佐藤優のレビュー一覧

  • 伝え方の作法 どんな相手からも一目置かれる63の心得

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    経験豊富なお二方の対談からは参考になる内容も多く、学びがありました。「教養とは知識の運用力。知識と知識をつなぎ合わせ、線から面で物事をとられられるようになる事で、わかりやすい説明ができるようになる。」なるほど、と思いました。知識を詰め込むだけではなく、アウトプットを前提としたインプットを意識していこうと思います。

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    2021年11月22日
  • 野中広務 差別と権力

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    kotobaノンフ特集から。名前くらいしか知らなかった政治家の人物評伝。少なくともいま現在、”自民党”の響きにポジティブな印象は持ち得ないんだけど、それは歴史全てを否定したい感情ではなく、寧ろ第一政党を走り続ける舞台裏とかは、大いに興味あり。55年体制を俯瞰する書も手元にはあるんだけど、特定の人物にスポットを当てつつその歴史を総括する、みたいな本書の方が、より取っ掛かりやすいのでは、と思ってまず本書に当たることに。そしてその思惑は、まあ正解だったかな、と。本書は、戦後政治史としても良くまとまっていて、適度にビッグネームの名前も挙がってくるし、入門書としても機能するものだった。当人物については、差別に対し断固立ち向かう精神などは注目すべきものがあるけど、反面、沖縄問題とか国歌の法案とかについての姿勢は大いに疑問で、正直、良い印象は抱けんかった。でもそれについては、他の視点も必要かも。当然、別の同系統本にもあたっていこうと思います。

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    2021年11月22日
  • 対決!日本史2 幕末から維新篇

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    正論。明治維新の功罪ははっきりさせなければならない。本当に、今の諸問題がそこから始まっているような気がする。ただ勝海舟は、過大評価のような気がする。

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    2021年11月18日
  • 危ない読書 教養の幅を広げる「悪書」のすすめ

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    20冊「いずれも社会的常識や倫理観に反する危険な本」かつて人を騙した、あるいは誤用され悲劇をもたらした「悪書」を時代背景とともに精読する/ヒトラーは出獄再出発以来「本音を隠していなかった=民主的指導者だった」し、スターリンは「法を超えて暴力で共産主義体制を維持する」と宣言したし、金正恩は兄殺害を予告していた/現代人の課題としてグローバリゼーションに抵抗するのが正しいのか?/家畜化を拒み、生殖も、それを読んで気持ち悪くなる「自分」は「正常」なのか?例えば「理性的」「健康」「衛生的」は絶対に価値のあるものか?

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    2021年11月18日
  • 調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意

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    人生の充実度を高めるためにはコミュニケーション能力を高めることが必要。そのためには高校レベルの基礎学力と自分の仕事に関する専門知識のインプット、対象を理解し自分の評価を下せるようなアウトプットを合わせて行い知的生産能力を高めるべきだ。

    人生をより良く過ごすために必要な教養の学び方が具体的に書かれていた。時事的知識を広い視点から学ぶために、まずは新聞ダイジェストから読んでみたい。

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    2021年11月15日
  • 生き抜くためのドストエフスキー入門―「五大長編」集中講義―(新潮文庫)

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    『未成年』こそがドストエフスキーの(いったんの)集大成で、『カラマーゾフ』はそれを敷衍した第一作だというのは首肯できるところ。マルメラードフが実はエリートなのだとか、キリスト教というよりは大地への信仰だといったところはソ連/ロシアに精通した著者ならではの視点だと思った。『悪霊』と『白痴』についてはそれほど面白い視点はなかったが、『罪と罰』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』の章については読む前・読んだ後・読んでいる最中に参考にしてみるとより面白く読めると思う。

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    2021年11月15日
  • 16歳のデモクラシー

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    埼玉県立川口北高校でのリベラルアーツ強化のための講座記録。「光の子と闇の子」の購読を通して、アメリカが民主主義「啓蒙」に戦争も辞さずに努めるのかを解き明かす。プロテスタント系国家が、近代においてなぜ強いかが「プロ・・・・資本主義」より簡単かつ早く理解できる本。

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    2021年11月21日
  • 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―

