小野田和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『三体』が読みたいけどまだ読めないので代わりにこっちを読んだ。面白かった。
だらだらと思い付くままの覚え書きのような感想。
最初は星3くらいで、世界観の飲みこみがうまくいかず、ノレず、だらだら読んでいた。しかし、サイアナイトの話で、能力のあるオロジェンは強制的に子作りをしなければいけないとか、ノード保守要員はロボトミー手術のようなものを受けて廃人のまま生かされ管理されるという事実が明らかになってきて、この世界の闇が見えてきたあたりで面白く感じられるようになった。さらに、そのノード保守要員は、アラバスターの息子というのも匂わされて面白かった。人権どこいったという世界。ほんとディストピア。
ノード保守要員が虐待を受けていた事実もまた良かった。悲しい出来事の列挙で麻痺する。
3視点構成は、おそらく同一人物だろうなあ、でもまだ時系列ちょっとわかんないなあと思っていたので、同一人物だと判明した時はきちんと繋がって面白かった。
エッスンの時の、語り手はホアだというのも最後にわかって良かった。
ホアはおそらく地中から産まれた存在で、石喰い人なんだろうけど、まだいまいち目的がわからない。
アラバスターに付いていた石喰い人のアンチモンが、石化したアラバスターの腕を食べているらしいことから、石喰い人は能力が高いオロジェンを食べる存在ってことだろうか?
イッカにも石喰い人が付いてた。
また、アラバスターは、能力が高くなるにつれ地球と同化する感覚が強くなったとも言っているので、オロジェンは石化し、それを石喰い人が食べる?
冒頭の男はアラバスターかなと思った。アラバスターが季節を起こしたので、その時のアンチモンの会話かなあ。
守護者は、フルクラムでオロジェン同士で出来た子供だが、オロジェニーの力が無いスティルがなるらしい。
クラックはノード保守要員になったんだろうな…。
クラックは、自分の延命のために優秀なダマヤを陥れた。ジャスパーは母親からの手紙が欲しかったので、酒と身体を指導者?に売った。ジャスパーの代わりにクラックがコム無しの掃除係と間を取り持って、酒をもらう代わりにダマヤの靴を渡した。ということかな。
幕間で月が無いことが仄めかされていた。月が無いので満ち潮引き潮は無いんだろうな。なぜ無い、というか、無くなったのか?
地球が怒った出来事のせいかな。
なんとなく、石化するアラバスターをみて、人類は鉱石と交わり、能力が高まれば石となっていくのかなあと想像した。月を作り出そうとしているのかもしれない。
能力の高いオロジェンはオベリスクと同期できる?
アラバスターはオベリスクを使って、季節を起こしたと思われる。
オベリスクの中には石喰いがいる。オロジェンの能力を増幅させるっぽい。
フルクラムでオベリスクが作られる。オベリスクはオベリスクを操れるオロジェンに近寄る。磁石みたいだな。オベリスクの中の石喰いは死んでるとあったが、石喰いは死ぬのか?冒頭の女性の石喰いは長く生きていたみたいだけど。
オベリスクを使うと釘が出るっぽい。シャファは死んだのだろうか?
シャファは最初はいいやつかと思ったら指を折って、でも慰めてくれて、しかし、ダマヤに試験を受けさせるところで、ダマヤはこれ正しくないと自覚し、ミオヴでは反抗する。守護者がずっと微笑んでいるのが不気味すぎる。
トンキーが実は男だというのは驚いたし、ビノフだったのにも驚いた。性別を変えられる技術があるのがすごい。
季節があって、人々が飢えをしのぐ時に人肉もあったとありちょっと興奮しつつも、最初のエッスンの旅の時にその話あったなあと思い出した。
いろいろ事実整理しないとわからなくなるし、絶対続編読む時には忘れてる。
アラバスターが同性愛者者なのが興味深いし、きっとエソナイトともそんな仲だったかもしれない。片思いかな。
サンゼ帝国の創始者の将軍が女性という記述も面白かった。すごいな。
最初、オベリスクは古代人が残したコロニーかと思っていたが、そこまで大きくないっぽい。
地上が安全じゃないから、空に逃げたのかなあって考えた。
ティーメイのあれは地球の代弁なんだろうか。
ホアの「あんた(エッスン)がいっぱいいる」発言も気になる。単純にオロジェンが多いってことでいいのか?
