矢崎存美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
アミの会(仮)のアンソロジー。書き下ろしが毎度のことながら嬉しい。
11人の11の話。きっとお好みがあるはず。
私のおすすめは、「猫への遺言」「十年日記」「青い封筒」。
「猫への遺言」は、亡くなった夫からの手紙。
知りたくなかった秘密が明かされて、胸が痛む。
それは妻の側からの痛みだが、一方で夫の心も少しわかる気がする。
夫の方の胸の痛みは、甘やかな痛みと、突き刺さるような痛みの2種類。
生きていれば、そういうこともあろうか、と思ってしまう。
最後に伝えられる愛の言葉は、明かされた秘密への悲しみを癒してくれるだろうか。
それとも、それはそれ、なのだろうか。
わたしは、それも含めて、やっぱり夫を愛している、という意味だと思いたい。
「十年日記」は、最後にひっくり返されて嬉しい驚きだった。
これは文章だからこそ、だなぁ…
そして、無くした指輪が収まるべきところへ収まったのは、実に胸熱。
初っ端からいきなり日記が途切れるのでどうなることかと思ったが、綺麗な着地で、こんな文が書いてみたい、そんな野望がむくむく。
「青い封筒」は、亭主関白な父親と、思春期真っ只中の息子と。
夕飯を食べていくのに睨め付ける流ような目で見る息子の友達。
これ、嫌な方向にいかないといいなぁ…とドキドキしていたが、涙あふれる展開。
あんまりにも感動して、寝ている子供を抱きしめたり撫でたりしていた。
嫌なこともいっぱいあるけれど、子供って良いなぁ、いい子に育っていてくれているなぁ、世界で一番可愛いなぁと胸がいっぱいになった早朝のこと。 -
Posted by ブクログ
目次
・寝落ちの神様
・ぶたにくざんまい
・助けに来てくれた人
・ぶたぶたのお弁当
・相席の思い出
・さいかいの日
・日曜日の朝
いつも料理を作って、周りの人を幸せにしてきたぶたぶたさんが、今回はお弁当を作ってもらう側。
『ぶたぶたのお弁当』で、その秘密が一応明かされるのだけど、作った方の視点からもう一度語られる『日曜日の朝』がとても良い。
どれもコロナ禍の日常を描いているのだけれど、私は外出自粛で行きたいところに行けないのは残念だったけれど、それほど辛いとか追いつめられたりはしなかったので、世間の人たちはこんなに大変だったんだ…と改めて思った。 -
Posted by ブクログ
フォローしている方のレビューで最近存在を知ったぶたぶたシリーズ。山崎ぶたぶたなる人物が活躍する三十作以上続く人気シリーズらしいのだが、「まずは第一作にあたるこれを読みさえすればあとはまあ適当に」という旨のネット情報に従って第一作を読んでみた。
山崎ぶたぶた氏がどういう存在なのかは、第一作を読み終えてもさっぱりわからないのだが、一つだけ確かなのは、“彼”がピンクのぶたのぬいぐるみであるということだ(どうも中年男性であることも確からしい)。バレーボールくらいの大きさで、黒いビーズの目で、片耳がそっくりかえっていて、とても可愛い、ぬいぐるみ。このぶたぶたさんが、あるときはタクシーの運転手として、あるときはフレンチレストランのシェフとして、といった形で、現代日本で普通に暮らす誰かの人生に突然登場しては、驚きと戸惑いと混乱と、何か温かいものを残して去っていく…というような不条理ハートウォーミング短編集?だった。ぶたぶた登場シーンは毎度毎度笑えるのだが、話によってはけっこう重たいテーマのものもあり、またラスト一話はここまで読んできたご褒美のような最高の一話で、まずは第一作を読むべしという言葉にひとまず納得。これからの私の人生にはぶたぶた続編たちを読む楽しみがあると思うと、自然と笑みがこぼれる(このあとどうなるかは知らないけど…)。
なお我が家では、私が二、三話ほど読んだところで「これはアリなんじゃないか」と思い小三の娘も誘ってまた初めから読み聞かせたところ思惑通りどハマりし(ケラケラ笑う、可愛い〜と悶えるなど)、小三男子が主人公となるお話のラストでは娘大号泣(このあたりで夫が「俺も追いつきたい」と電子書籍を購入)、続く重めの二話では読んでいる私の方がソワソワし、最終話は嬉しい仕掛けに気づくたびに大盛り上がりと、親子でなかなかスリリングな読書体験ができた。ありがとうございます。 -