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    佐藤氏を罠にはめたのは誰なのか?
    それは存在のない国家ということか?
    特定の誰かでは無い組織の意思というものがあるのかもしれないし
    国策捜査なるものが、その組織の意思に沿って行われることがあるのかもしれない。
    これに対して国益を第一に考え、敵対するものと対決し屈指なかった佐藤氏の強靭な心と知識、経験、人間力に尊敬の念を抱く。
    鈴木宗男氏の著、闇権力の執行人を先に読んで疑問に思っていたことも、この本を合わせて読みことで納得のいく部分があった。
    外交の複雑な事情や駆け引きは、難しくて理解にはほど遠いが、北方領土問題とはどんな問題があるのかなど、なんとなくではあるが分かった。
    自分のスキルを大義のために使うのか、自己の利益に使うのかは、その人の魂のあるところに依るのであろうか。

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    2021年11月12日
  • 読解力の強化書

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    佐藤勝氏が、青山学院横浜英和中学3年生に行った読解力向上のための集中講義内容を中心に、読解力の強化策を述べたもの。集中講義では、三浦綾子の『塩狩峠』を題材にしているため佐藤氏特有の宗教色の濃い内容とはなっているが、読解力の重要性はよく説明されていると思う。「東ロボくん」で有名な新井紀子氏の主張を引用しており説得力があった。

    「(仕事上の人間関係)お互い信頼し合い、しっかり仕事に向き合う。ただし、必要以上に親密になるわけではありません。依存するのではなく、お互いが自立した関係で仕事を分担し、完成させる。その絶妙な「距離感」をお互い暗黙のうちに設けることが、一緒に長く仕事をしたい人たちの共通項なのです。ある種の「間合い」のようなものと、言ってよいかもしれません」p3
    「(現代人)異質なものに対する耐性が低いということでしょう。自分と異質なものに対する恐怖心が、かなり強くなっているのではないでしょうか」p44
    「(演繹法)普遍的な法則や真理を積み重ねて結論を導く」p62
    「(帰納法)さまざまな事実を積み上げ、その結果としてこういうことが言える、と導く」p63
    「学術書や専門書は難しい専門用語が並んでいますから、一見レベルが高そうに見えます、しかし表現されていることは論理的で、その構成や構造もある程度形があり、決まっています。論理的思考力と語彙力さえあれば、だれでも文章を追っていけば理解可能です。ところが、文学作品はそうはいきません。行間を読まなければ、深い理解に達することができないのです」p86
    「(夏目漱石)正岡子規がやろうとしたことをより大衆化し、一般化したものだと言ってよいでしょう。ですから、明治時代の文章ですが、漱石の文章は非常に平易で、いまでも大変読みやすい。その意味でも、読解力のテキストとしてふさわしいと思います」p95
    「人間は本から学ぶ以上に、すでにその本やテキストに触れ、何かしら変容を遂げた生身の人間から影響を受けることの方が、はるかに大きいと思います」p111
    「これからの人生で大事なことは、良い大人と出会うことです。本当に良い大人というのは、残念ながらそんなにたくさんいません。知識や教養はもちろん、知恵があり人格ができていて、生き方がきれいな人。そういう大人からどれだけ感化を受けることができるかが、人生を大きく変えることになるのです」p208
    「一見遠回りのように思える読解力を鍛えることこそが、国語だけでなく、すべての教科の力をアップすることにつながると考えています」p214
    「主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すように」p248

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    2021年11月15日
  • とりあたま元年―最凶コンビよ永遠に!編―

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    鶏頭だから今の流行が御題/「最強というより最凶」池上彰が評した/ニュースに吉兆はめったになく、凶兆が常。たとえば「オプジーボ適用拡大」は高価さ故に健康保険破綻を招きかねない/「産む期間」が延長されていることから出生率は一時的に改善したが、産む世代人口が減少するうえ、貧困化している現在の二十代が将来高齢出産するだろうか/あるまじき善人の政治家の村山富市、小泉純一郎、鳩山由紀夫が「日本的なるもの」を破壊して今も善人ぶっている/’18=令和元年末で連載終了/いま思えばビーガンと引きこもりはコロナ禍を予感していたのか?

