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川柳作家ベストコレクション 井手ゆう子
川柳とは親友であり悪友である。 いつもそばに居てくれ、私のあれこれを知り尽くした顔をして居座る。でも、時々その存在が鬱陶しくなり、離れて息抜きがしたくなる。川柳は素知らぬ顔をして待っている。そしてまた、ああだこうだと揉めながら、濃い時間をたっぷりと一緒に過ごすことになる。 ありがとう。腐れ縁かもね、川柳。(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 東京を代表する川柳作家・井手ゆう子の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「大笑いしよういつかはしぼむから」。 深い傷人に見せたくなる真昼 ヒトだけがまだ続けてる別れ歌 排水口あきらめながら潔く シリウスに尋ねる奴は元気かと レモン腐る孤独死なんか怖くない 感情線爪弾きながら冬ごもり 幼な子はちひろの色で駆けて来る -
川柳作家ベストコレクション 荒川八洲雄
川柳は「元気の素」 川柳を趣味とする元気な後期高齢者の方々を見て、肖りたいと思う。高齢化が急速に進む中、国に依存することなく、自助努力で充実した人生を過ごしていきたい。社会に高くアンテナを張り、柳友と交わり、より良い作品作りに挑戦することは「元気の素」と信じている。(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 愛知を代表する川柳作家・荒川八洲雄の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「天高く白紙で君を抱き締める」。 天高く白紙で君を抱き締める 触れてくださいきっと私を好きになる 志高く東京駅に立つ 悩みごと心の留守が顔に出る 大の字で寝てるやましさ無いらしい 光陰や色香漂うのは瞬時 百冊の本よりプロのアドバイス -
川柳作家ベストコレクション 天根夢草
川柳には「川柳味」がないといけない。そして、 (1)オリジナリティー(独創性・新鮮さ)、 (2)リアリティー(真実性・迫真力・本質)、 (3)シンプリシティー(簡素)、ディグニティー(品位・格調) が必要である。 (柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 大阪を代表する川柳作家・天根夢草の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「おばあさんにまだ惚れているおじいさん」。 病むひとに少し似ている酔芙蓉 テレビジョン両目が均等に疲れ 梅干しのすっぱさにさえ差異がある きっちりと台車の上に乗る柩 焼かれたら終わりもったいない柩 さまよえるお骨上げからもれた骨 焼香の感触残る指の腹 -
川柳作家ベストコレクション 阿部 勲
川柳はウガチである。 常識のメガネを外すと、真実が見える。 それを詠むのが川柳であり、ウガチである。(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 東京を代表する川柳作家・阿部勲の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「ほろ酔いがいい人生の酔い心地」。 改憲のアクセルそっとそっと踏む(アクセル) 記念日をどもって妻に叱られる(あやふや) 五時からの自前の声がよく笑う(息抜き) 息抜きを指にさせないスマホ病( 〃 ) 金の卵割ってしまった愛のムチ(勇み足) 改革のトゲに弱者が狙われる(痛い) 日中へ旗色を消す星条旗(板挟み) -
