小野田和子のレビュー一覧
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月での生活が超未来ではなく現実の少し先くらいで表現されていておもしろい!
なんかちょっとノリが違うというか下品というか、あれだけど。
ジャズ、割と好きな感じのキャラなんだけど、あんまりジャズがんばれー!!って感じにならんかったな、なんでだろ。どっちかっていうとやめとけ!みたいな感じだったかも。
月での人の生活はこんな感じなのかと想像できるところは興味深くて、話も殺人事件や陰謀や人間関係やエンタメ要素も強くてけっこう軽めの読み心地だった。
月の空気や重力問題は怖くはあるけど、行けるなら観光旅行に行ってみたいなー。
住むのはあまり魅力に思えないけど、それでも月での生活を選んだ人たちそれぞれそれなりの事情があるところも垣間見えてよかった。 -
ネタバレ
徹夜必至の傑作
最初は「コールドスリープから目覚めたら、宇宙船で一人きりで……」という「火星の人」っぽい始まりで、またこのパターンなのかな?と思いきや、途中からの急展開でものすごく引き込まれます。
ハードSFとしてももちろん、熱い友情ものとしても楽しめる一作。
いわゆるファーストコンタクトものですが、相手の宇宙人をこんなに愛おしく思ったのは初めてかも。
「常識」が通じない相手とのコミュニケーションの大変さやおかしさを明るくユーモラスに描いているのもいい。
グレースは完全に巻き込まれ型主人公だし、置かれている状況も極限すぎるんだけど、自暴自棄になったりせず、今できることをやる!っていう態度に勇気づけられます。
上下巻とボリュームもありますが、読み始めたら止まらないので、お手に取るなら金曜の夜に。
平日に読むと確実に寝不足になります。 -
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ネタバレ「夏の霜」ブレイク・クラウチ
人工知能モノ。最初は世界観が飲み込めなかったが、ゲームだとわかり、そこからは新しい人工知能の誕生にワクワクした。主人公が女性でレズビアンなのがイマドキ。でも子育てや夫婦?仲がうまくいかないところは普遍的。
主人公と一緒になってマックスに騙された。ブライアンを殺すところはゲームと一緒だったな。
“喉の奥に金属の味がする。”の絶望感が良かった。
AIに愛された人類はAIのようにされてしまうのか。
「エマージェンシー・スキン」N・K・ジェミシン
宇宙人モノ。はるか昔に分化した地球人類だが。
温度差がシュールで笑ってしまう。一大隠密プロジェクトのはずが、地球の人には筒抜けで、任務に気負っていた主人公がだんだん馬鹿らしくなっていく気持ちに同調できた。
与えられた環境と支配の声に疑問を持たずに言いなりになるなということなんだろうな。
「方舟」ベロニカ・ロス
終末モノとして、最後に残った人間の動向が面白い。植物学者。新種のランの発見。それまでの会話と父と母の記憶で、残るのではなく旅立とうと決心したのが良かったな。希望が生まれた瞬間。
「目的地に到着しました」エイモア・トールズ
デザイナーズベイビーモノ。
家族単位での個人のモノとして考えてたら国家が軍事的に介入していたというオチというか、設定。
自分が子供に望むように国家が国民に望んでいる。
IFを3つ見られたのが面白かったし、成長段階を分けていたのも面白かった。奥さんはこれから過渡期で変化前、自分は変化後。変化によってどうなるかわからない不安定さも良かった。
「最後の会話」ポール・トレンブイ
クローン人間像モノ。アンが、アンのホームビデオは何回も見たが最後は数回しか見てないということは、そこまで成長出来たものも数が少ないのかな、と考えた。記憶を引き継いでも、彼は彼であるが自分自身ではないという感覚が面白いな。
でもアンが必死になってクローンを作り出すのはわかってしまう。
「乱数ジェネレーター」アンディ・ウィアー
量子コンピューターモノ。
面白かった。カジノに限定しての攻防と最後の駆け引き。短いながらも緩急あって面白かった。さすが。 -
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SFってやっぱ面白い、と思わせてくれる16編と盛りだくさんの短編集。文庫も物価高騰のあおりを受けてこんなに高くなったか・・・と思いつつ買ったが、元は取れたと思う。
どの作品も味わい深いのだが、意識を持ったAIは物理的につながりさえできれば、ハード(シャーシ)を乗り換えていけるって設定が興味深い。人間が求めてやまない不死不老をAIなら実現できるという夢。
究極は「罪喰い」の世界で、人間はみな仮想空間(天国)に旅立ち、荒廃した地上にはロボットだけが残る。遺していく記憶を選べるってとこが業だ。
