【感想・ネタバレ】第五の季節のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年10月11日

これは読みごたえがありましたよ・・・。

三部作の第一部でありながら、細かい文字でびっしりの600ページ越え。

僕的には、若干でも文字の大きいハヤカワSF文庫で出版してほしかったかったのですが、そうも贅沢はいっていられません。
はい。
創元SF文庫さま、日本語版を出版していただきましてありがとうご...続きを読むざいました。
僕が愛用している個別にあつらえたリーディンググラスを駆使して読破しました。
あ、すみません。カッコつけました。ただの老眼鏡です(笑)。

馬鹿なことを言ってないで、レビューですね。

いや、面白かったです。
3部作の全作品がヒューゴー賞を受賞しているという本作品。しかも3年連続という快挙。
これは読むしかないでしょう。

ジャンル的にはSFなんだけど、細かくカテゴライズするならば
  終末系ファンタジーSF
とでもなるのでしょうか。

本作の舞台は未来の地球。
人間の開発により荒廃した地球が人類に反旗を翻し、数十年数百年ごとに超絶な環境変化を起こし、人間の文明をその都度全滅させるという世界が舞台です。

この世界観は嫌いじゃないですね。
並大抵の想像力でこの小説を読み進めていくのは難しいです。
まあ、中世の世界に映画『マッドマックス』とコーマック・マッカシーの『ザ・ロード』の世界観をぶち込んで、そこに人類を救うであろう特殊能力をもった人間をひとつかみ放り込んだような感じといえば分かりやすいでしょうか。←全然わからないよねwww

まあ、まだ第一部ですのではっきり言って謎だらけです。
でも、3つの視点から本作は進んでいき、それがやがて統合されている手法はお見事としか言えません。

本作の著者は、女性なので女性視点で描かれた描写が多いです。非常にフェミニンな感じで男女の愛憎も描かれます。
このあたりの好みは人それぞれでしょうか。

600ページ越えでまだ物語は始まったばかり、人類は地球上で生き残ることができるのか。
手に汗握ります。
続巻はいつ発売なのだろう?
待ち遠しいですね。

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Posted by ブクログ 2020年09月12日

「ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦いとらねばならない人々に」


「肉体は衰えていく、指導者として長らえるものはそれ以上のものを糧とする」


「生きのびたから正しいとはかぎらないんだ」


「どの文明もなにかつけ加える。そしてその時代の人間に関係ない部分は忘れられていく」


「冬、春、夏...続きを読む、秋ーーー死は第五の季節、そしてすべての長。」


「肉体は滅びる。最後まで持ちこたえる指導者はそれ以上のものに信を置く。」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月19日

はるか未来の地球。不動[スティルネス]と呼ばれる巨大大陸は、数百年ごとにやってくる天変地異〈第五の季節〉と地震の脅威に晒されていた。人びとは〈用役カースト〉という世襲制の役割分担を作って〈季節〉に備えていたが、〈オロジェン〉、あるいは差別的に〈ロガ〉と呼ばれる者たちだけはカーストからもはじき出されて...続きを読むいる。オロジェンは地震を操る能力を持ち、それゆえに忌み嫌われ、権力者に管理・制御されるべきと考えられている人びとだ。オロジェンでありながら身分を偽り、二人の子どもを奪われた女性エッスンと、〈守護者〉に引き渡されオロジェン育成学校に入学したダマヤ、オロジェン最高峰の能力者アラバスターとバディを組むことになった〈帝国オロジェン〉のサイアナイト。三人の物語はやがて一つに重なり、スティルネスの、そして未来の地球が隠した巨大な謎に直面する。〈破壊された地球〉三部作の第1作。