川柳作家ベストコレクション 熱田熊四郎
(輪廻転生) 八年前から自分の雅号に、四代上の先祖の名前を語ることにした。 このインパクトが強い『熊四郎』の名に恥じないよう川柳道を全うしよう。喜んでもらえたら、自然と私の守護神として見守ってくれると信じている。 先代「熊四郎」は明治25年死去、私は昭和25年に誕生した。 この25年という年号にも(輪廻転生)を感じています。(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 島根を代表する川柳作家・熱田熊四郎の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「柱になれるか試し斬りをされる」。 柱になれるか試し斬りをされる 草臥れたオッサンぐっと缶コーヒー サンバのリズムで不燃物を燃やす 神ってた羚羊の足なでてやる 忘れずに精霊達もバトン持つ ときめいて許容範囲を越えている 毛も毛穴も戦う意志を見せておく -
川柳作家ベストコレクション 浅川静子
川柳は人間を詠む、と言われているので、 いつも好奇心を持って生活することが大切。 たくさん作って、たくさん捨てる。 多くの人の佳句をたくさん読む。(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 福井を代表する川柳作家・浅川静子の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「言える時たくさん言おうありがとう」。 言える時たくさん言おうありがとう 赦しあいきょうをまあるく温かく ふる里は川底にある胸にある 不揃いが店では買えぬ母の餅 落書きを消して机よさようなら 職を辞す背もたれだけの椅子をなで 麻痺の指のばして姑の爪を切る -
川柳作家ベストコレクション 秋山春海
川柳を続けるな 川柳を離れるな 原点を守り 新たな変化を遂げる(柳言より) 短詩型文芸界に燦然と輝く、ベスト・オブ・ベスト川柳! 47都道府県から川柳界を代表する最精鋭の第一線作家による柳言と秀句集、圧巻の川柳作家ベストコレクションシリーズ200。 群馬を代表する川柳作家・秋山春海の渾身の作品群! 本書のサブタイトルになっている作品は著者の代表作「風狂の男一匹野点傘」。 風狂の男一匹野点傘 麓から茶が届かない野点傘 野点傘寅さんの席空けておく 風の海花の小波野点傘 花入れは天下御作の野点傘 源氏名の客で溢れる野点傘 見送りは月登るまで野点傘 -
歌枕の聖地
歌枕として多くの歌に詠みこまれてきた土地のうち、和歌の聖地へと昇格した和歌の浦・玉津島を取り上げ、古代・中世・近世にどのように歌われてきたか、その変遷をとらえる。 -
百人一首に絵はあったか
その成立の先後が問題となってきた『百人一首』と『百人秀歌』の成り立ちを探り、後鳥羽院を深く意識しつつなされた藤原定家の絵とセットの秀歌撰構想を説得的に解き明かす。 -
P+D BOOKS マリリン・モンロー・ノー・リターン
多彩な野坂ワールド!オリジナル編集短編集。 徹底的に現実を拒否し、次々に湧き上がるおぞましき妄想を、世紀の美女・モンローに仮託して謳い上げた作家自身の“私小説”である表題作「マリリン・モンロー・ノー・リターン」。 ほかに老いと介護をテーマとした「死の器」、大学落研の青春を描いた「ああ軟派全落連」、原発建設がもたらす悲劇を描いた「乱離骨灰鬼胎草」、怪奇幻想小説「砂絵呪縛後日怪談」等々、遠国の美女への願望、女たちの執念、反逆的なヒューマニズムや現実逃避をテーマとして、多面性に富んだ作家・野坂昭如ワールドが味わえるP+D BOOKSオリジナル編集版。 -
娯楽としての炎上
