あらすじ
実在する!? 怖い村の怪異
「指を喰われちまった、賽銭箱に。左手の指を」
村はずれの古い社に巣くう恐ろしいもの――「もう一つの神社」(内藤駆)より
日本の暗部!〈村〉の闇を凝集したテーマ別傑作怪談集
因習や禁忌に縛られ閉ざされた村――そこは深い闇に蠢く怪異が巣食う異界なのだ。
・祖母の暮らす村にある小屋に住む奇妙な男「人間ではない」(つくね乱蔵)
・地蔵をめぐる凄惨な伝承の行方「隠蔽」(鶴乃大助)
・集落にいた巫女に纏わる不思議な話「かみながし」(黒木あるじ)
・とある村出身の女性の周りで起こる怪異「くだぎつね」(真白圭)
・山村の道にあった大きな石の禁忌とは「岐阜の石舞台」(戸神重明)
・村に住む孤独な老女の最期「多頭飼い」(内藤駆)
――ほか、中縞虎徹、卯ちり、丸山政也の書き下ろし23編を含む選りすぐりの村の最恐作の数々を収録。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「村」に纏わる怖い話を集めた1冊。
怖い話、忌まわしい話はもちろんのこと不思議な民話のような話もあり読み心地の良い1冊だった。
個人的に「亜炭」は方言や地域の特徴からなんとなく知っている土地だと思うので親近感が湧き、よりリアルな実話怪談としての魅力を感じた。
また「いくつ子」や「満月」などとても魅力的な民話風の話があるのでまた読み返したい。
Posted by ブクログ
ただの怪談集ではなく、
じんわりと胸が重くなるような
「人」の怖さが残る一冊だった。
閉鎖的な集落特有の同調圧力、
そして人々の中に渦巻く悪意や恐怖心。
そういったものが怪異を生み出し、
あるいは「神」を必要とさせたのではないかと
感じさせられた。
物理的な恐怖よりも内側から
じわじわ染み出してくるような、
胸糞の悪さの方がずっと印象に残る。
自分もある地域の伝承について
調べていたことがあるのだが、
そこでも記録は残されておらず口伝のみ。
「無いことにされた歴史」というものが、
こうした話の根底にあるのかもしれない。
人が隠したいもの、忘れたがっているものにこそ
本当の怖さが潜んでいるのだと思う。