山田美明のレビュー一覧
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ゲイ、女性、人種、トランスジェンダー。
「少数者」が「既得権多数権力」から権利を取り返す運動。
のはずが、何で今の世の中のような「狂気」に至ったのか。
いやもう、今日本でもネットを中心に起きている事象がピッタリハマる。つか、向こうはもっと過激。
改めて思うのは、日本にはなかったようなクソみたいな「差別」が向こうには実際にあって、それを人の努力で克服しようとしてきた事実。で、そいつらが日本にない「問題」を見つけてわざわざ掘り起こして自分と同じレベルに下げようとしてる現状。
乗ってる日本人。
というか、日本を壊したい人たち。
そもそもが、ウーマンリブ運動がうまく行った成功体験があるようだ。本当に問題が解決に近づいてくると、なぜか問題はさらに大きくなったとほえる。最初は平等が目的だったのが、平等に近づくとなぜか特権をよこせと言い出す。敵対するものとの対立を設置して、破壊しようとする。
ゴールに近づいた列車が、なぜかブレーキを踏まずアクセルを振り切って事故を起こすような。
本当に困っている当事者もいようが、それに乗って伝統と社会を破壊しようとする奴もいる。自我の拡大と承認欲求と無敵の正義を手に入れて、異教徒は存在すべきではないという、まあ、宗教への依存と変わりない。境界知性が新鮮な視点を与えられてめんでも。それが怖い。
問題は、ネット社会では許しも忘却もなく、いつまでも誰かが煽り炎上させる。
お題目は綺麗なだけに、ポピュリスト的な正当な問題提起が間違った結論を導く結果にもなっている。
それについて、過去についても土下座して謝るべきという、どこかの国の人たちが泣いて喜びそうな世界。
その底にあるのは、ポストマルクス主義にもあるという。
分断を煽り、「階級」間の闘争を煽り、既存の社会を破壊する。
ま、ただ、それぞれのマイノリティの主張の根拠、価値観が異なりすぎていて、そこに「人権」がないのは明らかで、お互いに潰しあうのではないかと思うが、それまで公の秩序善良なる風俗が維持できているかが心配。
読みやすい。 -
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脱グローバル化後の「世界の終わり」について。第二次トランプ政権前に刊行されているが、トランプ大統領が就任した今、ますます真実味を帯びている。
本書は地政学の専門家である著者が地理的要因や人口動態、Civilizationを基に、新たな世界のパワーバランスを読み解く。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。
冷戦終結後の、世界の「秩序」維持に理由も関心も失った米国。保護主義に走り、「秩序」を放棄する米国。そして右傾化し権威主義化していく各国。
「やっぱりアメリカは強い」という話ではあるが、強さの源泉と、それを取り巻く各国の位置づけがよくわかる。意外な日本の底力も知ることができる。因果関係を多少簡略化しすぎているのと、現状理解が多少雑な面はあるが、今後の世界のアウトラインを学べる本だ。 -
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パトリックの絵画への想いを読むたびに、自分がこの世界のほとんどを知らないということに気付かされる思いがした。メトロポリタン美術館の本物の芸術を前に、日々何時間も立っていることで見えてくるものを真摯に捉え、誠実に向き合うパトリックの姿はひとりの人間としてとても魅力的だ。芸術作品の見方、在り方、そして、人生。読む前と読んだ後では何かが変わっている気がします。なぜ芸術が素晴らしいのか、芸術作品を見ることの豊かさとは何なのかを、ここまで言葉にして教えてもらえたのは初めてかもしれません。世界の新しい見方をもたらしてくれた作者に感謝を述べたいです。また、この先の人生で繰り返し手に取り、その度に新たな何かをもたらしてくれるような深みのある一冊だと思います。
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昨今のLGBTや性志向の多様性といった権利主張者に批判者への攻撃性を感じる人は、読むと日本以上にひどい米英の状況がわかるだろう。読みながら現代社会に焦燥感を感じた。
ゲイ、女性、人種、トランスジェンダーの4章と結論。
人種からはがぜん面白い。社会からの圧迫感(敵認定した対象への大衆の狂気)が怖いほど。
権利を主張する人々が異論を許さず批判者を吊るし上げるさまは暴力的で、紹介される事例は数多い。
読み終えて、この社会の混乱・分断を解決する方法を著者も見いだせていないのがもどかしい。このような狂気じみた他者攻撃をする人々は社会の少数派であるはずであるが、社会・世間がその声に圧倒されるのはなぜか。その辺に解決の糸口があればいいのだが。
273。ソーシャルメディアのメカニズムでは、楽天的な人よりも憤慨している人に報酬を与える。誰よりも憤慨していると公言する人が、誰よりも注目を浴びる。大して気にしていない人の意見は無視される。 -
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ネタバレ「全史」銘打つだけあって、第二次大戦の終わりからのイスラエルxパレスチナの攻防の流れを逐次追って書かれている。上巻はインティファーダを経てオスロ合意、パレスチナ自治政府樹立までを扱う。
