佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
常識・情報・人の本質を見抜き、ビジネスや生活に結びつける力を身につけたい人におすすめ。
【概要】
●見抜く力とは
●他人・常識・情報に振り回されない7つの極意
●リーダーになる人に知っておいてほしいこと
●「考える力」身につく育て方
【感想】
●情報が溢れる現代社会において、その情報の真意を見抜く力が必要だと改めて感じた。
●合理性を追求した先に不条理があり、組織に大きなマイナスをもたらすリスクがあることは頷ける。なぜなら自分がいる組織もそのような行動になっているからである。「取引コスト」が発生するために、非効率で不正な現状を維持隠蔽したほうが合理的という不条理が生まれる。わかっていても隠蔽に走る上司はどこにでもいる。ここに気づくことは重要なのだろう。
●時間管理術6大ルールの「1日を振り返り、記録する」は従前から実施しており同意である。「明日できることは今日やらない」のは目から鱗だった。理由を見ると「なるほど」と思える。 -
Posted by ブクログ
世の中に、いかに「左翼」や「右翼」という言葉が本来の意味とかけ離れて使われていることか。以前、この用語を使っている者(まあまあ著名な法律学者)対し、それはどういう意味で使っているのか、あなたがそこで意図している定義はなんであるのかと尋ねたことがあったが、さしたる考えもなく使っていることが分かり、法律学者であってもこんな程度の理解なのかとがっかりしつつも、まあそんなもん(=他方を批判するための文脈で適当に使うことが多いよね)だろうと妙に納得したのであるが、そういう鬱屈した気持ちを晴らしてくれる説明がされているのが本書。とはいえ、ここに書かれている内容が事実かどうか、論評されている登場人物の評が正しいものかどうかは、おそらく判断が分かれるのだろう。ともあれ、この程度は押さえておかないと話にならないでしょう思われる課題図書であることは間違いない。
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Posted by ブクログ
本書は作者自身が還暦を迎えたことで感じたことを、これから還暦を迎える人たちに向けたメッセージである。
重要なこととしては、職場以外の居場所の確保、健康、家族関係、お金をあげている。
還暦を迎えると、多くの人がそれまでの職場中心の生活から離れるため、事前に準備をしておかないと孤独になってしまう。そのためには職場以外に居場所を事前に作っておくことが重要である。
同じように仕事から距離をとるようになることで、自然と家族と過ごす時間が増えるため、家族との距離感の取り方も重要となります。
健康にかんしては言うまでもない。
お金に関しては出来るだけ貯蓄を減らさないためにも、働ける間は働く方が良い。その際に過去のプライドに邪魔されないように注意すること。現実を直視し、時給1000円でも納得できる心の準備が必要である。
そして最後に避けて通れないのが「死」との向き合い方。これには古くからの宗教は強い味方になることが多い。入信することを勧めているわけではないが、自分一人で考えるよりも、教えを説いてもらえる方が楽なのは確かである。
以下は抜粋。
仏教では執着こそが全ての根源であるとして、その克服を説きます。
地域のことを学ぶためには、勉強会や講演会などに参加してみる。市民講座に参加することで地域の人とのコミュニケーションを築くこともできます。
注意点としては、過去の肩書や経歴をひけらかさないこと。
高齢者うつに気を付ける。認知症などと誤診されることがあるので注意が必要である。特に、親戚や血縁にうつ病にかかった人は、遺伝的な因子を持っているので注意した方が良い。
うつ病にかかったら心療内科ではなく、臨床経験の豊富な精神科医がいる病院がよい。
学ぶことで新しい知識を取り込むこと自体が、自分にとって大きな喜びである人は、勉強自体が趣味なので継続するべきでしょう。
オンラインサロンを利用する場合は、参加人数が20人以下のものが望ましい。
キリスト教や仏教など、本来の宗教は今やかつてのような絶対性を持っていませんが、代わりに現代の宗教と呼べるものが4つあると考えます。「拝金教」「出世教」「偏差値教」「ナショナリズム」の4つです。現代人は誰もがこれらに価値観を見出し、追い求める。なかでも拝金教と出世教が最も強い宗教でしょう。しかしこの2つは還暦を過ぎると、その価値はしぼんでしまい、偏差値教も関係なくなっているので、ナショナリズムだけが最後に残るのです。 -
Posted by ブクログ
