現在の経営環境下で迅速かつ的確に意思決定を下すことは、以前よりも難しくなっている。そう語るのは、世界屈指の経営思想家の一人、ラム・チャランだ。彼は35年にわたって、ゼネラル・エレクトリック、ノバルティス、デュポンなど世界の一流企業に対してコンサルティングを行ってきた。多数の経営幹部と接し、厳しい経営課題に対処する様子を観察し、そこで得た洞察を講演、教育現場、書籍などで積極的に発表してきた。本誌に寄稿したConquering a Culture of IndecisionHBR,April,2001(邦訳「対話が組織の実行力を高める」DHBR2002年1月号)では、優柔不断な組織文化を改め、意思決定を実行に移す方法を提言している。本インタビューでは、優れた意思決定者の考え方や振る舞い、優れた意思決定に必要な資質とその伸ばし方、意思決定をめぐる経営者の負うべき責任と犯しやすい過ちなどについて話を聞いた。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2014年3月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
製品やサービスのブランド価値を認知させるには時間が必要だ。それがラグジュアリーブランドであればなおさらであろう。日本を代表する高級車「レクサス」は、いままさにその課題と向き合っているブランドの一つである。BMW、メルセデス・ベンツ、アウディのように、消費者の世界観そのものを変えてしまう本物のブランドに成長するために、いかなる施策を実施しているのか。Lexus International Co.でPresidentを務める福市得雄氏に話を聞いた。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2016年6月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
昨今、プラットフォームに関する議論が盛んに行われているが、新たなテクノロジーの台頭はその議論に深みをもたらした。なかでも、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が与える影響は非常に大きいといわれている。IoTによって、プラットフォームというネットワークはどのような進化を遂げ、それは私たちの生活にいかなる変化をもたらすのか。IoTの実用化を進める第一人者であり、東京大学大学院教授およびソニーコンピュータサイエンス研究所副所長を務める暦本純一氏に、究極の情報化が進むネットワークの未来について語ってもらった。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2016年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
現代企業は膨大かつ多様な顧客データを取得できるため、それを正しく分析できさえすれば、イノベーションを起こしやすいようにも思える。しかし、「顧客は何を達成したいのか」という視点を持たぬままやみくもにデータと対峙したところで、革新的な価値を生み出すことはできないと筆者らは主張する。イノベーションを体系的に起こすうえで不可欠な“Jobs to Be Done”(片付けるべき用事)とは何か。それをどのように見極めればよいのか。本書では、破壊理論の提唱者であるクレイトン・クリステンセン教授らを中心に、その実践法が明かされる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2017年3月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー R. イメルトが、2017年7月末にCEOを退任した。彼はおよそ16年間という長期にわたり、30万人の巨大組織を率いたが、その経営は、GEの事業ポートフォリオを再構築し、イノベーション戦略、グローバル化、戦略の焦点の明確化、組織マネジメントの分野で、大規模な変革を伴うものだった。本書では、イメルトみずからが、GEでの経営を振り返り語る。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2017年12月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
戦略論の大家であるマイケル E. ポーターはこれまでも、技術と戦略についてさまざまに論じてきた。3年前のIoT(モノのインターネット)と戦略をめぐる論文も話題を集めたが、今回AR(Augmented Reality:拡張現実)に焦点を当てる。デジタルのデータやイメージを物理世界に重ね合わせるこの技術群は、デジタルとリアルの世界の隔たりを縮め、いまだ開拓されていない人間の能力を引き出す。本書ではARの本質、進化するその関連技術と応用形態、ARが極めて重要である理由を解説する。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2018年1月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。※ARはペーパーホワイト端末非対応です。
アラン G. ラフリーとロジャー L. マーティンの論文「顧客の『選択』を『習慣』に変える」を受けて、経営戦略を長年研究してきた気鋭の学者が、対論を提示する。まず、技術革新や新しいビジネスモデルが普及すると、習慣は急激に変化する、と指摘する。そのうえで、顧客の習慣を維持させようとすることと、市場へのアプローチを刷新する施策をバランスさせることを提案する。※本書は「顧客の『選択』を『習慣』に変える」の内容を基に構成されています。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2018年3月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
ジョン F. ケネディ米大統領が提唱し、計画から10年足らずで実現した人類の月面着陸プロジェクト「ムーンショット」。その言葉が半世紀を経て、今日のR&Dや企業経営において大きな影響を与えている。それも、グーグルのように、実現不可能と見られる地球規模の課題解決を目指すことが競争優位を築くことになるとわかったからだ。なぜ、いま経営にムーンショットの考え方が必要なのか。グーグルに対してヒト型ロボット企業の売却を成功させ、さらに米国シリコンバレーを拠点に、世界の水道管劣化という大きな課題に取り組む、連続起業家(シリアルアントレプレナー)の筆者がムーンショット経営の要諦を明かす。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2019年8月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
短期的視点で利益を追求しようとする企業経営のあり方に批判が集まる中、2019年にはビジネス・ラウンドテーブルも「あらゆるステークホルダーへの配慮を誓う」という声明文を発表した。しかしこの問題の解決には、これまで成功を収めてきたビジネスのやり方も変える必要がある。ペプシコを12年間にわたって率いたインドラ・ヌーイは、「パーパスにかなった成果」(Performance with Purpose)に基づくアプローチにより、優れた業績を上げつつ、人の健康と環境に配慮し、人材の面でも貢献するという企業を目指してきた。ヌーイの行ってきたパーパスドリブン変革を振り返る。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