Posted by ブクログ
目次
・悪魔の叫び声
・置き去りの子供
・レモンパイの夏
・ぬいぐるみのお医者さん
・女の子の世界
『名探偵ぶたぶた』というタイトルから、殺人事件を解決したり、尾行したり潜入捜査をしたりする探偵かと思ったら違いました。
通常のぶたぶたさんの存在が、名探偵ということ。
確かに悩みの本質を見極める目は、名探偵かもしれません。
どの話も、以前ぶたぶたさんのシリーズに出て来た場所がその舞台。
文壇カフェ、ホテル、海の家、病院、学校。
けれど、ぶたぶたさんに背中を押してもらうというのを基本設定にしてしまったので、どの登場人物たちもうじうじ悩みがち。
もう少し自分の力で一歩踏み出す努力をしたり、誰かに相談したりできないものか。
あんまりぶたぶたさんに頼り過ぎやろ。
特に『ぬいぐるみのお医者さん』に出てくる、孫を預かったおじいさんはひどい。
大切なぬいぐるみがなくなって落ち込んでいる孫を見ながら、自分の犬がぬいぐるみをぼろぼろにしたことを隠しつづける。
最初おじいさんは認知症なのかと思ってしまったよ。
こっそり修繕したり新しいのを買おうと努力してるんだけど、まず「ごめんね」でしょう。
孫に泣かれようが恨まれようが、やってしまったことは取り返しがつかないのだから。
自分の落ち度を隠蔽するのに必死で、5歳の孫がぬいぐるみを探しに家を出ていったことにも気づかないんだから、さいてー。
『悪魔の叫び声』は面白かった。
そうか、今の人はあの音をそういうふうにとらえるのか。
我が家にはまだあるんですけど。
数年に一度使われることがないわけでもないけれど、ほぼ無用の長物と化しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・ワケアリの家
・自分のことは
・行かなかった道
・優しくされたい
・るーちゃん
ぶたぶたさんは料理が上手だから、そうなってしまうのかもしれないけれど、シェアハウスって、共同の台所を使ってそれぞれ自分の食事は自分で作るものだと思っていたので、シェアハウスで食事付きっていうのに少し引いた。
これでは賄い付きの下宿じゃないの?
ただ、母親にがんじがらめに管理され、何も自分でしたことがなかった実里が住むには最適かもしれない。
「依存先を分散させるのが本当の自立だ」
言わんとすることはわかるが、依存先っていうのはどうだろう。
せめて「いざという時の支えをいくつも持っているのが本当の自立だ」くらいにしては?
あと、男女を問わず、自分のことは自分でできるようになろうね。
じゃないと人を助けることもできやしない。
会社人間であることは言い訳にならんのよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・アフタヌーンティーは庭園で
・知らないケーキ
・幸せでいてほしい
・カラスとキャロットケーキ
・心からの
紅茶は好きですが甘いものをあまり食べられない。
お洒落な場所が苦手。
というわけで、アフタヌーンティーというものを体験したことはありません。
だから基本的なルールをこの本で知ることができてよかったです。
そのうえで、「好きなように召し上がってください」と言ってくれるぶたぶたさんがありがたい。
本当はサンドイッチから食べて、スコーン、スイーツと食べていくものだそうだけど、「ぶたぶたさんなら、どう召し上がるんですか?」って聞かれ、すべてを味見(半分食べる)して、どれで締めるか決めるって答えるぶたぶたさん。
是非、ご一緒させていただきたい。
キュウリのサンドイッチで締めたいなあ。
「幸せでいてほしい」
勉強もスポーツも芸術関係も難なくこなし、しかも美貌の姉の好美。
なんでも簡単に手に入るので、何に対しても執着心がない。
というよりも拠り所がない。
ところがぶたぶたさんに出会って、姉の様子がおかしい。
明らかに挙動不審。
もしかして、恋?
