佐藤優のレビュー一覧
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のちに『国家の罠』に結実した「国策捜査」の実態。拘置所という空間で知的営為を組み立てていく執念。キリスト教神学論争と政治哲学の奇妙な類似など啓発される点は多い。現実には美食も酒もタバコも無く、テレビラジオ等の娯楽も厳しく時間制限され(なぜか外国語書籍の差入れも禁止)最大限に屋外運動でも運動不足で大抵のものは音を上げる…。同盟国であったアメリカから、日本人と自ら任ずる人々が住む沖縄を返還してもらうにさえ《密約》が必要であったのに、友好条約もないロシアと交渉するのがどれほど困難であったことか。
岩波書店『世界』は、出獄後の彼に国際欄コラムを書かせ‥作家となって逆転に成功 -
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豊富な知識を持った二人が、テーマに沿った書籍について、縦横無尽に評を述べていく対話形式。読んだばかりの『実力も運のうち』、『人新生の資本論』も第1章で出てきたので、のっけから充分に楽しめた。同じ書籍を読んでも、ここまで感想や考え方に深みが異なるのか、と痛感した。
日本の政治家の愛読書という、今まであまり考えたことがないような切り口のテーマも秀逸。政治家がなぜ哲学書や思想書を読みたがらないのか、その根幹への想像も説得力があるもので腹落ちした。とはいえ、「菅義偉の『君主論』が愛読者」に対して、衒学的な傲慢さも少し垣間見れたのは残念。
「タイトルは変えた方がいい」との意見も見られたが、「読解力を育むことで、こんなふうに物事や人物の本質を考えることができるよ!」というように、読解力の必要性を訴えかけるいいタイトルになっていると思う。 -
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産経新聞社『正論』2008から翌年まで「日本哲学の考究“回帰と再生と”」と題し連載され、「右翼(皇道派)」と闡明し、キリスト者ながら同じくキリスト者であった母とともに神社に参拝し、カミカゼ攻撃を肯定するなどで読者の反響は大きかったらしい。
社会契約説に基づく人民主権は、おそらく人工国家であるアメリカ合衆国にしか成立しない。彼は征服と侵略でできた国/どの国も神話が国家の基となっている。古事記日本書紀も読まない者が日本を語るな。
日本は征服戦争でできた国ではない。大国主大神の国譲り神話が鎌倉幕府、南北朝解消、戦国時代終結、明治維新に踏襲されている。 -
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当時は鈴木宗男さんが捕まったというニュースを見た記憶があるくらいで、田中眞紀子氏もモノマネでしか見ていないから、いろいろビックリした。
世の中の多くのものごとは、どんなに声が大きく聞こえても浅い話にすぎず、当事者が発信しないと伝わってこないものなのかもしれない。
あと地味にこの当時から日本の実質識字率5%という認識があったことに驚いた。
いつもなんでそんなによく覚えているんだろうと不思議だったが、記憶の定着のさせ方が出てきたのでなるほどとなった。でも私と認知特性が違うので全然真似できない芸当だったw
検事さんの様子から察するに、自己保身が当たり前の世界で、信念や長期的視野というものに出会う機会は少ないのかもしれない。
三権分立とは…と考えさせられる。
捕まるニュースのインパクトって大きいけど、誰が捕まったかより、判決結果や中身のほうが肝心なんだなぁ。
ちっちゃな視野で叩いた結果、自分の首を絞めている構図がえぐいなぁ…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ佐藤優氏による著作。
2014年6月10日発行。
月刊中央公論に連載した「修羅場の作法」を再構成した本。
2013年5月号~2014年3月号の連載分
印象の残った部分を列挙してみると
絶えず闘争が続いている状況では、普段は見えるはずのものが見えなくなってしまう。
逆に普段、見えないものが見えるようになることもある。
国民に愛されるとともに恐れられる国王になることはとても難しい。
その場合、恐れられた方がいいとマキャベリは主張する。
修羅場で、守勢になった側での裏切り行為は、ごく普通の出来事だ。
政党、官庁、企業は、利益共同体(ゲゼルシャフト)なので、人間関係は、基本的に打算に基づいて構築されている。
政治家や官僚の派閥も、守勢になると崩れてしまいやすいのは利益共同体の本性からして仕方のないことだ。
トップに立つ者は、助言を絞り込む必要がある。
専門知識のある者の助言を受けるが、その場で結論を出さず、自分の頭でよく考え、決断する。
ひとたび決断したら、その後、多少、迷いが生じても
決断を断固貫く。
イエスは、まず敵と味方をはっきり峻別せよと説いている。
その上で、敵を愛するのである。
もちろん人間の心情として敵を愛することはできない。
しかし、愛するように努力しなくてはならない。
敵には敵なりの理屈や立場がある。
敵を愛するという視座を無理をしてでも持つことにより敵の内在的論理を理解することができる。
憎しみは、人の眼を曇らせる。
