小野田和子のレビュー一覧
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破壊された地球3部作の最終巻。旅がふたたび始まっていく。
エッスンは仲間とともにユメネスへ向かう。その旅は希望のない、いずれは迎える絶滅を少しでも先延ばしにするだけでしかない。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を彷彿とさせる世紀末の旅。その旅でエッスンはカストリマのみんなと仲間になる、彼女の人生で初めてのことだ。ミオブで海賊と一緒に生活したことはあった、でもその一瞬の幸せはオロジェンであることで終わってしまっている。エッスンの心境に変化が出てきている、娘ナッスンを探し出すだけでは無く仲間や人類そして地球を助けるためにオロジェニーを使おうと。
一方、ナッスンは絶滅した文明の造った地下鉄 -
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『第五の季節』は旅の物語だったが、一転してコムに定住していくことになる。エッスンが地下都市カストリマで出会う女長イッカとの対比がおもしろい。エッスンは夫・娘に逃げられ、旅のお供は石喰いホア一人だけ、生きる目的は娘に再会すること。一方イッカはオロジェンであるのに関わらずコムを存続させるために仲間とともに力強く生きて行っている。その違いはエッスンの強力すぎるオロジェニー能力と虐げ続けた人生に起因すると思います。本当は普通の家庭を築きたかっただけなのに、オロジェニー能力が高すぎるためとフルクラムでの洗脳に近い教育を受けてきたため地球の存続の鍵を握る人物なってしまう悲しい人生がひしひしと読み取れます。
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物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジェンは多くを語らないというか必要なことも話さない。それは常に緊張状態にいるのもあるし、だれにも理解されない孤独のなかに存在しているからだ。彼らの心のなかに隠し持っている悲しみがものすごく伝わってきます。その対比として登場する海賊イノンの明るさ、アライアの役人アザエルのずるさのなんと人間臭いことか。
物語は娘をさがす中 -
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ネタバレオベリスクによって晶洞を破壊されてしまったカストリマの人びとは、無人になったレナニスの街を目指す。アラバスターと同じく体が石に侵食されはじめたエッスンは、彼女らと共に移動しながらも早く娘の元へ駆けつけたいと考えている。一方、ナッスンは守護者のシャファと共に〈見出された月〉を離れ、地球の裏側にある古代都市の遺跡へと旅だつ。そして遂にホアが自らの過去を語りはじめる。〈破壊された地球〉三部作最終巻。
前作を読んでから1年半経っているので内容をほとんど忘れちゃってて、正直「???」になってしまった。でも今作を読んだあとに読み返すオベ門の面白いこと!思わせぶりに謎めいていたアラバスターとの会話や、カ -
購入済み
上巻に続くワクワク感
下巻もよいテンポで読み進められて、隙間時間でも少しずつ読めてしまう、すてきな作品です。
偶然にもこの作品に出会えて、ここ数週間はとてもよいSF心地に浸れました。
内容は伏せますが、あとがきにもあるように、ページ数が少なくなっても油断せず読み進めてください。 -
購入済み
面白さと読みやすさを兼ね備えた
上巻のみ読み終えた感想。
読み始めはわからないことだらけで、答えを求めて読み進めていくと、話にドントン引き込まれていく。
科学的な部分はわかったフリで流しても問題無い。
途中の展開に、ワオ!と主人公とリンクし、心の中でワオ!となる。
ここでは伏せるがそのワオ!体験をぜひ読んで体験してほしい。 -
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アンディ・ウィアーの物語は丸裸の物語だと思うんです
いやいやおっぱいのことを言ってるんじゃないですよ
おっぱいのことは今ちょっと置いておいて下さいほんと不謹慎だな
