あらすじ
人間世界の背後には物理学と化学があるが、これらの学問は、この世界がどうして生まれたかについて、ほとんど何も教えてくれない。同じ物理学や化学の世界から別の世界が生まれる可能性もあったのに、なぜ今の世界が生まれたのか? これを理解するには、宇宙誕生から現在までの通史――「ビッグヒストリー」の考え方が必要だ。自然科学と人文・社会科学を横断する驚きの歴史を地球科学者が明らかにする。鎌田浩毅氏推薦・解説。
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Posted by ブクログ
【ありえない138億年史】 ウォルター・アルバレス 著
これは面白いです。知的好奇心を十分に満足させてくれる本。宇宙誕生から現在の人類の繁栄に至る138億年を一気に書き切っています(訳文も読みやすい)。個々の歴史事象ではなく、「ビッグヒストリー」と言うそうですが、こうして読むと「ビッグヒストリーの果てに生まれた人間世界が、きわめて少ない可能性の上に成り立っていること」がよく理解できます(長い時間における偶然の積み重ねで現在の人類が生まれた)。
原題は「A Most Improbable Journey」で、「Improbable(ありえない)」は含まれているのですが、タイトルから受ける印象よりもはるかに格調高い内容と思います。歴史を見る上で、「時間の矢(歴史には方向性がある)」と「時間の環(歴史には周期性がある)」の二分法があるそうですが、ビッグヒストリーからは、「連続」と「偶然」という別の二分法があるという著者の見解がよく理解できる一冊です。
Posted by ブクログ
ビッグヒストリーという概念を初めて知った。地質学・天文学・地球科学・生物学・分子遺伝学・歴史科学等、様々な分野をタテ糸とヨコ糸で織り成す、包括的な視座によるアプローチ。人間世界がごく僅かな可能性の中から生まれてきた、すべて偶然の連続の上に現在の姿があることがよく分かる。ビッグヒストリーという視座を持つことで、様々な物事、日々の出来事の見え方・意味付けも変わると思う。今というこの瞬間に存在するという奇跡に思いを馳せらされる一冊。
Posted by ブクログ
おすすめかなにかで見て読んでみたくなった本。科学や地質学のことはわからない文系人間だけど、書いてあることが興味深く考えつつ、わからないことをスマホで検索しながら読み、久しぶりに世界地図を広げたり。そんなことをしながら本を読み進めるなんて小学生のようだと思いながら面白い読書体験ができた本だった。
Posted by ブクログ
過去全体を理解しようとパノラマ的視点から見た歴史、それが「ビッグヒストリー」。著者は宇宙、地球、生命、人間の4つの領域に分けて考察する。
まずはビッグバンによる宇宙の誕生。最新の推計では138億年前のこと。
それから何が起きたのか。
1 恒星を生み出した。
2 その恒星の中で元素を合成した。
3 一部の恒星を爆発させ、新たな元素を宇宙空間に解き放った。
〈地球の誕生〉
太陽系は、大量の水素、ヘリウム、そのほか微量の元素で構成されている。しかし、地球の主成分は、酸素、マグネシウム、ケイ素、鉄の四つの元素。
特にケイ素は、ほかの元素と結び付く手が4本あり、鉱物粒子を作ることができる。多くの道具にケイ素が含まれ、技術を発展させた。
そして生命が誕生し、進化により人間へと。
本書に寄せられた京大の鎌田浩毅氏の言によると、「連続」「偶然」が織りなす驚きに満ちた物語。
私たちが今現在こうして存在していることを壮大なスケールで解き明かしてくれる、ワンダーな書である。