現代日本のミステリは、民主主義とネット・ファシズムの狭間で引き裂かれながら、新しい社会のあり方、人間のあり方、倫理のあり方、論理のあり方を模索している。読者の欲望と社会のあり方とが骨絡みになったジャンルであるからこそ、ミステリがそのジャンルそのものによって価値を持つ状況になっている。 本書は現代ミステリからポスト・トゥルース時代を理解し、ポスト・トゥルース時代から現代ミステリを理解する。一挙両得な新たな試みの批評書である。 現実の政治的状況とも共有する問いに既に先駆的に挑み続けてきたジャンルがある。現代日本のミステリである。 「論理」が通じない相手、「嘘」が蔓延し人が操られ疑心暗鬼になる状況、そもそも「真相」が存在しない事件、「事実」が客観的に実在しない世界……などなどを、この十年以上、ミステリは描き続けてきた。「ポスト・トゥルース」という言葉が流行する前から、作家たちは状況を言語化し結晶化してきたし、それに対する対応・対抗の方法も模索してきた。 本書が論じたいのは、それらの作品である。 -
P+D BOOKS 抱擁
妖しい洋館が舞台のロマネスクな人間模様。 大都会・東京の真ん中に静かに佇む洋館に心惹かれた「私」は、得体の知れない不動産屋に誘われるままにその館を訪ねることになる。 そこには幻想的な少女・霧子や近寄りがたい老主が住んでいた。身を固く包んで口さえ開こうとしない霧子に、私の興味は膨らんでいく。 主である霧子の祖父の依頼で、彼女の家庭教師として洋館に同居することになる私……。そこで、この一家の住人たちは数奇な運命に翻弄され始めるのだった。 「ある夕陽」で芥川賞を受賞した日野啓三が幻想的作風で新境地を開き、泉鏡花賞に輝いたロマネスク小説の傑作。 -
伊勢物語 流転と変転
伊勢物語コレクション「鉄心斎文庫」には、海外からの里帰り本など多様な由来の本、物語自体の読まれ方の変遷を示す諸本が集う。本の流転と物語の変転のうちに『伊勢物語』を読む。 -
海を渡った日本書籍
近代以前、ヨーロッパにも日本書籍がもたらされた。誰が、何のために、どんなルートで、どんな本を手に入れたか。海を渡った本の由来を尋ね、知の欲求とその変遷をたどる。 -
P+D BOOKS プレオー8の夜明け
兵士の日常を描いた芥川賞受賞の戦争文学。 第2次大戦後、戦犯容疑でサイゴン刑務所に抑留された日本兵の鬱屈した日々をユーモア交えて描いた第63回芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」。 他に筆者処女作「墓地で」から、晩年の名品「セミの追憶」(第21回川端康成文学賞作品)まで、戦争の記憶をつむぐ短編16作を収録。 戦後すでに70年を超え、戦下の記憶は風化するにまかされる。30年にわたる筆者の貴重な営みを通じ、名もなき兵士たちは、何を考え死んでゆき、生き残った者たちは何を思うのか――今改めてその意味を問いかける、珠玉の“戦争文学短編集”。 -
西部邁 日本人への警告 わが国にとって「保守vs.革新」とは何だったのか
巨星墜つ。 気鋭の論客が読み解く、稀代の大思想家が身を賭して遺したメッセージ。 2008年4月28日に開催された「主権回復五十六周年記念国民集会」で、「こんなザマで主権回復したなどおこがましい」と壇上で絶叫した西部邁氏。会場の空気に水を差すスピーチではあったが、多くの観衆は喝采した。その背景には、対米追従をよしとする現代の保守論壇に対する痛烈な批判と、日本の自立への強い思いが込められていた。その知の巨人・西部邁氏を偲び、気鋭の論客3人が遺された膨大なテキストを通して現代を読み解く。 西部さんの自裁は、晩年にお書きになられていたことを そのまま実行されたという「意志の力」を非常に強く感じた。 知識人の連中たちが、あまりにも安閑とした、 堕落した状態だということを再認識させられた気がする。