山田美明のレビュー一覧

  • デオナール アジア最大最古のごみ山 くず拾いたちの愛と哀しみの物語

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    ガブリエル・ガルシア=マルケスの小説を読んでいるかのような壮大で、奇妙で、悲惨な出来事が現実に巻き起こるごみ山の物語。
    いよいよ事態が改善するか?という期待を匂わせながら地獄へと突き進み続けてしまうムンバイの人々に頭を抱えるしかない。
    破滅的な状況の中でも、家族の結婚式や子供のためには何とか金をかき集めるごみ拾いたちの愛情深さには胸を打たれた。

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    2025年12月20日
  • スティグリッツ 資本主義と自由

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    スティグリッツは本書で痛烈にミルトンフリードマンやハイエクの新自由主義を批判する。その論拠が述べられるわけだが、そもそもスティグリッツはサミュエルソンや宇沢弘文の系譜であり、新ケインジアン経済学の立場で市場は情報の非対称性や不完全性により“自動的には効率化しない”ので、政府の積極的な役割(財政政策・規制)が必要 という考え方だから、主張はハッキリしている。

    そして、執拗に一点突破というかワンイシューというか“反新自由主義“を貫き通すのが本書。私もサミュエルソンが正しいと思うし、フリードマンが齎した思想は害悪だとすら思っている。巨大資本が自らのレントシークのために大衆の生殺与奪を握り、政策にま

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    2025年12月13日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    地政学の本は最近たくさん出版されていますが、どれを読もうかと考えたとき、新書1冊ぐらいのボリュームではちょっと端折り過ぎ、海外の翻訳本で時々みられる訳の日本語が読みにくい等々の条件で候補を絞っていくと、本書にたどり着きました。

    上下巻でそれぞれ300ページ、結構なボリュームでこれからの世界を各章ごとに設定されたテーマの切り口で分析しています。まず上巻では、1980~2020年ぐらいまでの時代を、歴史上稀有な時代として位置付けています。冷戦が終わって、世界規模でのサプライチェーンが構築されて、”より便利に、より早く、より大量に”が実現した時代といえるのですが、その要因としては、
    1)アメリカが

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    2025年12月08日
  • ファンタジーランド(上)―狂気と幻想のアメリカ500年史

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    ネタバレ

    なぜアメリカ人は、夢見がちで、陰謀論や儲け話に弱く、宗教熱心で、反知性主義的なのか。
    そもそもの入植の時点で「そういう人たち」が入ってきたところから、議論が始まる。
    上巻は、1970年代までのアメリカの文化・宗教史の解説ともいえる。

    アメリカ人の個人主義と相対主義は、自分の想像よりもさらに激しいものらしい。
    議論はまっとうで説得的だが、アメリカ人の半分くらいを怒らせそうではある。

    「何を信じている人でも、10億もあるウェブサイトを探せば、同じものを信じている仲間が何千人と見つかる。事実と「事実」を組み合わせ、自分たちの信念を裏づけている人たちだ。インターネットが登場するまでは、おかしな考え

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    2025年10月18日
  • Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来展望

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    マイクロソフトの歴史の中で3人目のCEOサティア・ナデラの著書。

    マイクロソフトが激しい外部環境の変化のなかで、世界を真に変える成長マインドセットを取り戻すまでのナデラのハードシングスと哲学。

    その中でで、CEOのCは「Culture」、企業文化の管理人だと言う。頑張ろうと。

    > 文化とは実際、社員の間に広まるものであり、何千、何万もの社員が毎日下す数え切れないほどの判断の総体である。CEOがそうした文化の管理人であるとは、社員がマイクロソフトと取り決めたそれぞれのミッションを達成するのを手助けするということだ。裏を返せば、マイクロソフトが社員を雇うのでなく、人々がマイクロソフトを