ナッスンを探していたのにわからなくなったらしいし。なんでだ。
受賞理由というか、ウケる要員としては、ディストピア社会としてのカースト。特に同性間の親子間でカーストが引き継がれるのが地獄だし、カーストに繁殖者がいるのが地獄。残り1つはなんだろう。
指導者、守護者、繁殖者、強力、耐性者、革新者。
宗教というか、神的なものが見当たらなかった。地球がそれに類するっぽいけど、宗教関係者みたいなのがいない。フルクラムや地科学者がそれに相当するのか?天体学が似非科学となってるのが面白い。
錆びを侮蔑的な意味合いとして使ってるのがなかなか慣れなかったな。自分の中ではクソって翻訳してた。 -
Posted by ブクログ
これは読みごたえがありましたよ・・・。
三部作の第一部でありながら、細かい文字でびっしりの600ページ越え。
僕的には、若干でも文字の大きいハヤカワSF文庫で出版してほしかったかったのですが、そうも贅沢はいっていられません。
はい。
創元SF文庫さま、日本語版を出版していただきましてありがとうございました。
僕が愛用している個別にあつらえたリーディンググラスを駆使して読破しました。
あ、すみません。カッコつけました。ただの老眼鏡です(笑)。
馬鹿なことを言ってないで、レビューですね。
いや、面白かったです。
3部作の全作品がヒューゴー賞を受賞しているという本作品。しかも3年連続という快挙。
これは読むしかないでしょう。
ジャンル的にはSFなんだけど、細かくカテゴライズするならば
終末系ファンタジーSF
とでもなるのでしょうか。
本作の舞台は未来の地球。
人間の開発により荒廃した地球が人類に反旗を翻し、数十年数百年ごとに超絶な環境変化を起こし、人間の文明をその都度全滅させるという世界が舞台です。
この世界観は嫌いじゃないですね。
並大抵の想像力でこの小説を読み進めていくのは難しいです。
まあ、中世の世界に映画『マッドマックス』とコーマック・マッカシーの『ザ・ロード』の世界観をぶち込んで、そこに人類を救うであろう特殊能力をもった人間をひとつかみ放り込んだような感じといえば分かりやすいでしょうか。←全然わからないよねwww
まあ、まだ第一部ですのではっきり言って謎だらけです。
でも、3つの視点から本作は進んでいき、それがやがて統合されている手法はお見事としか言えません。
本作の著者は、女性なので女性視点で描かれた描写が多いです。非常にフェミニンな感じで男女の愛憎も描かれます。
このあたりの好みは人それぞれでしょうか。
600ページ越えでまだ物語は始まったばかり、人類は地球上で生き残ることができるのか。
手に汗握ります。
続巻はいつ発売なのだろう?
待ち遠しいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレはるか未来の地球。不動[スティルネス]と呼ばれる巨大大陸は、数百年ごとにやってくる天変地異〈第五の季節〉と地震の脅威に晒されていた。人びとは〈用役カースト〉という世襲制の役割分担を作って〈季節〉に備えていたが、〈オロジェン〉、あるいは差別的に〈ロガ〉と呼ばれる者たちだけはカーストからもはじき出されている。オロジェンは地震を操る能力を持ち、それゆえに忌み嫌われ、権力者に管理・制御されるべきと考えられている人びとだ。オロジェンでありながら身分を偽り、二人の子どもを奪われた女性エッスンと、〈守護者〉に引き渡されオロジェン育成学校に入学したダマヤ、オロジェン最高峰の能力者アラバスターとバディを組むことになった〈帝国オロジェン〉のサイアナイト。三人の物語はやがて一つに重なり、スティルネスの、そして未来の地球が隠した巨大な謎に直面する。〈破壊された地球〉三部作の第1作。
いま我々がいきる世界が「神話時代」と呼ばれ、石伝承という旧約聖書じみた聖典によってしか窺い知れない過去になっている世界の話、というだけでワクワクしてくる未来の話。スティルネスはちょうど南北の中心を赤道が走る大きな大陸で、北米とアフリカがくっついたような感じ。かつてはサンゼ人という種族が統一支配していたらしいのだが、いまはそこまで影響力はない。だがサンゼが築いた都市ユメネスはいまだに尊敬を集め、人びとは容姿にサンゼ人の特徴がどれかほど表れているかを美醜の基準にする。こういう未来の文化人類学的なディテールが楽しい。
