岡本浩のレビュー一覧
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知りたかったことがわかりやすく解説されている。
・電力系統:発電、流通、消費の3つの要素から構成される電力システム
・周波数を10秒程度で一定に保つ必要性
パワープールに蓄えられている慣性エネルギー(タービンの回転力として蓄えられているエネルギー)が放出される時間に相当
・系統全体の需給バランスが10%崩れると、周波数は2%(50Hz系統なら1Hz)変動、周波数が4%変動すると多くの発電機は運転停止
→常時の変動の範囲を±0.2Hz(0.4%)以内に収めるよう運用
・ロードカーブ(日負荷曲線)
夏の昼間、冬の夕方(最近は省エネ浸透、太陽光発電の普及で冬の夕方の方がピークが立つケースが -
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内容としては少々物足りないものの、エネルギーにまつわる産業の現状及び将来図を描いた良書である。特に、kWh・kW・ΔkW価値(DER化に伴い、kWとΔkWh価値向上)や託送料金に関するデススパイラル問題、電気自動車の市場参入等は分かりやすくまとめられており、なるほどと感じた。需要家目線では普段気にすることはほとんどないが、日本における電力制度設計は複雑であり、これらの課題に対応すべく柔軟に変更していく必要があるのだろう。
ただし、太陽光や風力発電等の再生可能エネルギーや蓄電池の指数関数的価格破壊が起こりうる、そうなった場合には冒頭のストーリーのように電気代という概念がなくなる、といった記載があ -
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著者の岡本氏は東電PGの役員であり、電気システムの権威である。
ニュースで太陽光発電がじゃぶじゃぶに入っていて、出力抑制されることが多いということをたまーに聞くけれど、それってどうゆうこと?と思った人は本書をオススメしたい。
電気って当たり前に使えるけれど、実は安定して(=高品質な)電気を供給するって非常に難しいことなのです。
ガソリンなんかはタンクに貯めておくことができるけれど、電気は作ったら光の速さで進み、それをちょうど同じ分だけ消費する必要があるのです。
今、スマホの充電を開始したら、どこかの発電所はその分だけ今すぐに発電をさせないといけない。
とは言え、タイムラグってあるよね、 -
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ネタバレ電力ビジネスの今と未来について書いた本。素人にも分かりやすい言葉で書かれている上に、内容がコンパクトにまとまっているので時間をかけずに読むことができた。
原発事故でも感じたが、電気は私たちにとって当たり前にある一方で、電力ビジネスは想像以上に複雑である。電気を使うことイコール本書で言うところのKWh価値を買うと一般的には思われているが、KW価値、ΔKW価値というユニバーサルサービス的なものがあっての電力市場だということはほとんどの人は知らないのではないだろうか。そうでなければこんな無邪気にSDGsとか言っていられないだろう。
現状KW価値、ΔKW価値をKWhに対する料金で賄っているというこ -
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ネタバレ【内容】
エネルギー業界が直面している、あるいは今後直面するであろう変化について「5つのD」というキーワードでまとめられており、それぞれのDに対する問題点やそれに対する筆者の考え(現状の分析や解決策等)が記載されている。
5つのD
1. Depopulation(人口減少)
2. Decarbonization(脱炭素化)
3. Decentralization(分散化)
4. Deregulation (自由化)
5. Digitalization (デジタル化)
【感想】
「5つのD」というキャッチーなフレーズでエネルギー問題が簡潔に述べられており、今後、日本はどのように変 -
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エネルギー問題の専門家達が書いた、2050年時点でのエネルギー産業の未来予測とそこに至るベストシナリオ、ホラーシナリオ。最も印象に残ったのは、良い方のシナリオでいけば、2050年までにはエネルギー(特に電力)は、太陽光等の新エネにより、無尽蔵の供給を得るようになる、というところ。これはブロードバンド時代直前に「これからはジャブジャブ・インターネットになる!」と村井先生を中心として提唱していたあの頃のインターネット業界と重なるものを感じたこと。
ジャブジャブ電力が到来すれば、いまのあらゆる産業や社会は大変革を遂げると思う。機会が莫大に生じる。ベストシナリオだけを信じて今からいろいろ仕掛けたいな