郷内心瞳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
拝みや怪談シリーズの一作目。
角川ホラー文庫としては5番目に出たような順番になっているけど、世に出た順では一作目。
連続で2冊目のホラーだからか、ずっと自宅で読み続けているのでかなり世界観に入り込めた。
眠くなったらベッドで休憩したりしながらほぼ一日かけて読んだ。
こうやって読んでいると何気ない物音やふとしたことが怖くなるのもホラーの醍醐味だよね。
桐島加奈江の始まりのはなし、花嫁の話など、先にこの後のシリーズを読んでいる自分にとってはついにあの話が読める!というワクワクもあった。
拝み屋という職業を通して考えさせられることも色々。
人の人生に関わることの重みやそれにいたる覚悟を考えると -
Posted by ブクログ
ネタバレ"カカ様"から少し時は流れ、体調を見ながら拝み屋を続ける郷内さんの元に故人のほのかさんが度々姿を現す。またもや"母"絡みの何かかと思ったけどそんなことはなく、ただただ死後も家族を想う母の愛に触れることができる話でした。今までの母の癖が強すぎた...。この巻は蔵の中で怪異がおこるのをひたすら待つ郷内さんが頭の中で1人怪談会をおこなっている。病み上がりなのに大丈夫なのかと心配になってしまう。結局、魔祓いをすると背中が痛むののきっかけって加奈江に刺されたせいなのか、カカ様復活のために同業を妨害するのに使われた呪いなのか、単純に膵臓の病気のせいなのか...何にせ
-
Posted by ブクログ
「屋根踊り」「状況から見て」「墓女房」「踏みつけ」「驚くべきこと」「エヴァーグリーン」「呼びに来た」「変わらぬ化身」「森のカメラ」が記憶に残る話でしたが、『鬼念の黒巫女』の中で最大の恐怖を感じたのは「見たゆえか」。
ドッペルゲンガーに出会ってしまったゆえの結末につながるのだけど、向こうがこちらを確実に認識しているのがなによりも怖い。意識しているということは、怪異の結末も恣意的だと感じてしまうからです。
「暗闇ばくり!」から続いた郷内さんの珍しい下ネタ怪談もたまにはいいですが、やはり怪談に期待するのは「マチコじゃない!」に感じた淫靡な怖さです。あれ、彼氏もマチコと行為に及んでいますよ。家に憑 -
Posted by ブクログ
「夜遊び」「アンノウン」「夕立のあと」「おかえり、野村くん」「間違え」が恐怖に怯えた5作。他にもありますが、心に残っているという点で。
タイトルの「腹切り仏」の怪談。心底どうでもいい理由でまきこまれてしまった郷内さん。こういうのも職業柄仕方ないことなのかもしれないけども、そう割り切れるものではないだろうし、なんというかため息しか出ないです。いい年こいて、何を思っているのやら。この怪異の根源の君枝にしろ、他の怪談に登場する大山、坂下にしろ、もうちょっと自分の言動に責任持ちましょう。
深町さんが登場するので、時系列的には「壊れた母様の家」の最中の出来事ですかね、一連の君枝怪異。それは体壊します -
Posted by ブクログ
ネタバレかつて相談に乗った女性にしたアドバイス。というには、その場の思いつきに過ぎなかった一言から始まった、始まってしまった何かの因縁。
その因果が紐解かれ、現れた怪異とは。
という趣なんですが、それが明かされるのはこの巻ではないのですよ。
おいおい、それはずるいなぁ、と思いつつも、一呼吸おける音が平穏無事でホッとしている自分もいます。
わがままだなぁ。
タイトルの「緋色の女」に「お化けのいる家」「葡萄の娘」が、縦糸、横糸となって織り綴っていくのでしょうね。常ならぬ存在の「自然学校」や憑かれた「湖姫さん」のような話も、関わって来るのでしょうか。
答えが出る続刊を待つことにします。
この物語のきっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ夏の暑さが終わり秋の涼しさを感じる季節に読みました。なんとも良いタイミングで、風の涼しさや、季節の変わり目に敏感になる感度が、物語に没頭させてくれました。
本書は、一つ一つのエピソードは短編になっているのですが、著者の幼い頃から拝み屋になろうと決心するまで年を追って書かれているため、続けて読むと1人の青年の物語になっている。
ホラー小説としても、私の求めていた世界観だった。
子供の頃のあやふやだけどずっと覚えている不可思議な体験、ただ怖くて泣いた思い出、山などの自然が身近で、読んでいると土から立ち昇る湿気が感じられるような、身近なようで遠い世界。ホラー小説というより、怪異譚、でも良いけども -
Posted by ブクログ
「終わった家」「梵字」「いざないの海」が恐怖に怯えたベスト3。
「終わった家」の怪異はまだ始まったばかりというのが、恐ろしい。なにがあったかわからない。知らなくてもいいことはある。ただ、これまで読んできた郷内さんの実話怪談からすると、切っても切れない縁というものはあるものなので、いずれなんらかの形で関わるかもしれない、とエンタメ的な考えは迷惑ですね。すみません。
郷内さんの口の悪さには度々違和感を覚えてきた自分ですが、「ゆきこの化け物」の中では大いに共感しました。というか、職業倫理よりも感情を優先してしまうのも仕方ないのかな、あれでは。
読後感が悪い一冊。
それは恐怖でないんだよね。やるせ