他のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
同著者の別作品『息吹』がすごく良くて、この本もいたるところで良い評判だったので、『息吹』を読んだ時と同等の面白さや感動を得られるのではと期待していた。期待しすぎてしまっていた。結果、悪くはないが思っていたほどではない。
表題作『あなたの人生の物語』がいちばん好き。地球外生命体との交流というと、映画公開直前となった別の某作品が思い浮かぶ。その作品では故郷に危機が迫っているエンジニア同士が意気投合するという流れだが、本作品は言語学者である主人公が地球外生命体の用いる言語や文字を学ぶことで異質な思考法を習得する。話の終盤になって、この物語の間に挟まれる主人公の娘にまつわる回想の意味、そしてその回想がかなり詳細であることの意味がわかり胸が締め付けられた。日常の取るに足らない程のささやかなやり取り、くだらない言葉、表情、楽しいことだけでなく喧嘩をしたり腹を立てた記憶など。自分の中のそういう記憶を思い返して、たまらない気持ちになる。
大きな悲しい出来事がこの先にあるならその過程にいくら喜びがあっても今の私はその運命を選び取らない。でもヘプタポッドBを習得したらこの考え方は変わるんだろうか。変わってしまうとしたらそれは私ではなく違う生き物であるように感じる。 -
Posted by ブクログ
星3.5
日本人には馴染みずらいメッセージが多いと感じた。
映画化された「あなたの人生の物語」(映画の題名は「メッセージ」)を含む短編集。
・もし神罰が実際に存在する世界だったら?
・もし人間の美醜を見分けられなくなる装置が発明されたら?
等、この世界においてひとつだけ「もしも」の設定を組み込み、それ以外はその設定に基づいて徹底的にリアルに描写されていた。
私が三体やプロジェクトヘイルメアリー、火星の人、星を継ぐもの等、エンタメの側面が強いSFしか読んでこなかったからか、
哲学的なメッセージを含む今作は非常に難解だった。
考えさせられるのはわかるが、どうにも言語化できない。
ワクワクする、というような類のSFでは無いため、人を選ぶような気がした。 -
Posted by ブクログ
めっちゃくちゃ期待して読み始めたけど、正直思ったより楽しめなかった。結構SF慣れしているつもりだったけど、少し自分には難しかったかも。あまり乗れなかった。
読みながら、レムの『完全な真空』にも似た読み味だなと感じた。何か面白いことに取り組んでいるエッセンスは感じるが、ドラマは薄味。
語り方、或いはSFらしく世界の設定や仕組みそれ自体が主役で、物語は、キャラクターの遍歴・帰結を描くことを通じて、主役を載せる皿としての機能が強い。
一見ファンタジーらしい題材ではあるものの、科学的な思考様式を採用することでSFに昇華している作品も幾つかあって、その幅広さは面白かった。
語り方と題材、物語が一番上手く噛み合ってた気がするのは、やっぱり表題作で、納得感もあったし、それは結構好きかも。 -
Posted by ブクログ
知人から貸していただいた一冊。
この本に興味を持った人は
『閉鎖病棟奇譚』のグロテスク表現注意!!
というのだけは伝えておきたい。
「病院」というテーマに沿って
怖い・不気味・不思議な実際の体験を、総勢12名の著者が取材した内容をもとにまとめたアンソロジーです。
内容の詰まった話もあれば、1ページ程度の「ナニソレ??どういう事??」というような形で終わってしまうものもあります。
ゾワッとしたお話は
・『確信犯』-複数の面で怖いわ…
・『今際の際にて』-Bさんの考察が合ってるとしたら……
・『なのへや』-シンプルに怖い
・『業務外』-何が怖いって……触らぬ神のなんとやら
・『内緒の話』-後味が悪い……ヒトコワでもある
・『左側のミチル』-結論、何が目的だったのか。そのうちに理由すら忘れてしまったのか。そう考えるとなんだか切ないかもしれない。
・『ルーレット』-これも…シンプルにゾッとする…
・『閉鎖病棟奇譚』と『バイト』-グロテスク表現があるので想像力豊かな人は気をつけて。
不気味だった話、、
『変な病院』 『黒看』 『指先』 『うでおろし』 『憑き墜とし』 『直腸内異物』 『ザールの標本』
ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ19世紀ヴィクトリア朝期のロンドンを舞台とした幽霊譚13編、内12編が初訳。9編が女流作家の作品のためか幽霊譚の体を採りつつ当時の女性の境遇や社会的地位を物語るような作品が多い印象。その一方で、男性作家による4編はどれも男性ならではのロマンチシズム(というか理想?)が表されているようで、その辺りの対比もなかなか面白い。全般的に三角関係が描かれている作品が多いのも特色だが、続けて読むと(またこのパターン?)と感じてしまうのも致し方ないところ。
