【感想・ネタバレ】はじめて読む聖書のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年06月07日

[聖書を読む人を読む]名前はもちろん知っていても、実際にはその膨大な量からなかなか手が出ない人も多いであろう旧約・新約聖書。ユダヤ文化論等で知られる内田樹、新約聖書の個人全訳を手がける田川建三といった聖書のエキスパートたちが、今日においてもなお多大な影響力を様々に与えているこの両書について語った作品...続きを読むです。


聖書そのものの解説となると、それ自体が自身から遠いものであったり難しいものと感じられるのですが、本書は聖書を読む人の関心や問題意識が主に記されているため、とっつきづらさがまったくない一冊でした。さらに関心を深めるためのブックリストも充実しており、題名にあるとおり、聖書が「はじめて」の人にぜひオススメです。

〜二千年たっているんだから、いろいろあって当然なんです。そのことを知っていただきたいんです。単に崇めたてまつりたい人にとっては、いろいろあっては聖典ではなくなるから困るでしょう。しかしそういう人には、御自分で御勝手に一つお決めになって崇めてください、と申し上げるしかない。しかし私は崇めたてまつる行為につきあうつもりはない、ということです。〜

これはめっけもんでした☆5つ

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Posted by ブクログ 2016年12月23日

古本として購入。
自身、プロテスタント系の中学校に通っていたこともあり、聖書に対する興味はどこかにあったわけだが、その中学時代も含めてキリスト教とは、聖書とはどんなものかを理解することはできていなかった。中学時代の自分には、まだ理解する力がなかったのか、それともちゃんと教えられる機会がなかったのか、...続きを読むそれはわからない。

この本を読んで思ったのは、聖書は読む人を選ばない。色々な解釈をしていいんだ、ということ。
まずは聖書を購入してみようという気になった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月17日

 聖書をどう読むか、作家や批評家が語る。

 作家の池澤夏樹は文学によく引用される箇所を中心に紹介する。クリスチャンでない者には「イエス・キリストというのはたいへん優れたスピーチライターであり、コピーライター」(p.33)と見ることもできるという。
 旧約聖書研究者の秋吉輝雄は、「清く正しい」新約聖...続きを読む書に対して旧約聖書は矛盾の塊であると指摘する。それは、旧約聖書が時制のないヘブライ語で書かれているからであり、過去に起きたことを記述したというよりも「いままさに眼前で行われている」(p.56)ことを文書に重ねているからだという。「まだ結末が確定していない現在の話」(p.56)である以上、矛盾が内包されていても気にしない。これは、時制を区別するギリシャ語で書かれた新約聖書との大きな違いであるという。
 哲学研究者の内田樹は、レヴィナス研究から聖書を読むようになったと語る。ホロコーストを生きのびたレヴィナスは、神の不在を説くようになる。これは単にユダヤ教を否定し無神論に走ったというわけではなく、彼はユダヤ教とはそのようなものだと解釈したのであった。つまり、「人が困っている時には助け、善行すれば報奨を与え、邪な行いをすれば罰を与える」というような神が存在するのだとすれば、それはもはや人が神をコントロールしていることになる。そうではなく、「神は地上の出来事には介入してこない」(p.76)のだと説いた。

 そのほか、橋本治や吉本隆明も論考を載せているが、最も面白いのはやはり田川建三のインタヴューであろう。
 新約聖書を研究していく上で彼はさまざまな読み方の可能性を提示する。それは、今現在の聖書の文面を絶対視する教会の考えとは相容れないものだ。田川によれば、当時の地中海世界ではギリシャ語が国際語として用いられており、したがって新約聖書もギリシャ語で書かれたが、しかし書いた本人にとってギリシャ語は母語ではなく第二言語であったりするため、ギリシャ語の文法や語法の誤ちが含まれているのだという。また後に西方教会がラテン語訳した際にも誤訳が発生した。こうした文法や語法の誤ちを指摘できるのは、彼がギリシャ語をはじめ様々な言語に長けているからだ。聖書の内容を唯一絶対とせず、古文書として批判的に読み込む彼の姿勢には共感を覚える。
 インタビューの中では彼の人生もつづられている。彼の学生時代に始まりフランスやドイツでの研究生活、国際基督教大学(ICU)での学生運動、そしてザイール国立大学での生活など、すべてが興味深い。ザイール(現コンゴ民主共和国)では、白人の宣教師が語ろうとしなかった貧困についてあえて取り組んだという。学生に対して「幸いなるかな、貧しい者」と説いても、実際に貧困に苦しむ黒人の学生にとっては貧しさが幸いであるわけがなく、到底受け入れられるものではない。田川はこうした学生との対話を通じて、この言葉をどう理解して読んでいくべきかを語る。
 「神を信じないクリスチャン」と書かれているが、彼は無神論者ではなく不可知論者であるため、正しくは「神を信じるとはいえないクリスチャン」というほうが正確かもしれない。神の存在を積極的に認めることはしない彼の考えが、このインタヴューから明らかになる。そして、それでは「クリスチャンになる」「クリスチャンである」ということはどういうことなのか、についても考えさせられる。