競争戦略論の大家であるマイケル E. ポーターは、企業間の競争だけでなく、国やインナーシティ、あるいはヘルスケア、環境問題、さらには政治問題へとさまざまな課題に対して競争戦略のフレームワークを当てはめてきた。本書は、ともにフィランソロピーやCSR(企業の社会的責任)の財団を創設したマーク R.クラマーとともに、フィランソロピーの問題に挑んだもので、HBR1999年11-12月号に掲載された。慈善財団の投資と戦略について論じた本書は、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資が注目される今日でも意義あるものではないだろうか。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2021年6月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
味の素は、CSV(共通価値の創造)の同社版ともいえる「ASV」(Ajinomoto Group Shared Value)を全面に押し出して、より本質的な社会価値と経済価値を追求するASV経営を進めている。これはまさにステークホルダー主義を先取りするものといえるが、この改革を先導するのが西井孝明社長だ。「食と健康の課題解決」というパーパスを掲げたうえでビジョンを見直し、5つのポイントで変革を実行しているものの、当初は社内でもなかなか理解されなかったという。そうした中で、従業員と顧客、投資家・株主といったすべてのステークホルダーの価値向上を同期化することを目指す西井社長は、いかにして社内を巻き込み、変革を進めてきたのか。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2021年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
モデルナによる新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に対し、知名度の低さや後発での参入を理由に、一夜にして成功を収めたという印象を持つ人が少なくない。しかし実際は、同社の母体であるフラッグシップ・パイオニアリングが10年来、無数に繰り返してきた、ブレークスルーイノベーションの手法「エマージェント・ディスカバリー」によってもたらされたもので、けっしてまぐれ当たりなどではなかった。本書では、モデルナの共同創業者兼会長であり、フラッグシップの創業者兼CEOのヌーバー・アフェヤンと、ハーバード・ビジネス・スクール教授のゲイリー P. ピサノが、モデルナを成功へと導いたエマージェント・ディスカバリーについて、2つの基本原則「分散の創出」と「選択圧」をキーワードに解説する。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年1月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
1952年に発表された本書で、カール R. ロジャーズとF. J. レスリスバーガーは、コミュニケーションにおける「聞く」ことの重要性を論じ、マネジャーに対しては部下とのコミュニケーションにおいて、彼らの感情に配慮するように勧た。筆者らの本質を突いた主張は70年経っても古びることはなく、コミュニケーションにおける基本だが、シンプルなだけに実践も難しいといえるかもしれない。本書では、1991年にHBRに再掲された際の、ジョン J. ガバロによるコメントも合わせて翻訳掲載した。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年7月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
あるビジネスにおいて、企業間でパートナーシップを結び、それぞれの企業が持つ技術や知識といった強みを活かしながら、共存共栄を図る仕組みを、生物学の知見を用いて「ビジネスエコシステム」と呼ぶが、この考えを先駆的に示したのが、本書の筆者、ジェームズ F. ムーアである。本書では、ビジネスエコシステムの発展段階──誕生、拡大、主導、自己再生──について、PC産業の変遷や製薬業界を例に論じている。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年9月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
Web3という言葉が、あらゆるところに浸透し始め、次の流行の中心となることは間違いないように思われている。『Web3 Is Going Just Great』(Web3は順調に広がるか)というウェブサイトを立ち上げたモリー・ホワイトは、Web3がさまざまな問題の解決に役立つという期待が高まっている現状に警鐘を鳴らす。本インタビューでは、企業がWeb3プロジェクトを立ち上げる際に共通して見られる間違いや誤解、インターネットハラスメントやプライバシー保護に与える悪影響といった負の側面を取り上げる。それとともに、Web3推進派が語る富と機会の平等や、ウェブの民主化といった楽観的な見通しにも疑問を呈する。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年12月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
デジタル技術の進歩で意思決定者全員に分け隔てなく情報が直接届けられるようになった。これにより組織は大きく変わる。サイロ化した組織や階層組織ではなく、小規模なチームが独立性と説明責任を持ち、意思決定を下すことができる。組織は報告や調整に労力を費やすことなく、創造性を発揮することが可能になる。こうした組織をパーミッションレス組織(名づけたのはIT起業家のマイケル J. シコルスキー)と呼ぶが、本書で筆者たちは、こうしたパーミッションレス組織を可能にする業務の進め方について、先行している企業の事例を引きながら解説する
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2023年6月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
現場の最前線に立つサービス業従事者は、常に明るく笑顔で接客することが求められている。だが、顧客の無礼な振る舞いは、彼らの心身に害を及ぼしており、放置すると組織のパフォーマンスを落としかねない。本書では、心理学者のアリシア A. グランディらの研究をもとに、こうした感情労働がもたらす苦痛の実態を明らかにする。組織として従業員をどうサポートすべきかといった問いに対して、グランディは従業員に自主性を与え、その感情労働に見合った報酬を支払うべきだと述べる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2023年6月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。
近年の酷暑や水害、あるいは頻発する山火事など、地球温暖化による気候変動の問題は喫緊のものとなっている。本書の筆者のうち、ロバート S. キャプランとカシーク・ラマンナは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)2021年11-12月号(邦訳はDHBR2022年4月号)で「気候変動の会計学」を発表し、温室効果ガス(GHG)排出量を算定・報告する際の基準となっているGHGプロトコルの問題点を指摘し、会計の手法を用いたE負債という考え方を示した。本書では、そこで論じられた会計システムを発展させて、カーボンオフセットの取引を健全化し、実効性のあるものにする5つの原則について解説する。
*『DIAMONDハーード・ビジネス・レビュー(2023年11月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。