山田美明のレビュー一覧
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スティグリッツは本書で痛烈にミルトンフリードマンやハイエクの新自由主義を批判する。その論拠が述べられるわけだが、そもそもスティグリッツはサミュエルソンや宇沢弘文の系譜であり、新ケインジアン経済学の立場で市場は情報の非対称性や不完全性により“自動的には効率化しない”ので、政府の積極的な役割(財政政策・規制)が必要 という考え方だから、主張はハッキリしている。
そして、執拗に一点突破というかワンイシューというか“反新自由主義“を貫き通すのが本書。私もサミュエルソンが正しいと思うし、フリードマンが齎した思想は害悪だとすら思っている。巨大資本が自らのレントシークのために大衆の生殺与奪を握り、政策にま -
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地政学の本は最近たくさん出版されていますが、どれを読もうかと考えたとき、新書1冊ぐらいのボリュームではちょっと端折り過ぎ、海外の翻訳本で時々みられる訳の日本語が読みにくい等々の条件で候補を絞っていくと、本書にたどり着きました。
上下巻でそれぞれ300ページ、結構なボリュームでこれからの世界を各章ごとに設定されたテーマの切り口で分析しています。まず上巻では、1980~2020年ぐらいまでの時代を、歴史上稀有な時代として位置付けています。冷戦が終わって、世界規模でのサプライチェーンが構築されて、”より便利に、より早く、より大量に”が実現した時代といえるのですが、その要因としては、
1)アメリカが -
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ネタバレなぜアメリカ人は、夢見がちで、陰謀論や儲け話に弱く、宗教熱心で、反知性主義的なのか。
そもそもの入植の時点で「そういう人たち」が入ってきたところから、議論が始まる。
上巻は、1970年代までのアメリカの文化・宗教史の解説ともいえる。
アメリカ人の個人主義と相対主義は、自分の想像よりもさらに激しいものらしい。
議論はまっとうで説得的だが、アメリカ人の半分くらいを怒らせそうではある。
「何を信じている人でも、10億もあるウェブサイトを探せば、同じものを信じている仲間が何千人と見つかる。事実と「事実」を組み合わせ、自分たちの信念を裏づけている人たちだ。インターネットが登場するまでは、おかしな考え -
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マイクロソフトの歴史の中で3人目のCEOサティア・ナデラの著書。
マイクロソフトが激しい外部環境の変化のなかで、世界を真に変える成長マインドセットを取り戻すまでのナデラのハードシングスと哲学。
その中でで、CEOのCは「Culture」、企業文化の管理人だと言う。頑張ろうと。
> 文化とは実際、社員の間に広まるものであり、何千、何万もの社員が毎日下す数え切れないほどの判断の総体である。CEOがそうした文化の管理人であるとは、社員がマイクロソフトと取り決めたそれぞれのミッションを達成するのを手助けするということだ。裏を返せば、マイクロソフトが社員を雇うのでなく、人々がマイクロソフトを -
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効率的競争という幻想への盲従から生じた新自由主義の失敗・結果を痛烈に批判。
よりよい自由、民主主義の活力ある社会を築くためにどうすべきかをビッグピクチャーとして示す。
冒頭にある『オオカミにとっての自由は、往々にしてヒツジにとっての死を意味する』(オックスフォード大学 哲学者アイザイア・バーリン)は、フリードマンの少数の自由のための多数を犠牲にする新自由主義による不平等、利己主義や不正などの失敗を批判するツールであるとともに、結果としての現代の巨大企業による独占寡占や、分断や格差が生じている状況も批判。
あるべき自由としては、社会正義が成り立つ進歩的資本主義を推奨。資本主義と銘打ちつつも、 -
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ゲイ、女性、人種、トランスジェンダー。
「少数者」が「既得権多数権力」から権利を取り返す運動。
のはずが、何で今の世の中のような「狂気」に至ったのか。
いやもう、今日本でもネットを中心に起きている事象がピッタリハマる。つか、向こうはもっと過激。
改めて思うのは、日本にはなかったようなクソみたいな「差別」が向こうには実際にあって、それを人の努力で克服しようとしてきた事実。で、そいつらが日本にない「問題」を見つけてわざわざ掘り起こして自分と同じレベルに下げようとしてる現状。
乗ってる日本人。
というか、日本を壊したい人たち。
そもそもが、ウーマンリブ運動がうまく行った成功体験があるよう -
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脱グローバル化後の「世界の終わり」について。第二次トランプ政権前に刊行されているが、トランプ大統領が就任した今、ますます真実味を帯びている。
本書は地政学の専門家である著者が地理的要因や人口動態、Civilizationを基に、新たな世界のパワーバランスを読み解く。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。
冷戦終結後の、世界の「秩序」維持に理由も関心も失った米国。保護主義に走り、「秩序」を放棄する米国。そして右傾化し権威主義化していく各国。
「やっぱりアメリカは強い」という話ではあるが、強さの源泉と、それを取り巻く各国の位置づけがよくわかる。意外な日本の底力も知ることができる。因果関係を多少簡略化 -
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パトリックの絵画への想いを読むたびに、自分がこの世界のほとんどを知らないということに気付かされる思いがした。メトロポリタン美術館の本物の芸術を前に、日々何時間も立っていることで見えてくるものを真摯に捉え、誠実に向き合うパトリックの姿はひとりの人間としてとても魅力的だ。芸術作品の見方、在り方、そして、人生。読む前と読んだ後では何かが変わっている気がします。なぜ芸術が素晴らしいのか、芸術作品を見ることの豊かさとは何なのかを、ここまで言葉にして教えてもらえたのは初めてかもしれません。世界の新しい見方をもたらしてくれた作者に感謝を述べたいです。また、この先の人生で繰り返し手に取り、その度に新たな何かを