10代、20代の頃内村鑑三の一日一生と言う本に心身ともに支えられた。この本は前半部分を内村の伝説的講演を現代的に分かりやすく書き直したパートで成っている。とても読みやすく馴染みやすい文体で、言葉の一つ一つが心に染み、若い頃よりも今読むと、さらに自分の生き方やキャリアにヒントを与えられたように思う。お金、事業、思想を自ら生きた遺産として世に残すことを若いクリスチャンたちに勧める内容となっていて、その「何故か」の部分が信仰から生まれた思想でより重要となる。人がこの世の命を終えて天国に帰るとき、この世でかき集めたものは何一つ持って行くことはできない。だからお金を儲けるのは好ましくないというのが旧教的な考えであるがカルヴァンは資産を生み出すことの必要性を唱えた。内村の信仰はその思想の遺産を受け継ぐものだが、つまりお金も事業も与えるという愛の行為であることを信仰に基づき確信し自らの思想として伝えている。
思想を遺せという言葉の通り、内村の信仰遺産はこれほどの時間が経過した現代も私たちを励まし続ける。 -
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ネタバレ獄中記 (岩波現代文庫) 2009/4/16
拘置所生活は、自分の内面との闘い
2019年7月7日記述
佐藤優氏による著作。
2009年4月16日第1刷発行。
著者が逮捕勾留されていた2002年から2003年にかけてノートに日々記録をつけていたモノを編集した本。
このような環境に陥っても日々自分自身を向き合い
ストイックな努力(読書・勉強)を続ける著者は凄い。
むしろまとまった時間ができたと前向きに生きているなと感心する。
拘置所暮らしをしているとリンゴなどの差し入れが
非常に大きいのだなと思う。
植えている木や動植物の鳴き声などが憩いにつながる。
この辺りは実に現実味がある。
印象に残った部分を紹介したい
拘置所の中では、取り調べ以外にも、健康管理、
精神的安定の維持等いくつもの試練があります。
この中で最も重要なのは人間としての尊厳を維持し続けることです。
いわゆる「プライドを高くもつ」ということではなく、人間的思いやりをもち、憎悪や嫉妬に基づいた人間性崩壊を防ぐことです。
その意味で、拘置所生活は、自分の内面との闘いでもあります。
小泉改革の目指すものはなにか。一言で言うと、日本の基礎体力回復による生き残りである。
平等主義、弱者保護路線を切り捨て、強い者をますます強くし、機関車とすることにより、日本を
ひっぱっていこうとする。そのためには国民の圧倒的多数に裨益しない政策を遂行する必要に迫られる。
この点を隠すためにナショナリズムを煽り、また、人為的に「抵抗勢力」(国民の敵)を作り出す。
自国中心のナショナリズムを放置すると、それは旧ユーゴやアルメニア・アゼルバイジャン紛争のような「民族浄化」に行き着く。
東西冷戦という「大きな物語」が終焉した後、
ナショナリズムの危険性をどう制御するかということは、責任感をもった政治家、知識人にとって最重要課題と思う。
基礎体力さえできていれば、人間の能力は与えられた器に合わせてできる。
これがポストが人を作るということ。
組織には、組織が必要とする
水準に個人の能力を引き出す本姓がある。
逆に組織から仕事で課される器が小さくなると、
人間の能力は低下してしまう。
中略)そのような場合には、知的世界で大きな器を作る。
それは(テーマの選び方にもよるが)いくつか仕事の役にも立つし、トータルに人生を考えた場合もマイナスにならない。
わかりが遅いのは悪いことではない。
人間でも、政策でも、本当に理解し、納得できるまでは信じるな。
日本人であれ外国人であれ高邁な理想を述べる政治家、外交官、学者でも、その人間がどうやって生活しているのか、自分より力のある者と弱い者に対する態度に極端な裏表がないか。
時間をかけて見極めてから、判断をしてもおそくない。
日本の外交官は弱すぎます(戦争などの修羅場をくぐってないせいか)
1秘密が守れない。口が軽すぎる。
2自己顕示欲が強く、組織人として行動できない
(その裏返しとして、出世街道から外れると、イジけたひねくれ者になる)
3語学力が弱く、十分な意思疎通ができない
4任国事情や一般教養に疎く、任国エリートから相手にされない
5人情の機微をつかむことができず、人脈をつくれない
6セクハラが横行しているため、女性外交官の能力を活用し切れていない
敵を愛するということは、白旗を掲げ敵に屈する、あるいは敵におもねるということではない。
憎しみの論理は人の眼を曇らせる。
敵を憎んでいると、闘いの構造が見えなくなり、
従って対応を誤るのである。
こちら側が弱いときほど、正しい対応をするために、要するに自分のために敵を愛することは必要なのである。
女の底力をキリスト教はよくわかっている。
自分の力で友の窮地を救えないことがわかっている場合、本当の勇気とは怖くても見届けることだと思う。
僕は性格的に決して強い方ではないが、そこそこ我慢強いのではないかと思う。
外務省でいつも不思議に思ったのは、耐性が弱く
かつ努力することのできない人間がなぜこんなにも多いのかということだ。
入省後10年以上になる外交官で、きちんと勉強を
続けている人が何人いるだろうか?
