あらすじ
ついに〈第五の季節〉が訪れた。赤道地方を中心に破滅的な地殻変動が襲い、帝国首都ユメネスは壊滅する。父ジージャに連れ去られた娘ナッスンは、ロガを治療できるという南極地方のある地を目指して旅をする。一方、ナッスンを追う母エッスンは地下都市カストリマにたどり着き、再会したアラバスターに〈月〉と呼ばれるものの存在を聞かされる。〈父なる地球〉、失われた〈月〉、石喰いたち、そして人間――彼らが舞台に出そろったいま、物語は大きく動きはじめる。前人未踏、3年連続で三部作すべてがヒューゴー賞長編部門受賞のシリーズ第2弾!/解説=勝山海百合
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Posted by ブクログ
母と娘のそれぞれの物語。
悲しみや孤独、絶望を胸に抱きながらそれでも前に進まねばならないという覚悟をひしひしとつたえる。
決して読みやすくはない。でも異世界である本作品と現実の世の中の様相がリンクすることで、エンタメには収まりきらない充実感を与えてくれる。
では、第三部へ。
Posted by ブクログ
『第五の季節』は旅の物語だったが、一転してコムに定住していくことになる。エッスンが地下都市カストリマで出会う女長イッカとの対比がおもしろい。エッスンは夫・娘に逃げられ、旅のお供は石喰いホア一人だけ、生きる目的は娘に再会すること。一方イッカはオロジェンであるのに関わらずコムを存続させるために仲間とともに力強く生きて行っている。その違いはエッスンの強力すぎるオロジェニー能力と虐げ続けた人生に起因すると思います。本当は普通の家庭を築きたかっただけなのに、オロジェニー能力が高すぎるためとフルクラムでの洗脳に近い教育を受けてきたため地球の存続の鍵を握る人物なってしまう悲しい人生がひしひしと読み取れます。
地球が滅亡するか復活するか、地球上のあらゆる生き物にはどちらを選ぶかという意志は無いように思います。地球自身も決めかねている、滅亡したほうが良いのか存続したほうが良いのかを。だから石喰いのメッセージも受け取るオロジェンによって受け取り方に違いがでてきているのだろう。地球の存亡を決めることができるのはエッスンとナッスンのみ、ここにも二人が究極の孤独感を感じなければならない理由があります。
最後の戦闘シーンは前作『第五の季節』をはるかに越えるスケールがものすごい。想像力を最大に発揮して、その美しく残酷な物語に浸ることができるのは大変幸せだ。
Posted by ブクログ
第五の季節の第二部である。
前作を読んでから、読むのが良い。
解説を読んで納得したが、
SFだが、SFでは無い人類の歴史の一部を知るキッカケになるお話だった。
次が気になる展開で、あっさりとまさかの事象も起きて、早く最後の第三部が読みたくて仕方ない。
Posted by ブクログ
まどろっこしいし長いしで、読むのに時間がかかってしまったがやはり面白い!後半は壮大な世界観に没入してハラハラした。
数百年ごとに繰り返される〈季節〉という天変地異をどう生き延びるのか?
強大な力を持つオロジェンである母と、オロジェンを憎むあまり弟を殴り殺した父の間で板挟みになるナッスンが、悲しみを背負いながら成長する姿に胸を打たれる。
これまでは地殻変動やプレートの動きなど地中深くのエネルギーを利用してきたけど、今作からは空の話も加わり俄然SF要素が増して神秘的。
三部作がどんな結末を迎えるのか楽しみ!
Posted by ブクログ
この世界のメンバーの姿がより詳しく掘り下げられているけど、それぞれの勢力の中でも目的が異なる人(?)々が居て、全貌が把握しきれない。各勢力の相関図とか誰か作ってくれてないかな。
今年出る予定の3巻は何月なのかな
Posted by ブクログ
地球のようで地球ではない所。能力が異なる人の住む所。
大き過ぎる能力が差別を生み排斥を行う。それぞれの生きる場所を求めて身体も心も彷徨う。戦いの終わりは来るのだろうか、この星は安全に安心して暮らせるところになるのだろうか
Posted by ブクログ
店頭に並んでいる時は気づかず、新刊案内を読んで第五の季節の続きだったか!と慌てて本屋に行きました。久々に早く読み終えたいけど、読み終えてしまうのが勿体ない…と言う贅沢な感覚を味わいました。続巻も楽しみ~
それにしても娘は母親に対するあたりが厳しいもんだなぁと思いました。父親に対しては…なんだろう、諦め?みたいなものがあるのかな。同じことをしても父親なら責めないのに母親がしたら一生恨む、みたいな強い感情を母娘には感じます。これは父息子でも同じなんだろうか?それでも作中でナッスンが「彼等を受け入れてくれる人を父親にして生んでくれたら良かった」と言うような心境を語るので、やはり母とのつながりの方が(良し悪しは置いておいて)強いんだなぁと思いました。
そして彼女の好きな人を喜ばせたいが高じた行動の恐ろしさと言ったら。昔、アフリカだか中東だかの本を読んだときに、少年兵が一番恐ろしい、何故なら彼等は無垢で一途で、敵とみなしたものに対する慈悲の心など持たない、みたいな事がかかれていたのですがそれを思い出しました。教育は洗脳とイコールだよな、と改めて思いました…
皮肉屋で人付き合いのヘタなアラバスターが好きだったので色々寂しいですが最終巻楽しみです。石食いの正体とかも分かるのかな~
Posted by ブクログ
『第五の季節』の続編ということで。
続編というか、上・中・下の中巻といった感じ。
三部作にしてすべてヒューゴー賞というのがすごいけど、ヒューゴー賞ってファン投票なので、まあ客観性が欠如する時もあるのかもしれない。
★3にしたのは、『第五の季節』ほどの衝撃はなかったから。
この作品では物語はエッスンとナッスンの二人を主軸として語られる。前作では3つの物語が交差していったが、今作は2つだ。
前作ではその3つの物語が終盤で収束していき最後驚きの伏線の回収があったが、今回はそういったことはない。前回ほどでは、と思わせる理由はそのあたりが要因かな。
一つは、ホアがなぜ語り手として居続けるのかがわからない。少なくとも今作では解明されなかった。三作目で判明するのか、一作目でのラストの驚きがすべてなのか。
もし前者ならやっぱり一作品の上・中・下にすべきだったのではと思うし、後者なら、うーん、別作品なんだから変えた方が良かったような。あまり意味を感じない上、途中のホア失踪時には破綻しているし。
また一つは、前作では大きく感じた物語が、今作では少し必要以上に大仰な印象。SFというよりファンタジーになってしまった。
結局オベリスクが何なのか今ひとつわからない。ネットワークって何だろう。具体的な説明より抽象的な表現で物語が語られるので、なんだかもやもやが残る。初めからファンタジーを求めていれば問題ないのかもしれないけれど、私が求めているのはSFなのだ。
一年後、一応三作目も買って読むとは思うが、この分だとがっかりしそうな気がしなくもない。
せっかく出会ったと思ったんだけどなー。
作者が女性と知って、すごい! と最初は思ったが(多くの優れたSFは男性によって生み出されている。残念なことに)、ファンタジー要素をより感じる今は納得。
そうだ、これは女性的な作品だ。
ヒューゴー賞に疑問を抱くことになった初めての例。