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Posted by ブクログ 2015年04月03日

田川建三さんはじめ、内田樹さん、吉本隆明さんなど9名の著名人による、それぞれの聖書との接し方などについて書かれています。出会いの話や、聖書の概略など、それぞれのやり方で、聖書を知ってもらうための入り口を示されています。
聖書の中身を詳しく書いているわけではありません。入り口として入り易くするための本...続きを読むだと思えます。

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Posted by ブクログ 2015年02月22日

聖書は新約も旧約読んだことがありませんが。

読む機会があればとおもっていたところに
この本を見つけたので。。
また、書いている人が
池澤夏樹氏・内田樹氏・吉本隆明氏と豪勢な方々
だったので。。。
読んでみた後の感想としては、聖書の内容ではなく
読み方やとらえ方が書かれてある内容でした。
ただ、前述...続きを読むで書いた人よりも、
田川建三氏(新約聖書学者)のインタビューが
とても面白くよかったです。
新たな逸材(本当に失礼ですけど)見つけた感じ
です。
1.聖書ってどんな本? 山形孝夫
2.読み終えることのない本 池澤夏樹
3.旧約聖書は以外に新しかった 秋吉輝雄
4.レヴィナスを通して読む「旧約聖書」 内田樹
5.神を信じないクリスチャン 田川健三
6.聖書学という科学 山我哲雄
7.旧約的なものと新約的なもの 橋本治
8.マタイ伝を読んだ頃 吉本隆明
9.聖書を読むための本 山本貴光

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Posted by ブクログ 2014年09月03日

本書を手に取った動機は、教養としての宗教を知りたいという欲求からでした。本書は、季刊誌『考える人』の特集を再編集、改稿したもので構成されています。作家や宗教学者と聖書との出会いやつきあいに焦点をあてている点がユニークだと言えます。その聖書を語る人たちは、山形孝夫(宗教人類学者)、池澤夏樹(作家、翻訳...続きを読む家)、秋吉輝雄(旧約聖書、イスラエル宗教史研究者)、内田樹(作家)、田川健三(新約聖書学者)、山我哲雄(聖書学者)、橋本治(作家)、吉本隆明(作家)、山本貴光(文筆家、ゲーム作家)の9人。この本は決して体系的に聖書やキリスト教について学べる本ではないと思います。あくまで、個人の人生の中での聖書がどのようなものだったかという部分が中心になっています。しかし、それゆえに「聖書」という一見とっつきにくいものへの入り口の役目を果たしてくれそうです。

