山田美明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スティグリッツ氏が新自由主義の誤りを説明し、あるべき未来の方向性を示そうとする本。
氏がこの本をトランプ二次政権前に刊行したのは余程の危機感があったと考えられる。結果は残念ながら氏の懸念を払拭できず、より一部の富裕層の富が政治的法的に守られていく方向になっている。本を読み、アメリカはよほど自由の国から離れてしまったのかと改めて思った。
中身としては、新自由主義の誤りを説明することはわかりやすい。特に印象的なのは、
ある自由が別の自由を制限する際、トレードオフをよく考えるべき 例銃を持つ自由 銃にさらされる危険からの自由
選好は環境によって左右される
新自由主義が育てる人間性はそもそも信頼を損ない市場を効率的効果的に機能させない人間性を育ませるという課題
市民感覚からして、当たり前と思う前提を抜かして計算したり分析する経済学の欠陥はどうやらまだ修正できないらしい。
とはいえ、本来経済学者であるスティグリッツ氏が政治や法律、哲学に越境してリスクを冒してでも議論する姿勢は素敵だと思う。
一方、新自由主義を是正し適切な規制や分配を行う政府が機能不全になっている点についての解がこの本には記載されていないのがとても残念。範囲外なのだろう。別の著書にて期待したい。
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Posted by ブクログ
主に自由と言う観点から現在の新自由主義的資本主義を批判する。
ある人の自由は他の誰かの自由とトレードオフであり、一方の自由の拡大はもう一方の自由の縮小になるとして問題点を指摘する。
資本主義を自由と言う概念から解説するのは個人的に面白かった。
誰かがお金を集める自由を行使すれば誰かのお金を使う自由を制約する。
いわゆる搾取。
自由な市場は効率的であり、効率的な社会は自浄作用のように行き過ぎた問題を解決するため、政府による働きかけを否定する。
いわゆる見えざる手。
ケインズ主義の否定と氷河期世代の誕生。
こういった自由と権利を主張する旧経済学の間違い、修正点を事例を挙げながら批判している。
このあたりはとても納得感があり首肯することも多い。
しかしながら、ではどうすれば良いのかという方法として進歩的資本主義への移行を奨励しているが、政府の適切な介入、公共財(コモン)の共有、協調行動、道徳的知見など、人間の善性、道徳、教養に拠りすぎている気がする。
再生された社会的民主主義を目指す道のりは遠く険しい。 -
Posted by ブクログ
資本主義は常に拡大していくことが求められているが、多くの先進国で高齢化が進み、人口減少が現実味を帯びてきたため、この「より多く」が成り立たなくなってきた。
特に、工業化も後から工業化を開始した国ほどかかった期間が短かったように、高齢化も中国などは日本よりも猛烈な勢いで高齢化している。
戦後から2020年ごろに至るまでの期間は、アメリカが戦後の世界秩序を自ら守っていた極めて稀有な平和な時代であった。こうした世界の警察たる役目を終え、世界のサプライチェーンは危険に晒される可能性が高まった。結果的に各国はより小さな経済圏で安全を確保しながら生活していくことを余儀なくされる。
そうした中、アメリカは広大な土地を持ち、資源にも恵まれ、ミレニアム世代という人口の多い世代や多くの移民、基軸通貨としてのドルという好条件から、どういった世界になろうともしばらく覇権を握り続けることが予想される。 -
Posted by ブクログ
米関税政策の反グローバリズムが意識される中、ある意味タイムリーな本。
各国がグローバル経済のメリットを享受する一方、米国はそのための世界の海洋秩序を維持する軍事費負担が割に合わなくなっている。世界の先進国の経済が高齢化のために今後は大きな成長が見込めなくなる(日本はその先頭)こともその背景。
特に第二部 輸送 では、グローバルな海洋の安全が国際輸送の前提であり、低コストで安全な輸送がグローバル経済の前提であることが示されます。アメリカの海洋覇権と各国の貿易秩序への大きな意味での利害の一致がこれまでの幸せな状況を生んできたが、こうした状況はもう長くは続かない。それはグローバルな分業を前提に複雑かつ巨大になった世界経済の崩壊を意味し、経済圏や国ごとにバラバラになった経済は成長鈍化や生活水準の低下くらいでは済まず、地域によっては飢餓や文明崩壊にまで至る、という話。
現在のトランプの関税政策は基本的に行き当たりばったりで、こうした長期的なビジョンに基づくとは言い難いと思いますが、かと言って今後のアメリカが国益を追求するとき、従来のグローバルな政策に戻るとは言えないこと、また、軍事防衛政策と通商政策がリンクしていること、が、理解できました。
一方で、今のアメリカがグローバルな分業で大きな利益を得ているのも事実で、今のアメリカの問題は国内での再分配の問題ではないかとも思っています。
最後に、著者が日本の軍事力を過大評価している点には違和感を感じました。
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Posted by ブクログ
アメリカで各所の年間最優秀書籍に選ばれたと知り、読み始めました。
フィクション小説と思っていましたが、実際にメトロポリタン美術館に10年勤務していた方の本で、兄の死の悲しみからこの勤務を始め、同美術館の展示品の数々に触れ、著者の率直な感動や思いとその変化を綴っています。
この美術館を観覧した経験があれば、一層印象深く、引き込まれて読むことが出来たと思いますが、正直、期待した感動はありませんでした。
先ずは美術品をありのままに見て、自分の心にどう響くのかを楽しむべきとの指摘にはその通りだと思いました。
作品の解説ではなく、作品の声、訴えを理解する力、感受性は良品を沢山見ることから始まるのかな?
その点では美術館の警備員は最適ですね‼️ -
Posted by ブクログ
復活したマイクロソフト。
そのマイクロソフトを立て直した立役者である3代目CEOによる書籍。
もっとゴリゴリにリーダーシップを発揮して、
会社の変革を行ったかと思いきや、本の中身は意外にソフトで、
会社の文化をまず変えようとするなど、
いわゆる7Sの中でもソフト面が中心の改革です。
(実際はそんなことなかったのかもしれないですが。)
巨大企業のCEOの視座として、興味深かったのは、
単に会社を良くするだけでなく、社会を良くすることもしっかりと意識して、
マイクロソフトの経営がなされている点。
特に、マイクロソフトのパーパス設定に関しては、
マイクロソフトとは何の関係のない自分にも共感できる部分がありました。
とはいえ、何かと批判されやすいほど巨大化した大企業ですし、
歴史的にも他社を叩き潰してでものし上がってきた企業でもあり、
建前的というか、批判をかわすという意味合いで
こういう本になったという疑いも持ってしまいます。
著者自身の人間性は素晴らしいと思われるので、ちょっと考えすぎか!?とも思いますが。。
少なくとも大企業のCEOであれば、
これくらいの視座を持って会社の経営にあたらないといけないのだな、
という一つの指針にはなる本かと思います。