一方で、製品が成長したり、メンターがいたり、ロボット同士のいじめがあったりって世界の作品もあって、自意識を持つようになって社会のなかで生きていこうとすると、AIも人間も変わらないのはそうだよなと思う。
生存権をはじめAIの権利が認められる日が来るのだろうか? -
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ネタバレいやー面白かった。読みやすさでいえば鏖戦<凍月なのだが、両作品ともなんとも違う魅力があって、うなってしまった。(三体を読んだ時のエッセンスも感じた)
特大級のネタバレ以下
鏖戦/酒井昭伸訳
何がすごいってまずは、訳!絶対原典の方が簡単に書いてあるんでは?!と思いました(誉め言葉)。好みは分かれるかもしれませんが、私は結構好きでした。人vs異種族の戦いにおいて、異種族がいかに「読者含めた人」から離れた存在であるか、を示すべくの漢字も多用の訳…狙った効果の一つはそれかと考えているのですが、私は最初からやはり仏教感を感じてしまいまして、それは異端ではないので、なんだか最初から親しみが(?)ありました笑。本当はぜんっぜん読めない文字にルビで意味が振ってある、とかが正しいんだと思いますが、それだと読者途中離脱するでしょうしね…。
好きポイントその① 施彌倶支(セネクシ)・蔵識曩との会話
「汝、人種の記憶装置を調査せしや」蔵識曩がたずねた。
「はい」
「可なるか、是れ人形との意思疎通」
「すでに人種の機械を操作する界面(インターフェース)を開発しました。意思の疎通は可能と思われます」
「既往の先賢、人種との永き闘争に於て、還た意思疎通を為すの底有りや。汝また作麼生」(p17)
…
「この任務完遂ののちは、判明せる事実を余に伝え、須臾のうちに空滅せよ」(p19)
好きポイントその② 原題Hardfoughtの訳
戦いに赴く際に合言葉的に使う言葉としてHardfought!が出てきますが、それはそれでかっこいいし、ここで「鏖戦!」と日本語で語感を味わってもそれはそれでかっこいい…
好きポイントその③ だんだんと結末に収束する構成とスピード感
後半出てくる初代プルーフラックスとクリーヴォの会話、魅力的である。
「しかし、みずからの心を荒廃させてまで勝利すべき戦いなどーそれほど重要な戦いなど、ありはしない」(クリーヴォ、p89)
「連中はリスクのない成功を好んでくりかえす。新しい個性は危険なんだ。だから、過去の成功例を複製しようとする。いずれは同じような人間ばかりになって、個性はどんどんなくなっていくだろう。きみやぼくが増えて、ほかの者たちは減っていく。個人差がなくなれば、語るべき物語もなくなる。歴史もなくなる。われわれは死んだ歴史の一部になるのさ」(p96)
「あなた…クリーヴォね…」(p106)
「…そのとき…裸体の女が宙に浮かび、自分そっくりのミニチュアたちに囲まれて室内に入ってきた。妖精をしたがえた天使の図だった。体格はまるで蛇のようにほっそりしている。…天使の大群は飛翔をつづける。いったい何百万体いるのだろうか、濃い霧のごとくに群れをなし、星々を隔てた空間を飛翔する天使たち。その唯一の主人は現実の優越性だ。それ以外の主人は必要ない。彼らが異常をきたす恐れもない。」(p106-107)
ここの疾走感、文字を読む目に、情報の理解が追いついたときの体の震え…これこれ至上のSFでしか体験できない震え…シーンとあたりは静まりかえり、私は冷や汗をかいていた。グロテスク度合でいうと、貴志祐介の『新世界より』を彷彿とさせた。
そして追い打ちとばかりにプルーフラックス最後の詩。
なんと明るい炎の輝き! 平和はうつろい
記憶は消える、ただのひとつも残さずに
なぜだかいつも、同じ扉を見失っては
輪廻のうちに、われらは滅ぶ。
灰から星へ、虚偽から魂へ、
まわれ何度も、窪みと孔を。
善きを殺して、若きを喰らう
永遠に、とこしえに
あなたとわたしは滅ぶことなく。(p108)
そして最後の二文…
凍月/小野田和子訳
鏖戦の後だと、読みやすってなります。
こちらも別の話だと思っていたいろいろなレベル感の話が、うまく一つになっていくので読んでいて気持ちがいい。
途中ミッキーが欺かれ、失意に沈み、そこから一つ賢さを身に着けて顔を上げる…というエンタメ要素に気を捕らわれていたから、最後えっえっってなり、そういえば序文が不穏だったじゃん…ってなりました。
「…わたしが死んだら、姉やウィリアムといっしょの<氷穴>にいれてほしい。…ほかの頭たちといっしょの<氷穴>に…。<静寂>のなかに。」(p264)
この最後を読んで、HEADSという現代を凍月と訳したこと、それがこの最後のシーンとうまく重なって、すごくジーンときてしまった…。 -