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Posted by ブクログ 2014年08月28日

クリスチャンではありませんが、ずっと聖書に興味があって、いつか腰を据えて読みたいと思いながら馬齢を重ねてきました。
本書は入門書として手に取った次第です。
へー、聖書ってそうだったんだと、膝を打つやら自分の無知を痛感するやら。
本書は新約聖書学の泰斗、田川建三さんはじめ池澤夏樹さん、内田樹さん、橋本...続きを読む治さんらがその魅力を語ったガイドブック。
学者さんばかりだとどうしても硬くて素人にはとっつきづらい内容になりがちですが、執筆陣が実にいいですね。
あの吉本隆明さんの論考(マタイ伝を読んだ頃)も収録されてます。
第1章は宗教人類学者の山形孝夫さんによる「聖書ってどんな本?」。
聖書の基礎について講釈してくれていて、素人には助かります。
そこに日本最古の聖書訳(ヨハネ福音書)が出てきます。
 ハジマリニ カシコイモノゴザル。
 コノカシコイモノ ゴクラクトモニゴザル。
 コノカシコイモノハゴクラク。
何とも名状しがたい雰囲気がありますね。
山形さんは何度も声に出して読んだそうです。
その体験について、こう語っています。
「すると、不意に、冒頭の一節から不思議な何者かが立ち現われてくる予感がした」
私も何度か声に出して読んでみました。
たしかに、何か胸がざわつくような感覚がありました。
恐らく馴染みのないカナ書きであることと、一読して意味がすんなりとは把握できないこと、一方で訳者が腐心して訳した様が想像できることなどが要因と思われます。
皆様ももし良かったらどうぞ声に出して読んでみてください。
文学者として聖書を読み解いた池澤さんの「読み終えることのない本」も面白かったですが、私はやっぱり内田さんの「レヴィナスを通して読む『旧約聖書』」に惹かれました。
レヴィナスはホロコーストを生き抜いたユダヤ人で、フランスの哲学者です。
ホロコーストのあと、ユダヤ人の多くは信仰の揺らぎを経験したそうです。
「なぜ神は私たちを見棄てたのか。民族の存亡のときに介入しないような神をどうして信じ続けることができるだろうか、と」
なるほど、よく分かります。
私だってそうなります。
これに対してレヴィナスはこう説いたそうです。
長いですが引用します。
「では、いったいあなたたちはどのような単純な神をこれまで想定していたのか、と。人間が善行すれば報奨を与え、邪な行いをすれば罰を与える。神というのはそのような単純な勧善懲悪の機能にすぎないというのか。もし、そうだとしたら、神は人間によってコントロール可能な存在だということになる。人間が自分の意思によって、好きなように左右することができるようなものであるとしたら、どうしてそのようなものを信仰の対象となしえようか。神は地上の出来事には介入してこない。神が真にその威徳にふさわしいものであるのだとすれば、それは神が不在のときでも、神の支援がなくても、それでもなお地上に正義を実現しうるほどの霊的成熟を果たし得る存在を創造したこと以外にありえない。神なしでも神が臨在するときと変わらぬほどに粛々と神の計画を実現できる存在を創造したという事実だけが、神の存在を証しだてる。」
深いですね。
つまり旧約聖書では、神は信者に霊的成熟を求めているということです。
本書刊行のそもそものきっかけとなった、田川さんへのインタビューも読みごたえがあります。
だって、タイトルが「神を信じないクリスチャン」ですぜ。
反骨の新約聖書学者の語るエピソードの数々は本当に飽きさせません。
さあ、聖書を読みましょう。

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Posted by ブクログ 2022年04月30日

聖書について、10人の研究者や作家たちの解説やインタヴュー記事をまとめた本です。

本書の中心になっているのは、新約聖書学者である田川建三へのインタヴューで、やく三分の一のページ数を占めています。インタヴュアーを務めるのは湯川豊で、主に田川の来歴について尋ねながら、彼がどのような経緯で聖書の研究にた...続きを読むずさわり、どのような同時代的な問題関心のもとで聖書を研究する新たな視角を見いだしてきたのかといった話を引き出しています。

田川のインタヴューにくらべると短いものですが、吉本隆明も本書のなかで聖書とのかかわりを語っています。こちらでは、軍国主義少年だった吉本が、敗戦に直面した日本人のすがたと、聖書にえがかれているイエスのことばとの対比によって、どのような問題をつかみ出したのかということが語られ、やがてその問題意識が『マチウ書試論』へとつながっていったことが回想されています。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

・最初に読むおすすめは、旧約聖書のいちばん初めの創世記。その次に新約聖書の福音書(池澤夏樹)
・必死になってはいい仕事にならない。むきにならずのんびり仕事をしろ。しかし、期限までに仕上げなければならない(田川健三)
・聖書を読むならまずはマルコ伝。いちばん衝撃的だったのはマタイ伝(吉本隆明)
・まず...続きを読む聖書を一冊ということであれば、日本聖書協会『新共同訳聖書/旧約聖書続編つき』(山本貴光)

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