アンディ・ウィアーの奏でる物語は余計な包装にくるまれていないし、ラメの入った袋に入っていたりしないし、色鮮やかなピンクのリボンで飾られていたりしない
そのまんまストレートに最短距離で僕たちの心に届く
そんな物語だと思うんです
例えばあばずれのアラブ人の主人公は親友だったユダヤ人のホモ野郎に大事なものを奪われて仲違いしてます
ストレート!w
この物語がストレートに訴えてくるのは大切な人はすぐ近くにいるよってこと
困ったときは友達 -
購入済み
今までのSFからもう一歩
今までのSFではなかなかなかった展開の小説だと思った。
科学や物理の話も濃いが、そこにファンタジーが混じってきたような感覚で新しかった。 -
ヴィナ・ジエミン・プラサド / ピーター・ワッツ / サード・Z・フセイン / ダリル・グレゴリイ / トチ・オニェブチ / ケン・リュウ / サラ・ピンスカー / ピーター・F・ハミルトン / ジョン・チュー / アレステア・レナルズ / リッチ・ラーソン / アナリーニューイッツ / イアン・R・マクラウド / ソフィア・サマター / スザンヌ・パーマー / ブルック・ボーランダー / ジョナサン・ストラーン / 市田泉 / 小野田和子 / 佐田千織 / 嶋田洋一 / 中原尚哉 / 古沢嘉通 / 細美遙子3.7 (6)
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夢中になれます
火星の人の主人公のように、へこたれずに科学の力で何とか現状を乗り切る姿勢は健在でした。
知恵と工夫で乗り切ろううと、勇気をくれる思わせてくれる作品です。 -
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これぞSF!な傑作エンターテインメント!!
いやー、おもしろかった。
SFってこと以外どんな内容なのか知らずに読んだけど、それがよかった。
いや、そうでなくても文句なく
面白いやろこれは。
冒頭からぐいぐい引き込まれていく感覚。
これこれ!待ってました!な、
この感覚がもう最高。
人類滅亡の大ピンチに、
唯一の突破口を見出すべく
発動されたヘイルメアリープロジェクト。
ただし、語り口はそんな悲壮感などどこ吹く風。ひたすらポジティブで、
ある意味楽天的な感じで、
テンポ良く進んでいく。
小難しい話は抜きにして(小難しい話も多分にあるのだが)、SF作品の良いところがたっぷりと詰め込まれてい -
購入済み
心が震えるヒューマンSF
結構なボリュームだったと思うけど、あっという間に読み終えました。SFでエンターテイメント性抜群のストーリー、なのに心にグッとくるこの感じ。火星の人もそうでした。読み進める程に本当にワクワクさせてくれます。
アンディウィアー氏と翻訳家の小野田和子氏、素晴らしい作品をありがとうございます。 -
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ネタバレ『三体』が読みたいけどまだ読めないので代わりにこっちを読んだ。面白かった。
だらだらと思い付くままの覚え書きのような感想。
最初は星3くらいで、世界観の飲みこみがうまくいかず、ノレず、だらだら読んでいた。しかし、サイアナイトの話で、能力のあるオロジェンは強制的に子作りをしなければいけないとか、ノード保守要員はロボトミー手術のようなものを受けて廃人のまま生かされ管理されるという事実が明らかになってきて、この世界の闇が見えてきたあたりで面白く感じられるようになった。さらに、そのノード保守要員は、アラバスターの息子というのも匂わされて面白かった。人権どこいったという世界。ほんとディストピア。
ノ -
Posted by ブクログ
これは読みごたえがありましたよ・・・。
三部作の第一部でありながら、細かい文字でびっしりの600ページ越え。
僕的には、若干でも文字の大きいハヤカワSF文庫で出版してほしかったかったのですが、そうも贅沢はいっていられません。
はい。
創元SF文庫さま、日本語版を出版していただきましてありがとうございました。
僕が愛用している個別にあつらえたリーディンググラスを駆使して読破しました。
あ、すみません。カッコつけました。ただの老眼鏡です(笑)。
馬鹿なことを言ってないで、レビューですね。
いや、面白かったです。
3部作の全作品がヒューゴー賞を受賞しているという本作品。しかも3年連続という快