いわゆる“ジェントル・ゴースト・ストーリー”的なものも多く全体的に怖さ度は抑えめだが、資産家の女性との結婚のために元恋人を無惨に打ち棄てた野心溢れる青年医師が、降霊会の場で報いを受ける(この報いの受け方に少しばかり捻りがあるのも面白い)「降霊会の部屋にて」(L.ガルブレイス)、ロンドンで最も有名な実在の幽霊屋敷をモデルに、女性同士の往復書簡の体で書かれ、怪異や幽霊の描写は具体的な一切なく、非常に恐ろしいことが起きたという事実だけが記される「事実を、すべての事実を、なによりも事実を」(R.ブロートン)の2編は、その方向性は異なれど恐怖度はなかなか高く、印象に残る。
口絵には当時のロンドン市内の概略図と、収録作品とその舞台となる場所が示してあり、文章や描写だけではわかり辛い建物や場所の位置関係なども想像しやすい、かも。 -
Posted by ブクログ
既存のプロレスにおけるお約束をぶっこわすことで
ドロドロした生の感情を引き出した先に
本当の闘いを見いだそうとする
アントニオ猪木の、いわばリアルアングル路線
それが業界全体のメンタルを鬱状態へと追いやったのだが
棚橋弘至のアンチ闘魂路線によって
結果的には、本当の闘いが生まれたと言えるだろう
アンチテーゼによって闘魂は継承される
そこが橋本真也にはどうしても割り切れなかったというか
全日本プロレスの思想をリング上に取り入れつつも
リアルアングル路線を捨て去ることができなかったんだよな
逆に言うと猪木の要求に答えられたのは
橋本の破天荒な性格が唯一だったんである
ガチンコへの全振りで一時猪木を全否定した佐山とは
そのへん完全にすれ違いだった
ジャイアント将棋での対戦は
橋本にずいぶん花を持たせたという意味で片八百長(個人の感想です)
佐山がそれを忘れてしまったのも無理のない話ではありました
とはいえ、橋本を叩き潰した小川の暴走スタイルは
やはり佐山の影響が大きいと思うんよね
タイガーステップでしょアレ -
Posted by ブクログ
ただの怪談集ではなく、
じんわりと胸が重くなるような
「人」の怖さが残る一冊だった。
閉鎖的な集落特有の同調圧力、
そして人々の中に渦巻く悪意や恐怖心。
そういったものが怪異を生み出し、
あるいは「神」を必要とさせたのではないかと
感じさせられた。
物理的な恐怖よりも内側から
じわじわ染み出してくるような、
胸糞の悪さの方がずっと印象に残る。
自分もある地域の伝承について
調べていたことがあるのだが、
そこでも記録は残されておらず口伝のみ。
「無いことにされた歴史」というものが、
こうした話の根底にあるのかもしれない。
人が隠したいもの、忘れたがっているものにこそ
本当の怖さが潜んでいるのだと思う。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
ギリシャに形成されつつある新たなる迷宮。本書には、本格ミステリ、ノワール、警察小説など、各ジャンルのギリシャ・ミステリの精鋭たちの作品が収録されている。
回天するギリシャ・ミステリの世界へようこそ。
あなたは希望に胸膨らませた新人作家が大御所ミステリ作家のもとに持ち込んだ原稿を読む(「ギリシャ・ミステリ文学の将来」)。ナンシー・シナトラの曲が流れる中、ひとりの女と男の生涯を追体験する(「バン・バン!」)。現実とミステリの狭間をさまよう(表題作)。陽気な警官たちと観る、ブルース・スプリングスティーンのアテネ公演は最高だ(「《ボス》の警護」)。そして、最悪の愛が通りを駆け抜けてゆく――(「死ぬまで愛す」)。
二千年の時を経て、色合いを変え深度を増した迷宮が、あなたの前に扉を開く。
あなたはそこで怪物よりも不可解なものに遭遇するだろう。
混沌としたギリシャ・ミステリの謎に。
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ギリシャ人作家による15編の短編集。ギリシャ本国では「ギリシャの犯罪5」というタイトルで出版されていたアンソロジーとのこと。
うーん、正直あまり面白くはなかった。ミステリなんだけど、謎が解けた段階で、申し訳ないんだけれど「うーん、だから?」と思えてしまうような作品も少々。元々は「ボスの警備」という作品に興味があって購入したので、この本を手に取った動機自体が脆弱だったのだけれど。ちなみに「ボスの警備」はブルース・スプリングスティーンのコンサート警備を担当することになった犯罪捜査課の副主任の話。15編の中では他愛のない、微笑ましいくらいの作品。ブルースのファンだから読んでみたいと思った……ってのはやはり動機としては弱かったなとちょっと反省。