小野田和子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ヘイルメアリーがあまりにも面白かったので読んでみたら、こちらも負けず劣らずめちゃくちゃ面白かった。火星に取り残されて、何度も何度も死にかける主人公。あまりにもトラブルが起きるし、さすがにそれはもう無理だと思う場面でも、ポジティブさと冷静さと膨大な知恵をもって切り抜けていて、読んでるこちらもNASAから見守ってる気分になった。
ヘイルメアリーのときにはロッキーがいたけれど、火星では主人公たった1人。そんな中でも寝室を改造して快適に過ごしたり、危機を脱した時用に食べ物を分けていたり、命ギリギリの生活でもプラスαを考える姿勢に尊敬を覚えた。
一つのミスが即、死につながる火星の世界。最後までドキドキしながら読み切った。 -
Posted by ブクログ
火星で一人生存しているワトニーの存在を認識したNASAは救出プランを実行。次の有人火星ミッションで救出するために、それまでの食料や消耗品の補給を試みるが、そのロケットは打ち上げ時に爆発。もはやワトニーを救う手立てはないと思われた時、軌道計算スペシャリストから思わぬ提案が。ワトニーを残して地球へ戻りつつある宇宙船を、地球スイングバイで加速して再び火星へ向かわせ、ワトニーを救出させようとする。ただし、火星では周回軌道に乗らず、ただ一度近傍を通過するだけ。その一瞬でワトニーをピックアップするには、ワトニー自信も火星で約3000㎞移動して、火星軌道上昇用ロケットまで移動する必要があった。たった一度のチャンスにかけるため、救出クルーとワトニーの新たなサバイバルがスタートする…
下巻でも、次々と降りかかるアクシデントを、様々な手法でクリアしていくプロセスが詳細に描かれています。人間が生き続けるには酸素と水と食料、そして二酸化炭素の除去、これは常に付きまといます。エネルギー源は電力なので、限られた電力を何に使うか、常に配慮が必要です。そのあたりのやりくりが、主人公ワトニーのユーモアあるモノローグで展開しています。
ワトニー救出プランでは、中国も協力を申し出ています。たった一人の命を救うために、世界中が協力を惜しまない。宇宙開発の意義は国を超えて助け合う気持ちを再認識する事なのかもしれないと思わされました。 -
Posted by ブクログ
火星有人探査ミッションのクルーの一人、マークワトニーはミッション6日目の事故で火星に一人取り残される。脱出した他の5人のクルーをはじめNASAの誰もがワトニーは死んだと思っていた。ところが、ワトニーは火星に残されていた限られた機材、食料や植物を利用して、救出されるまでのサバイバルを開始する!
ストーリーは極シンプル。火星に残されたワトニーが、様々な創意工夫で限られた資材を利用して生き延びる課程が展開します。その一つ一つに、化学や物理の法則が丁寧に落とし込まれ、それらがモノローグの形で説明されています。
火星でのサバイバルで何より必要なのが水と食料。酸素は火星大気から酸素を取り出す設備があるという前提で制約条件になっていません。水を得るために、物質としての水ではなく、酸素があるのだから水素を探すという発想で切り抜け、食料はジャガイモを与圧された室内で栽培します。
通信手段を当初失っていたため、NASAの職員もワトニー生存を当初は知り得ませんでした。ところが衛星画像で機材の位置が変わっていることなどからワトニー生存を確信します。直接的な双方向の通信が確立するまでの間、衛星画像から読み取れるワトニーの行動から、彼の意図、サバイバルプランを技術的な観点からNASAが読み取る様子は、エンジニア同志で無言の会話を交わしているような不思議な感覚です。
「プロジェクト・ヘイルメアリー」同様、著者の本はストーリーはシンプルですが、技術的な説明だったり検討プロセスが丁寧なので、そこが楽しめる人はどっぷりと浸ることができます。 -
Posted by ブクログ
「2001年宇宙の旅」は自分にとっては映画というジャンルを超えたマスターピースであります。同時にトラウマにもなっています。まず幼児の頃、自分の住む地方の小都市の映画館で初公開時の看板に衝撃を受けたいう記憶があります。しかし親に見たい、と言えない雰囲気も感じました。初めて見たのは大学生の時。冒頭からあまりに集中して疲れたのかスターゲートのシーンで眠ってしまって情けなくなりました。社会人になってみた時にスペースシャトルの尾翼にPANAMの文字を発見し大興奮。それからはDVDを停止しながらAT&Tとか実存企業のロゴを見つけてはこの映画が公開時の1968年と2001年を地続きで設計されていることに新たな凄みを感じていました。2016年にサンフランシスコの現代ユダヤ博物館でやっていたキューブリック展の入り口まで行ってフライトの関係で入場しなかったこともいまだに後悔しています。そんな思い入れの中で速水健郎の「機械ぎらい」を読んでいて本書の存在を知り、速攻入手し貪り読みました。アポロが月面到着する前に、CGが映像に使われる前に、こんな映画が作れたことにはキューブリックの仕事のやり方への固執とこのプロジェクトに魅入られたスペシャリスト(クラークも含む)の全員の煩悶が混じり合って業の総体として結晶したからこそ、ということがよくわかります。視覚効果ブライアン・ロスタスへのキューブリックの言葉で『「ブライアン、君自身ができるとわかっていないものをつくってほしいんだ。最初からできるとわかっているものは必要ない。しかしできるかどうかわかっていなくて、なにか新しいものを発見できたら、それこそがわれわれが必要としているものなんだ」それがこの映画の製作全般を統べる基本方針だった。』凄まじい。本作が扉を開けた映画の流れ、例えば今年の映画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」も大好きでしたが…「2001年宇宙の旅」は大好き、で済まされない厳かな創造物、例えばミケランジェロの「最後の審判」やピカソの「ゲルニカ」のような存在にますます思えてきました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』映画が良かったので、アンディー・ウィアーの他作品を読み漁ろうの会その1。
筆者のデビュー作にあたる本作だけど、状況はシリアスに、けれど空気は軽く……というポップな作風が読みやすい一因だねー。
火星に取り残されたマークが科学を駆使してサバイバルを行うのもそうなんだけど、地上にいるNASAの人たちが知恵を総動員してマークを救おうといくつも案を上げ実行する部分も好きなんだよなぁ。
「火星でどう生き残るか」「火星からどう救出するか」という一つの問題を双方向から解決していくからこそ、先の展開が読めなくて面白い。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』でもそうだったけど、こういう謎への問いかけを二つの面からアプローチするのはお家芸なのかも、と思ったり。
主な感想は下巻の方で。 -
Posted by ブクログ
本当に面白いし、よく出来てる話!