本作を語るキーワードは、地震を操る能力〈オロジェニー〉、そしてフェミニズムと鉱物幻想の三つあると思う。
まずはオロジェニーについて。地震を操る能力とまとめてしまうのは実は正確ではなく、大地に張り巡らされた地脈を自身の体内のできごとのように感じ、地上にある熱エネルギーを使ってその結節点に作用できる能力である。自然状態のオロジェンは感情と力が直で結びついていて、ほかの人間にとっては脅威となる危険な存在。つまり、自分の力に気づいていない子どものオロジェンが一番危ない。
だが、フルクラムにある訓練学校を出て帝国オロジェンになると力をコントロールできるようになり、オロジェニーを持たない人びとに対して「役に立つ」ことをアピールするため、常に冷静沈着であれと教えられる。オロジェンは地震を防ぐこともできるが地震の元凶ともなりうるがゆえに被差別民であり、帝国オロジェンは一目でそれとわかる全身真っ黒の制服の着用を義務付けられている。十指輪という最高ランクに達するまで住居は一人部屋すら与えられないし、優秀であればあるだけ種馬として子を成すことを強制される。そして訓練で制御不能と判断されたオロジェンは、力だけを搾取できるよう思考を奪われ、肉体も縛り付けられ、地震を抑止するシステムに奉仕するだけの機械となる。帝国オロジェンとして権力に仕えるサイアナイトとアラバスターは、こうした非人間的なシステムのなかでもがいている。
私は特にアラバスターが好きで、まさかこんな「自身の力が強すぎるがゆえにメンタルがバッキバキにひび割れた加害者意識過剰な中年男性」というドツボを突く男がさ……後半あんなことになると思わんよね……。ありがとう、N.K.ジェミシン。エロティックなシーンの描き方も繊細で、優秀な子を残すというミッションを強いられたサイアナイトとアラバスターの行為はどこまでも味気なく暴力的ですらあるのに(当然第三者からセックスを強要される状況自体が暴力なので)、イノンとの出会いを通じてサイアンとバスターの関係も思いやりを伝え合う良好なものに変わっていく。イノンの終身名誉ヤリチンぶりが頼もしい。
性的なことがらの書き方はフェミニズム的だが、男女間の対立を煽るような表現がなかったのも良い。エッスンの暮らす一見閉鎖的なティリモの村にもラスクやレルナのように彼女の気持ちに寄り添ってくれる男性がいるし、アラバスターが見せる切ないほどの脆さは「本当は強い女」と「本当は弱い男」の対比などではなく、オロジェンに共通する苦しみとして描かれている。アラバスターが男性であるイノンに恋をする描写のシンプルさや、性転換する薬を飲んでいるトンキーへのサラッとした共感も感じが良かった。エッスンたちは苦しんでいるが、それはオロジェンや用役カーストを課されたほかの人びとと同じ苦しみなのだ。そしてこのように異なるカーストや差別に苦しむ人びとに思いを寄せ、自由と解放をめざすことがフェミニズムの本質だろうと思う。
三つめの鉱物幻想は、オロジェニーも勿論そのひとつだが、ほかにもオロジェンのエネルギー源になるらしいクリスタル型の巨大な浮遊物〈オベリスク〉や、人の姿をとりながら石の肌を持つ謎の種族〈石喰い〉などが登場する。極めつけは終盤にエッスンが迎え入れられる水晶でできた廃墟の町カストリマ。古代遺物と鉱物精神の組み合わせは『天空の城ラピュタ』のよう(こっちは地下だけど)。訓練を終えた帝国オロジェンは自ら鉱石の名を名乗り、輝石の嵌め込まれた指輪の数で能力値を表すという設定もベタなようだけどやっぱりかっこいい。
物語はダマヤ、サイアナイト、エッスンと名前を変えて生きてきた女性の一代記だったとわかり、序盤からほのめかされていたある天体の“不在”がこの世界の謎を解く鍵であることが明かされて第1作めは終わり。この世界の権力構造は?〈守護者〉の能力とは?などなど、まだまだ全貌は掴めないのだが、このスティルネスという世界のかけらを眺めているだけでも飽きない。『ザ・ロード』のような天災サバイバルに、市川春子が描かないタイプの鉱物精神と異能力者バトルが組み合わされた豊穣のエンターテイメント。続きを早く読みたい!!! -