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    2021年11月08日
  • 佐藤優の裏読み! 国際関係論

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    前半が白眉。リアルタイムの状況分析として説得力十分。菅政権は外交的に相当良く、したたかに立ち回っているという。また、台湾問題、ミャンマー問題もこう見るのか、という視点の紹介はいつも刺激的。

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    2021年11月07日
  • 還暦からの人生戦略

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    最近出た本。新聞に広告が出てたので買って読んだ。一緒に買った『50代からの人生戦略』に引き続き読んだ。個人的には還暦までまだ10年近くあるが、心構え・準備という意味でもとても参考になる。また、巻末にある池上彰先生との対談もとても興味深いものだった。

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    2021年11月03日
  • 50代からの人生戦略

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    敬愛している佐藤優による50代からの生き方について。50代の私には読むのにちょうどよいタイミング。納得できるところも多くとても参考になった。

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    2021年11月03日
  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

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    劣等感より怖いのは、悪い嫉妬心。
    良い嫉妬心は熱意ややる気に変えられるが、悪い嫉妬心は人を羨んで蹴落とそうとする。

    過度の自己嫌悪は、歪んだ自己愛と表裏一体。
    そうした自己愛は悪い嫉妬へと繋がる。

    健全に自分を愛し、自分の能力を客観視する。
    そうすることで、あらゆる負の感情から身を守って、前向きな気持ちを確保する。

    最近すごく気持ちが荒んでた気がするが、
    これを読んで少し気が楽になったかも。

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    2021年10月31日
  • 13歳からのキリスト教

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    キリスト教の入門書。聖書とは何かという知識から、キリスト教の考え方やイエスの生き方を通して人生や世界を諭してくれる本。
    劣っていると思える自分の特性も見方を変えれば世界で役立つ個性なのだ、というのが一番心に残った。

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    2021年10月31日
  • ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊

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    教養をつけたいのと立花隆の推薦に興味があり購入。実利的には佐藤優推薦の方が良いかも。少しずつ血肉にする。

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    2021年10月31日
  • 危ない読書 教養の幅を広げる「悪書」のすすめ

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    悪人は心を掴むのが上手い。
    ヒトラー、トランプ、宮崎学、ホリエモン。
    良い人だからいいわけではないことがわかる。

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    2021年10月27日
  • 真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960

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    ここらあたりに興味があり類書を読んでいるので
    驚くほど新しい知見
    はないが丁寧な記載で安定の面白さ
    ここら辺にあまり馴染みがない方にはちょっと本書だけでは追いつけないかもですがまず手に取って欲しいですね

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    2021年10月24日
  • 真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960

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    佐藤さんの話も興味深かったし、池上さんが分かりにくそうなところをしっかり補足してくれているので、政治的な話に疎い私でも分かりやすかった。

    最近たしかに、マルクス主義とか社会主義という言葉をよく耳にするし、格差社会を風刺した映画やドラマも話題になっている。

    これから世の中が多少なりとも左翼の方向に流れていくならば、こういう歴史も知っておくべき、というのは賛同する。

    続編も読もうと思う。

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    2021年10月15日
  • 人に強くなる極意

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    ネタバレ

     経済・社会・国際情勢が激動する現代社会を乗り切るには、そうした状況に対応できる人間力を強化することが必要である。こうした人間力を高めるために、「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」という8つのテーマについて、著者の考え方・基本技法を紹介したのが本書である。各テーマの中で特に参考となった事項は次のとおり。

    「怒らない」
     怒るということは、単なる感情の発露、危険を避けるために行動を止めるための怒り、場を収めるための戦略的なお芝居の怒りと、3種類の怒りの種類がある。周りで怒っている人がいる場合でも、ただ怒られたことは嫌だと避けるのではなく、どの怒りの種類なのかを分析して対応を考えることが必要とのこと。もちろん、単なる感情の発露の場合は、避けることが肝要である。また、自分が管理職になった場合は、危険を避けるために行動を止めるとか、場を収めたり嘘をつかせないなどの場合については戦略的に怒るということも必要である。ただし、立場の弱い人に自分の立場の強さを背景に怒るのは絶対に避けるべきこと。また、怒りの感情が湧いた場合は、怒りの感情が湧いた原因(嫉妬、コンプレックス、焦り)などを客観的に分析して、対応することが重要であると著者は説く。こうした分析をし、感情を昇華させるには、代理経験として小説やドラマを見るなど、芸術に触れることが有効であるとのこと。

    「びびらない」
     人間の社会では、びびらせて行動をとらせるということも多々あるもの。資本主義経済においても、健康などに対する不安をあおって商品を売るといった、フィアメッセージが横行している。不安になったりびびったりすると、冷静な判断ができなくなる。こうした中で「びびらない」胆力を身に着けるには、相手や対象を知り、相手の本質や意図を見極めることが重要である。人間はよくわからないもの、不可解なものに対してびびるものである。このため、相手や対象を知り、相手の内在的論理を知れば、相手が何を言おうが、どんな威圧をしてこようが、冷静に対応できるようになる。また、小説や映画などで代理経験を積むことも有効である。代理経験も含めた経験を重ねると、びびるような場面に出くわした時でもその状況を分類・類比し、今後の展開などを予測することができ、落ち着いて対応することができる。
     他方、理屈や道理が通じない相手や、自分の能力では対応できないことには、びびって撤退するしかない。撤退のラインを見極めるためには、普段から負荷をかけて自分の能力の限界を知っておくことも重要である。

