小野田和子のレビュー一覧
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「火星の人」「プロジェクトヘイルメアリー」を書いたアンディウィアーのSF作品ということで、面白さはお墨付き。
今回の舞台は月に人間が住めるようになり、その施設が「アルテミス」と呼ばれるもの。地球からの観光客を受け入れ、高級リゾート施設もあれば、作業員クラスが暮らす施設もあり。こんな狭い施設の中にも格差があるのか、と地球の縮図を感じられる舞台設計。
主人公はそんな低層施設で暮らす女の子。ただし、清廉な印象は全くなく、地球からの密貿易で小銭を稼ぐ小悪党。言葉遣いも汚いし、清潔感もない。ただし、親譲りの物理の知識はとんでもなくらいにあって、どんなピンチも切り抜ける機転と度胸もある。たくましさは主 -
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ネタバレ著者:アンディ・ウィアー 原題:The Martian
発売日:アメリカ:2011年(日本:2014年)
ジャンル:SF
2011年アメリカ(2014年日本)発売のアンディ・ウィアーによるSF小説。
2015年にはリドリー・スコット監督、マット・デイモン主演『オデッセイ』として映画化され世界中で大ヒットしています。
火星探査ミッションに参加した植物学者のマーク・ワトニーは、嵐によってチームとはぐれ、火星に一人取り残されてしまいます。彼は限られた資源と自身の知識を駆使して、地球との交信を試みながら、次の探査隊が到着するまで生き延びようとします。
一方、NASAは彼の生存を確認し、救出作戦を -
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めちゃくちゃ面白かった…!これぞエンタメ小説…!
あまり難しいことを考えずに、頭を空っぽにしてワクワクしながら楽しめる感じが好き。
私が前述した「難しいこと」が何を指しているのかというと、人の繊細で複雑な感情の機微を感じること、行間を読みとって言葉の残り香を感じ取ること、著者が提示する新たな価値観に対して自らの考えを問うこと、、等である。
この本には物理的な意味での「難しいこと」がたくさん描かれているので、それを読みにくい、と感じる人はいるかもしれない。
ただ、複雑な数学や化学、物語に出てくる部材の構造など、そこまで細かな内容を完璧に理解できなくても、「つまり今主人公のワトニーはこうい -
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『第五の季節』三部作の最終巻。
本作を「差別問題に向き合った」と表現するとしっくりこない。
「差別する」という日本語はどことなく受動的な印象を受ける。「元からそこにある差によって扱いをわけている」といったニュアンスを感じる。
しかし”差”はつねに「差別」の過程のなかで新たに生産されている。
直接的ではないが、本作の中でも繰り返しそのことが強調されている。
オロジェンが最初から差別されるべき対象だったわけではない。権力が、過去に遡って彼らが差別されるべき系譜として、歴史を読み変えたのだ。
「差別」は、権力によって一方的に生成され押し付けられるより根源的な意味での暴力だ。
本作でも「差別 -
M・リッカート / エリザベス・ハンド / ショーニン・マグワイア / カルメン・マリア・マチャード / カッサンドラ・コー / ジョン・ランガン / カレン・ヒューラー / ベンジャミン・パーシィ / ジョイス・キャロル・オーツ / リチャード・キャドリー / ポールトレンブレイ / スティーヴン・グレアム・ジョーンズ / ジェフリー・フォード / ジェマ・ファイルズ / ジョシュ・マラーマン / ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン / レアード・バロン / ケリー・リンク / 新井なゆり / 市田泉 / 井上知 / 小野田和子 / 佐田千織 / 谷垣暁美 / 中村融 / 原島文世 / 渡辺庸子 / エレン・ダトロウ4.0 (1)
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『ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦い取らればならない人々に』
人として与えられるべき当然の敬意を剥奪され、虐げられ、その虐げられていること自体を地の底深くに隠蔽されし者たちの、哀しみと痛み。
世界に対する憎しみ。
それゆえ、彼らがおこなう破壊行為はみな、その状況に対する必然の抗議として、その権利を与えられねばならない。
「あんたは○○した。」と主人公に語りかけるような独特な二人称は、突き放すようでいてどこかしら優しさもこもっており、耳に心地よい。
彼女たちは、やがて選択をつきつけられることになる。それは単に「迫害の状況に抵抗するか、現状をよしとするか」という2択だけではない