【感想・ネタバレ】オベリスクの門のレビュー

あらすじ

ついに〈第五の季節〉が訪れた。赤道地方を中心に破滅的な地殻変動が襲い、帝国首都ユメネスは壊滅する。父ジージャに連れ去られた娘ナッスンは、ロガを治療できるという南極地方のある地を目指して旅をする。一方、ナッスンを追う母エッスンは地下都市カストリマにたどり着き、再会したアラバスターに〈月〉と呼ばれるものの存在を聞かされる。〈父なる地球〉、失われた〈月〉、石喰いたち、そして人間――彼らが舞台に出そろったいま、物語は大きく動きはじめる。前人未踏、3年連続で三部作すべてがヒューゴー賞長編部門受賞のシリーズ第2弾!/解説=勝山海百合

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『第五の季節』の続編ということで。
続編というか、上・中・下の中巻といった感じ。
三部作にしてすべてヒューゴー賞というのがすごいけど、ヒューゴー賞ってファン投票なので、まあ客観性が欠如する時もあるのかもしれない。

★3にしたのは、『第五の季節』ほどの衝撃はなかったから。
この作品では物語はエッスンとナッスンの二人を主軸として語られる。前作では3つの物語が交差していったが、今作は2つだ。
前作ではその3つの物語が終盤で収束していき最後驚きの伏線の回収があったが、今回はそういったことはない。前回ほどでは、と思わせる理由はそのあたりが要因かな。

一つは、ホアがなぜ語り手として居続けるのかがわからない。少なくとも今作では解明されなかった。三作目で判明するのか、一作目でのラストの驚きがすべてなのか。
もし前者ならやっぱり一作品の上・中・下にすべきだったのではと思うし、後者なら、うーん、別作品なんだから変えた方が良かったような。あまり意味を感じない上、途中のホア失踪時には破綻しているし。

また一つは、前作では大きく感じた物語が、今作では少し必要以上に大仰な印象。SFというよりファンタジーになってしまった。
結局オベリスクが何なのか今ひとつわからない。ネットワークって何だろう。具体的な説明より抽象的な表現で物語が語られるので、なんだかもやもやが残る。初めからファンタジーを求めていれば問題ないのかもしれないけれど、私が求めているのはSFなのだ。

一年後、一応三作目も買って読むとは思うが、この分だとがっかりしそうな気がしなくもない。
せっかく出会ったと思ったんだけどなー。

作者が女性と知って、すごい! と最初は思ったが(多くの優れたSFは男性によって生み出されている。残念なことに)、ファンタジー要素をより感じる今は納得。
そうだ、これは女性的な作品だ。

ヒューゴー賞に疑問を抱くことになった初めての例。

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2021年11月16日

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