いやいや、恋じゃなくたってこういう思いはありますよ。
ただ相手が笑っていてくれたら、幸せでいてくれたらそれでいい。
もちろん健康であってくれなくてはダメだ。
私はいつも、髙木くんのこと、そう思っていますよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・書店まわりの日
・グルメライター志願
・長い夢
・文壇カフェへようこそ
・流されて
5作の短編が収録されているが、特に気になったのは『文壇カフェへようこそ』。
文壇カフェという設定もそそられるが、そこで展開されるのは上司との関係に悩む編集者の話。
もしかしてパワハラを受けているのだろうか、それともこのくらい普通のことなのだろうか。
ひとりで悩むから、考えがグルグルして答えが見つからない。
そんな人たちに、ゆっくり心を休める時間とちょっとした人脈をもたらす場所。
それがぶたぶたさんの経営する『文壇カフェ』。
悩みってひとりで抱えているうちはなかなか解決しない。
忙しそうな先輩に相談することもできず、愚痴を友達に言うほどの割り切りもできず、ひとり悶々としてる人、きっといると思う。
まあ、ぶたぶたさんのカフェなんてそんじょそこらにはないので、あきらめて友達に愚痴を言うとか、職場に仲間を作るとかすればいいよと言ってあげたい。
結局この話の語り手は、マウンティング上司に心をつぶされる前に会社を辞めて、ぶたぶたさんの知り合いのいる出版社に転職するのだけど。
みんながみんな成功できるわけじゃないからね。
もう一つ『流されて』。
若いときは親にすべてを決められて、自由になるために結婚したら、嫁ぎ先にも自由を与えられず、家族の求めるままに求められる存在でいたら、跡継ぎを生まないという理由で追い出された50代女性の話。
今時50代でここまで家に縛り付けられる人も少ないかもしれないけれど、少なくとも彼女の実家は私の実家と似てるなあと思いながら読んだ。
「自分のために生きる」
私が定年延長を望まず、すっぱり仕事を辞めようと思うのは、自分の時間がとても大切だから。
お金よりも。
もちろん家族のことを無視するわけではなく、自分のペースで生きたいな、と。
それでも今まで流されてきた分を取り返す!という気負いは次の台詞で消えた。
「流されるのがダメなんじゃなくて、その流れを信頼できるかどうかが大切」
流されながらも、結婚後の人生は自分の選択の結果であると思っている。
だからこの話の語り手にも、思うままに自分を生きてほしいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・春の女子会〈春〉
・サプライズの森〈夏〉
・二人でディナーを〈秋〉
・ヒッチハイクの夜〈冬〉
・野菜嫌いのためのサラダ〈春〉
『二人でディナーを』に少しやばい人が出て来たくらいで、他は大人女子の友情や夫婦のありかた、好き嫌いの克服と、比較的地味だけど良い話が多かった。
特に『春の女子会』は、学生時代の友だち4人が、家族に子どもを預けて、一泊二日のお泊り会。
学生時代と違うのは、ちょっとおしゃれしていつもよりワンランク上の食事を楽しむ、オーベルジュに泊まるというところ。
だけど、みんなで相談してそれぞれ違う物を頼み、みんなで少しずつシェアして食べるって、あるあるだよね。
お酒も進めば学生時代にすぐに戻っていける。
でも、一晩寝て起きれば、またいつもどおりの顔をして家族のところに帰っていくのだ。
わかるわ~。
『ヒッチハイクの夜』は、奥さんが「あなたはなにもわかっていない」と言いおいて出て行ってしまったのを、人気オーベルジュで仲直りしようと画策する夫の話。
結局妻はオーベルジュに来ることはなかったが、ヒッチハイクで拾ったフランス人とオーベルジュに泊まることにし、そこでぶたぶたさんに夫婦円満の秘訣を聞く。
「あ、大したことはないのです。夫婦に限らずですけれど、『相手と自分はまったく違う人間なんだ』といつも意識しているって申し上げました」
これ、本当に大事だよなあ。
自分の常識が相手にどう受け取られているか、相手の大切な事柄をとるに足りないことと切り捨ててはいないか。
悪気なく相手を踏みつけている可能性があることを、もっと意識しなくては、と思う。
『野菜嫌いのためのサラダ』は、あまり深刻にならなくていいと思うのね。
子どもの頃の好き嫌いは、大人になると直っていることがある。
それは、大人になるにつれて感覚が鈍くなるからなんだって。
だからクセの強い野菜も、いつの間にか平気になる。
まあ、光輝は野菜農家の息子で、家族の中で自分だけが野菜嫌いなのが辛いのだろうけど。
「絶対食べられない!無理!」というわけではないのだから、そのうち食べられるようになると思って、少しずつ食べられる野菜を増やしていけばいいんだと思う。
そういった意味で、ぶたぶたさんのやり方は正しい。
ひよこ豆から始めて、範囲を広げていけばいいんじゃないかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・海の家うみねこ
・きっと、ぬいぐるみのせい
・こぶたの家
・思い出のない夏
・合コン前夜
子どもの頃、親に海水浴に連れて行ってもらったことは何度かある。
若かりし頃、友だちと海水浴に行ったこともある。
結婚して、子どもを連れて海水浴に行ったこともある。
だけど、びっくりするぐらい海の家の記憶が、ない。
思い出がないのではない。
海の家に行った記憶がなかったのだ。
海の家ってそんなに当たり前に行くべきものなの?