裏返して言うならば、あまり勉強しなくても、
語学力が(通訳はもとより)新聞の論説を読めないレベルでも今の外務省では生き残っていくことができる。
しかし、日本外交の基礎体力は確実に弱りつつある。
僕はこの流れを何とか変えたいと思ったのだが、力が及ばなかった。
これは外務省だけではなく日本全体の基礎体力低下だということに対する認識が弱かったのだと思う。
持続的経済成長のためには、おだやかな人口増加、少なくとも人口の現状維持が不可欠の条件である。
日本の少子化傾向は当面続くであろうから、現水準のGDPを維持するためには労働人口を外国から獲得しなくてはならない。
具体的には、中国、フィリピンから労働者が流入してくることになる。
小泉型の自民族中心主義の下、日本では他民族社会への備えはできていない。
しかし、外国人の流入は進んでいく。
石原慎太郎流の「中国人が犯罪を運んでくる。外国人犯罪の取締りを強化する」などというレトリックでは解決できない
構造的な問題がある。
このままの状態では10~20年のスパンで日本は深刻な民族問題を抱えることになる。
この点でも、政治エリートは今から日本社会の他民族化をにらんで国際協調主義を根付かせていかなくてはならないのだが、多くの人々にそれが見えないのである。 -
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ネタバレ2020年11月22日記述
21世紀の戦争論 昭和史から考える
2016年(平成28年)5月20日第1刷発行
半藤一利氏と佐藤優氏による対談をまとめた本。
初出
週刊文春 2015年5月7日14日合併号「今こそ読むべき14冊」
文藝春秋SPECIAL 2016年冬号「失敗の昭和史」
文藝春秋 2016年3月号「新しい戦争と日本軍の教訓」
はじめにで佐藤優氏が、あの戦争(第二次大戦)で活躍したエリートが戦後も日本の政治に表と裏の双方で影響を与え続けた。
そのために、日本に破滅をもたらした因子が、温存されることになってしまった。
という指摘をしている。
その通りだと思う。
しかし、全てをA級戦犯とし全員を死刑にしていくこともまた難しい。
ドイツも全ての罪人が死刑になったわけでは無い。
国家の再建に人材がいなくなっても困るという問題もある。
とは言え、構造的な問題を変えていく事で過去の過ちを繰り返さない為に過去の出来事を、そのプロセスも含め、虚心坦懐に知る事が重要なのだと
いう佐藤優氏の指摘は全く同意だ。
つくづく昭和史を日本人は知らないと思う。
大河ドラマ等も含めついつい戦国時代と幕末明治維新あたりばかりを取り上げるという問題もあると思う。
印象に残った点を取り上げていくと
旧ソ連諸国の特徴として、得体の知れない誰かが研究しているときはだいたい秘密警察がやっていると考えていい。
ベラルーシにそれだけの文献があるわけではないし、組織的な背景が無ければ、こうした論文は書けません。それがクオリティの高い雑誌に載るということは、何かに使うための材料だと考えられます。(佐藤)
殺戮用細菌は使用してはならない。国際的信義は大切にしたいという昭和天皇の判断
戦闘の目的は自分たちの主張するところを武力によって押し通すことにあります。
相手を納得させることです。
が、自分たちの言い分が通らなかったのですから、ノモンハン戦は残念ながら負け戦であったというほかはない。(半藤)
兵隊さんたちはみな、辻(政信)を褒めるんです。
あのぐらい立派な参謀はいなかったと、口々に言う。
戦場では、他の参謀はみんな後ろに下がっていて、最前線へ出てきません。(中略)ところが、辻は出ていく。
ノモンハンでも、のちに参謀を務めたガダルカナルでも、インパールでも最前線に立っている。
だから、特にノモンハンの生き残りの兵隊さんはみな、あのぐらい立派な人はいない、と褒めるのです。(半藤)
まるで暴走族の頭のようじゃないですか(笑)。