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破壊された地球3部作の最終巻。旅がふたたび始まっていく。
エッスンは仲間とともにユメネスへ向かう。その旅は希望のない、いずれは迎える絶滅を少しでも先延ばしにするだけでしかない。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を彷彿とさせる世紀末の旅。その旅でエッスンはカストリマのみんなと仲間になる、彼女の人生で初めてのことだ。ミオブで海賊と一緒に生活したことはあった、でもその一瞬の幸せはオロジェンであることで終わってしまっている。エッスンの心境に変化が出てきている、娘ナッスンを探し出すだけでは無く仲間や人類そして地球を助けるためにオロジェニーを使おうと。
一方、ナッスンは絶滅した文明の造った地下鉄で地球の裏側に向かう。それまでに父親に弟を殺害され、孤独で過去を隠し続ける母親から逃げ出し、さらに父親を殺害してきた。なにもかも奪われ続けてきたナッスンが初めてシャファを愛することができた。そのシャファも地下鉄の旅で失いかけていく。ナッスンはシャファを痛めつける地球を破壊することに決心する。
エッスンとナッスンの戦いはエッスンが操るオニキスのオベリスクとナッスンの操る27のオベリスクの戦いだ。オリベスクから発せられる光・エネルギー・波動が感じられる、すざまじい破壊力があることが伝わってくる。2人のそれまでの人生で抑圧されていたものが一気に爆発的に表に出ていく感じが表されている。暴力的なだけではなく美しさもある戦いだ。ナッスンはエッスンが以前の母親ではないことに気付いたに違いない、それによってナッスンも破滅から再生へ考えが変わっていったのだろう。
ラストでナッスンは地下鉄でスティルネスへ帰るのを躊躇するシーンがあります。ものすごい戦いのあとですぐに結論をだすのは難しいと思います。ですが、なんとか希望を持って生きてもらいたい、でないとこの話は悲しすぎます。
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『第五の季節』は旅の物語だったが、一転してコムに定住していくことになる。エッスンが地下都市カストリマで出会う女長イッカとの対比がおもしろい。エッスンは夫・娘に逃げられ、旅のお供は石喰いホア一人だけ、生きる目的は娘に再会すること。一方イッカはオロジェンであるのに関わらずコムを存続させるために仲間とともに力強く生きて行っている。その違いはエッスンの強力すぎるオロジェニー能力と虐げ続けた人生に起因すると思います。本当は普通の家庭を築きたかっただけなのに、オロジェニー能力が高すぎるためとフルクラムでの洗脳に近い教育を受けてきたため地球の存続の鍵を握る人物なってしまう悲しい人生がひしひしと読み取れます。
地球が滅亡するか復活するか、地球上のあらゆる生き物にはどちらを選ぶかという意志は無いように思います。地球自身も決めかねている、滅亡したほうが良いのか存続したほうが良いのかを。だから石喰いのメッセージも受け取るオロジェンによって受け取り方に違いがでてきているのだろう。地球の存亡を決めることができるのはエッスンとナッスンのみ、ここにも二人が究極の孤独感を感じなければならない理由があります。
最後の戦闘シーンは前作『第五の季節』をはるかに越えるスケールがものすごい。想像力を最大に発揮して、その美しく残酷な物語に浸ることができるのは大変幸せだ。 -
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物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジェンは多くを語らないというか必要なことも話さない。それは常に緊張状態にいるのもあるし、だれにも理解されない孤独のなかに存在しているからだ。彼らの心のなかに隠し持っている悲しみがものすごく伝わってきます。その対比として登場する海賊イノンの明るさ、アライアの役人アザエルのずるさのなんと人間臭いことか。
物語は娘をさがす中年の女性エッスン、フルクラムの指示でオロジェニーを使って各地で業務を行う女性サイアナイト、フルクラムでオロジェニーを制御できるように訓練を受ける少女ダマヤの話が順に語られていきます。その3つの物語が徐々に繋がっていく展開がおもしろい、ミステリー要素というほど大げさではないですが納得・腑に落ちるというかとにかくおみごとな語り方です。
そして、驚愕のラスト。都市を一瞬にして消滅させるオロジェンのちからを見せつけられる戦闘シーン。それまで静かに語られていたため余分にその力の大きさを思い知らされます。