――西村幸祐 一つひとつの用語や言葉を非常に重要視することが 西部邁という思想家の根幹にあって、それが最後まで一貫していた。 言葉の定義、あるいは論理の厳密さが保守思想の 原点、出発点でもあり、転回点でもあった。――富岡幸一郎 西部さんは、日本という社会が急速に、言論人や政治家だけではなく、 もう回復できないまでに溶解していくような思いがあったのではないか。 大衆社会化という、言葉だけでは語れないような空虚さと退廃。 それが知識人としての悲劇だったのかもしれない。――三浦小太郎 -
川柳句集 ひびき
「土俵に戻る花道はない。でも歩くしかない。生きるしかないのだ。」セカンドライフを送る人すべてに贈る、五七五の人生賛歌。野良猫が水を飲んでいる風景に発想を得て作った川柳を職場の仲間に披露したところ、思いがけず大きな反響があったという著者が退職後、本格的に川柳をライフワークと活動をはじめ生きた証を一冊にまとめた川柳句集。 暮らしの中のちょっとした気づきから社会諷刺、人生観にいたるまでの振り幅の大きい題材を、書名の通り「読者と響き合えるもの、共感できるもの」を意識しつつ、誰にでも分かる易しい言葉をつかい、個性ある視点で十七音で綴っている。また正義感や孫、クラス会、みちのくの旅、野田市に住んで、生き物とともに、という六つのテーマ吟も意欲的。 丸くない男の土俵そっとおり 愛の鞭力加減が難しい 見返りがたまには欲しい時もある 軟弱な地盤に立てた旗印 生きるには泣くか笑うか金が要る 捨てる人いて拾う人誉められる 人様をじっと見ている認知症 少子国九月生まれが少し増え 安心がかけ捨てられた保険料 フランスが日本部下に☆三つ -
本格からHONKAKUへ
日本本格ミステリーの海外発信、新人の発掘・育成に尽力してきた島田荘司がこの10年の本格ミステリー界を振り返り、向こう10年への提言を行う!! 筆者は、「本格」がミステリー小説世界全体の背骨であると考えており、この信念が揺らぐことはないが、[中略]乱歩の「変格」諸作が大ベストセラーとなって列島を覆い、[中略]亜流が氾濫するなどして一斉を風靡しており、かたや「本格」の水脈はといえば、両手ですっかり掬い取れるかと思えるほどにささやかであった。 しかしこれは澄んだ清水であり、この水源なくしては「変格」も干上がってしまうと発案者は危惧した。この構図は、現在でもまったく同じである。「本格」の水脈は今や小川程度には川幅を増したが、ベストセラー・ミステリーの大河とは、較ぶべくもない。それなのに何故「本格」の書き手たちは、大河に引っ越さずにいるのか。 -
P+D BOOKS 黄昏の橋
全共闘世代のバイブルだった高橋和巳の長編。 博物館に勤める青年・時枝正和は機動隊と学生の衝突で、一人の学生が橋から転落する様を偶然目撃する。 煩雑な人間社会から逃れるように古美術世界に沈潜していた時枝だったが、この出来事により、閉ざしてきた外界に対する怒りと悲しみが再び覚醒する。事故死と報道された学生の死――だが、時枝は死んだ学生のガールフレンドに会い、事件の深層に迫ろうとするのだった。 全共闘世代に多大な影響を与え、早世した作家・高橋和巳が、その晩年、理想と現実に引き裂かれる内面の荒野を描き、未完のまま絶筆した長編小説の復刻。 -
清水幾太郎さんへの手紙
進歩的文化人として60年安保闘争の指導者であり、その運動を大きく先導する論陣を張り、時には言論活動を超えた闘争の先頭に立って安保反対のリーダーとして活動した社会学者である清水幾太郎。その清水に劇作家の三好十郎が公開質問状の形で1953年『群像』に発表したのが本書である。絶対的な平和なのか反米としての平和なのか、と清水幾太郎およびその向こう側にある平和運動の欺瞞を問うている。 その後、安保闘争を敗北と捉えた清水幾太郎はマルクス主義を批判的に総括し、その立場を「右旋回」させ、のちに核武装による軍事力強化を含んだ戦後批判を唱えるのであった。 -