ロッキーかわいいし、理科の話沢山出てくるし、話は壮大でとても面白かった!
アストロファージを見つけるだけでも面白いのに、それから地球を救うために宇宙に出て、宇宙人に会って、本当に壮大すぎる。ロッキーが友好的な宇宙人で良かった。言葉が通じないところから徐々に関係を築いていくの良い!
物理、化学、生物、地学など色んな理科の知識が出てきて、理系学生として読んでいて楽しい。大学で学んだことや、研究で使っている装置も出てきて、内容を理解しながら読めるのも嬉しかった。この本に出会えたのが今で大正解。
宇宙の話は昔から好きで、久々に宇宙の偉大さに想いを馳せて読んだ。こんなにワクワクしながら本読んでいるのは小学生の時に読んだ宇宙への秘密の鍵以来。
下巻でどんな展開になっていくのか、地球は救えるのか、とても楽しみ! -
Posted by ブクログ
非常に楽しい。「大渦」に始まるSFの本質は困難に対処する話だとどこかで見たが、まさにそんな感じ。次から次にトラブルが発生して、ワトニーとNASA職員が解決に奔走する。
ただ同時に、「限られた物資と既知の技術とトライアンドエラーで何とかする」という要素に終始していて、「新たな発見」という要素は薄い。ここに気づいて、作者の新作の面白さも改めて理解できた。
ワトニーの明るさや軽さも好ましい。常に前向きでエネルギッシュ。自分を置き去りにしたクルーに配慮しながら全世界に向けてジョークを放つ。
いや、上巻はここで終わるの!?
ワトニーの運命やいかに! -
Posted by ブクログ
ネタバレ唯一アストロファージに感染していないと見られたタウ星系に到着したグレースは、エリディアンのロッキーと協力してアストロファージ対策を見つけ出す。しかし度重なる緊急事態によりグレースは究極の二択を迫られる。
科学の徒グレースと天才エンジニアロッキーの異星人コンビが次々に発生する難題をクリアしていく。サンプリング用の鎖を大量に生産する場面や、タウメーバに窒素耐性を持たせるための培養というすごい地道な作業もあれば、タウ・セチでのEVAというダイナミックな描写もあって、なんかすごかった。最後のロッキーを助けるのか、地球に帰還するのかの葛藤はすごかった。もう一生会うことのないであろう異星人を助けるため、地球への帰還をやめて引き返すグレースは本当に熱かった。課題を乗り越えたらさらに大きい問題が発生して、それを乗り越えたら最後に究極の選択が現れてと、最後の最後のまでワクワクさせるのような展開が続いて面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太陽エネルギーを食らうアストロファージという生命体によって地球の気温が下がり続ける危機に瀕する。人類を救済するための計画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が始動し、ライランド・グレースは宇宙へ旅立つ。
太陽エネルギーを食らい、すさまじいエネルギーを蓄えるとんでも生物や異星人との邂逅を描くすごいエンタメSF。上巻では異星人と出会い、コミュニケーションを取り、互いの宇宙船をドッキングするまでの話。冒頭はグレースが謎の空間で目覚めて、同じ部屋に横たわった2人の遺体を発見するところから始まる。そこから過去回想も交えながら徐々に自身の記憶を取り戻していく流れで話が進んでいく。またそのきっかけとして、その謎の空間が宇宙空間であることや太陽系ではないことなどを、ラボでの実験によって確かめていく。解決のために一歩一歩進んでいく工程を見ているとDr.STONEを思い出す。アストロファージの設定も面白くて、よくこんなものを思いつくなと思う。ヘイル・メアリーってなんだろうと思ってたけど、アメフトのヘイル・メアリーパスが由来ということが述べられていて、めっちゃおしゃれやん…と思った。