そうやって現場を踏んで帰ってきて、今度はデスクにいる参謀たちにお前達は戦場を知らないと、恫喝したのでしょう。
つまり辻はインテリ向きではなく、大衆を引きつける魅力があった。
その意味では、彼がクーデターの方向にいかなくてよかったですよ。(佐藤)
確かに自分で率先してやることはやる。ただし、ガダルカナルにしても出ては行くけれども、上から見るだけなんです。
このジャングルがどのぐらい深くて、突破するのにどのぐらい時間がかかるかというところまでは見通せない(半藤)
日露戦争以来、34年間も日本陸軍は近代戦を戦ったことがない軍隊だった。
(中略)
その34年間、日本軍に何が起きていたかといえば、官僚化だったと思うのです。
実戦がない軍隊で出世するのは、事務能力の高い人間です。(佐藤)
そこでノモンハンでの戦いのもうひとつの重要な教訓として浮上してくるのが、ロシア人の国境に対する考え方です。私は究極的には日本とソ連の国境線の
違いこそノモンハン事件の原因だと思うのです。
実は、ロシア人の国境概念はわれわれとはちょっと違うんです。
国境線があっても、その外側に緩衝地帯がないと安心できない。
その地帯は自分たちの領土でなくていいんです。
しかし、いつでも自由に動ける地域でなくてはいけない。
つまり、線ではなく、幅のある「面」の国境をつくりたがる。
例えば第二次大戦後、ソ連は東欧諸国をソ連邦に加盟させてもよかったはずです。
ところが、それではロシア人は落ち着かないのです。
だから東欧全体を人民民主主義国にし、緩衝地帯とした。
複数政党制で、教会政策も締め付けを緩くした。
ソ連国内では民間企業をつくれなかったけれど、東欧諸国では従業員5、6人の企業であればつくれました。また、たとえばモスクワでは喫茶店もすべて国営でしたが東欧諸国や、ソ連領でもバルト諸国では家族経営が認められていました。
そういうふうにして、本国より少し規制が緩いけれど、ソ連圏として自由に行き来できる領域が周りにないと安心できない。
ですから当時、モンゴルも併合することができたはずですが、
そうせずに緩衝地帯として独立させました。(佐藤)
結局、各国が毒ガスを持っていたのに、第二次世界大戦ではどの国も使いませんでした。
一神教の世界の人々は、毒ガスを使えば皆殺しの報復にあうと、お互いに皮膚感覚でわかっているからです。(佐藤)
日本陸軍の弱点は、米を食べないと腹に力がこもらず戦えないことでした。
米を食べるためには、炊かなきゃならない。炊くためには火を起こさないとならない。
そうすると、火と煙が上空の飛行機から見えてしまう。
情けないくらいにそうなんです。ガダルカナルなどで日本軍が密林にいながら徹底的にやられてしまうのは、みんな飯を炊いているからです。
煙が上空から見えてしまう。(半藤)
そうそう、もうひとつ重要な例がありますよ。
日本が対米英蘭開戦を決意した「ハル・ノート」にあった「Chinaから撤兵せよ」という条件です。
日米関係の緊張が最高潮に達していた昭和16年の11月26日(日本時間27日)アメリカのハル国務長官から突きつけられた条件の中のひとつです。
この「China」がどの範囲を指すのか、日本政府も軍部も当然、満州が含まれると思っていた。
ところが、戦後になってアメリカから
「満州は含まれていなかった」という説が伝わってきたのです。
それを聞いた開戦時の国務大臣・企画院総裁の鈴木貞一中将が
「そんなバカな!もしそうであったなら戦争に踏み切る必要はなかった」と天を仰いで言ったのを私ははっきり覚えています。
アメリカは満州国を承認していなかった。
それで当然のことに満州国は
含まれていると、そう東條内閣は判断したというのです。
言葉というものが、外交的に正しく判断できるかどうか、恐ろしい話ですね。(半藤)
組織の中で個人的な名誉欲とか出世欲を、国益と混同しているようなタイプですね(半藤)
外務省にはいるんです、このタイプが(笑)。
「私の利益は外務省の省益で、すなわちそれが国益で、世界平和のためになる」