Posted by ブクログ
「凍月」より先に書かれているが、「凍月」より後の世界を描いている作品。
22世紀の火星は、地球から半分独立、半分依存している形で存在している。その火星で、政治家を目指すキャシーアが大学を追い出されかけるところから、火星の運命が回り始める。
大学内でも、反学長派とみなされた学生たちが一斉に退学させられることになる。それに反対した学生たちの反乱は、あっけなく終結するが…。
キャシーアの回顧録というかたちをとっている作品だが、なぜ「回顧録」なのかというのが最後にわかり、彼女の人生に圧倒されること間違いなし。
そして第1部で描かれる、キャシーアとリチャードの淡い恋愛話は、その辺の恋愛小説など風で飛ばされるほどせつなく胸にくる青春ストーリーとなっている。
上・下巻のうち、上巻はどちらかというとキャシーアの成長物語として楽しめる。下巻になると、怒涛のように変化していくキャシーアの政治家人生と火星の行く末にはらはらする。
そしてラストシーン、キャシーアが回顧録を閉じるその最後の一行に不覚にも涙する。
自分の人生だけでなく火星と火星人の人生も決断していくキャシーアの強さ、それを支えたリチャードの優しさが心に染みる。
新しい技術やアイデアといったSF理論はもとより、物語性も優れた作品。 -
Posted by ブクログ
太陽と金星を行き来しながら繁殖する宇宙藻のような生命体、アストロファージが発見された。数々の驚異的な特性を持つアストロファージだったが、同時に太陽のエネルギーを急激に吸収しており、人類は滅亡の危機を迎えていることが判明する。
かつて異端の科学者でありながら学界を飛び出した身であるライランド・グレースは、地球を救う為の計画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」へと参加することになる...
数年に渡って事前情報を遮断して来たが、ようやく読み始めた。太陽に生息する生命体と言えばブリンの「サンダイバー」を思い出すが、アストロファージはあくまで起点に過ぎず、次々と驚きの展開が待っている。
近年で同じく大きな話題になったSF作品「三体」があくまで純然たるSFだったのに対して、今作はもう少しエンタメ寄りの仕上がりで読みやすい。記憶喪失の主人公がへらず口を叩きながら徐々に記憶を取り戻して行くのに従ってストーリーも小出しに明らかになっていくという構成も、エンタメ上の要請ではあろうが、早く続きが知りたくてもどかしく感じてしまう。
とにかくも、上巻だけで予想以上の面白さで、ここからどんな地平まで連れて行ってくれるのか大いに楽しみ、楽しみ、楽しみ!
以下下巻。 -
Posted by ブクログ
読み始めは状況がまったく分からず、主人公と一緒に「ここはどこなんだろう」と手探りしている感覚が面白く、すぐに引き込まれました。
人類を救うというとんでもなく大きな話なのに、目の前の問題を一つずつ考え、試して、失敗しながら解決していく地道さが妙にリアルで、「知識ってこういう時に生かされるんだな」と思わされました。
途中から物語が思ってもいなかった方向へ進んでいき、気付けば人類の危機よりも、友情の物語として読んでいた気がします。
言葉も常識もまったく違うのに、少しずつ分かり合っていく過程にはかなり心を動かされました。
正直、物理や化学の説明はかなり細かく、「もう分からないから先に進もう」と読み飛ばしたところもあります。
それでも最後まで読むと、知識や頭の良さ以上に、誰かを信じることや、自分以外のために何を選べるのかが心に残りました。
壮大な宇宙の話を読んだはずなのに、不思議と人と人との繋がりについて考えてしまう一冊でした。
読み始めは状況がまったく分からず、主人公と一緒に「ここはどこなんだろう」と手探りしている感覚が面白く、すぐに引き込まれました。
人類を救うというとんでもなく大きな話なのに、目の前の問題を一つずつ考え、試して、失敗しながら解決していく地道さが妙にリアルで、「知識ってこういう時に生かされるんだな」と思わされました。
