郷内心瞳のレビュー一覧
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郷内ワールド、装いも新たに復活!って感じで、惚れ直した感のある一作。
現代の怪談作家さんのパターンというと、割とサクサクとドライに怪異を語っていく(もちろんそれが効果的だからなのだけど、新聞の報告をいくつも聞いているみたいで頭に入ってこない側面もある)ものか、妙にねっとりとした言い回しで回りくどくてちょっと疲れちゃう(でも好きな人には好きなんだろうな)ものか、っていうのが多い気がするのだけど、郷内氏のすごいところは、その両方を美味しいとこ取りする絶妙なバランス感覚。現代怪談ならではの鮮やかな切り口やスピード感を大事にしつつも、どこか私小説的なところを忘れないというか、読み手をいつのまにか独自 -
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私は本職の拝み屋さんという人がいる事を知りませんでした!
いるのか~。
まあ、舞台が東北ということで、ちょっと納得してしまいました。恐山のある東北、そして沖縄ならばそういう伝統が残っているでしょうから。
さて、拝み屋さんである作者が実際に見聞きした事をもとに書かれている本作、半ばノンフィクションといっていいのではないかと思います。
それだけに、これは怖い。単なる実話怪談よりもっと真に迫る恐ろしさが感じられます。
やはり実体験を、体験した人がそのままつづるというのは迫力が違いますね。
また、実際に職業にされている人なだけに、安易な浄霊、除霊がないことも、興味深いです。
これも、実際に職業としてい -
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拝み屋である作者自身の体験を語るという実話(風?)怪談第三弾。今回は主人公の子供時代から拝み屋となるまでの体験談を中心に構成。どことなく懐かしい雰囲気のほのぼの路線の怪談多めでいくのかと思ってら、最後は怒涛の展開で背筋凍った。
一個一個の怪談が質が高い上に、全体構造も工夫されており、後半でいくつもの怪談が繋がってきて新しいことが見えてくるのはぞくぞくする。情報の出し方が本当にうまい。
今回は子供時代からの作者の見えるものに対する捉え方の変遷が書いてあるのが面白かった。だれでも変なものを見ていたのかもしれない、そしてこれから見ることがあるのかもしれないと思うと怖いですね。 -
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拝み屋を営む著者が、物心ついてから拝み屋稼業を始めるまでに体験した様々な怪奇譚を、家族や友人知人などから頂いた話も交えて著した怪談集。
過去作と同じような構成かと思いながら読んでいくと、終盤で意外な展開が待ち受けていて「えーっ!?」と目を丸くしてしまった。伏線らしきものもあり、確かに幽かに違和感は感じていたが、それでもまさかの展開で、怪談というよりも『シックス・センス』のようなサスペンスホラーを読んでいるようだった。
興味深かったのは、拝み屋を始める前の著者が、テレビや本によってステレオタイプな幽霊像・妖怪像を刷り込まれたことで、直に目撃した幽霊や妖怪をそうと捉えなかったことだ。成長し -
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神仏に関する怪談が集められた一冊。
著者によって集まる怪談に傾向がありとても興味深い。
その中でお寺や修験者に関する怪談を綴った橘百花氏の民話のような因果話や海を越えた海外の神について語られる卯ちり氏の怪談、そして一話のみながら思わずヒヤリとさせられる人間も怖い話の「檻の中」の斉砂波人氏と「裏の靖国」の鷲羽大介氏…。
もちろん他の著者の方々の話も大変興味深く、また読みやすいものが多くとても満足な一冊。
しかし後半に行くとかなりアクの強い著者が続くため(悪い意味ではなく作者の個性が強烈に出ている話が多いので)「実話怪談」というより立派なひとつの「作品」として捉えたほうが良いかもしれない。
特 -
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最強のヴィランにしてこの世のてっぺんに君臨する霜石湖姫といよいよ相見える事になった。郷内心瞳率いるアベンジャーズは日ノ本一のお化け屋敷と言われる霜石邸に降り立つ。
毎度同じみ湖姫さんの名言が今回も次々と登場、前作の「開眼ッッ!」からの今回の「始めッッ」は最早…脳内でバジリスクタイムが始まり、いよいよ次回は「まだですッッ!」が出そうな雰囲気が拭えない。笑
話がだいぶズレてしまいましたが、
今回は湖姫さんを軸とした過去の話がメインになっており、人類を超越した身体能力を持つ湖姫とは何なのか、稀代の最強霊能力を有する霜石家とは何ぞや?といった事が明かされていく物語になっている。つまり、本筋である湖姫と -
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「ふぉん、ふぉん、ふぉーーーん!」笑笑
まさかの長編!!やばいって!!
前作で、ある世界のてっぺんにして最強の霊能者、霜石湖姫と対峙した郷内先生、そして満を持して、いよいよ、その後を描いた物語が遂に始まった。
今回は壮大な事案ゆえに、いつもとは打って変わって、集められた怪談話が一切ない!!!これは郷内先生の作品を読まれてきた方なら分かると思うが非常〜〜〜〜〜〜〜に珍しい!! ん?初めてかもしれん。まあ、長編の方が好みだから、ありがたい!
しかし、この言葉が表す様に今回はかなりの込み入った厄介極まりないヤバイ案件と言わざるを得ない。メインとなる話は本筋とは少し離れた話だが、しかしそこにも -
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長年このシリーズを追ってきた一読者として、今回は少し趣の異なる一冊だったと感じています。
これまでのシリーズでは、郷内心瞳さんの語りを通じて、「見てはいけないもの」「関わってはいけない世界」に触れてしまったときのぞっとするような恐怖が描かれてきました。日常の隙間にひそむ非日常。
しかし今回の『赫怒の刻印』では、その主軸がやや変化します。主人公は、小橋美琴さん。彼女の視点で展開する物語は、これまでの“拝み屋ワールド”に比べてぐっとライトで、恐怖そのものも抑えめです。シリーズの特徴でもあったオムニバス形式のエピソードも収録されていますが、全体を通して「怖い」というよりは「読みやすくまとめられた