という理屈です。こういう人たちとの付き合い方は、非常に難しい。
自分の中で完結していますから「それは違うんじゃないか」と外側からいくら言っても、聞く耳を持たない。
勝海舟の言葉に「忠義の士というものがあって、
国をつぶすのだ」というのがあります。困ったことに、われわれは忠義とか国益という言葉に非常に弱い。(半藤)
勝の言葉は、全く正しいですね。こうした人間には2種類あって、
本気でそう思っている人間と、確信犯的にやっている人がいるということです。
前者は、ウソをついているという自覚すらなく、自分の利益=組織の利益=国家という物語をつくって、それを信じ込んでいる。
だから、息を吸ったり吐いたりするようにウソをつくことができるんです。
厄介なのは、この手の人間には歴史を動かす力があることです。
自分ほど無私な人間はいないと思っていますから、少々のことではへこたれない。
強いんですよ。
さらに厄介なのは、彼らが往々にしてチャーミングであることです。
ノモンハンのところで名前が挙がった参謀・辻政信など、まさにこのタイプではありませんか。
昭和陸軍には外務省同様、他にもこのタイプがいそうです。(佐藤)
(佐藤賢了を1963年(昭和38年)にインタビューした際に)
戦後15年以上経っていましたが、自分がやったことは完璧に正しいと信じていましたよ。
そもそも、「閣下」と呼ばないことには、
答えてくれなかったんですから(半藤)
幼年学校の卒業生は語学がよくできるという神話がありましたが、あれは間違いだと思うんです。
昔、外務省に幼年学校からロシア語を
勉強している大使がいたのですが、あんなにロシア語ができない人はいませんでしたよ(笑)。
先程も話に出た戦時下のベルリンの大使館にいた
吉野文六さんにそのことを話したら、「大島浩大使(幼年学校出身、陸軍中将)も、ドイツ語は何を話しているかわからなかった」と言っておられました。(佐藤)
エッ、大島は東京地方幼年学校出身の、チャキチャキの陸軍軍人なのにね。
そのドイツびいきで、白鳥敏夫イタリア大使と一緒に三国同盟を推進した大島が、ドイツ語ができなかったというんですか(半藤)
ええ。細かいコミュニケーションはほとんどできなかったようです。
その伝統は今も続いていますよ。
私の経験でも、防衛省から在外公館に出向している防衛駐在官で、英語以外をまともに使える人を見たことがありません。
新聞記事ひとつ訳すのに2日はかかるから、意見交換なんてまず無理。
最近、テロ対策で防衛駐在官を中東諸国に増やすといわれていますが、彼らのアラビア語、ペルシア語の力では情報を取るのは難しいと思います(佐藤)
現実的な対応力では、やはりアメリカは優秀です。
修正する思い切りの良さ、方針転換したときのスピードが違う。(佐藤)
先程アメリカによって日本の輸送船がさんざんに叩かれたという話がありましたが、これも真珠湾でアメリカの主力戦艦が使えなくなってもっぱら潜水艦などを使った通商破壊に転じたという面があります。
航空母艦重視にせよ、ロジスティクスの見直しにしても、結果として確かにアメリカは「失敗」によく学んでいるのです。
こうして振り返ってみますと、昭和の陸海軍がどうして参謀重視という形になったかがおわかりいただけたと思います。
その参謀には、とにかく当面の戦闘に勝つことだけを考えて、大きな戦力構想を持つところまでは至らなかった。
「war」に勝つのではなく「Battle」に勝つことしか考えていませんでした。(半藤)
戦闘の勝利の蓄積の上に、戦争の勝利があるという思想ですね。
しかしそこでは「合成の誤謬」が起きてしまう。
ひとり一人が正しい行動をとっても、全体で見ると思わぬ悪い結果を生んでしまうのです。
そして、硬直した組織では、外側の変化に対応できないということがよくわかります。陸軍が情報を握りつぶしたことといい、
海軍の海戦要務令といい、変化のシグナルは出ていたはずなのに、また、それに気づいていたはずなのに、自らを変えられなかった。