途中から物語が思ってもいなかった方向へ進んでいき、気付けば人類の危機よりも、友情の物語として読んでいた気がします。
言葉も常識もまったく違うのに、少しずつ分かり合っていく過程にはかなり心を動かされました。
正直、物理や化学の説明はかなり細かく、「もう分からないから先に進もう」と読み飛ばしたところもあります。
それでも最後まで読むと、知識や頭の良さ以上に、誰かを信じることや、自分以外のために何を選べるのかが心に残りました。
壮大な宇宙の話を読んだはずなのに、不思議とまったく違う存在同士のつながりについて考えてしまう一冊でした。
小説を読んだ後に映画を観ましたが、まさかロッキーがあのような姿だったとは想像もしておらず、勝手に人型をイメージしてしまった自分自身の想像力に限界を感じて、少しだけ落ち込みました。 -
Posted by ブクログ
読み始めは状況がまったく分からず、主人公と一緒に「ここはどこなんだろう」と手探りしている感覚が面白く、すぐに引き込まれました。
人類を救うというとんでもなく大きな話なのに、目の前の問題を一つずつ考え、試して、失敗しながら解決していく地道さが妙にリアルで、「知識ってこういう時に生かされるんだな」と思わされました。
途中から物語が思ってもいなかった方向へ進んでいき、気付けば人類の危機よりも、友情の物語として読んでいた気がします。
言葉も常識もまったく違うのに、少しずつ分かり合っていく過程にはかなり心を動かされました。
正直、物理や化学の説明はかなり細かく、「もう分からないから先に進もう」と読み飛ばしたところもあります。
それでも最後まで読むと、知識や頭の良さ以上に、誰かを信じることや、自分以外のために何を選べるのかが心に残りました。
壮大な宇宙の話を読んだはずなのに、不思議と人と人との繋がりについて考えてしまう一冊でした。
読み始めは状況がまったく分からず、主人公と一緒に「ここはどこなんだろう」と手探りしている感覚が面白く、すぐに引き込まれました。
人類を救うというとんでもなく大きな話なのに、目の前の問題を一つずつ考え、試して、失敗しながら解決していく地道さが妙にリアルで、「知識ってこういう時に生かされるんだな」と思わされました。
途中から物語が思ってもいなかった方向へ進んでいき、気付けば人類の危機よりも、友情の物語として読んでいた気がします。
言葉も常識もまったく違うのに、少しずつ分かり合っていく過程にはかなり心を動かされました。
正直、物理や化学の説明はかなり細かく、「もう分からないから先に進もう」と読み飛ばしたところもあります。
それでも最後まで読むと、知識や頭の良さ以上に、誰かを信じることや、自分以外のために何を選べるのかが心に残りました。
壮大な宇宙の話を読んだはずなのに、不思議とまったく違う存在同士のつながりについて考えてしまう一冊でした。
小説を読んだ後に映画を観ましたが、まさかロッキーがあのような姿だったとは想像もしておらず、勝手に人型をイメージしてしまった自分自身の想像力に限界を感じて、少しだけ落ち込みました。 -
Posted by ブクログ
そのときだ。反対側から音が聞こえてきたーー。トン、トン、トン。
これは上巻のある章の章末なのだが、上下巻を通してここが一番興奮した。どうなるの!?一体どうなるの!?と。もしこれが連載物で続きは一ヶ月後です、とか言われたら発狂していたに違いない。とにかくこの作品は、章の終わりかたの惹きが鮮やかで、寝る前に読んだら目がギンギンになってしまう。SF作品の魅力はこれか!とまざまざと体感できる。
上巻では、記憶喪失の困惑から現状把握、そして人類史上未知の体験へと足を踏み入れていく。下巻では人類の危機を救うための方策を講じていき、やがて最後はーーという展開になっていく。つまらない作品でないことは、すでに世界的な何万部も売れ映画化されているのだから、私からあえて言うまでもない。本作を一言で表すなら、生物普遍の友情物語だ。
物語の筋は大いに楽しめた。評価を星5にしていないのは、科学的な話や実験描写などの部分が十分に理解できなくてふわっとしたまま進めざるをえなかったからだ。これは理系音痴である私が悪いのではあるが、そういった描写の際は馬鹿でもわかるまとめの一言や二言欲しかったなぁとわがままを言わせていただきたい。