だから、よく海の家だけで一冊書けたな、という純粋な驚き。
ぶたぶたさんの海の家のモデルとなった、もともとの海の家うみねこのオーナー夫妻。
貧乏で苦労したのかもしれない、子どもに苦労をさせたくなかったのかもしれない、運がむいてきたからと言ってのんびり過ごすことができなかったのかもしれない。
それでも。
子どもをほったらかしにしていいわけがない。
近所の家を渡り歩いて食事やお風呂の世話になるって、ありえない。
人の面倒見が良くてみんなに慕われていたっていう、ちょっといい話にしてるけど、子どもに対しては絶対にダメな親。(思い出のない夏)
「こぶたの家」の親も、子どもの面倒を見ているいい親なんだろうけれど、子どもの気持ちが見えていないところが不安。
どうして事前に子どもの気持ちを聞かないのか?
それは「きっと、ぬいぐるみのせい」の彼にも言える。
一度ぬいぐるみをプレゼントして喜ばれたからと言って、その後彼女の気持ちを考えることもなく何かというとぬいぐるみをプレゼントするっていうのは、彼女の気持ちをに対して思考停止してるってことだよね。
なぜちゃんと考えないの?
わからないなら聞かないの?
ぶたぶたさんに説明されてもピンときてなかったようなので、今後もちょっと期待できないなあ。
ぶたぶたさんの海の家は、かき氷をウリにしているけれど、この作品を書かれたときにたくさんできたかき氷の専門店は、今どのくらい残っているのだろう。
ぶたぶたさんのお店は大丈夫だろうか。
他の料理も美味しいみたいだから、大丈夫だといいのだけれど、流行りものに乗っかるっていうのはリスクも大きいから心配だわ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・居酒屋やまざき
・忘れたい夜
・悩み事の聞き方
・珊瑚色の思い出
・僕の友だち
ぶたぶたさんが、居酒屋、バー、おでん屋、ワインバー、本のバーなど、お酒に関係するいろんなお店で働いている。
どの店でもぶたぶたさんの作る料理や選んだお酒が美味しそうだけど、居酒屋とおでん屋は本当に行ってみたいなあ。
それとは別に、ミステリ好きの人たちが曜日ごとにテーマを決め、曜日ごとにマスターをやるという、本のバーは面白そう。
ミステリについて熱く語らっているお客さんたちの話を聞いているだけでも、楽しそうである。
話を聞くということでは、おでん屋さんのぶたぶたさん、お客さんの悩みは聞くけれど、解決はしないというスタンスはわかる。
結局納得のいく解決策は自分の中からしか出てこないものだから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあの日の味は(☆☆)
京都で再会する女友達三人。青春の楽しかった事、辛かった事の日々を思い出して…
これを読むには未だ早かった。一話目でこれで読むのを止めようかと思った。
幸福のレシピ(☆☆☆)
パティシエの夫が東京で働くのを機に離れた神戸に訪れた琴子が思いがけず出会う新しいお店と思い出のお店を巡る
心がほっこりする話。
下戸の街・赤羽(☆☆☆☆)
何もかもに見切りをつけて実家に帰った美琴と幼馴染の梨亜が赤羽のスイーツ巡りをして元気を少しずつ取り戻す
ふたりが巡ったお店を思わず探してしまった。こんな小旅行も楽しくていいな
旅の始まりの天ぷらそば(☆☆)
コミュニティラジオのパーソナリティ真尋と頭脳明晰、容姿端麗な局長との天ぷらそばの会話
話のさわりにしか感じない内容。元の話がどこかにあるのか??
ゲストハウス(☆☆)
一人で何でもできると皮肉られる男が元生家のゲストハウスに娘と会うために訪れる
男が仕事も家事も何でもできると女への当てつけになるという時代の家族の話
からくり時計のある町で(☆☆☆)
仲違いした親友とかつて訪れたドイツの地を当時を思い出しながら巡る旅
海外旅行いいな
横浜アラモード(☆☆☆☆)
コロナ禍で職を失い実家の高知に帰ってきた明穂が母の友人の義母の横浜旅行の付き添いをする
婆ちゃんともっと旅行したかったな -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・ボディガード
・ロージー
・いばら屋敷
・チョコレートの花束
・BLUE ROSE
今回のぶたぶたさんは、ボディガードだったりお花屋さんだったりショコラティだったり…まあ、いろいろな職業についている。
お花屋さんなんて水仕事なのに、ぶたぶたさんたらちゃんとできてる。(あたりまえだけど)
ただ、事件そのものがストーカーとか、育児放棄とか、ちょっとしんどいものがあって、ぶたぶたさんに求めているのはそういうのじゃないんだよなあ。
ぶたぶたさんに八つ当たりで誘拐した挙句、ギャンブルで憂さ晴らしというのもいただけない。
というわけで、お気に入りは『ロージー』『チョコレートの花束』。