いま我々がいきる世界が「神話時代」と呼ばれ、石伝承という旧約聖書じみた聖典によってしか窺い知れない過去になっている世界の話、というだけでワクワクしてくる未来の話。スティルネスはちょうど南北の中心を赤道が走る大きな大陸で、北米とアフリカがくっついたような感じ。かつてはサンゼ人という種族が統一支配していたらしいのだが、いまはそこまで影響力はない。だがサンゼが築いた都市ユメネスはいまだに尊敬を集め、人びとは容姿にサンゼ人の特徴がどれかほど表れているかを美醜の基準にする。こういう未来の文化人類学的なディテールが楽しい。
本作を語るキーワードは、地震を操る能力〈オロジェニー〉、そしてフェミニズムと鉱物幻想の三つあると思う。
まずはオロジェニーについて。地震を操る能力とまとめてしまうのは実は正確ではなく、大地に張り巡らされた地脈を自身の体内のできごとのように感じ、地上にある熱エネルギーを使ってその結節点に作用できる能力である。自然状態のオロジェンは感情と力が直で結びついていて、ほかの人間にとっては脅威となる危険な存在。つまり、自分の力に気づいていない子どものオロジェンが一番危ない。
だが、フルクラムにある訓練学校を出て帝国オロジェンになると力をコントロールできるようになり、オロジェニーを持たない人びとに対して「役に立つ」ことをアピールするため、常に冷静沈着であれと教えられる。オロジェンは地震を防ぐこともできるが地震の元凶ともなりうるがゆえに被差別民であり、帝国オロジェンは一目でそれとわかる全身真っ黒の制服の着用を義務付けられている。十指輪という最高ランクに達するまで住居は一人部屋すら与えられないし、優秀であればあるだけ種馬として子を成すことを強制される。そして訓練で制御不能と判断されたオロジェンは、力だけを搾取できるよう思考を奪われ、肉体も縛り付けられ、地震を抑止するシステムに奉仕するだけの機械となる。帝国オロジェンとして権力に仕えるサイアナイトとアラバスターは、こうした非人間的なシステムのなかでもがいている。
私は特にアラバスターが好きで、まさかこんな「自身の力が強すぎるがゆえにメンタルがバッキバキにひび割れた加害者意識過剰な中年男性」というドツボを突く男がさ……後半あんなことになると思わんよね……。ありがとう、N.K.ジェミシン。エロティックなシーンの描き方も繊細で、優秀な子を残すというミッションを強いられたサイアナイトとアラバスターの行為はどこまでも味気なく暴力的ですらあるのに(当然第三者からセックスを強要される状況自体が暴力なので)、イノンとの出会いを通じてサイアンとバスターの関係も思いやりを伝え合う良好なものに変わっていく。イノンの終身名誉ヤリチンぶりが頼もしい。
性的なことがらの書き方はフェミニズム的だが、男女間の対立を煽るような表現がなかったのも良い。エッスンの暮らす一見閉鎖的なティリモの村にもラスクやレルナのように彼女の気持ちに寄り添ってくれる男性がいるし、アラバスターが見せる切ないほどの脆さは「本当は強い女」と「本当は弱い男」の対比などではなく、オロジェンに共通する苦しみとして描かれている。アラバスターが男性であるイノンに恋をする描写のシンプルさや、性転換する薬を飲んでいるトンキーへのサラッとした共感も感じが良かった。エッスンたちは苦しんでいるが、それはオロジェンや用役カーストを課されたほかの人びとと同じ苦しみなのだ。そしてこのように異なるカーストや差別に苦しむ人びとに思いを寄せ、自由と解放をめざすことがフェミニズムの本質だろうと思う。
三つめの鉱物幻想は、オロジェニーも勿論そのひとつだが、ほかにもオロジェンのエネルギー源になるらしいクリスタル型の巨大な浮遊物〈オベリスク〉や、人の姿をとりながら石の肌を持つ謎の種族〈石喰い〉などが登場する。極めつけは終盤にエッスンが迎え入れられる水晶でできた廃墟の町カストリマ。古代遺物と鉱物精神の組み合わせは『天空の城ラピュタ』のよう(こっちは地下だけど)。訓練を終えた帝国オロジェンは自ら鉱石の名を名乗り、輝石の嵌め込まれた指輪の数で能力値を表すという設定もベタなようだけどやっぱりかっこいい。
物語はダマヤ、サイアナイト、エッスンと名前を変えて生きてきた女性の一代記だったとわかり、序盤からほのめかされていたある天体の“不在”がこの世界の謎を解く鍵であることが明かされて第1作めは終わり。この世界の権力構造は?〈守護者〉の能力とは?などなど、まだまだ全貌は掴めないのだが、このスティルネスという世界のかけらを眺めているだけでも飽きない。『ザ・ロード』のような天災サバイバルに、市川春子が描かないタイプの鉱物精神と異能力者バトルが組み合わされた豊穣のエンターテイメント。続きを早く読みたい!!!