少し文句は言ったが、こういう思いと同時に他のSF作品にも興味を持つ良いきっかけになった。
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Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ
宇宙船内で突如昏睡から目覚めた男は、自らの名前すら忘れた記憶喪失に陥っていた。二人の仲間はすでに絶命しており、生き残りは自分一人。散乱する器具を使って実験と分析を繰り返すうち、失われた過去の記憶が現在と往還するように蘇り、自らが元中学校の理科教師ライル・グレースであること、そして太陽エネルギーを貪る未知の微生物「アストロファージ」から地球滅亡を救うため、片道切符の特攻任務「プロジェクト・ヘイル・メアリー」へ送り込まれたことを知る。孤独な極限状況下、必死に調査を続けるグレースの前に、同じく母星を救うべくやってきた蜘蛛型異星人の宇宙船が接近。恐怖を乗り越えて接触を図ったグレースは、その異星人「ロッキー」と手探りの交信を試み、種族を超えた奇跡のバディ関係を築き始める。
所感・深掘り
先に映画を観ていたことで、難解な科学用語に足を取られることなく鮮烈な映像イメージを頭に浮かべながら読み進めることができ、物語の熱量とドラマ性が身体の奥深くまで浸透してくる圧巻の読書体験だった。
特に心地よかったのは、「映像という確かな土台があったからこそ、細かな専門用語を適度に読み流し、本質的なストーリーの躍動感に集中できたこと」だ。膨大な物理演算や生化学のディテールは理科好きにはたまらない緻密さを誇る一方、活字だけでは情景を掴むのにエネルギーを割かれがちになる。しかし、あらかじめ宇宙船の質感や孤独な空間のスケール感が視覚として頭に入っていたため、活字を追うごとに目の前にダイナミックなビジョンが自然と立ち上がり、グレースの焦燥や試行錯誤をダイレクトに追体験することができた。予備知識や大枠のイメージを先に持っておくことが、物事の理解度と吸収力をいかに高めてくれるかを実感させられる。
また、後半における異星人ロッキーとのコミュニケーションの進展は、活字で追うことで二人の心の通い合いがより一層温かく胸に染み渡る。音階のような周波数の言葉を、共通の物理法則や道具を介して一つひとつ解読し、意思を通じ合わせていく過程。外見も種族も全く異なる孤独な者同士が、互いへの敬意と好奇心だけで距離を縮め、背中を預け合える無二の相棒へと変わっていく姿には、他者と信頼を築くことの原初的な喜びが宿っていた。
難解な細部に囚われすぎず、全体像と本質を捉えて柔軟に対話を重ねること。
知的興奮に満ちた宇宙のロマンを味わいたい人はもちろん、困難な現場において事実を冷静に見つめ、未知の相手とも誠意をもって心を通わせるチームワークの力を信じたいすべての大人にとって、魂を熱く奮い立たせてくれる傑作SFだ。 -
Posted by ブクログ
アンディィィ!ウィィィアアアァァーー!
って聞いたらプロレスラーっぽく聞こえるのは自分だけだろうか。まぁどうでもいいか。
いや〜シンプルに面白い。これは映画化も納得ですわと。読みながら映画を見てるような感覚に陥る。とにかくどういう展開になっていくか全然わからない。これは宇宙で、人類がまだ経験していない未知の体験をしていく本だが、我々読者も未知の体験を共有させられ、不安と期待を噛み締めながら一歩一歩進んでいく。
理系音痴の自分にとっては、ぶっちゃけ「ようわからん!助けてグーグル先生!」と思う場面も多々ある。専門的な言葉は仕方ないとして、普段日常で聞くような言葉、例えば放射線や赤外線や陽子などに対して「こいつらって結局何なの?」って一般常識的なところにも疑問を抱いて調べてしまう。そして読書は中断される。まぁ無知な自分が悪いんですけどね。SFを避けてた弊害かもしれないが、これを機に克服したい気もある。
理系がゴミなので頭を悩まされるときもあるが、小説としての物語は面白いので、下巻がどうなっていくか楽しみである。