正直、イスラエル内部の予想外のカオスっぷりに頭が痛くなり、酔いそうになった。イスラエル人とはもっと合理的な人々ではなかったのか? ヨーロッパ出身の教育があり、お金もある層がイスラエルという国の運営を行っており、先進的で洗練された圧政を敷いているイメージがあったが、これでは法治国家とは言えないようだ。
暗殺の手際がお粗末で失敗続きでも継続したり、私的なこだわりから効果の薄いターゲットに力を費やしたり、他国の法も自国の法も犯しまくり、無関係の人間多数が死んでも気にしない、とか、とか。
国を持たず軍隊を持たないPLOは1970年代に大々的な国際テロをやっていた。が、そこで報復に燃えたイスラエルもやっぱり同じレベルで過激なテロリストになったのだった。(それ以前ももちろんテロは常時あったし、ギャングの抗争みたいな殺しあいもやっていたけれども)
1972年、ミュンヘンオリンピックで選手たちが殺される事件ののち、内閣はターゲットが友好国にいる場合でもその国の当局に通告することなく攻撃を承認する権限をメイア首相に与えた。
それがヨーロッパの先進国でも、殺人をやる。国際問題のリスクより暗殺優先を決意した。
テロ、報復の暗殺、報復のテロ、報復の暗殺……作戦のしかけも人数も増え、大掛かりになっていく。
一応あれの報復がこれ、みたいな呼吸はあるものの、こぼれたツケがどんどん積み上がって恨み100倍1000倍となる歴史である。
シンベト(シャバック):主にイスラエル国内と撤退後のガザを含めたイスラエル国防軍占領地区で治安維持活動や防諜活動に従事している。諜報特務庁(モサド)や政治調査センター(ママッド)、参謀本部諜報局(アマン)などと共にイスラエル情報コミュニティーのメンバーであるーーWikipediaより
上記以外にも、イスラエルにはいったいいくつ怖い組織があるんですか という複雑さだが、それぞれ過激な人間が率いて好き勝手に動いていたり。ある意味、ひどい独裁者が統治する国よりも超過激に傾きやすいのではないだろうか。
イスラエルは他国にバレるとまずいことを数多くやらかしているのだが、いろいろなメディアに本人が告白してしまっていたり、興味を持った記者に調べ上げられてしまっていたり、極秘といいつつ脇が甘いようだ。自分の所業を語りたがる人物が多いのかとも思う。本書は著者の調査以外に過去に明らかになった事実の蓄積なしには成り立たなかっただろう。
個人的には、コワモテのイスラエル人の心境に興味があった。
1956年、パレスチナゲリラに殺されたキブツ警護の中尉への、参謀総長モシェ・ダヤンの追悼文。ーー今日は殺人者を責めないでおこう。われわれに彼らの強い憎しみを否定する権利はないはずだ。ガザの難民キャンプから八年間出られないままでいる彼らの眼の前で、彼らやその祖先が住んでいた土地や村をわれわれの財産へと変えているのだから。ーーー
アラブ人から侵入者と憎まれることと向き合う。安全と民族の存続を最優先にして踏みとどまる。そのために報復攻撃をする所存である。殊勝なようだが自分たちの生存のためなら遠慮なく殺すと言っているのだ。アラブ人に憎まれることは理解してやってるとは意外な気がした。
しかし、インティファーダ前夜まで、一般のパレスチナ人は訳なくコントロールできている、とイスラエルの国の幹部たちは考えていたらしい。民衆がPLOの指導なく自分たちで立ち上がるとは、思いもよらなかったという。それが本当なら、その時点では、アラブ人の憎しみにまったく向き合っていなかったと言える。
まるで、いじめっ子が「そんなに嫌がってるとは思いませんでした」と言うのと似ていないか。
ーー情報機関の幹部のほとんどが、力ずくでは占領問題は解決しないことをよく認識していた。ーーパレスチナ問題に関してはリベラルで左派的な見解を抱き、パレスチナ国家の独立を認めて和解する政治的解決策を支持していた。だが、それを堂々と口にするものは誰もいなかった。ーー
これは驚き。パレスチナ人をいくらでも殺していいと思っているかのような暴力的な人物までも、このような見解を抱いていたとは。
オスロ合意、パレスチナ自治政府樹立。あれは幻ではなかったんだなあと不思議に思う。一方で、容赦なくテロや暗殺をしてきた人間たちだから、やはり過激な指導者がいれば引っ張られてしまうだろうとも思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ経済学の大御所であるJ.スティグリッツ氏の著書。本書の主要なテーマは、大きな政府の必要性だろう。20世紀後半に勢力をつけた自由主義経済は現在でもその勢力を維持している訳だが、こうした社会にスティグリッツ氏は警鐘を鳴らしている。例えば、企業がタックスヘイブンと呼ばれる地域に生産拠点を移すといった、いわば法の抜け穴を利用して生産活動を行うインセンティブを持つといった現状は、自由主義経済が力を持ち過ぎたがゆえに法整備が追いていことに起因すると指摘している。
それに関連した本書のもう1つの主要テーマは、トランプ政権批判である。前述のように、法を掻い潜った企業の生産活動を是正するために政府介入の重要性が今まさに高まっているにもかかわらず、トランプ政権の暴挙によって国民の政治への信頼性が落ちてしまっていることに対する批判である。これは、次回の大統領選挙の争点にもなるリアルタイム性のある重要な指摘である。
以上のように、本書には重要な論点が詰まっているため一読の価値は十分にあるだろう。