小野田和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
泣きたくなるくらい面白くて読み終わってしまうのが惜しかった。生物学の中でも進化の分野は、地球上で悠久の時を経て紡がれてきた種々にすら惹き込まれてやまないのに、異星生物やパンスペルミア説など宇宙規模になると心の底から湧き上がるような高揚感を感じる。たくさんの宇宙工学の専門知識とともに、一人称視点で主人公の考えごとが細かく描写されるため、場面や状況が想像しやすく脳内で映画を上映しながら読んでいるようだった。また、ロッキーの字体の異なる拙い話し方に愛着が湧いて仕方なかった。グレースとロッキーの異生物間の擦り合わせや知識の共有パートが興味深かった。特に思考速度の一致と重力との関係は虚をつかれるような考
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Posted by ブクログ
下巻もめちゃめちゃ面白かった…!!
アレス4への旅が始まったところからは、ページをめく手が止まらなくて、本当に一瞬だった。結末はわかっているのに、最後は感動して少し泣いた。
この本はなんと言っても主人公のワトニーの人格が魅力的すぎる!苦しい時や愚痴を吐きたいときこそ、ユーモアを忘れず、読者をくすっと笑わせてくれる。すごくチャーミングで可愛らしい性格だと思う。
私は大きいことでも小さいことでも、何か問題に直面すると、すぐにカッとなって周りが見えなくなり、解決策を探そうとする前に、不安な気持ちだけが大きくなって問題を先延ばしにする傾向にある。
この本の主人公のワトニーは、大きな問題に直面し -
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ネタバレ主人公ワトニーの日記形式で話が進み、ちょっと飽きてきたころにNASAが衛星画像でワトニーの生存を知り、公表されて世界中が大騒ぎになるところから一気に面白くなった。
ヘイル・メアリー同様、トラブルに対応する知識、情報量が多く、組織のなかで個性的なメンバーがそれぞれの役割を果たしながら、大きな計画を動かして行く流れが上手いと思う。下っ端のミンディの呼び出しにヴェンカトが応じて話を聞くところと、計画途中のプロジェクトから部品を横取りしてロケットを急造して打ち上げる話が良かった。
世界中が注目するなか、威信をかけてワトニー救出計画を進めるNASAの緊迫した様子と、脳天気なワトニーとの温度差が面白い -
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ネタバレ「夏の霜」ブレイク・クラウチ
人工知能モノ。最初は世界観が飲み込めなかったが、ゲームだとわかり、そこからは新しい人工知能の誕生にワクワクした。主人公が女性でレズビアンなのがイマドキ。でも子育てや夫婦?仲がうまくいかないところは普遍的。
主人公と一緒になってマックスに騙された。ブライアンを殺すところはゲームと一緒だったな。
“喉の奥に金属の味がする。”の絶望感が良かった。
AIに愛された人類はAIのようにされてしまうのか。
「エマージェンシー・スキン」N・K・ジェミシン
宇宙人モノ。はるか昔に分化した地球人類だが。
温度差がシュールで笑ってしまう。一大隠密プロジェクトのはずが、地球の人には筒抜 -
ヴィナ・ジエミン・プラサド / ピーター・ワッツ / サード・Z・フセイン / ダリル・グレゴリイ / トチ・オニェブチ / ケン・リュウ / サラ・ピンスカー / ピーター・F・ハミルトン / ジョン・チュー / アレステア・レナルズ / リッチ・ラーソン / アナリーニューイッツ / イアン・R・マクラウド / ソフィア・サマター / スザンヌ・パーマー / ブルック・ボーランダー / ジョナサン・ストラーン / 市田泉 / 小野田和子 / 佐田千織 / 嶋田洋一 / 中原尚哉 / 古沢嘉通 / 細美遙子3.7 (6)
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SFってやっぱ面白い、と思わせてくれる16編と盛りだくさんの短編集。文庫も物価高騰のあおりを受けてこんなに高くなったか・・・と思いつつ買ったが、元は取れたと思う。
どの作品も味わい深いのだが、意識を持ったAIは物理的につながりさえできれば、ハード(シャーシ)を乗り換えていけるって設定が興味深い。人間が求めてやまない不死不老をAIなら実現できるという夢。
究極は「罪喰い」の世界で、人間はみな仮想空間(天国)に旅立ち、荒廃した地上にはロボットだけが残る。遺していく記憶を選べるってとこが業だ。
一方で、製品が成長したり、メンターがいたり、ロボット同士のいじめがあったりって世界の作品もあって、自意 -
Posted by ブクログ
ネタバレいやー面白かった。読みやすさでいえば鏖戦<凍月なのだが、両作品ともなんとも違う魅力があって、うなってしまった。(三体を読んだ時のエッセンスも感じた)
特大級のネタバレ以下
鏖戦/酒井昭伸訳
何がすごいってまずは、訳!絶対原典の方が簡単に書いてあるんでは?!と思いました(誉め言葉)。好みは分かれるかもしれませんが、私は結構好きでした。人vs異種族の戦いにおいて、異種族がいかに「読者含めた人」から離れた存在であるか、を示すべくの漢字も多用の訳…狙った効果の一つはそれかと考えているのですが、私は最初からやはり仏教感を感じてしまいまして、それは異端ではないので、なんだか最初から親しみが(?)ありまし