破壊された地球3部作の最終巻。旅がふたたび始まっていく。
エッスンは仲間とともにユメネスへ向かう。その旅は希望のない、いずれは迎える絶滅を少しでも先延ばしにするだけでしかない。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を彷彿とさせる世紀末の旅。その旅でエッスンはカストリマのみんなと仲間になる、彼女の
...続きを読む人生で初めてのことだ。ミオブで海賊と一緒に生活したことはあった、でもその一瞬の幸せはオロジェンであることで終わってしまっている。エッスンの心境に変化が出てきている、娘ナッスンを探し出すだけでは無く仲間や人類そして地球を助けるためにオロジェニーを使おうと。
一方、ナッスンは絶滅した文明の造った地下鉄で地球の裏側に向かう。それまでに父親に弟を殺害され、孤独で過去を隠し続ける母親から逃げ出し、さらに父親を殺害してきた。なにもかも奪われ続けてきたナッスンが初めてシャファを愛することができた。そのシャファも地下鉄の旅で失いかけていく。ナッスンはシャファを痛めつける地球を破壊することに決心する。
エッスンとナッスンの戦いはエッスンが操るオニキスのオベリスクとナッスンの操る27のオベリスクの戦いだ。オリベスクから発せられる光・エネルギー・波動が感じられる、すざまじい破壊力があることが伝わってくる。2人のそれまでの人生で抑圧されていたものが一気に爆発的に表に出ていく感じが表されている。暴力的なだけではなく美しさもある戦いだ。ナッスンはエッスンが以前の母親ではないことに気付いたに違いない、それによってナッスンも破滅から再生へ考えが変わっていったのだろう。
ラストでナッスンは地下鉄でスティルネスへ帰るのを躊躇するシーンがあります。ものすごい戦いのあとですぐに結論をだすのは難しいと思います。ですが、なんとか希望を持って生きてもらいたい、でないとこの話は悲しすぎます。