沢山美果子のレビュー一覧

  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    性にまつわる話しは敬遠されがちだが、江戸時代からの性の営みを通して現代の性を見つめ直すのも良い機会ではないか。江戸後期は、性の営みやいのちの問題を考えるときに、大きな画期をなす時代。家を守り子孫に引き継ぐために子どもと子どもを産む女いのちを守ろうとする意識が高まり、医者や産婆が各地域に誕生する。一方で、家を維持するために、飢饉等の食糧難により、子どもの数を減らしたり、出生間隔をあけたり、時には堕胎、間引き(出生後赤子を殺す)、捨て子をする、など少子化への志向がみられる。幕府や藩は、人々の出生への意識を取り締まり、人口を増やすために、妊娠出産を把握し。堕胎・間引きを監視する仕組みを作った。

    0
    2021年02月04日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    フェミニスト風味が強いが、とてもおもしろい。偉い歴史家の仕事、っていう感じ。できれば「なぜそうなったのか」っていうのについては、いかにもフェミニスト風味政治的要因みたいなのに加えて経済的側面みたいなのをもうすこし知りたい気がするが、情報もりだくさんなのでそこまで望むことはできないだろうと思う。

    0
    2021年01月05日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    性の言葉の語源、心をまっすぐにして生きることにある。

    江戸時代前期は、交合について、割と奔放。後期は、打って変わって、家計の存続ということで、性交渉と家族が一体化して、前期ほど頻繁な交渉は避けるようにと養生訓で言われるようになる。いわゆる武士道というやつになる


    今まで江戸時代全体で、筆者も語る「性についておおらかな江戸時代」という印象が強かったが、後期になると、全く反対とはビックリ。

    現代武士道は売れていて、今に伝わる本であるが、見方が変わったかも。至上な生き方的な感じで見るのもどうかと思った。遊女と妻の差別化、セックスレスとか、恋人とセフレのいざこざとか、

    性についてわだかまりがた

    0
    2022年06月09日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    史料をもとに論じる歷史研究において、「からだ」と「こころ」がテーマになったのは1990年代、「性」がテーマになったのはそれよりさらに遅く、2000年以降のことである、と著者はいう(iiiページ)。そんなに遅かったかしらんという感じがしなくもないが、比較的最近であることには間違いなかろう。ことに江戸時代となると史料的制約もあってそうした側面が強いことはわかる。

    本書はそんな研究状況のなかにあっても見いだされてきたレアな史料に基づいた「性からよむ江戸時代」である。

    第一章は小林一茶と妻・菊の性の営みを、一茶の『七番日記』から読み解いていく。なぜ一茶は執拗に「交合」を記録したのか。第二章は「不義

    0
    2021年08月26日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    歴史を、細かいところは置いといて、ざっくりと大きな視点で捉え、おもしろくしよう!という、「絶対に挫折しない日本史」(けっこう話題になっていた)を読んで、私は全然面白くなかったので、逆にものすごぉおおく細かいところに着目した「性からよむ江戸時代」を読んでみました。で、断然こっちの方が面白かったです!
    もう、中学高校の歴史の教科書には絶対載っていない、江戸時代の庶民の夫婦の、離縁するだのなんだの揉めたり、それを領主がどのように裁定したかという記録まで書かれています。そんな記録が残ってるんだ!というのも驚き。
    近代以前、記録が残っている江戸時代に、性はそのまま妊娠・出産に結びつく。庶民の家庭ではそれ

    0
    2021年05月17日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    第1章の一茶の日記も面白かったが、第4章の性売買の話が重要だと感じた.多くの庶民が生活に困って、娘を売りに出す.そのような社会が存在していたことが多くの資料で明らかになって、女性の権利など全く考慮されていない時代があったことを認識した.私の祖父の時代には、ある程度お金のある人は妾を持つことが当然であった由.そのような歴史を遡って考察していくことも必要だと感じた.

