矢崎存美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私の大好きな「ぶたぶたシリーズ」最新作です。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
大学生の由美子は、クリスマスだというのに体調不良。おまけに、元彼がバイト先に来ちゃったりして、ますますツラくなり…。早退けさせてもらった帰り道、バレーボールくらいの大きさをしたピンク色のぶたのぬいぐるみが歩いているところに遭遇した。これは幻覚?それとも聖なる夜が見せた奇跡?山崎ぶたぶたと出会った人たちが体験する特別な夜を描くハート・ウォーミング・ノベル。
「ぶたぶたシリーズ」の主人公は"ぬいぐるみの山崎ぶたぶたさん"。ピンク色のぶたのぬいぐるみなのに動くだけではなくて、歩いて、しゃべって、仕事をしていて、料理が上手な優しい中年男性。
綺麗な奥さんと可愛い娘さん二人とで生活していますが、奥さんと娘さんはぬいぐるみではなく普通の人間。
そんな"ぶたぶたさん"と知り合った人々は、心に抱えていた悩みや悲しみが徐々に薄れていき、ぶたぶたさんと知り合ったことで幸せになっていくというストーリー展開がシリーズの中では一貫しています。
ぬいぐるみが生きているという設定自体が奇抜なのですが、どうしてそうなったかということについては一切触れられていなくて、「ぶたぶたさんは、ぶたぶたさんだから」というキッパリとした割り切りが良いなと思います。
今回の物語ではクリスマスイブを中心とした短編が綴られていて、どの話も辛かったり哀しい想いをしている人が、ぶたぶたさんと出会うことで心が安らいで行くという展開となっています。
サンタクロースの格好で色々な場所に出没するぶたぶたさん。それを目撃することで傷ついた心が癒されて行く短編の主人公達。思いがけずぶたぶたさんと話す機会が出来たことで、自分の悩みと向き合うことが出来るようになる主人公達。
物語を読み進めて行くうちに、心の中の悩みを解決出来るのは自分自身なんだなということに気づかれます。また、ぶたぶたさんの行動を通じて、他人に対してこういう形で関わって行けると素敵だなということにも気づかされます。
巻末には文庫本のために書き下ろされた物語も添えられていますが、矢崎ありみさんは星新一ショートショートコンテストで優秀賞を獲られただけあって、短編がとてもお上手でグイグイ引き込まれてしまいます。
クリスマス時期を控えてとても素敵な一冊に出会いました。皆さんもぜひ。 -
Posted by ブクログ
すっごく噴き出しちゃうシーンと、すっごく泣きたくなるシーンがこれだけ同居してる小説ってなかなか無いです。
私は一人っ子で、兄弟も姉妹もいないから、正確には分からないけど、すれ違う家族が互いの境界線を二度と越えることなく、命を終えてしまうことがどれだけ悲しいことなのかは、身近に見ているので、少しは知っています。
どうしようもない絶望と、ぽっかり空いた心の穴。埋めるために、その人はとても頑張ってました。私も少しは支えたつもり。沢山話をして。
でも、やっぱりその穴を埋めたのは、同じ思いをした家族でした。境界線を越えられた、生き残った二人でした。
そんな二人をつぶさに見てきたので、この本の2話目では、その時のことを沢山思い出しました。
こんな思いはしたくないから…私は家族をこれからも大事にしようと思います。矢崎さんもそう思って書いたのだと思います。
それから、最後のお母さんと美帆ちゃんの話。もうあの手紙には、本気で泣きそうになりました。
子供がとても欲しいのだけど、一身上の都合により、今は子供が持てない私。
母親って、父親より多分もっと複雑で葛藤が多いのかもしれないと最近思うんですよ。
だって、自分の身体からぽこりと派生したのが、子だからね。自分の一部のように思って、所有しているかのように扱ってしまったり、自分とあまりに違っていて戸惑って、ほんとに自分の子供かと思ったりすることって、きっとある。
そして、そんな疲れてる自分に、ハッと気づいて、ショックを受けて、一人で悩んでるお母さんってきっといっぱいいるんでしょうね。
昔みたいに、地域でみんなで子供を育てる、という環境があるといいんですけどね。今は個々で閉じこもってる社会ばかりで、お母さんは孤立しがちです。
でも、この本で語られてるように、お母さんというのは、子供の年の数くらいしか、お母さんとしての経験値は積んでないんですよ。ここで言うなら7年ですか。
手探りなのは当たり前ですよね。なかなか子供が分からないってのも、当然だと思う。子供はうまく気持ちを相手に伝えられるだけの言葉を持ってなかったりするし、自分の身体から出てきたといっても、全く別の存在なのですから。
悩み苦しんでるお母さんたちに、読んで欲しい話でした。悩んでるのは、あなただけではないと言ってくれているような。優しい1冊です。自分が母親になったら、必ず読み返したいなと思いました。 -
Posted by ブクログ
身の丈に合わない本を読んで、自分の不甲斐なさにへこんだ時は
迷わずぶたぶたさん!
今回は、ちょっと短めの11のお話。
いろんなぶたぶたさんに出会えて、ホクホクです♪
おお!ぶたぶたさんが「お帰りなさいませ、お嬢様」なんて言ってくれるのなら
年齢も顧みず、お洒落して執事喫茶デビュー☆を果たし、
ちょっと恥ずかしいけど、しっかりお手洗いに行って
身長の半分くらいあるおしぼりを捧げ持ったぶたぶたさんにお世話してもらうぞー!
ベテラン刑事になったぶたぶたさんに説得してもらえるなら
世を儚んでビルの屋上(でも低めのビルにしておこう。。。)から
身を投げるふりくらいしちゃうかも♪
ぶたぶたさんに引っ越しの荷造りをしてもらったあげく、
荷物に混入(?!)したぶたぶたさんが、引っ越し先で段ボール箱から
モコモコ可愛く出てきてくれるなら、引っ越します!今すぐ!
ぶたぶたさんのキャラ弁!自分のために作っちゃおう!
(そのためだけに、いそいそとハムを買いにいく私♪)
ふむふむ、ぶたぶたさんにバスで席を譲ってもらったら
「どうぞ膝に乗ってください♪」なんて言って、膝の上のぶたぶたさんと
楽しく会話できるのか。。。バス停で、いつまでも待つわ!
などなど、はてしなく妄想をふくらましているうちに
お風呂に入り、おひさまの光を浴びて
ほっかほかのふっくふくになったぶたぶたさんのように
心もあたたかくふくらんでいるのでした。
ぶたぶたさん、いつもありがとう♪