知りたかったことがわかりやすく解説されている。
・電力系統:発電、流通、消費の3つの要素から構成される電力システム
・周波数を10秒程度で一定に保つ必要性
パワープールに蓄えられている慣性エネルギー(タービンの回転力として蓄えられているエネルギー)が放出される時間に相当
・系統全体の需給バラン
...続きを読むスが10%崩れると、周波数は2%(50Hz系統なら1Hz)変動、周波数が4%変動すると多くの発電機は運転停止
→常時の変動の範囲を±0.2Hz(0.4%)以内に収めるよう運用
・ロードカーブ(日負荷曲線)
夏の昼間、冬の夕方(最近は省エネ浸透、太陽光発電の普及で冬の夕方の方がピークが立つケースが多くなっている)
・蓄電池と電力量の関係例
テスラモデル3:75kWh
日本の乗用車6,000万台以上、半分で22.5億kWh
平均家庭1日電力量10kWh、日本全体の1日の電力量25億kWh
・連系:発電所や変電所を送電ルートで結ぶこと
・放射状(1ルート)とループ・メッシュ(複数ルート・迂回あり)が基本
・放射状は、ループフローが生じにくく潮流の管理がしやすい一方、安定度の問題が生じやすい(ループは逆)
地域間連系
・直流設備:周波数変換所、直流海底ケーブル等
→電圧が一定で送電線の絶縁設計が有利
→系統の独立性を保ったまま連携ができる
・交流設備
電気の3つの価値
・kWh価値:実際に発電される電気:卸電力市場(スポット市場、ベースロード市場など)
・kW価値:発電することができる能力:容量市場
・ΔkW価値:短時間で需給調整できる能力:調整力公募→需給調整市場
→電力自由化で電力システムへの参加者が増える中、それぞれの取引における認識の違いで市場に混乱が生じないよう、「電気の価値」ごとに3つの市場を設置
+非化石価値:非化石価値取引市場
・発電事業者、小売電気事業者(バランシンググループ):発電計画、受容計画を前日に提出、当日30分単位での実需給開始1時間前(ゲートクローズGC)までに当日計画を提出
・系統運用者:瞬時の需給のズレの調整→発電設備の所有者、アグリゲーターなどからの公募、契約によって調整力確保
・限界費用:メリットオーダーで並べて需要を満たす発電設備の中で最も高い燃料費単価
・需給調整市場の商品
一次調整力:系統運用者からの指令を待たず自端で発動できるもの、応答時間10秒以内、継続時間5分以上、可変速揚水発電、変電所設置の大型蓄電池など
二次調整力①(系統への並列必須):専用線での監視、5分以内応答、30分以上継続
二次調整力②(系統への並列任意):〃
三次調整力①(15分以内応答):3時間以上継続
三次調整力②(45分以内応答):〃
・ネッティング:広域エリアでまとめて調整することで必要となる調整力を減らす
◯再生可能エネルギー
3つの課題
①発電と需要の時間ギャップをどう埋めるか→フレキシビリティ
・短い時間でのフレキシビリティ
→揚水発電等
再エネ側に出力制御機能や擬似慣性力を付加
蓄電池やEVによるデマンドレスポンス
ERAB(エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス)
短周期変動問題:1日〜数時間・数秒単位
北海道ー本州間の連系線を通じて東電PGの調整力を提供
・長い時間でのフレキシビリティ
→現時点では他の発電技術によるバックアップが必要
長周期変動問題:年間・月間〜1日単位
再エネにも周波数調整機能を
◯日本の系統連系規程
・電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン
・系統連系規程
・系統連系技術要件(託送供給等約款別冊)
・系統アクセスルール
②発電と需要の空間ギャップをどう埋めるか
→日本版コネクト&マネージ
・想定潮流の合理化:全電源がフル稼働した前提ではなく実際の利用に近い想定で算定する方法
・N-1電源制限:緊急時用に空けておいた送電容量の一部を、事故時には瞬時に遮断する条件で平常時に活用する方法
・ノンファーム型接続:送電線の混雑時には出力を制御する条件で、新規電源の接続を認める方法
N-1電源制限により全国で4,000万kW以上の接続可能量が拡大
③発電コストをどう下げるか
◯レジリエンス
・ブラックスタート電源:電圧調整機能も必要
・N-1基準:(発電、送電、変圧等の)設備総数N個のうち、1個欠けたとしても残りの設備で電力供給を継続できる