川柳にんげんのうた
「川柳をつくる人も、見て楽しんでくれる人々にも、日常生活の中に普段着の文芸」として息づくことを願い、また「佐渡産川柳の増産と川柳の地産地消から生まれる文化豊かな環境づくり」を目標に掲げ、新潟・佐渡島を拠点に全国を舞台に川柳普及に努め、活躍中の著者。川柳は「にんげんのうた」であり、尽きることのない人間讃歌であることを、読者は本書を通じて理解することができる。 良質な笑いを醸し出す風の章「ユーモアはビタミン」、妻への惜しみない感謝と愛情を表す花の章「愛燦々」、著者の人生観に迫る海の章「いのちの祭り」、佐渡讃歌の夢の章「朱鷺よ舞え」の4章構成。 通知表親に似てきて叱られる 手拍子をください一句できそうだ 一行を使うほどでも無い利息 盗塁のサイン妻から来たメール 平成を昭和のダシで煮ています 日に一度酒に胃腸を診てもらう にんげんの味見ただいま握手中 誕生日加齢お見舞い申し上げ 生きるとは祭りだ飯が炊き上がる 少年の朝を起こしにくる未来 -
川柳句集 筆の向くまま気の向くまま
ほのぼのして、ほんわかして、クスッと笑えて、ちょっぴりワサビも効いた、芯から心が温まる人情川柳。「そうそう」「あるある」と読者が思わず膝をポンと打つような、日常どこにでも転がっている句材でありながら、卓越した観察眼と的確な表現力に、著者の人情味がプラスされたとびきり上質なユーモア川柳に仕上げられている。本書が著者の必需品である小さなノートとたった一本の鉛筆から生み出されていることを考えると、川柳の可能性は無限に広がっているという大きな期待をかけたくなる魅力を有している。 第1章「女房と私」、第2章「定年後」、第3章「スマイル」の3章構成。 ゴマをする相手は女房だけになり 父の日はブブゼラの音にかき消され 泥酔の一部始終を見てる猫 鬼の面必要ないと妻に言う 一日がこんなに長い定年後 おもてなし受ける理由がわからない 白よりもグレーが似合うお金持ち 上記した猫が出てくる掘ごたつ 鏡見て口角上げる誕生日 おさらいをしないどうしがへぼ将棋 -
川柳句集 雨男晴男
人生は晴れのち雨、雨のち晴れを信条とし、どんな時にも前を向く天晴流川柳。パティシエを天職として20数年、オーナーシェフとしても忙しい毎日をおくる著者。 第1章はまさに仕事人としての著者を詠んだ「ケーキ作りの半世紀」。繁忙期のせわしない作業室の様子、真心を込めてつくったケーキの甘い香りや味、驚きの職人技が手に取るように伝わってくる。第2章は「一人称」で、言葉の通り自分自身を掘り下げて、時に自虐的ともとれる句、愛する家族との絆などが盛り込まれている。第3章「天晴流川柳」は客観に重きを置き、社会性やユーモア性のある著者の持ち味が存分に活かされている。第4章は愛娘への普遍の愛情がリアルに描かれている。 妻の留守わたしは女装などしない 南こうせつに似たおばさんを知っている 歯を磨くようにケーキを作ってる 仕事以外ほとんどずぼらです私 目を瞑ってもできるケーキはおよそ百 還暦にもう何度目の反抗期 学歴を恥じる心を恥じている 横にしよ縦に歩いた道だから 一身上の都合で消した影法師 自慢ですちょっぴり私似の娘 -
桜の森の満開の下
昔、鈴鹿峠に山賊がおり、旅人を襲っては金品を奪い、気に入った女がいればすべて自分の妻とした。我が物顔で山を支配する山賊だったが、桜が生い茂る森だけは忌み嫌っていたのだった。そんなある日、旅人を襲い一緒にいた美女を妻として迎えた。その女は山賊に対して物怖じせず、今抱えているすべての妻を殺せ、など様々な命令をするなかで、女は山を降りて都に住みたいと言う。山賊はそれに従いふたりは都に移り住むのだが、女は山賊が殺した生首を並べたり、目玉をくり抜いたりする遊びに興じるのだった。さらに新しい首を要求する女に山賊は参ってしまい、山へ帰ることを決めるのだが……――。 -
