他のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エドワード・ホッパーという画家がいる。現代アメリカの具象絵画を代表する作家で、いかにもアメリカらしい大都会の一室や田舎の建物を明度差のある色彩で描きあげた作品群には、昼間の明るい陽光の中にあってさえ、深い孤独が感じられる。アメリカに行ったことがないので、本物を目にしたことはないが、アンドリュー・ワイエスと同じくらい好きなので、ミュージアム・ショップでカレンダーを買って部屋の壁にかけている。
深夜のダイナーでカウンターに座るまばらな客を描いた「ナイトホークス」に限らず、ホッパーの画には、その背後に何らかの物語を感じさせられるものが多い。作家のローレンス・ブロックもそう考えた一人だ。彼は、これは -
Posted by ブクログ
以前、映画化されたオムニバス作品の原作。玉石混交の短編集。
『BUNGO 文豪短編傑作選』角川文庫
鈴木梅太郎が脚気の原因がビタミンB1の不足だと特定し、年間死者数万人と言われた国民病を劇的に改善したのに、陸軍軍医総監の森鴎外はエリート根性から百姓学者が何を言うかと馬鹿にしてそれを取り入れなかったため、陸軍兵士はバタバタ死んだ。というエピソードをかつて知ったばかりに鴎外は読まず嫌いだったので、この中に所収の『高瀬舟』が初鴎外だった。生き方は共感できないが、作品は実に面白かった。
弟殺しの罪で島流しになる罪人を護送中の同心は、どうしてもその男が肉親を手にかけるような罪人に見えなかった。男 -
Posted by ブクログ
ネタバレ円城塔に煽られて。ヴァーリイ初読。
1作目『逆行の夏』を読んだところではあまりピンと来ていなかったのだが、3作目『バービーはなぜ殺される』あたりからじわじわとハマっていった。SFではあるが文学であり、今こことは異なる地平の世界において、人々は何を感じ、どうやって生き、何を愛するのかという愚直な筆致に心を惹かれる。それは『残像』や『PRESS ENTER ■』での地続きな地平もあれば、こことは全く別の地平もあり、短編間で飛躍する視野が楽しくもあった。
後半3作が特に白眉だった。『残像』で、再び訪れたときのコミュニティの変化、彼らはどこに行ってしまったのだろうという寂寥感。『PRESS~』のな -
Posted by ブクログ
「まさかヴァーリイをご存知ない。なにも失くしたことがないならそれでいいけど。」
すみません、読んだことありませんでした。ということで、円城塔氏の帯文に煽られ購入した本書は、ジョン・ヴァーリイの短篇集「逆行の夏」。ヴァーリイといえば、1970~1980年代に活躍し、サイバーパンクの先駆け的存在として名高い作家…ということは知っていたのですが、読むのはこれが初めて。どんな作風なのかとワクワクしながら読み進めましたが、これがもうおもしろい。特に「残像」と「PRESS ENTER■」にやられました。前者のラストには、思わず「うぉぉい、まじか…」と言葉が漏れてしまう一方、後者は、極めて良質なSFスリラ