    「飾らない」
     飾るというのは、自身の優越欲求や承認欲求を満たすための行為である。こうした欲求は、封建制から近代社会へ移り変わる中で、身分の代わりに競争をして自分の位置を確かめるという社会に移り変わってきた中で強化されてきたものである。これらの欲求を利用されると、マインドコントロールされることもあるので注意が必要。仕事の局面などでは、自分の実力を素直に認め、分からないことは分からないと伝えて教えを乞うという態度が必要であり、そうした真摯な態度が仕事における飾らない関係を作ることにつながる。そして、飾らないためには、自分の素の軸(国や民族、故郷や家族、信条、哲学、など)がしっかり分かっていることが必要である。

    「侮らない」
     人間は、上手くいっているとき、得意なことをしているときほど、人や仕事を侮り、取り返しのつかない失敗をしてしまうものである。このため、侮って失敗した事例を扱った書を読むことで代理経験を積むということや、内省ノートをつけて周囲からの指摘を客観的に分析して自分の侮りに気づく努力をするということが必要である。

    「断らない」
     断らないとは言い方を変えれば、受け入れるということである。自分とは異質な事柄を受けいることは、自分の価値観が棄損されなどのリスクも伴うが、異質な存在や価値観と触れることで、タフさや可能性を広げることができ、成長のきっかけとなる。

    「お金に振り回されない」
     資本主義社会の特性を知り、お金に振り回されないスタンスを取ることが重要。

    「あきらめない」
     現代社会に通底する「あきらめない」という価値観は、西欧の目的論的な考え方に端を発し、日本では明治維新以降に定着した価値観である。「あきらめない」というからには、その目指す物事の完成形(終わり)が明確になっていることが必要である。そうした完成形が曖昧なままあきらめないでいると、執着の泥沼に陥り、身も心も破綻する。このため、何か目標設定をする時は、実現可能な完成形がイメージできるものにする必要がある。そうした、完成形の明らかな目標を複数設定し、期限を区切って取り組んでみることが、自分を管理する上で重要である。

    「先送りしない」
     決断・判断するリスクと、判断を先延ばしにするリスクを天秤にかけて、今判断するリスクの方が高いと考えているから先送りしてしまう。何を怖いと考えるか、リスクを冷静に合理的に比較することが必要。うつ病やその傾向のある人は、「もう終わってしまった」という「祭りの後」的な時間意識を持っている人が多いとのこと。この感覚が強いと、ある時点から先は何をやっても無駄だ、やっても仕方ないという気持ちになってしまい、何もできなくなるとのこと。こうした感覚は、完璧主義のかたくなさが極端に表れたものでもある。しかし、現実はかなりフレキシブルなところもあり、一つがうまくいっていなくても、べつのところで補えば、全体として何ら問題がないことの方が多い。こうした感覚の硬さをほぐし、取り除くことが、先送りしないための一つの心の持ちようである。

    (感想)
     社会で生きるとは、人と相対して関わって生きていくことであり、人と適切に関わっていくために必要なテーマのノウハウの詰まった本である。「怒らない」で説明のあった、怒りの種類を分析して対応する方法は、怒られて落ち込むしかできない傾向にある自分が、客観的に怒られたことを分析して、受け流す助けになると思う。「びびらない」で説かれた相手の内在論理を知り対応するということや、自分の能力を把握して対応するということが参考になった。「あきらめない」においても、やはり目標として適切な完成形を設定することの重要性が解かれていた。また、「先送りしない」で言われた「祭りの後」的な時間意識は非常に強いので、そうした感覚をほぐして一つがうまくいかなくても別のところで補うこともできる、まだ間に合うという感覚を身に着けていけたらと思った。
    全体を通じて、内省的に自分を客観的に振り返ること、読書や映画・演劇などの芸術のもたらす代理経験という効用を改めて認識することができた。何故、人間にとって「物語」「芸術」が必要なのかということも腑に落ちた。そして、今の自分が当たり前に持っている価値観や欲求も、社会の在りようと共に時代によって変遷しているものであるということが述べられており、自己を相対化するという視点を得ることができたのは大きな収穫であった。

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    2021年10月07日