これはなかなか根が深そうな問題です。(佐藤)
「日本のいちん長い日」は私が35歳の時に書いたものです。
当時私は文藝春秋に勤めていたんですが、編集者仲間と太平洋戦争を勉強する会をつくっていたんですね。変な話ですが、昭和30年代の初め頃は
文藝春秋もいわゆる「平和論」に染まっていて、戦争のことにはできるだけ触れないような風潮があった。私など、半藤をもじって「反動」などと呼ばれていたくらいです。
それなら自分たちで勉強しようじゃないかというので、旧軍人や官僚といったさまざまな立場で
あの戦争の当事者だった人たちを呼んでは話を聞いていた。
すると、知らないことばかり出てくるし、当事者でも案外、自分が直接関係していない部分は知らなかったりする。
ならば、いろいろな人に聞いて、いったいあの日、何が起こったのかを再構成してみようと思ったのです。(半藤) -
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ネタバレ新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)2014/11/20
池上彰氏の見解が読めるのが本書の もっとも貴重な点
2016年4月25日記述
池上彰氏と佐藤優氏による対談本。
対談本であるのである程度の基礎知識はないと興味が沸かないかもしれない。
こういうどこどこの国はああだこうだという話が
好きな人同士の会話のレベル高いバージョンという感じだ。
普段わかりやすい解説に終始する池上彰氏の見解が読めるのが本書のもっとも貴重な点だろうか。
本書内の北朝鮮、尖閣諸島に対する分析、対応策に関しては正直疑問もあったが・・
ケソン工業団地は閉鎖になったし。
日本人の大量帰還も起こっていない。
特に尖閣諸島問題への佐藤優氏のウルトラC策である日本が連邦制を敷けば良いは
まるで民主党が埋蔵金があると言っていた話に似ている。
地方分権は進める必要はある。
しかし我が国、日本は単なる二重行政解消を目的とした大阪都構想レベルでも実現できない程度の国なのだ。
P191からの提言はもはや妄言、酔っぱらいの戯れ言である。
気になった点、印象に残った点を列挙してみたい。
イスラエルの無人機は米国製無人機プレデターやリーパーの10分の1の値段。
それにアメリカ製よりも小回りがきく。
イスラエル製は本人の頭を五寸釘で撃ちぬくような事が出来る。
イスラム世界では爆破されて遺体がバラバラになるとその人間が死んだことを認めない文化がある為。
2050年問題・・米国で白人人口が有色人種に人口数に抜かれる可能性。
⇒共和党が選挙に勝てなくなる。
何かを分析するときは、信用できそうだと思う人の書いたものを読んで、
基本的にその上に乗っかること。
その上で、これは違うと思ったら乗っかる先を変える(佐藤優)
予測や分析ということで、いろいろな人がいろいろなことを言っている発言を
スクラップの形などで取っておいて、
時間が経ってからその人が何を言っていたかを振り返る。
間違いは誰でもあるけれども、見通しが外れたことを正直に申し訳ないと謝る人はかなり信用できる(池上彰)
気になった記事のスクラップにスキャナーで記事をデジタル化してEvernoteで整理(佐藤優) -
Posted by ブクログ
ロシアの土壌で変質したキリスト教をバックボーンにしたドストエフスキー作品の超解説。日本人の感覚として普通に「良き人」と思える聖者も主流キリスト教神社的には異端であることが多いことに気づいた。考えてみれば当たり前なんだけど本を読んで「違うこと」や「多様性の存在」に気がつけたのは良かったな。
とは言え欧米人の考え方の基本になっているキリスト教の考え方って倫理や哲学の範疇でしか読んでこなかったので圧倒的に知識不足であることを認識した。さっそく聖書アプリをインストールしてちょっとずつ読んでみることにした。
そしてまたドストエフスキー作品を読み直してみよう!