川柳句集 斜光線
「川柳はウガチである」という主張のもと、数々の川柳句会・大会で優勝、上位の常連として名を連ねる達吟家の待望の川柳句集。 「題をどのように消化するか、題との距離をどう測るか。句会の句は題と格闘したり遊んだりして作る句であり、その面白さは題を省いてはわからない」と語る著者は、雑詠(自由吟)よりも軽く扱われがちな句会吟の復権を本句集で果たしたいと宣言。 川柳研究社幹事、東都川柳長屋連店子、NHK学園川柳講座講師などで活躍中。 第1章は雑詠、第2章は「句会吟・いろはかるた」と称して課題別に句会吟を掲載。さらに巻末に課題索引を掲載する著者らしい構成に注目が集まる。 「言葉のセンス」と「ダンディズム」が堪能でき、課題吟の作り方のお手本句集として必携の書。 スーパーの籠に男が磨かれる ナマズからアポが取れない地震学 青い鳥みたいな顔で妻が居る アメリカの庭に咲いてる日章旗 次世代に白紙委任をして寝よう ハコモノが役所の前科まで喋り 妻の皿僕がほどよく煮えている 出会い系怖いマッチがおいてある 人事部のパソコン僕を出庫する 山頭火後ろ姿がステキです -
川柳作家全集 普川素床
短詩型文芸の世界を縦横無尽に飛び回り、現代川柳界が誇る智者による、川柳誌および柳俳交流誌に発表したノーボーダーな句集。 40年以上にわたり、川柳作家としてはもちろん、多数の評論、論文、鑑賞文を発表する評論家として常に第一線で活躍しながら、川柳の未来を誰よりも思考し、新しいものを受け入れる包容力を持つ著者。 第1章「ZからZへ」、第2章「健・祐・一・青のY」、第3章「三・冨・慎・美のX」、第4章「百白集―百人の感想集―」。 難解な言葉は使わず、冒険を恐れず、それでいて読者を不思議な共感へといざなう唯一無二の世界観に定評がある。第4章は「川柳作家全集 普川素床」を読んだ100名の感想集をまとめたもの。 これは頭ではありません私の帽子です 鼻の奥に灯りが見える春は眠い 一日をむすんでひらく酔いながら 影をクリーニングに出しぼんやり煙草 あとがきの死体をオキシフルで拭うv 抜いて差す釘一日はやわらかい 似ているとどうして笑っちゃうのかな めしを食う 影も遅れてめしを食う うしろまえなんだよきみのやさしさは 墓地いっぱいのこの人間の明るさは -
川柳句集 風の中
生駒番傘川柳会、番傘川柳本社、川柳瓦版の会、奈良新聞ニュース川柳選者等で活躍しながら2017年に急逝した萩原三四郎氏の遺句集。川柳作家として活躍しながら後進の指導や育成にも多大な貢献をした。また、川柳の本質に迫ろうと過去の有名作家の作品を論評し、盛んに仲間と積極的に川柳論を交わすなど常に向学心に燃えていた。著者が残した3千余句からご家族の手により選出された3章構成の作品群には、風の中に人の心が見え隠れするように、人生の機微や氏の人生観を垣間見ることができる。序文は長年の柳友である笹倉良一氏、書と画は夫人の萩原久美子氏が担当。 しがらみをすてて原野の風の中 埋火とふたりになれる冬の海 一筋に生きて乱世の木偶の坊 大過無しこれも勲章だと思う 駅裏を歩いて街の風にあう 野が消えて子守が消えて詩が消え 狂わずに生きて狂いに憧れる 危機管理こんな物です机上論 リストラで出した黒字は誇れまい 想定外使い勝手のいい言葉 -
風が吹いたら時事川柳