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    2025年09月27日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    地政学の基本としてアメリカ、ロシア、中国、日本の現状と問題点が改めてよく分かった。私たちが普通だと思っている時代は実際のところ人類史上最もいびつな時代である、全面的な相互接続性、コンテナ化、金融、サブプライムローン等知らないと分からない内容も多かった。

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    2025年08月31日
  • アスペルガー医師とナチス~発達障害の一つの起源~

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    アスペルガーの功罪を描いた一冊。
    かなり批判的に描かれていたのが印象的。
    時代背景、犠牲になった方達のこと考えると胸が痛む。一方で、アスペルガーが辿った道は致し方ないという見方もあるかも知れない。
    だけれど、そこには白黒ハッキリつけるのは難しいし、人は間違えるということを前提にしなければいけないと思う。
    後半部分に触れられていたレッテルを貼ることの恐ろしさを忘れずにいたい。

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    2025年08月08日
  • スティグリッツ 資本主義と自由

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    効率的競争という幻想への盲従から生じた新自由主義の失敗・結果を痛烈に批判。
    よりよい自由、民主主義の活力ある社会を築くためにどうすべきかをビッグピクチャーとして示す。

    冒頭にある『オオカミにとっての自由は、往々にしてヒツジにとっての死を意味する』(オックスフォード大学 哲学者アイザイア・バーリン)は、フリードマンの少数の自由のための多数を犠牲にする新自由主義による不平等、利己主義や不正などの失敗を批判するツールであるとともに、結果としての現代の巨大企業による独占寡占や、分断や格差が生じている状況も批判。

    あるべき自由としては、社会正義が成り立つ進歩的資本主義を推奨。資本主義と銘打ちつつも、

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    2025年08月06日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    面白いが、世界の終わりという予想は少し大袈裟な気もする。たしかに金融システムは大規模なリセットが来るだろうが、AIにより人口の問題はかなりマイルドになる気もする

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    2025年07月30日
  • つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~

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    経済的不平等と格差は、不公平な税制に問題があるとする一冊。主張と根拠と改善策が簡潔に整理されていてわかりやすい。

    富裕層やグローバル企業は租税回避に血眼で、あの手この手で抜け穴を利用する。
    資産には課税されず労働にばかり課税される。
    端的にはこういうことが経済的格差の原因のようだ。

    国際的協調に基づく最低税率の導入、タックスヘイブンへの懲罰、国別売上に基づく国別の税分配など、実現してほしいことばかりだ。

    政治家・経営者・資産家などの権力者には、この本が提示する施策を実行するインセンティブがはたらかないのは残念。

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    2025年06月17日
  • 大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ

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    ゲイ、女性、人種、トランスジェンダー。

    「少数者」が「既得権多数権力」から権利を取り返す運動。

    のはずが、何で今の世の中のような「狂気」に至ったのか。

    いやもう、今日本でもネットを中心に起きている事象がピッタリハマる。つか、向こうはもっと過激。

    改めて思うのは、日本にはなかったようなクソみたいな「差別」が向こうには実際にあって、それを人の努力で克服しようとしてきた事実。で、そいつらが日本にない「問題」を見つけてわざわざ掘り起こして自分と同じレベルに下げようとしてる現状。

    乗ってる日本人。
    というか、日本を壊したい人たち。

    そもそもが、ウーマンリブ運動がうまく行った成功体験があるよう

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    2025年05月14日
  • 文學の実効 精神に奇跡をもたらす25の発明

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    いやあ、ずっしり。結構ボリュームがあって読むのに時間がかかった。

    いわゆる物語、が人にどのように影響を与えてきたのか、を(少し失礼な物言いだけど)チャラチャラした雰囲気ではなく、古典的な視点から何か分かったらいいなと思って手に取ったけど狙いには合う本だった。

    紹介されている書籍も多く、何冊かは早速購入をした。気軽に読めるものではないけど、次の読書への扉を開くにもいい一冊だった。

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    2025年04月22日
  • メトロポリタン美術館と警備員の私

