時代」である。 第一章は小林一茶と妻・菊の性の営みを、一茶の『七番日記』から読み解いていく。なぜ一茶は執拗に「交合」を記録したのか。第二章は「不義の子」をめぐる善次郎ときやのもめ事に関する裁判記録が取り上げられる。第三章は、産む、堕ろす、間引くという観点から医者・千葉理安の診療記録から。お産の現場が文字史料として残っていることは非常に珍しい。第四章は、「太助の日記」から性売買の大衆化について考察される。そして、第五章で江戸時代の性について総括されている。 他人のセックスの記録などあまり興味がないので、たとえそれが江戸時代の有名人のものだとしても、生々しすぎてちょっと引いてしまったのが第一章。しかし、第二章からは興味深い史料の紹介とそれに基づく江戸時代の日常生活についての鋭い考察が展開されて面白かった。性の問題は、妊娠・出産管理政策=人口管理政策や労働問題にも繋がってくる。そこに家とか藩とかという問題も絡んでくるわけで、時代の全体像を考える上で性の視点は欠かせないのである。 Posted by ブクログ 性からよむ江戸時代 生活の現場から 沢山美果子 歴史を、細かいところは置いといて、ざっくりと大きな視点で捉え、おもしろくしよう!という、「絶対に挫折しない日本史」(けっこう話題になっていた)を読んで、私は全然面白くなかったので、逆にものすごぉおおく細かいところに着目した「性からよむ江戸時代」を読んでみました。で、断然こっちの方が面白かったです! ...続きを読むもう、中学高校の歴史の教科書には絶対載っていない、江戸時代の庶民の夫婦の、離縁するだのなんだの揉めたり、それを領主がどのように裁定したかという記録まで書かれています。そんな記録が残ってるんだ!というのも驚き。 近代以前、記録が残っている江戸時代に、性はそのまま妊娠・出産に結びつく。庶民の家庭ではそれは「子どもを産み育て、イエの労働力となる」ことにつながるが、子どもの数が多すぎると養っていくことはできず、口減らしをしなければならない。産まれた子を殺したり、里子に出したり、遊女として売られたり…。しかし体を売る女性は、妊娠することはNGだから、現代の医学では考えられないような民間療法で妊娠を避けようとしたり、堕胎しようとしたりした。 領地を治める武士からすると、農民はしっかり働き、子どもを産み育ててイエを維持させるべしと考え、子育て支援策も行っていた。子育て支援って、今に始まったことじゃないんだー!と、これも非常に興味深いと思いました。 中学生に歴史・公民(少子高齢化)を教えるときのネタとしても面白いです。 近代以前は、出産が本当に命懸けだったということも、どれくらいの母親が難産で亡くなったか、今のような帝王切開がない時代に、難産のとき人々がどう対処したかという記録をもとに明らかにしており、これもとても興味深かったです。 Posted by ブクログ 沢山美果子のレビューをもっと見る