時事川柳専門結社「川柳瓦版の会」同人となってまもなく20年を迎える著者による、時事川柳を中心にテーマ別に分けて収録した一書。著者は時事川柳の魅力を、日々のニュースに加えて、日常の生活において、ちょっとした感動や面白さを詠む、あるいは個人的な心の変化や思いを「人間の社会の今」として17音にまとめることにあると語る。時事川柳のネタは世界中に、たとえニュース性がなくても日常にいくらでも転がっており、「風が吹いただけでも時事川柳は生まれる」とも。著者の感性で掴み取られた時事川柳の幅広い作品群を堪能できる。「一、歳時記の時事川柳」「二、定番の時事川柳」「三、番外の川柳」の3章立て。 新年のたった二文字でリフレッシュ 花マルがたくさん欲しいカレンダー 不景気も地震も火事も秘書のせい 色々な指紋の付いている談話 総選挙祭り好きにはたまらない イチローも打てぬ日がありほっとする タイガースファンを見るのが面白い やせた運ばかり集まるハローワーク ボーナスで笑った師走あったっけ あのドアホどこ行ってんと寂しそう -
川柳句集 杏
「私にとっての川柳は、人間にとって大切な水のように必然であった文芸なのかと思えてきた」。川柳一族の一人として、川柳作家になるべき宿命を負ってこの世に生を受けた著者。16歳で作句活動をはじめ、学生生活、就職、結婚・・・とめまぐるしく変わる人生のステージで一時は川柳に遠ざかった時もあった。紆余曲折を経て、運命に導かれるように50代で再び川柳と巡り合ってからは、為すべき「業」を悟り、人間の裏の裏まで詠み尽くさんと赤き情熱を燃やす。「第一章 すりりんご」「第二章 走馬燈」「第三章 飛行機雲」「第四章 凪」の4章構成。 風邪で寝た時だけ貰うすりりんご 私の心緑に負けている 自分の目信じ自分の耳信じ いつまでも笑うモナリザの不気味 どん底を知った体が動じない 人生の苦労はいつか凪になり ライバルに慰められてムッとする 躓いた石を次には蹴り返し コート脱ぐ陽気疑わないで春 春という不思議に人は惑わされ -
川柳句集 ジンジャーエールの味
時代の風をつかむ確かな眼力、読者の胸奥に迫りくるアイロニー。時事川柳を愛し、一般川柳も愛する著者は「川柳さろんGunma」世話人として活躍中。「第一章 宛名書き」「第二章 追われる如く追う如く」「第三章 現代民話集」の3章構成。川柳というフィルターを通して、人間や社会の美しさから醜さまでを著者が暴き出す。ドキリとさせる痛烈な諷刺が小気味よい。シュワシュワと清廉な泡を吐きながら、甘くそして時折ピリリと効かせる、ジンジャーエールのように誰からも永く愛される好著として輝きを放つ。 団塊が団塊のまま老いてゆく 宛名書き様の字だけがうまくなり 君の愚痴ジンジャーエールの味がする 定年の胸にも滾るものがある カタカナ語その説明もカタカナ語 リストラは完璧だった社も消えた 休耕地いきなり街が生えてくる 折り鶴も羽ばたくでしょう平和なら 倒れても微笑の消えぬ野の仏 笑いとは何かと問えば笑えない -
句集 戯画絵巻
川柳、自由律俳句、俳句が1冊になった短詩句集。自由律俳人・塩谷鵜平の俳句誌「俳藪」に参加していた兄の影響で、高校1年生から俳人として活動していた著者は後に川柳と出合い、やがて川柳に専念。現在、岐阜新聞「文芸川柳」選者、美濃加茂市文芸祭・川柳の部選者、羽島市文芸祭・川柳の部選者、城西川柳会会長などで活躍中。人間観察を怠らず、常に社会へ向ける目を磨き、生涯を通して尽きぬ著者の情熱と創作心が本書に込められている。「第一章 戯画絵巻」「第二章 世俗連歌」「第三章 自由詩歌」「第四章 セピア彩歌」の4章構成。 まだ戯画を描き続けるまつりごと 履歴書の山へそれでも置いてくる リストラと交換された花の束 二人だけなのに貴方は意気地なし 悪人にされた渋柿吊るされる この俺を要らぬと書いてある福祉 信仰の仮面がずれたとき地獄 いつの世も小言ばかりが降り積もる 楕円のしゃぼん玉また苛めがはじまる 冬木混む進学の意志すでになし