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    「いつか行きたい場所」にメトロポリタン美術館が加わる本。
    メトロポリタン美術館の最高のガイドブックであり、ファンブックであり、ドキュメンタリーであり、そして何よりも喪失からのレジリエンスの記録だった。
    著者の芸術作品への敬意、仕事との向き合い方、仲間や家族への深い愛情が描写の中に優しい世界観を作り上げていて、読んでいてこちらまで癒される気がした。
    内省力と表現力のマリアージュがとても心地よい本だった。

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    2025年04月13日
  • メトロポリタン美術館と警備員の私

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    セントラルパークにあるメトロポリタン美術館に行ったのは随分前になる。警部員目線のこの本に出会っていれば見方、感じ方はまっこと違ったと思う。
    もう一度行ってみたくなった。

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    2025年03月09日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    脱グローバル化後の「世界の終わり」について。第二次トランプ政権前に刊行されているが、トランプ大統領が就任した今、ますます真実味を帯びている。
    本書は地政学の専門家である著者が地理的要因や人口動態、Civilizationを基に、新たな世界のパワーバランスを読み解く。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。
    冷戦終結後の、世界の「秩序」維持に理由も関心も失った米国。保護主義に走り、「秩序」を放棄する米国。そして右傾化し権威主義化していく各国。
    「やっぱりアメリカは強い」という話ではあるが、強さの源泉と、それを取り巻く各国の位置づけがよくわかる。意外な日本の底力も知ることができる。因果関係を多少簡略化

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    2025年02月27日
  • ありえない138億年史~宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー~

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    おすすめかなにかで見て読んでみたくなった本。科学や地質学のことはわからない文系人間だけど、書いてあることが興味深く考えつつ、わからないことをスマホで検索しながら読み、久しぶりに世界地図を広げたり。そんなことをしながら本を読み進めるなんて小学生のようだと思いながら面白い読書体験ができた本だった。

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    2025年02月23日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    少し極論を全ての国に当てはめているような気がするが、世界が自国第一に向けた脱グローバルの傾向がある中であらゆるリスクが表面化してきているのは勉強になった。
    地政学的にアメリカが盤石であると思うと、やはりオルカンやインドではなくアメリカへの投資になる。

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    2025年02月16日
  • メトロポリタン美術館と警備員の私

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    ネタバレ

    喪の作業とゆっくりとした回復とリハビリからの離陸と。割と最近の話なのだと気がついてちょっとびっくりした。

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    2025年01月18日
  • メトロポリタン美術館と警備員の私

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    パトリックの絵画への想いを読むたびに、自分がこの世界のほとんどを知らないということに気付かされる思いがした。メトロポリタン美術館の本物の芸術を前に、日々何時間も立っていることで見えてくるものを真摯に捉え、誠実に向き合うパトリックの姿はひとりの人間としてとても魅力的だ。芸術作品の見方、在り方、そして、人生。読む前と読んだ後では何かが変わっている気がします。なぜ芸術が素晴らしいのか、芸術作品を見ることの豊かさとは何なのかを、ここまで言葉にして教えてもらえたのは初めてかもしれません。世界の新しい見方をもたらしてくれた作者に感謝を述べたいです。また、この先の人生で繰り返し手に取り、その度に新たな何かを

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    2025年01月13日
  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む 上(集英社シリーズ・コモン)

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    単純化すると、人口論から「より多く」が終わり、地政学から地域分断後の未来はアメリカは自足自給可能だが他の地域は苦しく暗い時代がくると予想するというもの。
    少子化は問題ないと言っている人たちの反論を聞きたい。日本は海外からの分断化で輸送システムが衰退するため、海賊対策の海軍(海上自衛隊)強化が必要になる。金融は無節操な通貨発行がもたらす未来は悲劇(徳政令?)しかない。人口減で金融資本は減りこそすれ増やす人がいなくなるのだから。

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    2025年01月02日