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Posted by ブクログ 2020年07月29日

すごいすごいすごい!!
三パターンの視点がひとつに集約していく感じとか興奮してしまった。
続きがはやく読みたい!!
来年までいきる目的ができました~☺️

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月22日

出会ったかもしれない。
N・K・ジェミシン、覚えよう。
近所のセレクションセンスがいい本屋さんで発見。
「前人未到の三年連続ヒューゴー賞受賞」が気になり手に取った。
「では、世界の終わりの話からはじめようか。」
というダサいコピーは無視してヒューゴー賞のセンスを信じ(今のところ割と信頼できる)。
...続きを読むういう本との出会いはネットショップではできない。

なかなかの長編だけれど、一気に読んだ。
所要時間1.2日くらいかな。
こんな没入は久しぶり。

世界観がしっかりしており、エンターテイメント性もあり、最後に読者を驚かせるポイントもあり、つまりそのための構成の計算も丁寧にされており、加えて各登場人物のキャラクターもしっかり立っており素晴らしい。

そういう意味では私は主人公の一人、サイアナイトがあまり好きじゃない。
余計なことをするタイプ。
まあキャラクターだ。

描かれる世界に関しては、巻末に用語集や歴史上の「季節」への説明があるなど、かなり綿密にデザインされている模様。
なので(第一部を読む限りに置いては、)物語上の破綻はない。

ジェミシンは細かい説明はしないタイプの人なのだろうか。
説明くさい文章はないが、時に理解するために頭を、というか推理(推測の方が正しいかも)が必要とされるシーンがちらほら。
結局それは何が起こったのか?
が明記されず、次のセクションでは過去のこととして語られる。
会話から大体想像するが、確信は持てない。
この辺りは、まあいいや。と思わないと次に進めない。

ほほー、と唸ったのが伏線の回収。
三人の女性がパラレルに描かれるが、その三つの世界が実は一本の線の異なる時代だ、ということが次第に判明していく。
そこも、まあまあ「なるほど」と思わせる仕組みなんだけど、最も感心したのは、三人の女性のうちの一人のパートで用いられている二人称。
他の二人は普通の三人称(名前)で語られるのに、一人、三人の中でも恐らく最も主人公格と思われる人のパートでは「あんた」という二人称が使われる。
これがちょっとぎこちない感じがしてずっと気になっていたんだけど、ちゃんと理由があることが最後に判明する。
これは想定外で「お見事」と言わざるを得ない。
そうか、そうきたか。

★5じゃないのは、完結していないから、が大きいかな。
結局オベリスクがなんなのかわからないし、ストーリーも終わっていない。
三部作って言うか、一作品の上・中・下の方が正しいのでは…?
まるでBTTF2の終わりみたい。
一作品ならちゃんと完結しようよ。

しかも。
残りの二作まだ発売していないらしい。
2021年秋って、一年後な気がするんですけど気のせいですかね(今は2020年9月)。
悶絶。

今私たちが住んでいる世界とは異なる世界なので(でも地球らしいけど)、言葉も少し違う。
「神」的な意味で「地球」という言葉が使われるし、恐らくけなし言葉、「くそっ(英語ではShitとか、OMGも含むかも)」のような感じで「錆び」という言葉が使われる。
読んでいけば意味はわかるんだけど、なんかもうちょっといい訳なかったかな?
訳のぎこちなさを感じるというか、ナチュラルな感じがしないというか。
でもこれらの用語にニュアンスを乗せるのが難しいのは想像に難くない。

舞台は地球。
パラレルワールドなのか、古代の話なのか、未来の話なのか。
最後に「月」の言及があるから、未来かな。
一旦文明が滅びないとこういう世界にはならないだろうな。
私たちが住んでいるこの世界に第5の季節が訪れ、私たちの文明が消えたのか?
《破壊された地球》3部作だからそういうことか。

いろいろ謎も残るが、全ては残り二作目、三作目ってことか…。
ちょっと消化不良。

でも久々にこれぞと思える世界観を持った小説と出会った。
嬉しい。

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Posted by ブクログ 2020年07月03日

エッスンの話、サイアナイトの話、ダマヤの話、三人の話かと思いつつ読む。あれ?世界の様相が違うかも、雰囲気に齟齬があるかも。三人が二人になり、一人になる。ああ、そういうこと。周りにいる人たちの性格も雲をつかむような感じ。こんなひとなのか?あんな人なのか?茫洋とした世界はいつか安定して感じられる世界に確...続きを読む定できるのか、それとも……

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Posted by ブクログ 2020年06月19日

女性作家によるエキゾチック系(解説では「文化人類学的SFファンタジー」)のワン・オブ・ゼム、だけど、確かに抜きんでて出来は良い。

ラストの台詞は、ここでそれを言っちゃうんだ、と、逆に意表を突かれた。

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