その結果、敵の論理や動きを正確に判断することができなくなる。
そして、間違えた対応をしてしまう。
敵を愛するという気構えを持つことによって、戦いを有利に進めることができるのである。
「受けるよりは与える方が幸いである」イエス・キリスト
限られた人生の中で、自分が他者から「受けること」を
第一義に考えるのではなく、他者に自分が何か「与えること」ができないかを考えることにより、この世界が異なって見えるようになることを、著者は人生の節目で何度も実感した。
ワイマール憲法のような、模範的な人権が規定された憲法をナチスの暴力だけで無効にすることはできない。
暴力的な政治には、それを正当化する有識者が必ず存在する。
いつの時代もケルロイターのような知恵者が現れて、
法解釈の名の下で民主主義を内側から破壊していく危険があることを、常に忘れてはならない。
「基本的諸法律は、国家指導の他の諸法律と別に区別はない」
オットー・ケルロイター
憲法改正手続きが面倒ならば、現行法体系と矛盾しても
政治的に都合がいい法律をいくつも通していけば、
実質的な改憲が可能になる。
コンピューター言語を自由に操ることができるギークたちには言語、民族、国家に対する意識が稀薄なのである。
第三者的に観察すれば、ギーク達の世界観はアナーキズムに親和的だ。
インテリジェンス・オフィサーの職業的良心は国家のために全てを捧げることだ。この観点で、インテリジェンス機関はアナーキストに対して先天的な忌避反応を持っている。
「元インテリジェンス・オフィサーは存在しない」
ウラジーミル・プーチン
インテリジェンス機関に勤務した者は、一生、この世界の掟に従い、国家に奉仕すべきである。この掟に背いた者は殺されても文句は言えない。
他者のために存在したというイエスに倣って、われわれも正しく言葉を使い、行動するならば、修羅場の危機から抜け出すことができるのである。
もう少し、われわれの日常に引き寄せて、
このことを言い換えるならば、あなたが他人の気持ちになって考える努力をすると、自然と言葉の使い方も異なってくるようになる。
その結果、あなたの行動が変化する。
この影響が自然と他人にも及ぶ。そして、他人もあなたのことを思いやるようになり言葉遣いと行動が変化する。
このようにして、リアルな人間の信頼関係が構築される。
日常を一時的にリセットする(安藤美冬)
仕事に熱中し、前だけ見て働き続けても、良い結果はでない。
定期的に休みを取り、自分の仕事を観察し、反省することが必要である。
人脈を長期間維持することは、人脈構築の数倍難しい。
人間が本当に怒るときは二通りです。
本当のことを言われたか、とんでもない大ウソをつかれたとき。
いわゆるエリートと喧嘩する際には中学校までのトラウマをどうやって引き出すかが大事なポイントになります。
佐藤優の修羅場・・事件の容疑者になって、メディアスクラムで3ヶ月間ホテル暮らしを強いられ、自宅の郵便物を報道陣に荒らされて、逮捕されて足かけ513日間独房に入れられて、公判に4500万円かかって、裁判に8年を要して、外務省をクビになったくらいです。
企業、官庁でも上司を選ぶことはできない。
無能な上司、性格に著しい偏りのある上司に遭遇したときは、「時」を待って、行動に移る。
決して、時期尚早な戦いをしてはならない。 -
Posted by ブクログ
著者の本は初めて読んだ。経歴的に、過激なことを書くのかと思いきや、某エンジェル投資家よりもよほど優しい文章な印象を受けた。タイトルに反して良い意味でズルくない。外交の裏話も面白い。他の書籍も読んでみたい。
以下、印象的な箇所と感想
人生にとって大切なのは、いかに負けるか、では。不条理な事などいくらでもある。相手に勝とうとするのがアニマルスピリッツなら、負けることから新たな自分だけの人生のテーマを作り出す力こそ、ヒューマンスピリッツと言えるのでは。別の思考や世界観をもち複線化することも、リスクヘッジになる。
約束は破らない。遅刻や会議延長で人の時間を奪ってないか?
低信用社会は発達しない。多分人間関係もおなじ。
恩を忘れない。受けるより与える方が幸い。
就活で若者の承認欲求はぼろぼろになっている。
年配者の若い頃はエネルギーが〜論は時代錯誤では?という指摘。
11章は特に印象的だった。
ー組織である以上、上司の命令には背けない。
(数字を毎回出す人と専門知識や特殊能力のある人は多少は意見を言える。)
人間は自由や平等を求めるが、組織はもとより上下関係や権力構造を前提に構築されている。(人間が組織をつくり社会を作らなければ生きていけない以上、そこに属する我々は常に上下関係と権力構造の中で生きていかなければならない)
コモディティ化が進むなかで、生き抜くには、特殊技能や能力を身につけて代替不可能な人材になること。与えられた仕事をこなすだけでは専門能力は身に付かない、部署トップを目指して頑張る。今後の10年でどうなりたいか、から逆算し、どんな知識とスキルを身につけるべきかを明確にして、計画的にスキルアップする。自分の人生を自らコーディネートする。
銀行員にとっての簿記三級的なスキルも役に立つ。
趣味の世界で肩書きを持つのもいい。権力や組織が牙を剥いてきたときに、もう一つの世界に逃げることができる。逃げる事は重要で逃げられる環境があるのは大きい。