ホアやトンキーといった魅力ある人物の謎が徐々に溶けていきます、そしてまだ残っている石喰いについての謎。フルクラムという組織がどのような意志をもっているのか。オロジェンと守護者の戦いは始まったばかりですし、隠れているオロジェンの中にはもっと巨大なオロジェニーを持っているものもいるのではないか。残り2作を読むのが本当に楽しみです。
たくさん出てくる鉱石の名前。黒曜石のナイフ。珊瑚の障害物。マシシというアクアマリンの最高級品。ガーネットのオベリスク。赤ダイヤのかけら。アレキサンドリアの原石。閃長石サイアナイト。雪花石膏アラバスター。巨大な水晶をくりぬいた地下室。翡翠と真珠貝の指輪。アメシストのオベリスク。尖晶石スピネルのオベリスク。鉱石にくわしいとより面白くかんじるかも知れません。 -
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ネタバレオベリスクによって晶洞を破壊されてしまったカストリマの人びとは、無人になったレナニスの街を目指す。アラバスターと同じく体が石に侵食されはじめたエッスンは、彼女らと共に移動しながらも早く娘の元へ駆けつけたいと考えている。一方、ナッスンは守護者のシャファと共に〈見出された月〉を離れ、地球の裏側にある古代都市の遺跡へと旅だつ。そして遂にホアが自らの過去を語りはじめる。〈破壊された地球〉三部作最終巻。
前作を読んでから1年半経っているので内容をほとんど忘れちゃってて、正直「???」になってしまった。でも今作を読んだあとに読み返すオベ門の面白いこと!思わせぶりに謎めいていたアラバスターとの会話や、カストリマの動力装置をめぐるトンキーの考察など、そういうことね!と。そうして再度今作を開き、ホアの記憶のクライマックス部分を読み返してやっと要点が掴めた。『第五の季節』から各章の終わりに付いていた石伝承や古文書の抜き書きも、もう一度読み返したくなってくる。
最終巻で一番わくわくしたのは、ホアが語る古代文明シル・アナジストの様子と、その遺物を使って地球内部を移動するナッスンの旅だ。本シリーズの地底旅行はどれだけ鉱物まみれになるのかと思いきや、シル・アナジストの遺物は動物や植物を改造しまくったシュルレアリスティックな生命体なのだ。ホアの打ち明け話によって、〈鉱物パンク〉だと思ってた世界観が〈生命エネルギーパンク〉に反転する。そこから逆説的に「石も生命を持っている」「地球も意思を持っている」と畳み掛ける。有機的なようで非人道的なユートピアをつくりだしたシル・アナジストの魔法は、科学の発展と同じ道をたどって優生思想にたどりついてしまう。
個人的に、このシリーズのすごいところは主人公への厳しさだと思う。エッスンが過酷な目にあうというだけではなく、どこで間違い、何を見誤り、誰に謝罪すべきなのかを常に厳しく問い質していく。今作では〈季節〉がはじまってからのオロジェンはむしろ英雄だったのだ、という伝承が発掘されていくが、それが鼻につかないのは、エッスンもナッスンもひとつひとつの選択を常にジャッジされる緊張に身を置いていることが読者にはわかっているからだと思う。
そしてこのシリーズ一番の魅力は、ホアの語りが持つ”声”だと思っている。饒舌だが硬質で、アフォリズムめいた言葉がリズム感よく畳み掛ける、エモーショナルな文体。エッスンに対する厳しさも、二人称の呼びかけを地の文に採用したからこそ効果的になっていると思う。読者が一番近しく感じる地の語りをホアが担当することで、〈石喰い〉と呼ばれるようになってしまった人びとの”人間性”がグッと伝わりやすく、説得力あるものになっている。私が前作の設定をすっかり忘れながらものめりこんで読んでしまったのはこの文体の力によるものだ。翻訳も素晴らしいと思う。
ただ、『天冥の標』と併読していたので、この技術力を持ったシル・アナジストがなぜ宇宙開発に乗りださなかったのか不思議で仕方なかった。特に『第五の季節』のラストで大興奮した、月の不在という謎の種明かしがちょっと期待外れだった。鉱石幻想の集大成のような月をめぐるファンタジーが読めるものと思っていたのだ。
ジェミシンがこのシリーズをあくまで地球の物語として完結させた意図はわかる。シル・アナジストは地球を所有物と考え、奴隷化しようとした。地球が人類に復讐する論理と、アラバスターたちオロジェンがスティルネスに抱く恨みは完全にシンクロしており、〈季節〉は復讐の連鎖から生れでた。ここにはっきりとエコロジカルなメッセージが埋めこまれている。
また、藤本和子の『塩を食う女たち』『ブルースだってただの唄』で知った黒人女性のスピリットが今作にも漲っている。劣等感を抱きながら生きることを当たり前と思いこんで暮らしてきた人びとの苦悩と怒りが、エッセンシャルに昇華されたパワフルな三部作。いま出会えてよかった。