    0
    2021年01月19日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    そう言えば、江戸時代の「性」が出てくる小説は、大抵は「遊郭」モノばかりだ。この新書には「買う男、身を売る女」の章もあるが、大半は人口的に最も多い百姓の性実態を描く。封建社会で表に出てこない人たちに焦点を当てた、新しい江戸時代史料の読み解き本。

    一章目には比較的有名な小林一茶の「七番日記」(1810-1818年)を紐解く。妻との交合を克明に記録したのは何故か。そして何が判るのか。
    48歳でやっと土地と家を手に入れた一茶は初めて妻を娶る。子供を持ち、家を存続させたい。その目的のために、一茶は民間の知恵を参考にしながら徹底的に「妊活」をした。そのための克明な記録である。しかし、よく見ていくとそれだ

    0
    2020年12月19日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    資料から江戸時代の庶民を丸裸にするのは事実の部分は、素晴らしい。
    しかし、コメントというか、評論、考察のところがダメダメ。

    0
    2020年12月15日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    江戸時代の女と男の性の営みは、まさに生きることだったのだと感じました。生殖としての性の特権化、婚姻・性・生殖の一致という性規範の浸透、家の維持・存続への人々の願いによる家の価値化の一方で、快楽としての性は抑圧されるようになり、家と遊所の区別と遊所の広がり、性売買の大衆化が進んだと筆者は指摘します。それは、江戸時代は性に「おおらか」という常識に大きな疑問符をつけてくれました。また、難産のときには母の体を守ろうとするが、妊婦にも厳しい農業労働が求められること、幕府・藩は妊娠・出産管理政策と教諭を実施するが、公娼制度が維持され遊女は過酷な日常を強いられることなど、女性の視点に立てばさまざまな矛盾を抱

    0
    2020年09月17日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    性は人間と人間社会にとって避けられない営みであり,時代や場所で性をどのように扱っていたかは興味深い。生物的な営みは大きく変わらない(変えられない)が,どのような意味を持たせるかは時代背景やその価値観によって変わるため,江戸時代と現代とは異なる。交わる,孕む,産む,堕ろす,間引く,買う,売る,といった動詞をキーワードに江戸時代の性の捉え方を解説する。江戸時代あるいは日本の性がおおらかという表現がよくあるが,明治時代に入って急速な西洋化による大転換の影響が大きそうだ。性は命に対する見方にも影響を受けるのだろう。

    0
    2022年12月30日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    <目次>
    第1章  交わる、孕む~小林一茶『七番日記』
    第2章  「不義の子」をめぐって~善次郎ときやのもめごと
    第3章  産む、堕ろす、間引く~千葉理安の診療記録
    第4章  買う男、身を売る女~太助の日記
    第5章  江戸時代の性
    おわりに

    <内容>
    江戸時代の後期の庶民の性と家族をさまざまな文献から考えていく本。子供の死が身近だった江戸時代。幕府も藩も結婚と出産を奨励した(一方で、「恋愛結婚」は否定的だったのは面白い)。一方で性が売り物にもなっていた。遊郭などの話も出てくるが、話のメインは庶民の生活である。出産や結婚にスポットを当てつつ、江戸時代の庶民のぎりぎりの生活が見て取れた。

    0
    2021年03月24日
  • 性からよむ江戸時代 生活の現場から

    Posted by ブクログ

    江戸時代の性について当時の資料を元に読み解くというもの。取り上げられている資料は小林一茶の日記や、農村で起きた不義の子をめぐる裁定に関する記録や、町民の日記など、どれもなかなか興味深い。ただ新書で紙幅がそうないためであろうか、やや展開に強引な箇所があり、結論ありきで資料を自分の都合の良いように読み解いている印象を受けるのが残念。

    0
    2020年09月10日
  • 「家族」はどこへいく

    Posted by ブクログ

    ゼミの教科書第1弾。

    第5章の発表を担当。
    興味のある
    「家族内殺人」についてすることができる。

    家族内殺人には3パターンあるのでは、と発表&みんなとの質疑応答を通して気付く。
    1.親→子(他人に迷惑をかけてはならないという社会規範)
    2.介護殺人、介護心中(自己犠牲、自己完結、心中)
    3.子→親(原因は・・・。要検討)

    また、日本以外の国で家族内殺人がどれくらい起こっていて、さらにどのようにマスメディアで扱われているのか調べてみたいと思った。

    もしかしたら、卒論、これでいける?!?!

    0
    2009年10月04日